著者
佐藤 賢一 下瀬川 徹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.7-16, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
29
被引用文献数
3 1

膵癌はK-ras遺伝子の変異にp16やp53などの癌抑制遺伝子の欠失や変異が加わり,前癌病変のPanINを経て多段階的に発生する.膵癌の浸潤・転移機構には癌と間質の相互作用や上皮-間葉形質転換(EMT)といった現象が重要な役割を演じている.また,他の癌で示されているように,膵癌においてもEMTが誘導されている細胞が癌幹細胞の性質を獲得し,悪性形質をさらに増している可能性がある.
著者
正宗 淳 下瀬川 徹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.9, pp.1526-1534, 2012 (Released:2012-09-05)
参考文献数
50
被引用文献数
1

アルコールは急性および慢性膵炎の主要な成因である.最近の2007年全国調査では急性膵炎の31.4%,慢性膵炎の64.8%がアルコール性とされる.アルコールによる膵炎発症機序としてアルコール毒性説,蛋白塞栓説など,さまざまな仮説が提唱されているがいまだ確立されていない.膵炎を発症するのは大酒家の一部にすぎない.このため,臨床的に膵炎が成立するためにはアルコールの作用のみならず,喫煙などの生活習慣や遺伝的背景が複合的に関与すると考えられる.アルコール性膵炎の再発や進行予防のため,断酒や禁煙といった生活指導の重要性が再認識されている.
著者
井沢 邦英 瀬川 徹 門原 留男 岩田 亨 山本 正幸 佐々木 誠 矢次 孝 松元 定次 江藤 敏文 元島 幸一 角田 司 土屋 涼一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.2757-2763, 1990-12-01
被引用文献数
10

肝細胞癌自然破裂18例について病態, 治療法, 予後を検討した. 教室経験した肝細胞癌の 7.1% を占め, このうち11例 (61%) が出血性のショック状態を呈していた. 治療法は, 1期的根治的肝切除が5例で, 1例が術死の外は, 4例が1年以上生存し, そのうちの1例は7年3ヶ月の現在生存中である. 姑息的治療は6例で, 破裂部肝部分切除あるいは破裂部縫縮が3例, 肝動脈塞栓術 (以下 TAE) 2例, 肝動脈枝結紮1例で, すべてが両葉多発であった. 術死が2例, 最長生存期間は5ヶ月18日であった. 全身管理のみで, 破裂に対し処置が出来なかったものは7例で, 自然止血後の2ヶ月目肝不全死が最長生存であった. 検査値ではコリンエステラーゼ, 血小板数, プロトロンビンタイムで肝切除群と姑息的治療群, 無治療群の間に有意差がみられた. 切除可能であるならば可及的に切除することにより長期生存が期待されると考えられた.
著者
正宗 淳 濱田 晋 下瀬川 徹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.8, pp.1464-1473, 2015-08-05 (Released:2015-08-05)
参考文献数
44

慢性膵炎が膵癌のリスクファクターであることは,疫学研究により確立されている.メタ解析によると,慢性膵炎の膵癌リスクは一般人口に比べて13.3倍,慢性膵炎の診断2年以内の膵癌症例を除いた場合でも5.8倍とされる.特に遺伝性膵炎では69倍と非常に高い.発癌メカニズムとしてK-ras変異の重要性や間質細胞との相互作用,細胞老化(senescence)回避機構の関与が明らかとなりつつある.一方,実臨床において慢性膵炎に合併した膵癌を早期発見することは容易ではない.慢性膵炎に合併した膵癌に特異的な所見はなく,断酒や禁煙などによる炎症のコントロールが,膵癌予防という点からも重要である.
著者
宮澤 陽夫 仲川 清隆 都築 毅 及川 眞一 岡 芳知 荒井 啓行 下瀬川 徹 木村 ふみ子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

生体の脂質は酸化されると過酸化脂質(脂質ヒドロペルオキシド)を生じる。これが細胞や臓器機能の低下、動脈硬化、認知症の要因になることを、化学発光分析、質量分析、培養細胞試験、動物実験、ヒト血液分析で証明した。食品からの、ビタミンE 、ポリフェノール、カロテノイドの摂取は、これらの脂質過酸化を抑制し、老化性の疾病予防に有効なことを明らかにした。
著者
新妻 宏文 石井 元康 小島 敏明 菊池 公美子 鈴木 千晶 小林 智夫 五十嵐 勇彦 真野 浩 上野 義之 小林 光樹 下瀬川 徹 豊田 隆謙
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.346-349, 1999-06-25
被引用文献数
8 6

献血時 (32歳時) にHBVキャリアではないと確認されている症例 (33歳) がHBVの急性感染後にキャリア化した. この症例のウイルスをシークエンスし分子系統樹解析したところgenotype Aであった. 最近, 成人感染後にキャリア化した本邦の1例の検討でgenotypeがAであったと報告された. さらに当科外来で唯一の夫婦ともHBVキャリアの症例では, 夫婦ともにgenotype Aが検出された. 当科外来患者 (宮城県が中心, n=222) のgenotypeの検討ではgenotype Aは3.6%しか存在しなかった. 以上より, genotype Aが急性感染すると成人でもキャリア化することがあると考えられた. 欧米では成人感染後のキャリア化が多く, 本邦では成人感染後のキャリア化は少ないとされている. Genotype Aが欧米で多く本邦で少ないことが, その原因であると考えられた.