著者
小林 毅
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.15-25, 2014-03-31 (Released:2016-11-30)

This article examines agency problems in the management of Japanese real estate investment trusts (J-REITs). J-REITs, which are externally advised, have potential conflicts of interest and might not trade assets with their sponsors at a fair price. With the use of data on individual properties, we investigate the existence of agency problems in transactions of properties between J-REITs and their sponsors. First, the assets purchased by J-REITs from their sponsors do not exhibit negative abnormal returns on average. Second, analysis on the categories of sponsors shows that properties which foreign sponsors sold to their J-REITs exhibit poor performances. Large domestic real estate firms, however, supply good properties to their J-REITs that yield high returns. Finally, we provide evidence that J-REITs sold their assets to their sponsors at low prices before the financial crisis in September 2008, which results in worse performance of them. This suggests the existence of agency problems.
著者
太田 久裕 山田 浩之 新田 清一 鈴木 大介 本間 大和 和泉 光倫 今村 香菜子 南 隆二 中山 梨絵 上野 真史 若林 毅 島貫 茉莉江 大石 直樹 小澤 宏之
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.556-564, 2022-12-28 (Released:2023-01-18)
参考文献数
14

要旨: 近年, 国民の難聴対策の必要性の増加に伴い, 政府や関連学会より言語聴覚士の活用や雇用の促進が訴えられている。今後は言語聴覚士 (以下 ST) の聴覚医療における貢献や活躍が期待されている。今回, 補聴器外来を医師1名から医師と ST の協力体制に移行する前後を比較し, 患者, 医師, 医療機関にどのような影響を与えたかについて検討した。補聴器購入後の補聴器全体の満足度は医師 1 名体制で平均82点, 医師と ST の協力体制で平均80点と同等の結果で, 高い患者満足度を維持することができた。1週間の最大患者枠数は14人から54人に増えた。1年間の補聴器適合検査数は1回目が2.2倍, 2回目以降が3.2倍に増加した。医師と ST の協力体制に移行しても満足度が維持できたことから, ST の積極的な参加は, 補聴器医療の需要に対応していく上で有効な選択肢で, 今後, より一層の ST の補聴器医療への関与が期待される。
著者
林 毅
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.1355-1359, 2016 (Released:2018-01-29)
参考文献数
12

加速感等の車両の統合運動知覚と吸排気音などの音源知覚の観点から, エンジン音の機能を考え, 運転者への情報性を高める音響デザインを行った. 本技術は, 原音と融合するように合成波形を車室内に発音させるものである. エンジン音の種類により, 適切な音像定位が得られるように電気音響変換器を車室前後の副音場に設置した. 顕著なエンジン音の種類は, 回転数域に対応し, 回転数変化による音色とピッチ変化を本デザインは強調した. さらに, 音像の定位移動も明確にし, 空間的な音響も実現した. 本デザインは, V8 ガソリンエンンジン搭載のFR スポーツセダンに採用された.
著者
小林 毅之 箕作 禎子 島井 信子 田村 高子 益田 律子 横山 和子
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.266-271, 1989-05-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
11

28歳, 男性の扁桃摘出術中に筋強直をともなって発生した悪性高熱症を経験した. 早期発見, 早期治療により救命できた. 親族にMHの既往があるにも関わらず, 術前それを聴取できなかった. 患者に医学的知識がない場合, 家族歴を忘れてしまったり, 遺伝性疾患を隠したりすることがあるため注意が必要である.MHの初期症状は気道閉塞とよく似ているため, 特に扁桃摘出術のように気道のトラブルが予測される手術においては鑑別が難しい.
著者
石井 正則 八代 利伸 小林 毅 金田 健作 府川 和希子 森山 章
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.95-100, 1994-02-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11

空酔いは, 訓練中の航空機搭乗員にとって症状が改善しない時には深刻な問題になる。それは本人だけでなく安全運航上においても解決すべき重要な課題である。各国の空軍では, コリオリ刺激による脱過敏 (desensitization) やバイオフィードバック療法によって70-84%のRehabilitation Rateが得られることを報告している。しかしそのためには特殊な装置や激しい加速度訓練が必要になる。そこで日常の生活の中で空酔いの対策になるプログラムを考案した。その内容は, 自律神経系を安定化し異なる加速度や重力方向の変化に対して適応できるように, ストレッチ体操, 水泳, 加速度変化の体験などをリハビリの中心とし, さらに自律神経調整作用のある薬剤や抗ヒスタミン剤を随時併用するものである。1987-1992年の5年間に11名の航空機搭乗員にこのプログラムを用いて空酔いに対する治療を行ったが, そのRehabilitation Rateは, 81.8%であり, 空酔いに対する有効な方法と考えられた。
著者
山口 開 奥瀬 千晃 鈴木 啓弘 小林 裕太郎 長田 達郎 巴 雅威 遠山 裕樹 林 毅 吉田 秀樹 高橋 泰人 前山 史朗 打越 敏之 飯野 四郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.18-22, 1998-01-25
参考文献数
19
被引用文献数
1

症例は23歳, 女性. 飲酒歴, 輸血歴および鍼灸治療歴はない. 常用薬剤なし. 感冒様症状に伴う食欲不振, 腹部不快感および2週間で約4kgの体重減少を主訴に近医を受診した. 生化学検査でtransaminaseの上昇を認め急性肝炎が疑われ当科紹介, 入院となった. 入院時現症では標準体重の-32%のるいそうを認め, 入院時検査所見では総蛋白, コリンエステラーゼの低下及びtransaminaseの上昇が認められた. しかし肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性で, 抗核抗体および抗ミトコンドリア抗体も検出されず免疫グロブリンはいずれも正常ないし軽度低下を呈した. 腹部超音波およびCTでは著明な脂肪肝を認めた. 肝生検像では肝実質にacuteyellow collapsed cellを含む巣状壊死を散見し, 大脂肪滴沈着をzone 2~3に小葉の1/2以上に認め飲酒歴がないことからnon-alcoholic steatohepatitisと診断した. 本例は肥満, 耐糖能異常を伴わず, 薬剤服用歴もなく経過より急激な栄養障害による飢餓状態が原因と考えられた
著者
山口 開 奥瀬 千晃 鈴木 啓弘 小林 裕太郎 長田 達郎 巴 雅威 遠山 裕樹 林 毅 吉田 秀樹 高橋 泰人 前山 史朗 打越 敏之 飯野 四郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.18-22, 1998-01-25 (Released:2009-11-17)
参考文献数
19

症例は23歳, 女性. 飲酒歴, 輸血歴および鍼灸治療歴はない. 常用薬剤なし. 感冒様症状に伴う食欲不振, 腹部不快感および2週間で約4kgの体重減少を主訴に近医を受診した. 生化学検査でtransaminaseの上昇を認め急性肝炎が疑われ当科紹介, 入院となった. 入院時現症では標準体重の-32%のるいそうを認め, 入院時検査所見では総蛋白, コリンエステラーゼの低下及びtransaminaseの上昇が認められた. しかし肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性で, 抗核抗体および抗ミトコンドリア抗体も検出されず免疫グロブリンはいずれも正常ないし軽度低下を呈した. 腹部超音波およびCTでは著明な脂肪肝を認めた. 肝生検像では肝実質にacuteyellow collapsed cellを含む巣状壊死を散見し, 大脂肪滴沈着をzone 2~3に小葉の1/2以上に認め飲酒歴がないことからnon-alcoholic steatohepatitisと診断した. 本例は肥満, 耐糖能異常を伴わず, 薬剤服用歴もなく経過より急激な栄養障害による飢餓状態が原因と考えられた
著者
小林 毅 石井 正則 金田 健作 八代 利伸 森山 寛 須藤 正道 関口 千春 五十嵐 眞
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.507-515, 1994 (Released:2009-10-13)
参考文献数
10

In an effort to determine the mechanism causing motion sickness, various studies have been conducted on the autonomic and central nervous systems. Recently, it was reported that the level of antidiuretic hormone (ADH) rises when motion sickness appears, and the possible involvement of hormones in the manifestation of motion sickness has become a focus of attention.We induced motion sickness by Colioris stimulation in healthy adult volunteers, and examined hypothalamus-pituitary-adrenal hormones and neuropeptides before and after stimulation and during the recovery process.In the high susceptibility group blood levels of ADH, ACTH, prolactin, cortisol, β-endorphin and MET-enkephalin and urinary levels of ADH immediately after stimulation were significantly higher than those in the low susceptibility group. These levels returned to normal after 30 minutes of rest. In the high susceptibility group the motion sickness score immediately after stimulation showed a significant correlations with the blood levels of ADH, ACTH and β-endorphin.These results indicate that ADH, ACTH, β-endorphin and MET-enkephalin are involved in the nausea and vomiting of motion sickness. Moreover, it seems that the mechanism and effects of these hormones may differ from each other. Since the urinary level of ADH is very closely correlated with its blood level, the use of urinary ADH testing is advocated as a simple method with no discomfort.
著者
福渡 努 江畑 恵 佐々木 隆造 保苅 義則 紅林 毅久 橋詰 昌幸 柴田 克己
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.265-272, 2005-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

(1) ヒトを用いて, カツオ由来ナイアシン高濃度含有パウダー(カツオパウダー)中のナイアシンの生物有効性について検討した.21~23歳の健康な女子経生8名を対象として, 食事摂取基準を満たす食事を2日間与えた後, ナイアシン51mgを含むカツオパウダー15gを摂取させた.カツオパウダーを摂取した日に, 摂取カツオパウダー中のナイアシンの52%がニコチンアミド代謝産物として尿中に排泄された.カツオパウダー中のナイアシンはニコチンアミド標品に近い, 高い生物有効性を持つことが示唆された.(2) カツオパウダーがストレプトゾトシン(STZ)誘発性糖尿病の予防・改善効果を有するか検討した.5週齢のWistar系雄ラットにカツオパウダー添加食を8日間与えた後, STZ20mg/kg body weightを腹腔内注射し, さらにカツオパウダー添加食を21日間与えた.カツオパウダー摂取によるSTZ誘発性の糖尿病の予防・改善は見られなかった.しかし, STZ誘発性糖尿病によるナイアシン栄養状態の悪化を防止した.
著者
石井 正則 金田 健作 関 博之 小林 直樹 八代 利伸 小林 毅 吉田 茂 栄 春海 森山 寛
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.604-613, 1994-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
4

めまいや耳鳴を主訴とした患者の中には, 症状の増悪に患者の心理的因子や環境因子が関係することがあり, その治療には心身症としての側面を考慮する必要がある。とくにメニエール病では, ストレスが発症に関与していることが多く, ときとしてその治療に難渋することもある。そこで, 心身症や神経症に対して優れた臨床効果の報告がある抗不安薬 (Ethyl Loflazepate, メイラックス ®) を使用し, メニエール病を中心にめまいや耳鳴を主訴とした疾患に対してその臨床効果を検証した。その結果, この薬剤の内服により動揺感, 悪心・嘔吐, 耳鳴の大きさなどにその改善度や有用率が高いことがわかった。しかも心理検査のCMI検査や健康調査表でも服用後にCMIの値や健康調査の値が有意に低下することを認めた。以上により抗不安薬であるメイラックス ® が自律神経症状や動揺感を主体としためまい感や耳鳴の大きさに対する自覚症状を和らげる効果を示すことがわかった。
著者
石川 綾子 宮林 毅 鬼頭 雅弘
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.2_80-2_88, 2017

名古屋大学では,平成27年-28年度に文部科学省の「産学官連携リスクマネジメントモデル事業」の「技術流出防止マネジメント」の採択校として秘密情報管理及び安全保障輸出管理のモデル構築を行ってきた.秘密情報管理では,学内体制・システムの整備を目指して,米国大学等,国内企業や大学,学内の管理状況を調査及び検討し,秘密情報の等級分けと等級に応じた管理,学生のインフォームド・コンセントを中心とした体制等を構築した.安全保障輸出管理では,「技術の提供」の管理システムとして,機微度調査,e-Learningの構築等を実施し,濃淡管理を深化させた.本稿においては,名古屋大学における技術防止マネジメントの取組みについて検討経過を含め紹介する.<br>
著者
小林 毅
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1-10, 2017

本論文では、日本銀行による量的・質的金融緩和政策が株式市場やJ-REIT市場に与えた影響をAR-GARCHモデルを用いて分析している。2010年12月に開始された包括的金融緩和政策において日本銀行は、リスク・プレミアムへの働きかけをするためにETF(上場投資信託)およびJ-REIT(不動産投資信託)等への買入れを開始した。この買入れに関して、TOPIXあるいは東証J-REIT指数の前日終値と比較して当日前場終値が下落した場合に日本銀行は買入れを行うという一定の傾向が観察されている。そして、黒田総裁の就任直後の2013年4月に量的・質的金融緩和政策が開始されて以来、ETFおよびJ-REIT買い入れの頻度が増していることが日本銀行の発表資料より示される。実証分析の結果、包括的金融緩和政策によって多くのJ-REIT個別銘柄のボラティリティは低下したが、量的・質的緩和政策はボラティリティをさらに低下させたことが明らかになった。ただしこれらの政策はJ-REITの日次収益率には影響を与えていないと思われる。一方、株価指数を対象に行った分析では、包括的金融緩和政策および量的・質的緩和政策は株式市場には有意な影響を与えなかったことも示される。
著者
林 毅陸
出版者
三田学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.286(64)-303(81), 1910-03

論説
著者
中村 琢洋 瓦林 毅 清野 祐輔 東海林 幹夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.383-386, 2017 (Released:2017-07-29)
参考文献数
7
被引用文献数
1

症例は家族歴のない17歳男性である.腕立て伏せを中心とした筋力トレーニングを開始した数日後より,左上肢の感覚障害と運動障害を来し当科紹介受診となった.神経学的には左上肢に広範囲な筋力低下と橈側の感覚障害を認めた.Magnetic resonance neurography(MRN)で腕神経叢に信号の左右差を認め,左腕神経叢障害が疑われた.神経伝導検査では腕神経叢障害のみでは説明のつかない広範な障害を認め,遺伝学的検査により遺伝性圧脆弱性ニューロパチーの診断に至った.軽度の労作や圧迫によるニューロパチーでは,家族歴が無くとも本疾患を鑑別する必要がある.