著者
松本 健太郎
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.13-20, 2019 (Released:2021-03-31)

本論文では、旅行情報コンテンツとして世界一の閲覧数を誇るトリップアドバイザーをとりあげ、そこで旅行者が投稿した写真データの位置づけを分析の俎上に載せる。そのうえで、そのアプリに搭載された機能が旅をめぐるイマジネーションを喚起するのか、そして旅をめぐる体験をシミュレートするのかを考察することになる。 より具体的にいえば、トリップアドバイザーのサイト、およびそのスマートフォン版アプリによって、私たちは都市や地域ごとのホテル、レストラン、観光情報などに関する口コミや価格比較を利用しうるわけだが、本論文ではそこに含まれるデジタル写真のメディア論的な位置づけに着眼したうえで、それに関連した二つの機能――「トラベルタイムライン」と「360度パノラマ写真」――を分析していく。そしてそのうえで、単なる「旅の表象」ではなく、むしろ「旅のシミュレーション」という観点から、それらが可能にする「旅の想像」のメカニズムについて考察を展開することになる。ようするに本研究では、写真の画像データにもとづいて、旅という行為をよりリアルなものとしてシミュレートする上記の機能を考察することで、今日的な旅のイマジネーションの実相に目を向けようと試みるわけである。
著者
佐藤 輝 吉田 英樹 前田 愛 松本 健太 向中野 直哉 川村 真琴 小西 杏奈 島田 瑞希 高桑 奈緒美 鳴海 萌 天坂 興 原 幹周 小田桐 伶 前田 貴哉
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0668, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】低負荷(最大随意収縮(MVC)の20%程度)で実施される等尺性収縮後の筋弛緩法(PIR)と対象者の随意的努力を必要としない神経筋電気刺激(NMES)では,筋ポンプ作用に基づき筋血流量が改善する可能性が指摘されており,臨床では筋・筋膜性疼痛や浮腫の改善などに活用されている。しかし,PIRやNMESが筋循環動態に及ぼす影響の詳細は十分に検証されていないのが現状である。以上から本研究では,PIRとNMESが筋血流動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】健常者16名を対象とし,仰臥位を保持した対象者の右上腕二頭筋(BB)に対して3つの条件(条件1:PIRを実施する条件,条件2:NMESを実施する条件,条件3:コントロール条件)を無作為順序で日を改めて実施した。条件1では,対象者は,右BBに対するPIRとして,右肘関節90度屈曲位かつ右前腕90度回外位にて20%MVCでの右BBの等尺性収縮を10秒間実施し,その後,右肘関節完全伸展位かつ右前腕90度回外位にて20秒間右BBを弛緩させた。この右BBの収縮と弛緩の計30秒間を1セットとして,10セット5分間を連続で実施した。PIR終了後,対象者は安静仰臥位をさらに15分保った。条件2では,対象者は,右BBに対するNMES(波形:対称性矩形波,電流強度:肘関節の僅かな屈曲運動は起こる程度,周波数:30 Hz,パルス幅:250 μsec,オン・オフ時間:各5秒)を20分受けた。条件3では,対象者は安静仰臥位を20分保持するのみとした。各条件の実施中,筋血流量の指標として右BBの酸素化ヘモグロビン量(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン量(deoxy-Hb)を測定し,各条件開始時の測定値を基準として各条件での5分後(条件1のPIR終了時)及び20分後(各条件の終了時)でのoxy-Hbとdeoxy-Hbの経時的変化を多重比較検定にて検討した。【結果】条件1(PIR)では,oxy-Hbの明らか変化は認めなかったが,deoxy-Hbは条件開始5分後(PIR終了時)で有意に増加し,条件開始20分後でも有意に増加した状態であった。一方,条件2(NMES)では,oxy-Hbは条件開始5分後及び20分後で増加傾向を示したが,deoxy-Hbは同時点で減少傾向を示した。条件3では,oxy-Hb,deoxy-Hbともに経過中での明らかな変化を認めなかった。【結論】本結果は,PIRではdeoxy-Hbが増加するのに対し,NMESではoxy-Hbが増加する可能性を示しており,両者の筋循環動態に及ぼす影響の違いが明らかとなった。PIRのような低負荷随意運動では筋収縮に必要なATP産生は好気的代謝系に依存するのに対し,電気刺激に伴う筋収縮では嫌気的代謝系に依存する(Hamada, 2003)。このため,PIRでは酸素需要が高まりoxy-Hbと比較してdeoxy-Hbが増加するが,NMESでは酸素需要がPIR程には高まらないため,deoxy-Hbと比較してoxy-Hbが増加したと推察する。PIRとNMESはともに筋血流量を改善する可能性があるが,筋循環動態に及ぼす影響は対照的であり,臨床では目的に応じた使い分けも考慮すべきである。
著者
松本 健太郎
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.109-116, 2018 (Released:2020-03-25)

ポケモンGOはそのリリース直後、都市の意味空間を規定するレイヤーを多層化させ、われわれが認知するリアリティをより錯綜したものへと変質させた。実際それは物理空間と仮想空間の領域区分を越境しながら多くの社会問題を引き起こし、われわれが生きる意味世界に「分断」(それをプレイする人とそうでない人のあいだのそれ)をもたらす存在として報道されるに至った。本論考ではプレイヤー/非プレイヤーのあいだの「軋轢」、あるいは、そこから派生した社会的な「分断」を視野にいれつつ、複数の領域にまたがる理論的言説を参照しながら、また、それを前提に「ゲーミフィケーション」概念を再考するなどしながら、デジタル・テクノロジーが現代の記号世界にもたらしつつあるものを考察の俎上に載せてみたい。
著者
佐藤 千代子 加藤 元嗣 西川 有佳 今村 佳奈 松本 健太郎 松本 和加子 福原 直美 阿部 千里 井川 敬子 間部 克裕
出版者
道南医学会
雑誌
道南医学会ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.35-37, 2018

上部消化管内視鏡検査では、苦痛なく検査が施行できるよう咽頭麻酔が行われる。咽頭麻酔の方法はキシロカインビスカス法、アイスドロップ法、スプレー法等があるが、今回効率的かつ患者満足度の高い咽頭麻酔導入を目的として、当院の従来法(アイスドロップ法)とスプレー法を比較検討したため、報告する。
著者
松本 健太郎 佐野 伸之
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.329-335, 2021-06-15 (Released:2021-06-15)
参考文献数
12

作業療法では,対象者の生活行為がやり遂げられるように,意欲を引き出す支援が重要となる.今回,人工股関節全置換術後患者に対して,自己評定法に加えて半構造的面接法を併用することで,対象者の目標に対する意欲や生活行為への参加を高められた介入手順について報告する.リハビリテーションに関する達成動機尺度の得点から達成動機の状態を把握し,面接法により事例の作業参加につながる目標,行動計画,周囲のサポートについて合意形成した.その内容を視覚的に意識づけし適宜修正することで,事例の達成動機の向上や積極的な行動変容が窺えた.達成動機の観点から面接法を併用することで,サポート内容を明確化することが期待できる.
著者
松本 健太郎
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.109-116, 2018

ポケモンGOはそのリリース直後、都市の意味空間を規定するレイヤーを多層化させ、われわれが認知するリアリティをより錯綜したものへと変質させた。実際それは物理空間と仮想空間の領域区分を越境しながら多くの社会問題を引き起こし、われわれが生きる意味世界に「分断」(それをプレイする人とそうでない人のあいだのそれ)をもたらす存在として報道されるに至った。本論考ではプレイヤー/非プレイヤーのあいだの「軋轢」、あるいは、そこから派生した社会的な「分断」を視野にいれつつ、複数の領域にまたがる理論的言説を参照しながら、また、それを前提に「ゲーミフィケーション」概念を再考するなどしながら、デジタル・テクノロジーが現代の記号世界にもたらしつつあるものを考察の俎上に載せてみたい。
著者
神田 孝治 遠藤 英樹 須藤 廣 松本 健太郎 吉田 道代 高岡 文章 藤巻 正己 藤木 庸介 濱田 琢司 鈴木 涼太郎 山口 誠 橋本 和也
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は,近年におけるツーリズム・モビリティの新展開に注目し,それを特定の地域に焦点をあてるなかで検討するものである。その際に,「科学技術の進展とツーリズム」,「ダークツーリズム」,「サブカルチャーとツーリズム」,「女性とツーリズム」,「アートとツーリズム」,「文化/歴史遺産とツーリズム」という6つのテーマを設定している。本年度は初年度であったが,各テーマに関連するいくつもの成果が生み出された。特に,「科学技術の進展とツーリズム」に関わるものは,神田孝治・遠藤英樹・松本健太郎編『ポケモンGOからの問い─拡張される世界のリアリティ』(新曜社, 2018)を筆頭に,多数発表されている。本研究課題の成果が,モバイルメディアがもたらす新しいツーリズムに関する研究を牽引するものとなっていると考える。また,研究会も積極的かつ有益な形で実施された。第1回研究会は,観光学術学会や人文地理学会地理思想研究部会と共催するなかで,Durham UniversityのMike Crang氏による“Traveling people, things and data: borders and global flows”と題した講演とそれを受けたシンポジウム「ツーリズム,モビリティ,セキュリティ」を実現した。第2回研究会は,観光学術学会との共催によるシンポジウム「おみやげは越えていく―オーセンティシティ・ローカリティ・コモディティ」と,和歌山大学・国際観光学研究センターのAdam Doering 氏による“Mobilities for Tourism Studies and “beyond”: A Polemic”と題した講演会を実現した。こうした取り組みが,モビリティに注目した先端的な観光研究の知を,広く関連する研究者に提供する役割を果たしたと考える。
著者
福嶋 慶繁 松本 健太郎 圓道 知博 藤井 俊彰 谷本 正幸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.564-571, 2008-04-01
被引用文献数
3

We have developed an effective rectification method that has a pixel error of less than 0.25 of a pixel for use in two-dimensional multi-camera arrays. Rectification and correction are important for free view-point imaging and multi-view coding in the field of image-based rendering (IBR). In the computer vision field, a number of rectification methods for binocular/trinocular stereo camera setups have been develpopd and used. However, not many multi-camera array rectifications methods have been developed.