- 著者
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藤井 靖浩
- 出版者
- Arachnological Society of Japan
- 雑誌
- Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.1, pp.5-18, 1997 (Released:2007-03-29)
- 参考文献数
- 40
- 被引用文献数
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関東平野北西部にすむコモリグモ類の日周期活動と生活場所における種間の相違を落し穴トラップで調べた. オオアシコモリグモ属の種 (ウヅキ, イナダハリゲ, クサチハリゲ) はいずれも昼間にだけ捕獲された. また, ナミは昼間に, イモは夜間にやや多く捕獲された. しかしフジイ, クラーク, チビ, コガタ, ヒノマルの捕獲頻度は昼夜ともほぼ同様であった. コモリグモ類の生活場所は3つの環境要素の質や段階, すなわち, 底質 (B, むきだしの土壊; L, 生きた植物体; D, 死んだ植物体), 光の条件 (s,日向; d, 日陰), 水の条件 (0, 雨水のみ; 1, 止水; 2, 流水) の組み合わせで分類された. どの種も3っ以上の生活場所に出現し, ウヅキはBs0, クサチハリゲとアライトはLs0, クラークはLs1, イナダハリゲ, イモ, ナミはLs2, チビとコガタはDs0, エビチャとヒノマルはDs1, フジイはDd0で, それぞれの最高頻度を示したが, 生きた植物の上層部ではまれだった. 調査区内にすむ他の7種 (スジブト, カガリビ, クロコ, ハラクロ, キクヅキ, キシベ, キバラ) は低密度ないし低移動性のため, ほとんどないしまったく捕獲されなかった. 日周期性や生活場所に関するこれらの傾向において, ステージや性による相違は不明瞭であった.