著者
福岡 まどか Madoka Fukuoka
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.349-367, 2015-11-27

The Indian epic poem the Ramayana has become widespread throughoutmany regions of Southeast Asia, being adopted as the main theme in variousperforming art forms such as theatre, dance drama, and mask dance upto the present day. In Indonesia, the art forms include wayang kulit (shadowpuppets), wayang golek (rod puppets) and sendratari (dance drama).This study takes up the subject of the Ramayana epic poem in Indonesiancomic works, indicating their characteristic structures and plots. Amongthe Indonesian comic books, the works of R. A. Kosasih (1919–2012) arethe best-known and most successful. His comic style is called komik wayangbecause of its close relationship to wayang theatre. Kosasih adopted manyepisodes from the wayang tradition, but dealt with them in his own way. Heintentionally changed the episodes and developed his own adaptation of theRamayana tale. In the process he created a new version that is not peculiar toany specific region such as Java, Sunda or Bali. Through the production ofcomic books, Kosasih succeeded in presenting the entire plot of Ramayanain a unique manner.
著者
福岡 まどか
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

この研究は、インドネシアにおいて1950年代以降に創作が始まり1960-80年代にかけて人気を呼んだコミックに焦点を当てている。伝統演劇であるワヤンの物語や表現方法と密接な関連を持つこのコミックはワヤン・コミックと呼ばれている。ワヤン・コミックの先駆者でもっとも影響力を持った作家であるR.A.コサシ(1919-2012)の作品を取り上げて、物語や表現方法の分析、実際のワヤン(影絵や人形劇)上演との関連についての考察を行った。文献調査に加えて2回の現地調査を行い、芸能上演の観察と記録、インタビュー調査などを通して伝統芸能とコミック相互の関連についての検討と分析を行った。
著者
福岡 まどか Madoka Fukuoka
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.571-596, 2004-03-08

この論考では,インドネシア,ジャワ島のワヤンにおけるマハーバーラタの叙事詩「世界」について考察する。通常,ワヤンの物語は,ヒンドゥー叙事詩であるラーマーヤナとマハーバーラタに由来するとされる。しかし,上演の中では,書かれたテクストに見られるような,叙事詩のひとすじの筋立てが示されることはない。一晩の上演の中で演じられるのは,叙事詩に由来する特定の演目lakon である。叙事詩の「世界」は,これらのひとつひとつの演目を集積することによって形成される。この論考では,ワヤンの上演においてマハーバーラタの「世界」が形成されるメカニズムについて理解するために,演目の様式的構造と,演目によって提示される登場人物の伝記的情報という要素に焦点をあてて,複数の演目の関連について考察する。
著者
武田 佐知子 池田 忍 脇田 晴子 太田 妙子 堤 一昭 井本 恭子 千葉 泉 福岡 まどか 三好 恵真子 宮原 暁 住村 欣範 深尾 葉子 生田 美智子 松村 耕光 藤元 優子 宮本 マラシー 竹村 景子 中本 香 藤原 克美 古谷 大輔 村澤 博人 鷲田 清一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の成果は大きく分けて二つある。一つは、従来のカタログ的な着衣研究ではなく、個別地域の具体的な文脈から引き離さず、着衣、身体、女性の関係を読み解くための共通の枠組を構築し、ローカルな視点とグローバルな視点の接合によって開ける多様性のなかの着衣研究の可能性を提示したことである。男性身体の周縁に位置づけられた女性身体の可変性、着衣による身体のイコン化と増殖現象、共同体による着衣身体の共有と変換、ジェンダー秩序のなかで受容される女性身体の意味とその操作、そして既存の共同体の集合的に実践や意識/無意識が、視覚表象と深く関わり相互交渉がなされていることを明らかにした。二つめは、日本では「着衣する身体の政治学」と題し、タイでは「着衣する身体と異性装-日・タイの比較-」と題した国際シンポジウムを開催し、単に抽象的、モデル的に着衣研究の事例を理解するのではなく、現場に即した肌に触れる知を通して、実践知と暗黙知を提示したことである。