著者
谷本 奈穂 渡邉 大輔
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.55-69, 2016 (Released:2016-08-06)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本稿の目的は,近代家族の理念の出発点ともいえるロマンティック・ラブ・イデオロギーが,現在どうなっているかを検討することである.ロマンティック・ラブ・イデオロギーの概要をふりかえった後,雑誌記事の分析および別れの語彙の分析から仮説を立てた.(1)ロマンティック・ラブ・イデオロギーは90年代以降に衰退し,(2)代わりに「ロマンティック・マリッジ・イデオロギー」と名付けるべきものがせり出してきている,という仮説である.量的データから,仮説(1)(2)とも検証された.またとくに,ロマンティック・マリッジ・イデオロギーは,若い女性や恋愛機会の多い人に支持されていることも分かった.ただし,ロマンティック・マリッジ・イデオロギーは,恋愛を解放しても結婚は解放しなかった.結婚へのハードルは高いものといえる.
著者
石川 広己 石川 広己 渡邉 大記 江崎 禎英 大山 永昭 屋敷 次郎 山本 隆一
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.25-34, 2019-07-05 (Released:2020-07-08)

[セッション抄録] 改めて医療等分野に係る個人情報保護のあり方を考える―公益と個益の視点から― 石川広己(日本医師会) 大量の個人情報を集めることができる時代,その情報を分析することで経済活動に活用したり,新たな知見を得たりする取り組みが世界中で行われている.一方で,国民の権利,利益を守るための保護のあり方も同様に議論がなされている. とりわけ,健康・医療・介護に係る情報に関しては,一層の保護措置が必要との認識は世界共通である.例えば,2017年5月に全面施行された改正個人情報保護法では,病歴を要配慮個人情報として,本人同意を得ない取得を禁止している.2018年5月に適用が開始されたEU一般データ保護規則(GDPR)でも,第9条のProcessing of special categories of personal dataで健康に関するデータの取扱いを制限している. このように,健康・医療・介護等の情報の保護の重要性は誰もが強く認識してはいるものの,国民の目線からは十分に保護されるのか不安が生じる.最近の医療情報分野におけるKey wordを挙げてみると,「保健医療記録共有サービス」,「情報銀行」,「次世代医療基盤法」,「被保険者記号番号の個人単位化」などがある.これらは,医療等分野に係る情報を関係者で共有することで適切な医療を提供することを目指す,情報を活用して,その便益を個人に還元する,医療分野の研究開発に生かす,個人の健康・医療に係る情報を生涯に亘り追いかけることで健康寿命の延伸に資することができるなど,多くの可能性を持っている.これらの可能性を探ることは,少子高齢時代を迎えるわが国にとって極めて重要な問題である.ただし,これを実現するには明快で十分な説明の上で,国民一人ひとりの理解と協力がないと実現は難しい. そこで,医療等分野に係る個人情報の保護を通して,改めて公益と個益,またそれを実現するための様々なインフラのあり方について識者を交えてディスカッションを行いたい.
著者
渡邉 大助 数井 優子 太田 彦人
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
pp.762, (Released:2019-08-27)
参考文献数
11
被引用文献数
1

The behavior of degradation and diffusion of phosphorus-containing amino acids, glyphosate and glufosinate, in soil was investigated over a long term of up to 6 months. The herbicides were extracted from the soil under strong alkaline condition and quantified by liquid chromatography-tandem mass spectrometry. Diffusion and downward penetration were hardly observed for glyphosate, and was observed for about 90 days in summer and about 185 days in winter. For glufosinate, on the other hand, the observation was relatively short at about 10 days, and diffusion and penetration in soil were slightly observed. In the case when glyphosate or glufosinate is dumped on the ground for criminal purposes, the herbicides could be detected at least for 6 months for glyphosate and 1 month for glufosinate from the surface soil by using the method presented in this paper.
著者
谷本 奈穂 渡邉 大輔
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.55-69, 2016

本稿の目的は,近代家族の理念の出発点ともいえるロマンティック・ラブ・イデオロギーが,現在どうなっているかを検討することである.ロマンティック・ラブ・イデオロギーの概要をふりかえった後,雑誌記事の分析および別れの語彙の分析から仮説を立てた.(1)ロマンティック・ラブ・イデオロギーは90年代以降に衰退し,(2)代わりに「ロマンティック・マリッジ・イデオロギー」と名付けるべきものがせり出してきている,という仮説である.量的データから,仮説(1)(2)とも検証された.またとくに,ロマンティック・マリッジ・イデオロギーは,若い女性や恋愛機会の多い人に支持されていることも分かった.ただし,ロマンティック・マリッジ・イデオロギーは,恋愛を解放しても結婚は解放しなかった.結婚へのハードルは高いものといえる.
著者
渡邉 大助 数井 優子 太田 彦人
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.15-21, 2020 (Released:2020-01-31)
参考文献数
11
被引用文献数
1

The behavior of degradation and diffusion of phosphorus-containing amino acids, glyphosate and glufosinate, in soil was investigated over a long term of up to 6 months. The herbicides were extracted from the soil under strong alkaline condition and quantified by liquid chromatography-tandem mass spectrometry. Diffusion and downward penetration were hardly observed for glyphosate, and was observed for about 90 days in summer and about 185 days in winter. For glufosinate, on the other hand, the observation was relatively short at about 10 days, and diffusion and penetration in soil were slightly observed. In the case when glyphosate or glufosinate is dumped on the ground for criminal purposes, the herbicides could be detected at least for 6 months for glyphosate and 1 month for glufosinate from the surface soil by using the method presented in this paper.
著者
後藤 亮平 渡邉 大貴 柳 久子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.62-66, 2017-06-20 (Released:2017-06-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

目的:急性感染症で入院する高齢患者において,入院期間中の日常生活動作(Activities of daily living,以下ADL)能力の回復に関連する要因を明らかにすることとした.方法:急性感染症で入院し,リハビリが実施された65歳以上の患者を対象とした.ADL評価指標である機能的自立度評価法(Functional independence measure,以下FIM)を用い,FIM回復率を算出した.患者属性,在院日数等の期間,リハビリ開始時の身体機能(筋力,尿失禁の有無など)や精神機能(認知機能,うつ状態)のうち,FIM回復率に関連する要因を検討した.結果:対象者124例は,平均年齢82.5±7.7歳,女性68例(54.8%)であった.発症からリハビリ開始までの期間,尿失禁の有無,認知機能がFIM回復率に関連する要因として抽出された.結論:急性感染症で入院し,リハビリを実施した高齢患者のADL回復に関連する要因として,発症からリハビリ開始までの期間,尿失禁の有無,認知機能が挙げられた.
著者
渡邉 大貴 藤本 修平 緒方 正幸 熊谷 一郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会 : Mechanical Engineering Congress, Japan
巻号頁・発行日
vol.2015, pp."S0510104-1"-"S0510104-5", 2015-09-13

Laboratory experiments on the flow visualization of the airless sprayer were conducted using shear thinning fluids (xanthan gum solutions) in order to improve the efficiency and the quality in the painting process for the ship hull. The behavior of liquid film instability and the droplet formation were strongly affected by the fluid rheology (concentration of xanthan gum solutions) and the spray pressure. In the atomization of 2.0 wt% xanthan gum solution, which is similar to the real paint in rheological property, the behavior of the spinnability was observed. We quantitatively examined the spatio-temporal variation of the liquid film collapsing, and extracted the dominant frequency components of the droplet formation by DFT analysis.
著者
小林 盾 山田 昌弘 金井 雅之 辻 竜平 千田 有紀 渡邉 大輔 今田 高俊 佐藤 倫 筒井 淳也 谷本 奈穂
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究は,「人びとがどのように恋愛から結婚へ,さらに出産へと進むのか」を量的調査によってデータ収集し,家族形成における格差を解明することを目的としている.そのために,「人びとのつながりが強いほど,家族形成を促進するのではないか」という仮説をたてた.第一年度に「2013年家族形成とキャリア形成についての全国調査」をパイロット調査として(対象者は全国20~69歳4993人),第二年度に「2014年家族形成とキャリア形成についてのプリテスト」(対象者204人)を実施した.そのうえで,第三年度に本調査「2015年家族形成とキャリア形成についての全国調査」を実施した(対象者1万2007人).
著者
後藤 亮平 田中 直樹 渡邉 大貴 金森 毅繁 柳 久子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.751-758, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
26

〔目的〕廃用症候群入院患者の特性,またADLの回復に影響する要因を検討した.〔対象〕廃用症候群のためリハビリテーションの指示が出された患者とした.〔方法〕退院時のFIM運動項目の得点から初期評価時FIM運動項目の得点を引いた値(FIM利得)を,中央値で2群に分類した.多重ロジスティック回帰分析を用いて,ADL向上に影響する要因を検討した.〔結果〕入院前FIM運動項目,膝伸展筋力,股関節屈曲可動域,肺炎の有無の4因子に,FIM利得との有意な関連が認められた.〔結語〕廃用症候群入院患者においては,入院前FIM運動項目,膝伸展筋力・股関節屈曲可動域といった身体機能,また肺炎の有無が,入院期間中のADL向上に影響する事が示唆された.
著者
渡邉 大
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of The Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.154-121, 2018-02-28

本論は、著述のあり方、学術の変遷について考察する文史・校讎の学という観点から、章学誠の六経皆史説を再検討したものである。章学誠にとって、経書の経書たる所以は、それが実際に天下を経綸した先王の政典である点に存し、六経皆史説も古人無著書説もそれを前提として成り立つものであった。また、両説の背景には、官師合一、治教無二と称する、政治・学問・教育が一体となった古代の理想状況が想定されていた。章学誠は、六経をあらゆる学問・著述の淵源として位置づけたのと同時に、あらゆる学問・著述は、六経がそうであったように、経世を志向するものでなくてはならず、また、変化してやまないその時々の情勢に即応したものでなくてはならないと主張したのであった。
著者
渡邉 大
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of The Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.100-78, 2007-03-01

上古音研究の書である『音学五書』が、顧炎武にとってはなぜ「道を明らめ」「世を救う」ための著述となりえたのか、顧炎武の経世意識と古音研究との結びつきについて「音学五書敘」および「答李子徳書」を中心に考察を加え、顧炎武にとって、古音学とは、音学の衰退により乱れが生じていた経書のテキストを正し、そこに載せられた「経世致用」の道を明らかにするためのよすがであり、また、忘れ去られていた経書自身が有する秩序とその信頼性を明らめるすべというふたつの意味を有していたということを確認した。
著者
吉田 司 渡邉 大輝 中潟 崇 山田 陽介 黒谷 佳代 澤田 奈緒美 田中 健司 岡林 恵 島田 秀和 瀧本 秀美 西 信雄 宮地 元彦 阿部 圭一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.20-111, (Released:2021-05-14)
参考文献数
34

目的 本研究は,大阪府北部の摂津市および南部の阪南市における40歳以上の中高齢者のフレイル該当割合と2市で共通してフレイルと関連する要因を明らかにすることを目的とした。方法 2018年度に摂津市,2019年度に阪南市において無記名式郵送調査を行った。対象者は,小学校区ごとの40歳以上の性・年齢階級別の人口構成に応じて各小学校区から1,000人ずつ無作為に抽出した(摂津市10小学校区,阪南市8小学校区)。分析対象者は摂津市が5,134人,阪南市が3,939人であった。フレイル評価は,基本チェックリスト(KCL)および簡易フレイル指標(SFI)を用いた。フレイルを目的変数とし,年齢,性,BMI,家族構成,主観的健康感,経済状況,主観的体力,睡眠,喫煙,飲酒,食事回数,用語「フレイル」認知度を説明変数として多変量ロジスティック回帰分析を適用した。すべての分析は,摂津市と阪南市に分けて行った。結果 対象者の平均年齢と標準偏差は,摂津市が62.7±12.5歳および阪南市が63.4±12.2歳であった。KCLによるフレイル該当割合は,摂津市と阪南市でそれぞれ40歳代が18.7%と17.9%,50歳代が18.2%と14.6%,60歳代が17.0%と15.7%,70歳代が25.4%と20.8%,80歳以上が39.7%と36.1%であった。SFIによるフレイル該当割合は,摂津市と阪南市でそれぞれ40歳代が16.2%と13.5%,50歳代が15.0%と11.9%,60歳代が12.5%と10.0%,70歳代が14.6%と12.3%,80歳以上が24.7%と22.3%であった。摂津市および阪南市で共通し,かつKCLとSFIで共通してフレイルと関連した要因は,高年齢,主観的健康感の低さ,経済状況の不良,主観的体力の低さ,睡眠が不十分,およびフレイル認知度の低さであった。結論 大阪府の2市における調査により,40歳代や50歳代であっても一定数のフレイル該当者がいることが明らかになり,より早期の働く世代からのフレイル予防の取り組みが必要であることが示唆された。また,フレイルと関連する6つの要因が抽出されたが,因果関係や公衆衛生的意義について縦断研究や介入研究による検討が求められる。