著者
猪狩 賢蔵 鈴木 信也 関 博志 野村 嘉奈子 外園 弥生 吉田 蘭子 阪上 貴子 伊藤 智一 荒瀬 透 林 誠一
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.179-184, 2021-04-10 (Released:2022-04-10)
参考文献数
11

Postoperative nausea and vomiting (PONV) are common and unpleasant postoperative complications. Although guidelines recommend preventative measures according to PONV risk, anesthesiologists do not always follow the guidelines. In this study, we investigated whether the pharmacists’ proposal of a PONV prevention method to anesthesiologists in accordance with the guidelines affected the decision-making of anesthesiologists and subsequent PONV development. Two hundred and five patients who underwent gynecological surgery at Keiyu Hospital were included in this study, and the number of preventative measures selected by an anesthesiologist and frequency of PONV complications before and after the pharmacists’ intervention were determined. After the intervention, the number of preventative measures implemented by the anesthesiologist increased in the PONV moderate- and high-risk groups (P < 0.01) and incidence of PONV in patients decreased [odds ratio 0.362 (95% confidence interval 0.174 - 0.726) (P < 0.01)]. It is the intention of anesthesiologists for pharmacists to evaluate PONV risk and propose preventative measures that comply with guidelines to anesthesiologists. The results of this study show that the proposal of pharmacists on PONV prophylaxis affects anesthesiologists’ decision-making and is effective in preventing PONV.
著者
佐原 直日 北原 信介 松永 貴志 小林 誠一郎 藤井 知紀 大野 伸広
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1530-1534, 2022 (Released:2022-12-08)
参考文献数
15

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はしばしば微小血管における血栓形成を助長し重要臓器を障害する。今回COVID-19に後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を合併した症例を報告する。症例は全身性エリテマトーデスの既往のある44歳男性。COVID-19を発症時に溶血性貧血と著明な血小板減少を認めた。ADAMTS13活性が測定感度以下でADAMTS13 inhibitorを検出したため後天性TTPと診断した。失語,見当識障害,せん妄などの動揺性精神神経症状が出現したが血漿交換,prednisolone, rituximabを投与し改善した。COVID-19にTTPを合併した報告は少なく本邦では本症例が初めてとなる。TTPは稀ではあるがCOVID-19の重要な合併症の一つで速やかに診断し早期に治療を開始することが重要と考えられた。
著者
小野寺 直人 櫻井 滋 吉田 優 小林 誠一郎 高橋 勝雄
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.58-65, 2008 (Released:2009-01-14)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

岩手医科大学附属病院(以下,当院)では院内感染予防のための新たな支援策として,実施すべき予防策を指標色制定(color coding)により視覚的に周知させることを意図した,当院独自の「感染経路別ゾーニング・システム」を2005年4月から導入した.   本論文では,システム導入の経緯を示すとともに,新たな支援策が各種の感染制御指標に及ぼす影響について,1) 擦式手指消毒薬および2) 医療用手袋の使用量,3) MRSAの発生届出件数,4) 入院患者10,000人当たりのMRSA分離報告件数,5) 院内のアウトブレイク疑い事例に対するICTの介入件数の5指標を,システム導入前(2004年度)と導入期(2005年度),導入後(2006年度)の各年度で比較した.   調査の結果,導入前,導入期,導入後でそれぞれ,1) 擦式手指消毒薬の月平均総使用量は242L, 250L, 235Lと差が認められず,2) 医療用手袋の月平均使用量は261,700枚,338,000枚,410,100枚で導入期・導入後に増加,3) MRSA月平均発生届出件数は23.6±4.3, 20.3±5.5, 19.8±4.6と導入後有意に減少,4) MRSA月平均分離報告件数は21.1±5.1, 14.5±3.9, 13.6±3.1で導入期・導入後に有意に減少,5) 年間ICTの介入件数は7件,5件,3件と減少した.以上から「感染経路別ゾーニング・システム」の導入は院内感染対策の充実,特に大多数を占める接触感染の予防支援策として有効と考えられた.
著者
林 誠一
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.41-46, 1993-01-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
19

To investigate the efficacy of aciclovir for herpetic gingivostomatitis, changes in local lesions and fluctuations in local virus titer were compared between a treated group of patients given oral aciclovir (4 patients, 7 sites, 36 specimens) and a control group of patients not given aciclovir (3 patients, 5 sites, 15 specimens). Specimens were able to be taken from the same site for several days in succession in all patients. The results demonstrated improvement in clinical symptoms in the treated group from day 2 of treatment. Likewise, a tendency towards cure of local symptoms was noted remarkably earlier in the treated group than in the control group. In addition, assessment of the virus titer of specimens taken daily from the same site revealed that the virus was not isolated from local specimens as early as after 1 day of treatment up to 3 days of treatment in the oral aciclovir group. The results indicated that oral aciclovir is therapeutically effective for herpes simplex virus and that the drug should be administered for at least 3 days.
著者
中林 誠一郎
出版者
埼玉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

1.ネットワークの集団挙動の制御興奮性結合と抑制性結合を用いて、ネットワークのクラスター化と集団挙動が観測できる。集団挙動は、電極が最近接する結合節(ノード)の興奮・抑制で支配される場合(対称グラフ)は易しい。結合強度が空間変調される非対称グラフの場合、数理モデルは、常微分方程式では、取り扱えない。ネットワークの動態の記述は、泳動・拡散を露わに含む偏微分系へと変化するので、ab initioな計算は難しい。そこで、実験的に求めたArnold Tongueから、結合定数を経験的なパラメーターとして、連立常微分方程式から半経験的な数理モデルを構築した。2.生理神経回路の構成的研究同一の機能を発現する複数のネットワークの中から、生体系が特定の回路を選んだ背後には、生理的あるいは発生学的な拘束条件があると思われる。腎盂機能を再構成した際には、腎臓細胞と尿管の平滑筋細胞の解剖学的な配列を手引きとして、経験的にトイモデルに機能を発現させた。ネットワークの数理の見通しが良くなれば、計算機を補助的手段として、この逆問題を実験でもとめる。得られた振動子配列から、生理系の設計図を読み解く事ができる、このことを、腎盂のしごき運動を例に実証した。このように、電気化学系のモデルで記述される緩和振動子の同期の特徴およびメカニズムは、神経系の緩和型ニュウロンの連成および電気化学振動子の連成計でみられた実験結果と一致した。連成電気化学振動子系が、神経系の緩和型ネットワークの多くの特徴を模擬できることが示された。
著者
利部 なつみ 千葉 史 両角 和恵 小林 誠一 矢内 勝
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.145-153, 2022-04-28 (Released:2022-04-28)
参考文献数
14

宮城県石巻市は,沿岸漁業地域で喫煙に対して非常に寛容的な地域性があった.2006年の市民を対象とした調査では,40歳以上のCOPD罹患率がNICE Studyで示された有病率より1.5倍高いことがわかった.しかし,COPD診療の医療体制は全く整備されていなかった.このような背景から,2009年に石巻地域COPDネットワーク(略称ICON)が設立された.宮城県北東部における,地域完結型・循環型の医療連携システムである.COPDの診断・治療の標準化と役割分担を効率的かつシームレスに行うだけでなく,多職種が連携してCOPD患者を包括的に評価し,個別的に介入する患者教育プログラムの展開に重点を置いている.2021年8月現在,登録医療機関は79件,登録患者数は累計833名,継続中の患者は645名となっている.これまで,医療連携及び,多職種連携による患者教育の検証を行い,得られた成果・課題を連携に反映させてきた.今後も,COPD医療連携と患者教育の実践・検証を継続し,本学会の発展に貢献していきたい.
著者
久野 純治 坂田 清美 丹野 高三 坪田(宇津木) 恵 田鎖 愛理 下田 陽樹 高梨 信之 佐々木 亮平 小林 誠一郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.255-266, 2021-04-15 (Released:2021-04-23)
参考文献数
50

目的 大規模自然災害後の被災地では生活不活発病が問題とされ,それに伴う転倒予防の必要性が高まっている。本研究では東日本大震災後の被災高齢者の新規転倒要因を明らかにすることを目的とした。方法 2011年度に岩手県沿岸部で実施された大規模コホート研究(RIAS Study)に参加した65歳以上の高齢者のうち,転倒や要介護認定,脳卒中・心疾患・悪性新生物の既往がなく,2012~2016年度までの調査に毎年参加した1,380人を対象とした。本研究では毎年の質問紙調査で一度でも転倒したと回答した者を新規転倒ありとした。新規転倒要因には,2011年度実施した自己記入式質問票,身体計測,および,握力検査から,自宅被害状況,転倒不安,関節痛,認知機能,心理的苦痛,不眠,外出頻度,既往歴(高血圧,脂質異常症,糖尿病)の有無,飲酒状況,喫煙状況,肥満度,握力を評価した。新規転倒の調整オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を,年齢と居住地域を調整した多変数ロジスティック回帰分析を用いて算出した。その後,前期高齢者と後期高齢者に層化し,同様の解析を行った。結果 5年間の追跡期間中,参加者の35.5%(男性31.9%,女性37.9%)が新規転倒を経験した。新規転倒と有意に関連した要因は,男性では認知機能低下疑い(OR[95% CI]:1.50[1.01-2.22]),女性では認知機能低下疑い(1.82[1.34-2.47]),不眠(1.41[1.02-1.94]),脂質異常症の既往(1.58[1.11-2.25]),過去喫煙(4.30[1.08-17.14])であった。年齢層では,後期高齢女性で自宅半壊(7.93[1.85-33.91]),心理的苦痛(2.83[1.09-7.37])が有意に関連した。結論 男女ともに認知機能低下,女性では不眠,脂質異常症の既往,過去喫煙が新規転倒要因であった。後期高齢女性では自宅半壊と心理的苦痛が新規転倒要因となった。大規模自然災害後の転倒予防対策では従来指摘されている転倒要因に加えて,環境やメンタル面の変化にも注意する必要があることが示唆された。
著者
中林 誠一郎
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

細胞性粘菌の飢餓集合をモデルにして、単細胞生物から多細胞生物への生物学的変化の熱力学的原因を解明した。二匹の粘菌細胞が接近するに伴ってNADH量が減少し、接触したときに最小値を示し、その後細胞の分離とともに上昇する事が判った。細胞性粘菌集団の総NADH 量を,飢餓による集合体形成前後で測定しても、集合体形成により総NADH量は減少した。これら2つの実験結果は、互いに調和的であり、多細胞化の初期過程は、多細胞化によるエネルギー代謝効率改善に支えられたと考える事ができる。
著者
中林 誠一郎 曽越 宣仁
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.8-11, 2006
参考文献数
3
被引用文献数
1

液体の水は我々にとってなじみの深い物質であると同時に,地球環境の維持に大切な役割をもっている。水の興味深い物性を決める最も大きな要因は水素結合である。磁性の観点から水を見ると,水は磁場とほとんど相互作用しない平凡な物質である。しかし10Tまでの非常に強い磁場中に水をおいて,精密にその性質を調べると,興味深い磁場への応答性がうかがえた。従来の水の研究について概観しつつ,筆者らの新しい知見について解説する。
著者
長田 道哉 林 誠一 大村 進 関戸 幹夫 小野 繁 藤田 浄秀
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.963-971, 1986-05-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
38
被引用文献数
1

The clinical research of peripheral facial nerve paralysis during the last 10 years has been carried out with 39 cases in our clinic. of these, 6 cases of facial nerve paralysis after dental procedures were reported in this paper.We analysed the relationship between peripheral facial nerve paralysis and dental procedures with special reference to etiology, speed of onset, recovery, etc.
著者
森野 杏子 小林 誠一 赤羽 武弘 玉渕 智昭 矢内 勝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.1282-1286, 2016-07-10 (Released:2017-07-10)
参考文献数
9

82歳,男性.I型呼吸不全を認め,当科入院となった.肝硬変,肝細胞癌の既往があることから,慢性肝疾患に伴う肺内シャントの存在を疑った.肺血流シンチグラフィー,100%酸素吸入法によるシャント率測定,コントラスト心エコーにより肺内シャントの存在が証明された.呼吸不全の原因を肝肺症候群と診断し,在宅酸素療法を導入した.慢性肝疾患患者における呼吸不全の原因として,肝肺症候群を念頭に置く必要がある.
著者
玉城 わかな 五十嵐 佑馬 藤巻 大輔 林 誠一 友田 陽 松野 泰也 長坂 徹也
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.340-345, 2006-05-01 (Released:2009-06-19)
参考文献数
20
被引用文献数
6 6

1.91 milliont of steel scrap was exported from Japan to Korea in 2003, which accounted for more than 30% of the total steel scrap exported to other countries from Japan. Change in steel scrap demand in Korea in the future will make a great influence on the amount of Japan's steel scrap domestic consumption and export. In this work, quantitative data about the steel production, steel scrap demand and consumption during 1977-2003 in Korea were collected to analyze the amounts of inhouse, industrial and obsolete scrap generation, and total steel accumulation in Korea. Then, the steel scrap demand in Korea in the future was estimated. The total accumulation of steel in Korea was estimated as 380 million t in 2003 and 548 million t in 2010, respectively. The amount of obsolete scrap generation in Korea was 7.1 million t in 1996 and 9.0 million t in 2003, which was about 3.0% and 2.4% of the total steel accumulation in each year. Supposing that the amount of crude steel production, scrap consumption percentages in B.O.F and E.A.F will be stable, the obsolete scrap generation in Korea in 2010 were estimated as 13-17 million t. This significant increase in obsolete scrap generation in Korea could exceed the current amount of the scrap import. So, self-sufficiency of steel scrap could be achieved in around 2010 in Korea.
著者
今里 雅之 林 恒男 田中 精一 上田 哲哉 竹田 秀一 山本 清孝 武藤 康悦 磯部 義憲 上野 恵子 山本 雅一 小林 誠一郎 羽生 富士夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.80-84, 1990-01-01
被引用文献数
5

症例は50歳男性で,主訴は心窩部痛である.胃潰瘍の診断とともに,超音波検査で肝右葉に蜂巣状内部構造を有する比較的境界鮮明な直径7cmの腫瘤を認めた.Computed tomography(CT)では腫瘤は低吸収域で造影後には菊花状で各花弁にあたる部位の辺縁が濃染される特異な像を呈した.腹部血管造影では,腫瘍血管や圧排所見はないが毛細管相で腫瘍濃染像を認めた.腫瘍マーカーは正常であった.腫瘍の穿刺吸収細胞診では,白色の濃汁の中に線維性組織が吸引されたが炎症性変化のみで悪性所見は認めないため厳重な経過観察とした.2年後,画像的に腫瘤の増大が認められ,悪性腫瘍が否定できないために拡大肝右葉切除術を施行した.病理学的にinflammatory pseudotumorと診断された.肝原発の本疾患は文献上17例の報告しかなく,経過を追い増大を認めた症例はいまだ報告されていない.ここに文献的考察を加え報告する.
著者
若林 誠一郎
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2008-2011