著者
馬場 典子 片山 隆志 香西 武 米澤 義彦
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.168-175, 2013 (Released:2019-09-28)
参考文献数
12
被引用文献数
2

中学校新学習指導要領では,理科の第2分野に新しく「遺伝の規則性と遺伝子」の内容が加えられ, 生徒実験として,食塩水と台所用洗剤を用いた簡便法による「DNA の抽出」が提案されている.本研究は,中学校における DNA の抽出実験について,これまでに報告されている材料と方法を再検討し, 中学校でも実施可能な DNA の抽出実験の材料と方法を提案することを目的として行われた.また,報告されている簡便法によって抽出されたものが DNA であることを確認するために,抽出物のUV吸収スペクトルを測定し,市販の DNA 抽出キットによって抽出した DNA と比較した.その結果,DNA の抽出液として,4%食塩水と5%SDS溶液の混合液(24:1)を用いること,材料としてはブロッコリーが適していることが明らかになった.また,抽出物が DNA であるか否かについてはジフェニルアミン法によって確認できることを確かめた.さらに,改良した方法を用いて行った附属中学校での授業実践をもとに,教科書の記述内容の変更を提案した.
著者
大西 武雄
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-7, 2007 (Released:2007-03-14)
参考文献数
24

細胞に温熱処理を施すと X 線の場合と同様に,生体内では細胞の運命を決定するキータンパク質であるがん抑制遺伝子産物 p53 を中心としたシグナルトランスダクションが誘導されることを我々が世界に先駆けて発見した.正常型 p53 遺伝子をもつがん細胞は変異型 p53 がん細胞に比べて温熱で Bax, Caspase-3 を経たアポトーシスが誘導されやすく,温熱に感受性であり,ハイパーサーミア治療に適している.しかし, 変異型 p53 がん細胞に対してもグリセロールや p53C 末端ペプチドを利用した分子シャペロン治療,アポトーシス促進・細胞分裂抑制を標的とした化学物質や siRNA を利用した標的がん治療,p53 遺伝子を利用した遺伝子治療などで有効な治療開発に成功してきており,臨床への応用が期待されている.現在のハイパーサーミア治療においても放射線療法,化学療法,外科療法との併用を行うことによって,より効率的ながん治療を工夫することもできる.いま,その治療増進のしくみを分子生物学的手法で科学している.
著者
米澤 義彦 細川 威典 香西 武
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.148-155, 2019 (Released:2019-12-16)
参考文献数
36
被引用文献数
1

小学校第6学年理科における「水の通り道」の観察実験に使用する「色水」について,小学校や中学校の教科書に例示されている切り花着色剤,食用赤色102号および赤インキの濃度と処理時間について,根のついたホウセンカを材料として再検討を行った.その結果,切り花着色剤と食用赤色102号の「色水」では,いずれも15~30分程度で「色水」が葉に到達することがわかった.また,赤インキの10倍希釈液では約1時間で,50倍希釈液では約2時間で葉まで「色水」が到達した.これらのことから,「水の通り道」の観察実験では,「色水」の種類と濃度を選択することによって,それぞれの学校の時間割に応じて授業が展開できることが示された.
著者
大西 武夫 朝倉 俊行
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.71, no.701, pp.164-170, 2005-01-25 (Released:2011-08-16)
参考文献数
19

In order to realize universal 8-legged walking of just as creatural spiders and adapt to environments, this paper is concerned with cooperative walking control for a spider-type robot. At first, we examine how a spider walks on the floor to ascertain its gait. Second, a spider-type robot which is possible to walk by 8-legs is made experimentally. And using our trial robot, we perform walking experiments to check whether various walking types are possible. The walking types are forward, beck, diagonal, revolution and R-advance. Next, we observe whether a spider reacts well to the environment and then how a spider walks. A creatural spider responds to environmental information by adapting various walking forms, in cases of escaping from natural enemies or fear, wandering around for hunting game and so on. Finally, the mechanisms of these walking forms are examined and verified through simulation experiment. And, we discuss 8-legged cooperative control. The experiment uses various information such as fatigue, fear and distance. Moreover, fuzzy theory is used for controlling the walking velocity by expressing obscure environmental information.
著者
今西 武 花岡 美代次
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.403-417, 1983-05-01 (Released:2010-01-22)
参考文献数
64
被引用文献数
1 3

This article describes our recent synthetic studies on some kinds of alkaloids, which possess various carbon substituted piperidine parts in their structures, starting from a common synthon, N-substituted 1, 6-dihydro-3(2H)-pyridinone. Syntheses of catharanthine, ibogamine, epiibogamine, tabersonine, cleavamine, eburnamonine, corynantheidol, quinine, and tecomanine are involved.
著者
古澤 之裕 藤原 美定 趙 慶利 田渕 圭章 高橋 昭久 大西 武雄 近藤 隆
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.118, 2010 (Released:2010-12-01)

目的:超音波は現代医療において診断のみでなく,がん治療にも用いられている.一定強度以上の超音波を細胞に照射することで,キャビテーションによる細胞死を引き起こすことが観察されてきた. 細胞死誘発の作用機所の一つとしてDNA損傷が考えられており,これまでチミン塩基損傷やDNAの一本鎖切断の生成が認められ,超音波照射後に発生するフリーラジカル,残存する過酸化水素の関与が報告されている.放射線や抗がん剤は,DNAを標的として細胞死を引き起こすことが知られており,損傷の種類,損傷誘発・修復機構等多数の報告がなされているが,超音波に関する知見は非常に限定的で依然不明な点が多い.本研究では,超音波により誘発されるDNA損傷と修復について検討を行った. 方法:ヒトリンパ腫細胞株に、周波数1 MHz、PRF 100 Hz、DF 10%の条件で超音波照射した。陽性対照としてX線照射した細胞を用いた.DNA損傷を中性コメット法,gammaH2AX特異的抗体を用いて検討した.また修復タンパクの核局在を免疫染色法にて検討した.ヒドロキシラジカルの産生をスピン捕捉法にて、細胞内活性酸素をフローサイトメトリーにて検討した。DNA損傷応答経路の阻害剤としてKu55933、Nu7026を適宜用いた. 結果:超音波が放射線と同様、照射強度・時間依存的にgammaH2AXを誘導し,コメットアッセイにおいてもDNA損傷が検出された。修復タンパクの核局在が同時に観察され,照射後時間経過による損傷の修復が確認された.キャビテーションを抑制すると超音波によるgammaH2AXは観察されず、細胞死も有意に抑制された。一方で細胞内外のROSの産生を抑制しても,gammaH2AXの有意な抑制は観察されなかった。超音波によるgammaH2AXはKu55933単独処理のみならず,Nu7026の単独処理によっても抑制された. 結論:超音波がキャビテーション作用によりDNA二本鎖切断を引き起こすことが明らかとなった.また,超音波によってもDNA損傷の修復シグナルの活性化が起こり,DNA-PKが重要な役割を担っていることが予想される.
著者
今西 武 此松 昌彦
出版者
和歌山大学災害科学教育研究センター
雑誌
和歌山大学災害科学教育研究センター研究報告 = Research reports of the Center for Education and Research of Disaster Science, Wakayama University (ISSN:2432762X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.32-37, 2019-02

本稿では筆者らの開発した防災教育プログラムを和歌山県橋本市立あやの台小学校の防災キャンプで使用した実践の記録であり,教師の観察からの防災教育プログラムの評価を得たので報告する.災害を心に感じてもらうDVD映像「3.11メッセージ」の上映,災害時にトイレに重要性を気づかせる「マイトイレ」プログラム,間仕切り設営訓練プログラム,避難所運営の災害図上訓練,備蓄食料の試食体験,暗闇を体験するダーク&ライトを小学6年生に体験してもらった.この結果,小学生6年生でも十分な取り組みが見られ,児童にも有効なプログラムであることを確認できた.
著者
丸山 直生 香西 武
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-4, 2011 (Released:2018-04-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1

来年度から実施される「新学習指導要領」には,野外観察の重視が打ち出された。地層の観察が行われても,化石に関する観察は少ない。露頭において「化石」の採集は容易なことではない。ところが,「生痕化石」は認知度は低いが,注目すれば比較的たくさん見つけることができる。さらに,「生痕化石」は地層が堆積した当時の環境を知る手がかりとなり,「示相化石」としても有効である。そこで,地域の素材を生かし,適切な露頭を教材化し試験的授業を試みるために,まず「生痕化石」の教材としての利点および問題点について考察した。
著者
張 娜 香西 武
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.5-8, 2011 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

科学技術先進国として日本では小学校理科における多いところに参考する価値があると思われる。両国の小学校理科に関する指導要領,授業時数,理科授業の比較を通じて,現在中国と日本で小学校理科授業の様子が明らかにする。
著者
中村 俊一郎 寺西 武夫 青木 美珠代
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.461-467, 1982 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
3 8

セルリー種子の発芽促進に対するベンジルアデニン(BA), ジベレリン(GA3又はGA4)及びポリエチレングリコール(PEG)6000溶液処理の効果を調査した. またホウレンソウ種子ではPEG処理の発芽促進効果とともに, 処理後の乾燥貯蔵の可能性を調査した.1. セルリー種子は20°Cを越えると発芽率が低下した. 発芽促進剤としてはBAが有効で, GA4も効果があるが, GA3は無効であった.BAとGA4とを併用すると最も有効であった.2. セルリー種子はPEG処理によって発芽速度が早まり, 又25及び30°Cでの発芽率が上昇した.3. 処理期間は7日間でも大きな効果が見られたが, 14日間処理すれば効果は更に増大した.4. 処理温度は, 種子ロットによって, 15°Cが好適な場合と, 20°Cが好適な場合とがあった.5. PEG処理中に光線を与えることによって, 処理効果が増大した.6. PEG溶液中にBAを加えることによって処理効果が増大した. しかしGA4を加えても効果の増大は見られなかった.7. ホウレンソウ種子もPEG処理によって発芽速度が早まり, 30°Cでは発芽率も増大した.8. ホウレンソウ種子をPEG処理後, 7日ないし14日間貯蔵した時, 発芽率の低下は見られず, 発芽速度の減少も僅少にとどまった.
著者
中村 俊一郎 寺西 武夫 青木 美珠代
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.461-467, 1982
被引用文献数
3 8

セルリー種子の発芽促進に対するベンジルアデニン(BA), ジベレリン(GA<sub>3</sub>又はGA<sub>4</sub>)及びポリエチレングリコール(PEG)6000溶液処理の効果を調査した. またホウレンソウ種子ではPEG処理の発芽促進効果とともに, 処理後の乾燥貯蔵の可能性を調査した.<br>1. セルリー種子は20°Cを越えると発芽率が低下した. 発芽促進剤としてはBAが有効で, GA<sub>4</sub>も効果があるが, GA<sub>3</sub>は無効であった.BAとGA<sub>4</sub>とを併用すると最も有効であった.<br>2. セルリー種子はPEG処理によって発芽速度が早まり, 又25及び30°Cでの発芽率が上昇した.<br>3. 処理期間は7日間でも大きな効果が見られたが, 14日間処理すれば効果は更に増大した.<br>4. 処理温度は, 種子ロットによって, 15°Cが好適な場合と, 20°Cが好適な場合とがあった.<br>5. PEG処理中に光線を与えることによって, 処理効果が増大した.<br>6. PEG溶液中にBAを加えることによって処理効果が増大した. しかしGA<sub>4</sub>を加えても効果の増大は見られなかった.<br>7. ホウレンソウ種子もPEG処理によって発芽速度が早まり, 30°Cでは発芽率も増大した.<br>8. ホウレンソウ種子をPEG処理後, 7日ないし14日間貯蔵した時, 発芽率の低下は見られず, 発芽速度の減少も僅少にとどまった.
著者
葛西 武雄
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
VIRUS (ISSN:18843425)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.175-186, 1951-10-10 (Released:2010-03-16)
参考文献数
98
被引用文献数
1