著者
沼澤 俊 有本 久美 横山 茂樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>バスケットボール選手において足関節捻挫は頻発する傷害の一つであり,高校生の年代では多くの選手が既往歴として有している現状がある。しかしその危険因子は未だ明らかになっておらず,十分な予防の対策が行われているとは言い難い。</p><p></p><p>今回,我々は大阪府バスケットボール協会の活動の一環として,高校生バスケットボール選手の足関節捻挫に繋がる身体的特性を調査し,傷害発生との関連性を把握することを目的として,事前に身体所見を検査した上で足関節捻挫を受傷した者の特徴について検証したので報告する。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は大阪府バスケットボール協会に登録し,2015年度夏季大阪府大会ベスト8以上に進出した男女各3チームの高校1・2年生,181名(男子106名,身長:173.4±6.9cm,体重:62.7±7.6kg,女子75名,身長:163.9±6.9cm,体重:57.5±6.4kg)とした。</p><p></p><p>調査項目は,①足関節捻挫の既往歴などのアンケート調査,②身体特性(身長・体重・体脂肪率・骨格筋量など),③下肢関節可動域,④下肢アライメント(Q-angle,Leg-Heel angleなど),⑤筋力(片脚立ち上がり能力や足趾把持筋力,体幹筋力),⑥片脚閉眼立位保持時間,⑦足・膝関節の関節位置覚,⑧片脚3段ホッピングによるパフォーマンス測定とした。</p><p></p><p>足関節捻挫受傷前にメディカルチェックによる調査を行い,その後半年間における足関節捻挫を含む傷害発生の有無を調査した。尚,傷害発生は初発・再発を含む「練習を一日でも休むに至った傷害」を判定基準とした。</p><p></p><p>足関節捻挫の発生状況と受傷前の身体的所見との関係について各項目における相関関係を調査した。統計処理にはSPSSver25を使用しSpearmanの相関係数にて,有意水準はp<0.05とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>メディカルチェックを受けた対象181名で,足関節捻挫を受傷した者は男子25名(右足受傷者15名・左足受傷者10名),女子10名(右足受傷者6名・左足受傷者4名)の計35名であった。男子では,足関節捻挫受傷の有無と荷重下での下腿前傾角度に負の相関がみられ(右:r=-0.262,p=0.007,左:r=-0.245,p=0.011),非荷重下でのQ-angleにおいて正の相関がみられた(右:r=0.285,p=0.003,左:r=0.236,p=0.015)。一方,女子では足関節捻挫受傷の有無と身体所見との間の相関関係を認めず,男子のような傾向はみられなかった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>男子高校バスケットボール選手において,足関節捻挫を受傷しやすい足では,荷重下での足関節背屈可動域が少なく,非荷重下でのQ-angleが大きい傾向が示唆された。しかし女子選手では同様の傾向がみられず,足関節捻挫の受傷要因には性差の影響を受ける可能性が示唆された。</p>
著者
海老原 章郎 新海 暁男 中川 紀子 増井 良治 三木 邦夫 横山 茂之 倉光 成紀
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.403-410, 2006-12-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
29

The final goal of this research project is the understanding of all fundamental biological phenomena in terms of physical chemistry. As a model organism for the structural and functional studies, an extremely thermophilic bacterium, Thermus thermophilus HB8, is very promising because of the small genome size, the availability of genetic tools for functional analysis, and the thermostability of its proteins (http: //www.thermus.org/) . In this report, we summarize the recent progress of this research project toward the systems biology.
著者
内田 茂博 玉利 光太郎 横山 茂樹 川上 照彦 加藤 浩 山田 英司 有馬 信男 山本 哲司
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.442-448, 2011-10-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
26
被引用文献数
2

【目的】本研究では,術前の身体・精神的機能が人工膝関節置換術後2週の運動機能にどう影響しているかを明らかにすることを目的として縦断的に調査を行った。【方法】変形性膝関節症と診断され人工膝関節置換術が施行された38名(平均年齢75.0 ± 6.1歳)を対象とし,術前の身体・精神的機能および術後2週のTimed Up and Go test(TUG)を計測した。交絡因子の影響を取り除くため,得られたデータは重回帰モデルを用いて分析した。【結果】術後2週の運動機能であるTUGを予測する因子として,術前の安静時痛,自己効力感,交絡因子である非術側膝伸展可動域が抽出された。【結論】術前の自己効力感,安静時痛および非術側膝伸展可動域は,術後早期の運動機能指標であるTUGの予測因子であることが示唆された。
著者
田中 正直 根地嶋 誠 横山 茂樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.78, 2003

【はじめに】大腿四頭筋に対する筋力強化方法として、一般的に端座位膝関節伸展運動が実施されている。この運動を実施するにあたり、股関節や足関節の肢位の違いが大腿四頭筋の筋活動に及ぼす影響に関する報告は散見される。本研究では骨盤の肢位に着目し、骨盤傾斜角の変化が大腿四頭筋の筋活動に及ぼす影響について検証したので報告する。【対象と方法】対象は下肢に障害のない健常男性11名(平均年齢23.7±2.0歳)とした。尚、対象者には研究目的を説明し同意を得た。測定筋は右側の内側広筋(VM)、外側広筋(VL)、大腿直筋(RF)の3筋とし、十分な皮膚処置後、電極を中心間距離30mmにて各筋腹中央に貼付した。表面筋電計は日本電気三栄社製マルチテレメーター511を用い、表面筋電波形を導出した。測定肢位は、端座位にて股関節を内外旋および内外転中間位とし、骨盤を(1)最大前傾位:PA、(2)最大後傾位:PPの2条件とした。各条件下にて3秒間の膝関節伸展位最大等尺性収縮を3回ずつ測定した。尚、測定順序は無作為とし、疲労を考慮して各条件間に2分間の休息を取り入れた。解析方法はキッセイコムテック社製BIMUTAS2を用い、測定開始0.5秒から2.5秒の2秒間に得られた筋電波形の積分値を算出した。各条件下において3回の平均値を求めた。さらに背臥位でのQuadriceps settingの平均積分値を100%として、各条件を正規化し%IEMGとして表した。またRFに対するVMおよびVLの活動量を比較する指標として、%VM/RF比及び%VL/RF比を算出した。統計学的処理は、各筋における骨盤前傾位と後傾位での筋活動の違いを比較するため、Wilcoxonの符号付順位検定を用いた。尚、有意水準は5%および1%未満とした。【結果】骨盤肢位別による影響は、%IEMGに関してVMではPPはPAより有意に高かった(p<0.01)。またVLでもPPはPAより有意に高かった(p<0.05)。RFでもPPはPAより有意に高かった(p<0.01)。また%VM/RF比及び%VL/RF比に関して、骨盤肢位による有意差は認められなかった。【考察】今回の結果より、VM・VL・RFすべての筋において骨盤前傾位より後傾位の方が筋活動は高まっていた。つまり、骨盤を後傾する事によって股関節は相対的に伸展位となるために拮抗筋であるハムストリングスの筋張力は低下すると考えられる。このことによって、大腿四頭筋は収縮しやすくなったと推測される。また、%VM/RF比及び%VL/RF比について有意差が認められなかったことから、ニ関節筋による影響は受けにくかったものと思われる。
著者
大城 昌平 松本 司 横山 茂樹 藤田 雅章
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.463-468, 1990-09-10 (Released:2018-10-25)

全身性関節弛緩症(GJL)が足関節不安定性の発症や病態にどのように関与しているか,特に足関節の捻挫既往,及びスポーツ活動の関連について知るため,GJLの58例116足関節を対象に,中等度以上の捻挫既往の有無と3年以上のスポーツ歴の有無について問診し,足関節の機械的不安定性の指標としてストレスX線撮影,機能的不安定性の指標として片脚立位での重心動揺の測定を行った。まず,症例を捻挫既往の有無により2群に分けて検討した。次に,3年以上のスポーツ歴の有無と,さらに捻挫既往の有無により分けた4群について検討した。その結果,GJL,あるいはGJL存在下でのスポーツ活動そのものは足関節不安定性に直接的に関与しているのではなく,捻挫既往の有無が,足関節不安定性の重要な関連因子であることが示唆された。
著者
大杉 紘徳 横山 茂樹 甲斐 義浩 窓場 勝之 村田 伸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】現在,わが国のみならず世界中で実習施設の確保が教育運営上の課題となっており,新たな臨床実習形態の検討がなされている。その一つとして,一施設に対して二人の学生を配置する実習形態(複数型)がある。従来では,一施設に対して一名の臨床実習学生を配置し,一名の臨床実習指導者の指導を受ける(単独型)が,複数型では,一施設に対して二名の臨床実習学生を配置し,一施設内で二名がそれぞれに臨床実習指導者の指導を受ける。我々は先行研究において,単独型と複数型で,実習前後の気分・感情尺度の変化を比較した。その結果,単独型と比べて,複数型では実習中の精神的ストレスが高いことが明らかとなったが,その要因の検討までには至らなかった。そこで本研究では,単独型と複数型の臨床実習形態の違いが,臨床実習前後の学生の気分・感情状態に影響を与えた要因について,実習後に行った学生へのアンケート結果から検討した。【方法】対象は,検査・測定実習(3月上旬実施,実習期間10日間)を実施した理学療法学科2年次生45名(平均年齢19.3±0.5歳,男性23名,女性22名)とした。実習施設配置は,臨床実習施設として登録されている施設に対して複数型臨床実習の実施を依頼し,承諾の得られた11施設(22名)を複数型実施施設とし,その他23施設(23名)を単独型実施施設とした。測定項目は,気分・感情状態の評価指標であるProfile of Mood States短縮版(POMS-SF)と,筆者らが作成した臨床実習についてのアンケートとした。POMS-SFの回答から緊張,抑うつ,怒り,活気,疲労,混乱の下位尺度得点を算出し,さらに下位尺度得点を用いて全体的気分を算出した。POMS-SFの測定は,臨床実習開始1週間前(pre)と,終了翌週の初登校日(post)に,「過去1週間の気分」について回答させた。臨床実習についてのアンケートは,先行研究を参考に作成し,15の質問項目に対して,5件法にて回答させた。アンケート得点は負の感情ほど低得点となるように設定した。アンケートはPOMS-SFのpost測定と同日に行った。統計学的解析は全て有意水準を5%とした。POMS-SFの下位尺度得点ごとに,preとpostおよび単独型と複数型について,二元配置分散分析とLSD法による事後検定で比較した。また,アンケートの各質問項目およびアンケート合計点について,単独型と複数型でMann-WhitneyのU検定を行った。【結果】二元配置分散分析の結果,緊張(F(1,42)=31.0,<i>p</i><0.01),疲労(F(1,42)=4.4,<i>p</i><0.05),混乱(F(1,42)=6.9,<i>p</i><0.05),全体的気分(F(1,42)=6.2,<i>p</i><0.05)に交互作用を認め,事後検定の結果,全てにおいて,複数型のpostの値が単独型のpostの値よりも有意に高値を示した(全て<i>p</i><0.05)。アンケート結果の比較では,「施設スタッフとの関係」およびアンケートの合計点で,複数群が単独群よりも有意に低値を示した(ともに<i>p</i><0.05)。【考察】一施設に一名を配置する単独型と,一施設に二名を配置する複数型で,実習前と実習中の気分・感情状態の変化を比較するとともに,実習に関するアンケートの差異について検討した。結果,複数型の方が単独型よりも実習によって緊張,疲労,混乱の気分・感情が高まるとともに,施設スタッフとの関係が良くなかったと回答する学生が多かった。我々は,臨床実習を複数型で行う利点として同級生とともに実習を行うことによる安心感や精神的ストレスの軽減を見込んでいたが,本研究の結果はこの仮説を支持しなかった。単独型の実習では,同級生がいないため,情報収集や相談の相手が必然的に実習施設のスタッフとなる。一方,複数型の実習では,同級生とともに過ごす時間が長くなることにより,実習施設のスタッフとのコミュニケーションの時間が減ったと推察される。そのため,単独型と複数型では実習施設のスタッフとのコミュニケーションに差があったことにより,信頼関係の構築に差が示されたと考えられる。臨床実習におけるストレスの原因として対人関係の問題が最も影響を与えると報告されていることから,施設スタッフと良好な関係を築けなかった複数型の実習では,実習中の学生の緊張や疲労といった負の感情が高まったと考えられる。【理学療法学研究としての意義】臨床実習は理学療法士養成課程における重要なカリキュラムである。臨床実習中に受ける学生のストレスは非常に強く,その対応についてはこれまでに数多く検討されてきた。本研究結果は,今後の理学療法養成課程における臨床実習形態について検証した有意義なものと考える。
著者
藤 泰子 金 鍾明 栗原 志夫 松井 章浩 石田 順子 田中 真帆 諸沢 妙子 川嶋 真貴子 豊田 哲郎 横山 茂之 篠崎 一雄 関 原明
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.422, 2009

真核生物における遺伝子発現制御およびヘテロクロマチン形成には,ヒストンおよびDNAの化学修飾やsiRNAを介したエピジェネティックな機構が関与している.シロイヌナズナにおけるsiRNAを介したエピジェネティックな遺伝子抑制には, siRNA合成に関わる<I>RDR2</I>遺伝子, siRNAを介したDNAメチル化に関わる<I>DRM1, DRM2, CMT3</I>遺伝子, およびヒストン脱アセチル化酵素をコードする<I>HDA6</I>遺伝子が機能すると考えられている. <br>我々は, タイリングアレイを用いたゲノムワイドな発現解析により, <I>hda6</I>変異体において特異的に発現上昇が認められる遺伝子群を同定した. それら遺伝子群は, データベース上に公開されているsiRNAおよびDNAメチル化のマッピング領域と高度に重複していた. 一方, <I>rdr2</I>および<I>ddc</I>変異体(<I>drm1,drm2,cmt3</I>三重変異体)を用いた発現解析の結果から, <I>RDR2</I>や<I>DDC</I>により制御される遺伝子群は, 予想に反して<I>HDA6</I>遺伝子による制御領域とは殆ど一致しないことが明らかとなった. 以上のことから, <I>HDA6</I>による遺伝子抑制は, <I>RDR2</I>や<I>DDC</I>経路に依存しない機構であることが示唆された.
著者
藤 泰子 金 鍾明 松井 章浩 栗原 志夫 諸澤 妙子 石田 順子 田中 真帆 遠藤 高帆 角谷 徹仁 豊田 哲郎 木村 宏 横山 茂之 篠崎 一雄 関 原明
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.375, 2011

シロイヌナズナのヒストン脱アセチル化酵素HDA6は、RNA依存性DNAメチル化を介したヘテロクロマチン制御因子として同定されている。我々が行った全ゲノム発現解析の結果から、HDA6とDNAメチル化酵素MET1は、ヘテロクロマチン領域を主とした共通の遺伝子を抑制することが示された。また<I>hda6</I>機能欠損により、これら領域ではヒストンアセチル化の上昇など、エピジェネティックなクロマチン状態の推移が認められた。一方、同領域にはRDR2依存的な24nt siRNAが多数マップされるにもかかわらず、その転写活性は<I>rdr2</I>変異では殆ど影響を受けなかった。HDA6標的領域では周辺のDNAメチル化状態に呼応した2つのCGメチル化状態が観察された。周辺のDNAメチル化領域から孤立している場合では、<I>hda6</I>機能欠損により標的領域のCGメチル化は完全に消失していた。一方、DNAメチル化が隣接する場合には、CGメチル化が残留していた。また、これら両領域ではCGメチル化の状態に関わらず、CHGおよびCHHメチル化はともに消失し、転写が再活性化されていた。さらに、HDA6は周囲のDNAメチル化領域には結合せず、その標的領域にのみ結合していることが確認された。これらの結果から、HDA6はRNA依存性DNAメチル化経路に殆ど依存せず、MET1と協調して領域特異的なヘテロクロマチン抑制に機能することが示唆された。
著者
重松 康志 横山 茂樹 竹ノ内 洋 塩塚 順
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0976, 2004

【はじめに】<BR>(社)長崎県理学療法士会では平成11年より全国高等学校野球選手権長崎大会準々決勝からスポーツ外傷(以下、外傷)の予防やリコンディショニングを目的として、現場に会員を派遣してストレッチングやアイシング等のサポート活動を実施してきた。この活動を通して、外傷を有する選手が不安を抱えたまま試合に出場することもしばしば見受けられた。この現状を踏まえ、長崎県高校野球連盟(以下、高野連)と協力して、試合等で発生した外傷の状況とその経過を把握することを目的に調査を実施したので報告する。<BR>【対象および調査方法】<BR>県下高等学校硬式野球部所属の選手を対象に自己記述選択方式でアンケート調査を行った。内容は、「スポーツ外傷の有無・部位・状態」「復帰状況」「通院形態」等17項目について調査した。高野連所属の60校全てから回答があり、内訳は1年生461名、2年生535名、3年生11名、合計1007名であった。調査期間は新人戦終了後の平成15年9月中旬から10月上旬とした。<BR>【結果および考察】<BR>過去6ヶ月以内の外傷は475名(47.1%)で、外傷部位では肩、腰、肘の順に多く、競技特性が見受けられた。また371名(36.8%)の選手が痛み等の自覚症状を持ちながら試合等へ出場する現状が窺われ、外傷を有した選手の約8割に及んだ。一方、外傷予防を意識的に取り組んでいる選手は790名(78.5%)であり、関心が高い傾向にあった。その大半はストレッチングやアイシングの施行等、ウォーミングアップやクーリングダウン(以下、アップ等)を行っていた。このように多く選手が、外傷予防の意識は高く、アップ等を施行しているが、痛みや体調に不安を持つ選手が多い現状から、一般的なストレッチングではなく外傷予防に向けたストレッチング方法等について、我々理学療法士が専門的立場から指導していく事が求められていると考えられた。<BR>通院については、466名(46.3%)の選手が行っており、病院が56.3%、整骨院などが43.6%であった。頻度は、週1回程度の通院が321名中165名(51.4%)、週3回以上が146名(45.5%)、毎日通院が10名(3.1%)とごく少数であった。この様に自覚症状を有する殆どの選手は練習に参加しつつ治療に取り組んでいるが、約半数が病院以外で対応されている現状が窺われた。<BR>【まとめ】<BR>今回の調査結果から、過去6ヶ月(約1シーズン)において選手の約半数が痛み等を訴えて通院している現状を窺うことができた。また痛みを持ちながらも試合等へ参加する選手が全体の1/3程度を占めていた。このような状況から選手が痛みを訴えられる環境づくりが必要不可欠である。そのため今後は、選手自身の自己管理能力の向上や指導者の外傷に対する知識の啓蒙活動、さらに地域医療機関と連携できる支援体制を組織化していくことが課題であると思われた。
著者
伊藤 弓弦 横山 茂之
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.186-193, 2014-06-30 (Released:2014-07-09)
参考文献数
22

Selenocysteine (Sec) is the 21st amino acid that is incorporated into proteins translationally. The selenocysteine tRNA (tRNASec) is first ligated with serine by seryl-tRNA synthetase, and the Ser moiety is converted to Sec in a tRNA-dependent manner. In Bacteria, the selenocysteine synthase SelA converts Ser to Sec directly, whereas in Eukaryotes and Archaea, phosphorylation of the Ser moiety is required prior to the Sec conversion. In this review, we describe the crystal structures of SelA, bacterial tRNASec, and the SelA•tRNASec complex. Based on the crystal structures and mutational analyses, the substrate discrimination and reaction mechanisms are discussed.
著者
大山 盛樹 横山 茂樹 重松 康志 谷川 敦弘 中尾 利恵 竹ノ内 洋 塩塚 順
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0060-C0060, 2004

【はじめに】平成15年7月28日から8月24日に、長崎県下で全国高等学校総合体育大会「長崎ゆめ総体」が開催された。この大会において(社)長崎県理学療法士会では「社団法人という公益性のある職能団体として地域社会への貢献する」という趣旨から支援活動を展開した。今回、その支援活動の実施状況について報告する。<BR>【活動概要】(目的)選手がよりよいコンディショニングで安全にかつ安心して試合に挑める環境を提供する。(対象競技)サッカー競技・男女バスケットボール競技の2種目3競技とした。(支援体制)競技期間中に、各競技会場に救護班として県士会員を2名ずつ派遣した。(活動内容)参加選手を対象に1)試合前後におけるリコンディショニング、2)RICE等の応急処置、3)医療情報の提供を中心に行った。<BR>【活動状況】(バスケットボール競技)8月2日から7日に男子は4会場、女子は5会場で開催された。参加チームは男女各59校、計118校、試合数は男女とも各々58試合、計116試合であった。派遣した県士会員は延べ64名、実人数50名であった。(サッカー競技)7月29日から8月4日まで6会場で開催された。参加チームは55校であり、試合数は計54試合であった。派遣会員は延べ51名、実人数36名であった。<BR>【実施状況(バスケットボール競技)対応件数は、男子で延べ件数81件、実人数33名、女子で延べ件数32件、実人数25名であった。利用件数は大会前半に集中した。痛みを訴えた選手が最も多く、男子では39件(48%)、女子では26件(81%)であった。傷害部位は、男女とも足関節が最も多かった(30%前後)。施行内容は、男女ともテーピング施行が最も多く(40~50%)、次いでアイシングが占めた。(サッカー競技)対応件数は延べ件数71件、実人数50名であった。利用件数は大会前半戦に集中していた。主訴は痛みが最も多く、56件(78.9%)であった。傷害部位について足関節が33件(44%)と最も多かった。施行内容は、テーピング施行が39件(48.8%)と最も多く、次いでストレッチ、アイシングの順であった。<BR>【今後の課題】利用件数はいずれの競技でも大会前半に多かった。これは大会前半に試合数が多いことや、後半戦に勝ち残る強豪校には帯同トレーナーが存在していたことが要因と考えられ、帯同トレーナーと連携が課題であった。またスポーツ現場では急性外傷への対応が求められることから、医師との連携体制や応急処置、テーピングに関する知識と技術の研鑽に努める必要があると思われた。今回のように県士会による支援活動はこれまでに前例がなく、長崎ゆめ総体における新たな試みであった。この活動を通して、痛みを持ちながらも競技に参加する選手の実状とスポーツ現場におけるニーズの高さを再認識できたことは有益であった。
著者
福田 航 横山 茂樹 片岡 悠介 濱野 由夏 池野 祐太郎 五味 徳之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.201-204, 2013 (Released:2013-06-25)
参考文献数
6

〔目的〕前十字靭帯(ACL)損傷患者の片脚スクワット中における膝周囲筋活動の特性を検討することである.〔対象〕ACL損傷患者9名と健常人8名である.〔方法〕課題は膝関節屈曲20~50度間の片脚スクワット,被検筋は内・外側広筋,内・外側ハムストリングとした.各筋の筋電図積分値から得られる最大随意収縮(MVC)で正規化した%MVCを,ACL損傷患者の健患側及び健常人の利き足側の間で比較した.〔結果〕患側の%MVCは健側と比較して内・外側広筋で小さく,内・外側ハムストリングで大きかった.〔結語〕ACL損傷患者において,片脚スクワット中の筋活動は膝関節の前方不安定性を安定化させる作用があることが示唆される.
著者
宮島 清富 横山 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.488, pp.33-38, 2002-11-22
参考文献数
7
被引用文献数
1

近年,低電圧で動作する電子回路を搭載した家庭用電気製品やパーソナルコンピュータが広く普及し,雷発生時,配電線やその他から侵入する雷サージにより機器の誤動作や破壊が生じる事例が多数報告されている.しかし,これらの原因となる雷サージの侵入経路や発生頻度,電圧は十分には解明されておらず,落雷との関係も明らかではない.本報告では,落雷が原因と思われる電子機器の故障が高頻度で発生している会社事務所を対象に,低圧配電線から引き込まれる電源電圧の連続測定から得られたインパルス性の過電圧の測定結果とその特徴を明らかにする.そして,落雷位置標定システムのデータとの比較から,雷放電と雷過電圧の関係を明らかにする.
著者
小野 恭裕 本田 透 桑嶋 博史 菰渕 真紀 山田 耕平 横山 茂樹
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8-9, pp.550-554, 2015 (Released:2015-08-29)
参考文献数
12

目的:当院で急性期リハビリテーション(以下,リハ)を行った脳卒中患者の血清アルブミン値の継時的変化を病型別に解析し,転帰との関係を検討した.方法:2008 年から2014 年の急性期リハを行い,リハ連携病院での転帰情報が得られた295 名を対象とした.血清アルブミン値を当院入院時から経時的に調査し,連携病院退院時のfunctional independence measure(FIM)を患者転帰の指標として,両者の関連性を調べた.結果:病型は脳梗塞170 名,脳出血105 名,くも膜下出血20 名であった.入院中に血清アルブミン値は全病型で低下し,最低アルブミン値は脳梗塞で3.1±0.6 g/dl,脳出血で3.1±0.6 g/dlと同程度であった.くも膜下出血は2.6±0.4 g/dlまで大きく低下したが,その後の回復は他の病型と同様であった.脳梗塞と脳出血においては最低アルブミン値と退院時FIM間に正相関がみられたが(p<0.001),くも膜下出血では関連性は認められなかった.結論:脳卒中リハ患者の血清アルブミン値と転帰は病型によって異なり,病型別解析の必要がある.
著者
横山 茂雄
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1998-05-25

要旨pdfファイル:学位授与日「平成10年11月24日」