著者
江村 超 熊谷 正朗 王 磊 郷古 倫央
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.17-23, 1999-01-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
7
被引用文献数
4 1

Dynamically walking robots require attitude sensors of high resolution and wide-band frequency response. If these characteristics are not good enough, it is difficult to control the robots stably. Rate gyros are widely used attitude sensors in walking robots, but the rate gyro which has both characteristics of sufficiently high resolution and wide-band frequency response is heavy and expensive. Therefore, the authors tried to get a small, light and low-cost rate gyro which has excellent characteristics both in resolution and response frequency by using multiple sensors and subtraction type of filters.In this paper, first, a method to expand response frequency of rate gyros without reducing their resolution and an idea of subtraction type of filters which are useful for expanding frequency range are presented. The subtraction type of filter means the filter that has a transfer function obtained by subtracting another transfer function from 1 (unity). This filter provides flat response after composing two signals whose response frequency ranges are different each other. In this case, one is a signal obtained from a rate gyro whose resolution is high enough but response frequency is low, and the other is a signal obtained from a rate gyro whose resolution is low but response frequency is high enough.If we use an inclinometer together with rate gyros, we can sufficiently decrease zero-drift of gyros, because the inclinometer senses angular displacement by referencing gravity direction and its zero stability is high enough. However, the inclinometer is influenced by horizontal acceleration. This means that we have to use a low-pass filter whose cutoff frequency is extremely low to eliminate signal component induced by horizontal acceleration. Attitude sensor using two rate gyros mentioned above and one inclinometer showed good characteristics concerning zero stability, resolution and response frequency range.
著者
江村 憲夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料
巻号頁・発行日
vol.2018, no.9, 2018

<p>本人工頭脳は人の脳の振舞いを模倣したものであって、真似ではなく、良いとこ取りである。人工頭脳が、自分の意思で情報を収集し、考え(意志の生成)、Action(行動、発話、さらなる思考)するという観点では汎用AIを目指している。但し、ディープラーニング(数値計算モデル)ファーストではなく、人の脳の振舞いを観察、極力、模倣し、究極の目標は「鉄腕アトムの頭脳」を創ることにあ る。[ 脳の振舞いの模倣事例 ] 1人は視野がAIと違って狭いため、全体を把握しつつ、注目した対象にフォーカスして行動する。このため、見えない、見ていないものまで連想/階層記憶で見てしまう。更に、視野情報以外に音声(会話)/音源/文字情報、手足の感触情報までイメージ情報(見た結果に変換)として取り込む。2外部情報(視野/音源/音声/感触)、内部情報に対し意思、記憶情報が活性化すると、自らの意思の意向に沿って、課題を生成、解決手段を見出し、具体的実行計画に落とし込む。「(視野情報)洗濯物がベランダに干してあり、雨が降り出した。(経験-連想記憶)洗濯物がずぶ濡れになる。(意思-危機感覚)大変なことになってしまう。」(課題)と考え、「家の中に取り込む。」(解決手段-人の意志)これは、雨によって危機感覚(このままでは大変なことになる)が活性化したからである。人工頭脳は、脳の振舞い(有機的情報処理)を観察・模倣し、機能分割された機能群が互いに連携しあい、全体で上手く機能する様にすると共に、上記情報処理を標準化(OS化)し、汎用のヒューマノイドロボットに搭載することで、「人と共存し、倫理・危機感覚/常識の範囲内で自発的な手助け、命令服従できる人工頭脳」を提供することが目標である。</p>
著者
末岡 淳男 劉 孝宏 白水 健次 江村 篤裕 中野 寛
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.70, no.689, pp.38-45, 2004-01-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
5
被引用文献数
4 3

This paper deals with the occurrence mechanism of the squeal and chatter phenomena generated in a bicycle disk brake and their countermeasures. From the results by bench test apparatus, it was made clear that the squeal is in-plane vibration in the direction of rotor surface with frequency 1kHz caused by the frictional characteristics with negative slope with respect to the relative velocity generated in the vibration system including brake components and spokes, and the chatter is another frictional vibration with frequency 500Hz in which the squeal occurring in the in-plane direction of rotor and the out-of-plane vibration of rotor due to Coulomb friction are superimposed through the internal resonance relation caused by temperature increase of rotor during braking. The measures for squeal and chatter were taken on spokes and hub, and the validity was confirmed by using bench test apparatus.
著者
江村 義行
雑誌
情報と社会 = Communication & society
巻号頁・発行日
no.18, 2008-03-15

平成19 年のブルドックソース事件において東京地裁(6 月28 日), 東京高裁(7 月9 日), 最高裁(8 月7 日)は, 買収者出現後(=有事) に株主総会の特別決議を経て導入した敵対的企業買収防衛策(新株予約権を発行するもの) を肯定した。しかし, 防衛策に関する基礎理論研究が不足している。そこで本稿では, 新株予約権を用いた防衛策の可否を検討するため, 第一に法人が防衛策を行うことの可否, 第二に防衛策導入の決定機関, 第三に防衛策による株主の排除の可否について考察を行う。これにより以下のことが判明した。そもそも株式会社という法人が防衛策を行うことができるのか否かという問題については, 従来の敵対的企業買収に関する紛争事例(株式発行の場合) では, 法人が防衛策を行うこと自体, 否定的に理解されていた。しかし, 今日の敵対的企業買収に関する紛争事例(新株予約権発行の場合) は, ブルドックソース事件に代表されるように, 必ずしも防衛策を否定的に理解していない。濫用的買収者によって株式会社がその存廃に著しい影響を受けるときは, 自衛のために防衛策を導入及び発動することができると考えられる。そのような防衛策は株式会社という法人の意思に基づいて行われるものであり, その意思を形成する機関は株主総会である。防衛策を導入する際の決議要件は, 会社法上の少数株主の排除を可能とする他の規定との兼ね合いから, 買収者株主を排除する(持株比率を低下させる) こととなる防衛策の場合も特別決議が必要と考えられる。但し, 株主総会の特別決議により株主の同意を得て新株予約権を用いた防衛策を導入したとしても, 会社は濫用的買収者に対抗する場合に例外的に防衛策を行使するようにしなければならない。また, 株主総会は濫用的買収者の認定を正当に行う必要がある。会社は防衛策の発動にあたり買収者株主に経済的損失を与えてはならない。違反した場合は, 裁判所によって防衛策が株主平等原則違反及び不公正発行と判断されてしまう可能性を否定できない。
著者
江村 和彦
出版者
日本福祉大学子ども発達学部
雑誌
日本福祉大学子ども発達学論集 = THE JOURNAL OF CHILD DEVELOPMENT (ISSN:24352802)
巻号頁・発行日
no.13, pp.39-47, 2021-01-31

本研究は,保育者をめざす学生の表現領域における美術,芸術の捉え方を揺さぶる試みの実践研究である.保育者として,芸術表現の多様なあり方を知るきっかけとして,アール・ブリュットの鑑賞活動を取り上げた.アール・ブリュットとは,障害者が制作した絵画,彫刻などの自由な表現のことを指す.学生は,施設運営者や学芸員による解説のもとアール・ブリュットの作品鑑賞を行った.鑑賞後のコメントから学生が多くの重要な気付きをしていることが明らかになった.それは,①作品の制作過程そのものがその人の生きている証であり,自分の生活の一部であること,②作者に寄り添った職員との関係性そのものがアール・ブリュットであること,③これまでの美術観を超えて作り手を想像する行為は共感性を育むことができること,である.今後は,様々な作品を鑑賞する機会を設け,保育者に必要な「みる力」を養う造形教育の在り方を模索したい. his research is a practical study of an attempt to shake art and the way of thinking of art in the field of expression of students aiming to be childcare workers. As a childcare worker, I took up the appreciation activity of Art Brut as an opportunity to learn about various ways of artistic expression. Art Brut refers to free expressions such as paintings and sculptures made by people with disabilities. Students watched Art Brut work under the guidance of facility operators and curators. Comments after the appreciation revealed that the students had many important notices. It is (1) that the production process of the work itself is a living proof of the person and a part of one's life, (2) that the relationship with the staff who is close to the author itself is Earl Brut, and (3) this. The act of imagining the creator beyond the artistic view is that empathy can be fostered. In the future, I would like to provide opportunities to appreciate various works and explore the ideal form of modeling education that cultivates the "power to see" necessary for childcare workers..
著者
庭本 崇史 江村 正仁 中村 敬哉 林 孝徳 小林 祐介 五十嵐 修太 野村 奈都子 太田 登博 吉岡 秀敏 西川 圭美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.6, pp.1020-1025, 2016-06-10 (Released:2017-06-10)
参考文献数
10

約3年前に成人発症Still病(adult onset Still’s disease:AOSD)と診断された65歳の女性.23価肺炎球菌ワクチンを接種後に血球貪食症候群を併発した.ステロイド増量とガンマグロブリンの投与にて病勢の改善を得た.しかし,二次感染予防目的のST合剤の開始翌日から関節痛が増悪し,AOSDの再増悪を疑いシクロスポリンを投与した.その後,良好な経過を辿った.AOSDのコントロール不良例では,免疫抑制薬の併用が有用であると考えた.
著者
三浦 瑠璃 江村 菜津子 齋藤 ゆり子 澤井 健
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.112, pp.P-42-P-42, 2019

<p>【目的】哺乳動物の初期胚は,桑実期から胚盤胞(BC)期にかけて,内部細胞塊(ICM)と栄養膜細胞(TE)への分化が起こる。SOX2はICM分化に重要な役割を担うと考えられているが,ブタ初期胚におけるSOX2発現動態と胚発生への役割については明らかではない。本研究では,ブタ胚におけるSOX2発現動態とその発現抑制が初期胚発生におよぼす影響について検討した。【方法】ブタIVM卵子および1-細胞期からBC期における<i>SOX2</i> mRNA発現量およびSOX2タンパク質の発現を解析した。次に,ブタ1-細胞期胚にSOX2発現抑制用siRNAを注入する区(SOX2 siRNA 区),Control siRNAを注入する区(Control siRNA 区),siRNAを注入しない区(無処理区)を設け,BC期までの発生率を調べ,BC期での<i>TEAD4</i>および<i>OCT-4</i> mRNA発現量を解析した。また,それら BC期胚の総細胞数およびSOX2発現陽性細胞率を調べた。【結果および考察】<i>SOX2 </i>mRNA発現量は,IVM卵子,1-細胞期,桑実期,BC期に比べ,8-~16-細胞期で有意(<i>P</i> < 0.05)に高い値を示した。SOX2タンパク質は8-細胞期以降の細胞核で発現が認められ,BC期胚においては,ICMと思われる部位に局在が認められた。Control siRNA区およびSOX2 siRNA区の4-細胞期以上への発生率は,無処理区と比較して有意(<i>P </i>< 0.05)に低い値を示したが,BC期への発生率は各処理区間に差は認められなかった。<i>TEAD4</i>および<i>OCT-4</i>発現量は,各処理区間に差は認められなかった。BC期での総細胞数およびSOX2発現陽性細胞率は無処理区に比べ,SOX2 siRNA区で有意(<i>P </i>< 0.05)に低い値を示した。SOX2 siRNA区においてはBC期ICMへのSOX2局在化が認められなかった。本結果より,SOX2はブタ初期胚におけるICM形成に関与する可能性が示された。</p>
著者
江村 英哲
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1064, pp.36-41, 2016-01-28

2015年12月22日、日本スポーツ振興センター(JSC)による新国立競技場整備計画の優先交渉権者(事業者)決定の記者会見で、建築家の隈研吾氏は率直な感想を述べた。 安倍晋三首相の決断による昨夏の整備計画見直しを受けて始動した新しい整備計画は、A案〔図1…
著者
齋藤 ゆり子 江村 菜津子 三浦 瑠璃 澤井 健
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.112, pp.P-48-P-48, 2019

<p>【目的】microRNA(miRNA)はmRNAの翻訳抑制に関与する短鎖ノンコーディングRNAである。我々は,前回の本大会において,miRNA合成関連因子である<i>DROSHA</i>の発現を抑制すると,ブタ初期胚における16-細胞期以降の発生率が低下することを明らかにした。本実験では,<i>DROSHA</i>発現抑制がブタ初期胚の遺伝子発現に及ぼす影響を検討するとともに,それら遺伝子の発現に関与するmiRNAのブタ初期胚での発現動態を調べた。【方法】ブタ1-細胞期胚に,<i>DROSHA</i>発現抑制用siRNAを注入する区(DROSHA siRNA区),いずれの遺伝子の発現も抑制しないControl siRNAを注入する区(Control siRNA区),siRNAを注入しない区(無処理区)を設け,得られた8-細胞期胚における<i>KLF4</i>,<i>DNMT3A</i>および<i>RBL2</i>のmRNA発現量を解析した。次に,<i>KLF4</i>もしくは<i>DNMT3A</i>遺伝子発現を制御することが示唆されているmiR-29b,miR-145および,miR-371について,体外成熟(IVM)後のブタ卵子,1-細胞期から胚盤胞(BC)期のブタ胚における発現量を解析した。【結果および考察】<i>KLF4</i>および<i>DNMT3A</i>発現量は,無処理区に比べDROSHA siRNA区で有意(P<0.05)に低い値を示した。一方,<i>RBL2</i>発現量は各処理区間に差は認められなかった。miR-29b発現量は,IVM卵子からBC期胚のいずれにおいても差は認められなかった。miR-145発現量は,IVM卵子,1-細胞期胚およびBC期胚と比べ,16-細胞期胚において有意(P<0.05)に高い値を示した。miR-371発現量は,IVM卵子および1-細胞期から16-細胞期胚と比べ,桑実期およびBC期で有意(P<0.05)に高い値を示し,また,桑実期胚と比較してBC期胚において有意(P<0.05)に高い値を示した。以上の結果より,初期発生過程で合成されるmiRNAがブタ胚の遺伝子発現を制御する可能性が示された。</p>
著者
皆川 修人 櫻井 伸行 高橋 一生 江村 菜津子 東間 千芽 橋爪 力 澤井 健
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.109, pp.P-93-P-93, 2016

<p>【目的】miRNAの生合成を抑制したマウス胚では胚性致死となることから,miRNAを介した遺伝子発現制御が初期胚発生において重要な役割を担うと考えられる。miRNA-34cは,マウス胚において1-細胞期から発現量が上昇し,その機能を阻害すると卵割が停止する。またmiR-93およびmiR-34aはマウス胚性幹細胞および人工多能性幹細胞においてSox2や,Nanogの発現を制御している。しかし,ブタ胚においては上記miRNAの発現動態およびその機能は不明である。そこで本研究ではブタ初期胚における上記3つのmiRNAの発現動態とmiR-34cが初期胚発生に及ぼす影響について検討した。【方法】ブタ卵子(M-Ⅱ期)およびブタ体外受精(IVF)胚の1-細胞期,2~4-細胞期,8~16-細胞期,桑実期および胚盤胞期でのmiR-34a,miR-34cおよびmiR-93の発現量を解析した(実験1)。またmiR-34cに結合し,その機能を阻害するmiR-34c inhibitorを1-細胞期胚に注入し,その後6日間体外発生させ,胚盤胞期までの発生率を検討した(実験2)。処理区は,miR-34c inhibitor区および特定のmiRNAの機能阻害効果も持たないNon-effect inhibitor区とした。【結果および考察】実験1において,3種のmiRNAはいずれも全発生ステージで発現が確認された。miR-34cおよびmiR-93については各発生ステージにおいて有意な差は認められなかった。miR-34aについては桑実期および胚盤胞期において,発現量が他の発生ステージよりも有意(P<0.01)に高い値を示した。実験2おいて,miR-34c inhibitor区およびNon-effect inhibitor区で発生率に有意な差は認められなかった。本研究の結果より,ブタ初期胚における3種のmiRNAの発現動態が明らかとなった。マウス胚においてmiR-34cは受精後の1細胞期から発現量が上昇するが,ブタ胚においては受精以前のM-Ⅱ期から発現が認められた。またmiR-34cに関しては,その機能阻害が胚発生に影響をおよぼさなかったことから,初期胚発生におけるmiR-34cの機能は動物種によって異なることが示唆された。</p>
著者
櫻井 伸行 高橋 一生 江村 菜津子 皆川 修人 東間 千芽 橋爪 力 澤井 健
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.109, pp.P-92-P-92, 2016

<p>【目的】マウス胚において,内部細胞塊から胚盤葉上層(EPI)および原始内胚葉(PrE)への分化はFGFシグナルによって制御されている。FGFシグナルのリガンドであるFgf4はEPI前駆細胞から分泌され,隣接する細胞に作用することでPrE分化を促す。そのため,<i>Fgf4</i>欠損マウス胚はPrE分化に異常をきたし,胚性致死となる。一方,ウシ胚の発生および組織分化におけるFGFシグナルの役割は明らかでない。本研究では,ウシ胚の各発生ステージにおける<i>FGF4</i> mRNAの発現動態解析およびウシ初期胚に対するFGF4発現抑制実験を行い,ウシ胚の発生および組織分化におけるFGF4の役割について検討した。【方法】食肉処理場由来のウシ卵巣から卵丘細胞–卵子複合体を吸引採取し,体外成熟培養後に媒精を行うことで体外受精胚を得た。各発生ステージにおいてサンプリングを行い,<i>FGF4</i>の遺伝子発現量解析を行った。1細胞期胚の細胞質にFGF4発現抑制用のsiRNAを注入し,胚発生への影響を検討した。実験区はFGF4発現抑制区に加え,遺伝子発現抑制効果を有しないControl siRNA注入区および注入操作を行わないUninjected区を設けた。桑実胚を対象として,EPIの分子マーカーである<i>NANOG</i>およびPrEの分子マーカーである<i>GATA6</i>について遺伝子発現量解析を行った。【結果および考察】<i>FGF4</i>発現は16細胞期までは認められず,桑実期以降でのみ認められた。培養7日目における胚盤胞期への発生率は,Uninjected区(64.6%)およびControl siRNA区(60.1%)と比較してFGF4発現抑制区(20.6%)において有意(<i>P</i> < 0.01)に低い値を示した。FGF4発現抑制区における<i>NANOG</i>発現量は,Control siRNA区と比較して有意(<i>P</i> < 0.05)に高く,また<i>GATA6</i>発現量はUninjected区と比較して有意(<i>P</i> < 0.05)に低い値を示した。本研究では,ウシ胚の初期発生においてFGF4が重要な因子であることが明らかとなり,またウシ胚においてもFGFシグナルがEPI/PrE分化を制御する可能性が示唆された。</p>
著者
高橋 英也 江村 健介
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、「ラ抜き言葉」や「レ足す言葉」、岩手県宮古市方言で用いられる能力可能形式「エ足す言葉(例:読めえる)」といった、日本語の可能動詞の形式に見られる「方言多様性」と、それを実現させる日本語母語話者の「文法知識の獲得」を、日本語の膠着性の理論的定式化という観点から考察する。特に、語彙の形態分解と文法構造の階層性の間に一定の対応関係が存在することを標榜する分散形態論(Marantz 1997他)の枠組みを用いて、日本語の可能動詞化を具現するラレ/rare/が2つの独立した形態素(r)arとeに分解されるとの作業仮説に立脚し、可能動詞の諸相に広く目を配った、多角的かつ統合的な研究を実施する。
著者
小関 篤史 江村 超 熊谷 正朗
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2002, 2002
被引用文献数
1

本研究は4脚ロボットの不整地動歩行に関するものである。不整地としては, 踏み越え可能な水平な段差, より高い障害物, 斜面を想定し, ステレオビジョンによって地形情報を得て, 歩容生成を行う。まず, 歩行しながら, ロボット前部に取り付けた2個のカメラにより路面を左右方向に渡って観測し, 視差を検出することで路面の相対的な高低の分布を得る。この分布より回避すべきか否かを, また進行可能である場合, 時間変化より平坦な段差か斜面であるかを判断し, 必要な歩容の生成を行った。12自由度のロボットを用いて, 姿勢センサ等の情報による補正を加えてトロット歩容を行った。
著者
熊谷 正朗 江村 超
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2000, 2000
被引用文献数
1

現在, 人間の居住環境等における移動手段として2足歩行が着目されているが, 多くの研究では歩行を水平面に限定している。しかしながら, 実用的に使用する場合には, 路面の斜度を把握し, それにあわせて歩容を変更しなければならない。本研究ではステレオビジョンを用いた手法によって斜度を推定し, ロボットの歩容を変更し, 斜度を教示することなく歩行させることに成功した。あわせて他の物体を追尾歩行するための制御について報告する。