著者
石田 明日香 高柳 昌芳 保科 架風 岩山 幸治
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.99-126, 2023 (Released:2024-01-11)
参考文献数
16

現在, バスケットボールの選手評価に使われる指標には, 評価値の信頼性に関する情報を得ることや選手同士の相乗効果に関する評価が難しいという問題がある. これに対し本論文では, チームメイトや対戦相手など同時に出場している選手の能力や, チームメイトとの相乗効果を考慮に入れたモデルをベイズ推定することでそれらの問題を解決する選手評価が可能になることを示した. また, 選手の攻撃・守備能力などの事後分布を解析的に導出することで, 選手の能力評価値やそれらのアフィン変換で得られる指標のベイズ信用区間を構築し, 能力値の推定の不確実性についても評価できることを示した. これは, マルコフ連鎖モンテカルロ法を利用するよりも計算コストを抑えることが可能である. また, アメリカ National Basketball Association (NBA) のデータを利用し, 既存手法との比較検証を実施し, 提案手法は既存手法よりも妥当な選手評価を提供することを確認した.
著者
石田 明 小畑 秀文
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.911-917, 1991-12-01
被引用文献数
8

音声認識装置を例にとって考えると、音声信号処理の分野で雑音処理は重要な研究課題である。特に背景雑音は、音声入力と間違えて応答する原因になるなど、認識率の著しい低下を招く。この問題は、実環境に存在する様々な非定常な雑音、とりわけ、ドアの開閉音のような継続時間の短いものに起因することが多く、この種の雑音対策は単純ではなく、より高度な雑音処理技術が必要とされる。本論文は、雑音環境の中の継続時間の短い非定常雑音と人間の音声とを区別する手法について述べたものである。本手法は、雑音と音声とを区別する重要な手掛かりとして、母音らしい部分を含むか否かの情報を用いることとし、そのための特徴量として周期性/ピッチ周波数/最適線形予測次数/5母音との距離/第1ホルマントのQという五つの特徴量を選定した。本論文では、この特徴量について詳細に検討を行い、特徴量の分布とそれらの変化パターンとを用いることで、音声と非音声の区別を高精度に行うことができることを示す。また、この手法をS/N比の低下した信号に対して検討を行い、耐雑音性の点でも優れた特徴量であることを示す。
著者
山里 正演 石田 明夫
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

脳における骨髄由来細胞の分布または機能の異常が高血圧の病態に関与しているという仮説のもとに検討を行った。骨髄由来細胞の脳室内移植は高血圧ラットの血圧や心拍数へ明らかな影響を及ぼさなかった。しかしながら同細胞は内皮細胞に比べACE2やMn-SODを多く発現しており、また、長期にわたり脳内に生着していた。脳内生着局所のレニン-アンジオテンシン系を調節しうる可能性が考えられた。
著者
石田 明允 今井 祥二 野城 真理
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.63-70, 1990-09-10 (Released:2016-12-05)
被引用文献数
1

The instantaneous center of rotation (ICR) is a basic quantity for describing planar motion of rigid bodies and useful for analysis of anatomical joint motion. For example, the ratio of sliding or spinning and rolling at the articular surfaces of the joint has a direct relationship with the location of ICR. Reuleaux's method has been used to determine ICR. So far the position of segments has been measured by means of several X-ray photographs. Reuleaux's method and other methods use data at two consecutive positions. These methods are very sensitive to position error of segments, and therefore few reliable ICR data on joint motion have been reported. However, it has become possible recently to obtain sufficient position data using several electronic techniques including photo-sensitive semiconductor and magnetic sensor. Therefore it is expected that ICR error can be reduced using these data. In this paper, we propose a method of calculating ICR based on smoothing technique. That is, to determine velocity and angular velocity of a segment, we adopted numerical low-pass differentiation. Then we analyzed the error of this method and discussed the optimal sampling interval of position data. We compared this method with other methods by computer simulation, and we applied this method to temporomandibular joint motion.
著者
糠谷 明 増井 正夫 石田 明
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.73-81, 1979 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
2 8

希釈した海水が, トマトの発芽, 生育, 収量に及ぼす影響について調査した.(1) 発芽試験開始2日後, Cl濃度の100ppmにより発芽率は減少した. 6日後の発芽率は0から1000ppm Cl間で有意差がなかったが, 2000ppm Clでは80.5%, 3000ppm Clでは21.5%で, 0から1000ppmClより低かった.(2) ホーグランド液で希釈された海水で育てられたトマトの蒸散量は, 海水濃度が増すにつれ減少した.(3) トマトを本葉2枚のステージより40日間, ホーグランド液で希釈された海水で育てた. 葉の新鮮重は250, 500ppm Clで0,100ppm Clより大であったが, 果実収量は0ppm Clで最大であった. 6000ppm Clで枯死株がみられた. 葉の浸透ポテンシャルは海水濃度の増加により減少した.(4) トマトを砂耕で栽培した結果, クロロシスとネクロシスは2000ppm Clでは下位葉にみられた. これらの症状は3000ppm Clではさらに激しく, 下位葉から上位葉にまで認められた. 3000ppm Clでは枯死株もみられた. また, 海水濃度の増加とともに, 葉の新鮮重と果実収量は減少し, 葉のCl, Na含量は増加した.(5) トマトを土耕で栽培した結果, 葉の周縁ネクロシスは海水の濃度が高い場合, 下位葉にみられたが, 3000ppm Clにおいても枯死株はなかった. また, 海水濃度の増加とともに, 葉の新鮮重と果実収量は減少し, 葉のN, P, K, Na, Mg, Cl含量は増加する傾向がみられた. 実験終了時の土壌のCl, 置換性Na, Mg含量及びECは, 海水濃度が高まるにつれて増加した.
著者
石田 明
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.274-280, 1994

The questionnaires on handedness and a number of biological attributes were asked to 1, 964 Japanese female students to explore the relationships between them. Most items analysed were found to have no relationships to handednes but strong relationships were found between handedness and the ability of physical exercise, the cardio-pulmonary function, the occurrence of urticaria and the thickness of body hair. Ambilaterals were superior to dextrals or sinistrals in the abilities of physical exercise and the cardio-pulmonary function. The inclination to left-handedness was prominent in females whose body hair was thin. The significant linear regression was found for the proportion of dextrals on the frequency of urticaria and on the difference between the number of clockwise hair whorls and that of counterclockwise hair whorls.
著者
石田 明生 中田 喜三郎 青木 繁明 沓掛 洋志 岸 道郎 久保田 雅久
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, 2002-03-05

北太平洋における水塊とフロンの分布と特徴を,海洋大循環モデル(GCM)によって調べた。さらにGCMの実験によって得られた移流と拡散場を用いて,海洋による人為起源のCO_2の取り込み量を見積もった。GCM実験において用いられる拡散のパラメータ化と海面外力の違いが,CO_2の取り込み量に与える影響を,三つの実験によって調べた:すなわち,これまでの多くのモデルで用いられてきた水平・鉛直拡散過程による実験(RUN1),等密度面拡散を導入した実験(RUN2),等密度面拡散とともに,水温と塩分に冬季の海面境界条件を与えた実験(RUN3)である。水塊とフロンの現実的な分布は,等密度面拡散モデルによって再現された。水平・鉛直拡散のモデルは塩分極小や現実的なフロンの侵入を再現できなかった。塩分極小層の深さは冬季の外力のもとで,よりよく再現された。これらの結果は等密度面拡散と冬季外力の両者が,モデルによる水塊とフロンの再現に必須であることを示唆している。RUN3で得られた移流と拡散場を用いた人為起源のCO_2の海洋による取り込み量は,1990年において19.8Gt Cであった。この値は水平・鉛直拡散過程を用いたRUN1の結果より約10%大きい。これまでのモデルが,人為起源のCO_2の吸収源と考えられている中層の水塊構造をよく再現できなかったことから,本研究の結果は,これまでのモデルが海洋による人為起源CO_2の取り込み量を小さく見積もっていたことを示唆している。