著者
松田完 西本一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.3571-3581, 2002-12

近年、効率的な企業経営や生産性向上を目指し、社内にある情報や知識を社内全体で活用する様々な取り組みが行われている。本論文では情報共有の場として、建物内の廊下やリフレッシュルームのような共有スペースでの出会いに着目し、そこで何らかの情報を必要としている者が他者に対し積極的に働きかけることによる、対面環境での情報共有を促進する手法を提案する。さらに提案手法に基づき、情報を求める人が、求めている情報を1つの建物に共存する特定多数の人々に対してアピールするシステム“HuNeAS(Human Network Activating System)”を作成し、その評価を行った。HuNeASは組織内の人々が利用する共用スペースに、求める情報を投影する大型ディスプレイを配置した空間となっている。求める情報を大型ディスプレイに投影し、それを共用スペースの利用者に見せることにより情報共有の促進を行う。このため、HuNeASでは部署や研究室などの既存の小規模コミュニティの枠を超えて、建物全体の人に対して情報を求めることができる。プロトタイプシステムを用いて6週間の試用実験を行い、約100名に対し4回のアンケート調査を行うなどによってシステムの評価を行った。この結果、HuNeASによって同期的な情報共有が促進されることが示唆された。また、情報の共有だけでなく、Human Networkの生成と強化の効果も確認され、組織におけるHuman Networkを活性化する効果もあることが示唆された。 : In this paper, we propose a new approach to support information sharing in an organization based on spontaneous encounters in the real world. We developed a system “HuNeAS”, Where a user appeal to other people who belong to an identical organization and who work together in one building to give information he/she requires. HuNeAS consists of “Danwa-no-mori” abd DIAS (Desired Information Appealing System). Danwa-no-mori is a shared space that is freely used by anyone to, for instance, take a rest. In addition, Danwa-no-mori is equipped with the large-sized displays that are a part of DIAS project someone’s required information that is a-priori input in DIAS. If another person who sees the displays information and if he/she has some useful information, he/she can give the information to the person who shows the required information. Thus, HuNeAS promotes information sharing among the people who encounter in Danwa-no-mori. We conducted experiments for evaluating the above-mentioned advantages of HuNeAS. As a result, we confirmed that HuNeAS can promote the information sharing based on the people’s spontaneous encountering. Additionally, it is suggested HuNeAS promotes to create and to activate human-network.
著者
西本 一志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.68, pp.25-32, 2007-07-06
参考文献数
11
被引用文献数
2

本稿では,筆者がこれまでに開発してきた「○○のための楽器」シリーズの第4弾となる,弾き語りのための楽器について述べる.弾き語りとは,一人の演奏者が何らかの楽器を自ら演奏しつつ歌を歌う音楽演奏形態である.一般にピアノやギターを使用することが多いが,ピアノやギターをそれ単独で演奏することすら難しいため,さらに同時に歌唱も行うことは非常に困難で敷居が高い.そこで筆者は,弾き語りにおける本質的演奏行為により集中することを可能とする弾き語りのための楽器を構築した.本稿ではこの楽器の構成について述べるとともに,筆者が実現を目指している「創造活動のためのユニバーサルな道具」について,この楽器を材料として議論する.This paper illustrates a musical instrument for a singer who accompanies him-/herself. It is usually difficult for most people to play a musical instrument, e.g., a piano and a guitar. Therefore, it is extremely difficult for them to sing a song while they accompany themselves using such musical instruments. I constructed a new musical instrument that is available for musical performances in this style by allowing people to concentrate on essential tasks in the performances in this style. This paper describes a setup of this instrument. Furthermore, I discuss "how universal tools for creative activities ought to be" referring to this instrument.
著者
平賀 瑠美 大島 千佳 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.48, pp.33-38, 2003-05-16
参考文献数
10
被引用文献数
1

演奏生成システムの評価方法の確立を目指すワークショップ ``Rencon'' (Performance Rendering Contest) が2002 年より始まった.演奏生成システムは楽譜や人間の演奏を参考に,生成すべき楽曲の楽譜情報やその構造についての情報を入力として,表情のある演奏を生成するソフトウェアシステムである.一般に演奏は主観により判断されてきたため,演奏生成システムの評価をその出力から行うことは困難である一方,論文のみでシステムを評価することは技術面での優秀さしか知ることができない.また,演奏生成システムの研究には情報科学のみならず,音楽学,心理学,認知科学といった幅広い分野の研究者の共同作業が必要となる.そこで,Rencon は,演奏生成システムの評価の確立とともに,多くの関連分野の研究者が意見を交換し合う場としての意味も持ち得る.本稿では,2002年のRenconに主催者,発表者,参加者として関わった3名がそれぞれの立場および異なる研究背景から2002年のRencon から得た教訓,感想,提案について述べる.``Rencon'' (Performance Rendering Contest) has started from 2002 as a workshop to establish evaluation methods for performance rendering systems. Expressive performance is rendered by a software system with the data of musical scores and corresponding performances and their musical structures as well, as input. Performance has been considered to include subjective matters so that it is not possible to evaluate such a system only from technical papers. Rencon also has the meaning as a forum for researchers of various areas --computer science, musicology, psychology, and perception-- to meet and discuss on their interests in musical performance. In this paper, three authors, who participated two Rencons in 2002 as a steering member, a paper speaker and music entrant, and a participant, describe each of their opinions from different relationships with Rencon and research backgrounds.
著者
魏 建寧 小倉 加奈代 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.10, pp.1-7, 2013-03-06

漢字圏の文字入力システムでは,主に読み方から漢字へ変換する方式が採用されている.このため,使用者が漢字入力システムに過度に依存すると,漢字の字形を正確に把握できず,結果として手書きで漢字を書くことができない人が増加するという問題が生じている.本稿では,読み方から漢字へ変換する入力方式を対象として,一部の文字を不正な字形の漢字に差し替えることによって,強制的に使用者に漢字字形を確認させ,漢字形状記憶の損失を防ぐ漢字入力方式を提案し,その有効性を検証する.The Chinese character input method is different from that of segmental script like English. The main of that we use is the method converts pronounce into character. Since we overly depend on this system, it causes the problem of forgetting or the wrong memory of the exact shape of a Chinese character. As a result, people who cannot write Chinese characters correctly are increasing. In this study, we focus on the input method of converting pronounce into character and insert some incorrect characters to compel a user to confirm the shape of the characters. We investigate the effect of the prevention from forgetting the exact shape of a Chinese character.
著者
西本 一志 魏 建寧
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.1207-1216, 2016-04-15

近年,日本や中国において,漢字を読むことはできるが書くことができないという,いわゆる漢字健忘 (Character Amnesia) が問題となっている.その原因として,漢字の読みを入力して漢字に変換する漢字入力方式が広く使われるようになったことが一般に指摘されている.その他の漢字入力方式として,特に中国において,部首やストロークなどの漢字を構成する形状的要素の組み合わせを入力する方式が多数研究開発されている.しかしながらこのような方式は,漢字形状を熟知しているユーザにしか使用できないため,すでに漢字健忘に陥っているユーザには使用できず,また漢字健忘の問題をこの入力方式を使用することによって解決することもできない.本論文では,最も普及している漢字の読みを入力する方式を基盤として,漢字健忘の問題を解決する機能を有する新規な漢字入力方式 G-IM を提案する.G-IMは,従来の漢字入力方式とは異なり,ときどき漢字の形状に誤りがある漢字を出力する.これにより,ユーザは常に漢字形状に注意を払うことを強いられるため,漢字形状記憶が強化されることが期待される.ユーザスタディを実施した結果,G-IMは,従来の読みに基づく漢字入力方式や手書きよりも,有意に漢字形状記憶を強化することが確認された.
著者
松本 遥子 山内 賢幸 小倉 加奈代 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.8, pp.1-8, 2009-07-09
参考文献数
4
被引用文献数
1

本稿では,それぞれに流速が異なる複数の時間流を持つチャットシステムを提案し,その初期的な試用結果について報告する.時間には,一方向に一定速度で流れる物理的なクロノス時間と,流速が一定ではない主観的で心理的なカイロス時間の 2 種類がある.従来のチャットシステムはクロノス時間のみを採り入れていたが,本研究ではカイロス時間も取り込み,人の忘却作用による議論内容の自動的な精練と類似した機能を有する,新たなチャットシステムを構築する.冗談などの議論の本筋とは関係ない逸脱発言は高速に時間が経過する時間流上で発言し,議論の本筋と密接に関連する発言は低速に時間が経過する時間流上で発言する.これにより,タイムリーかつ気軽に逸脱発言を発言でき,しかもこれらの逸脱発言はすみやかに現在のログのビュー内から消えるため,議論の本筋に沿った発言の可読性が向上する.初期的な試用実験の結果,ユーザは流速の違いを自然に受け入れ,速い時間流上で逸脱発言をしつつ,遅い時間流上で議論の本筋に沿った発言をなし,期待通りに精練された議論ログが得られることが示された.We propose a novel chat system that has multiple streams of time whose velocities are different, and demonstrate a pilot study and its results. It is said that there are two types of time: Chronos time and Kairos time. Chronos time is physical time that passes monotonically and constantly, while Kairos time is psychological time whose speed changes. Although the ordinary chat systems have been based only on Chronos time, we attempt to incorporate Kairos time into the chat system so as to obtain an automatic refinement function of records of a discussion deriving from a human's forgetting ability. A user submits a digression like a joke on a fast stream of time, while he/she submits an important opinion on a slow one. The utterances on the fast stream quickly go out from the view of the chat log (forgotten), while those on the slow stream remain within the view for a while. As a result, he/she can casually and timely express any tiny questions and jokes, and the readability of the log of the main topic is improved. From results of a pilot study, we found that users naturally accepted the multiple different streams of time. They submitted digressions on the fast stream, while they submitted the important opinions on the slow stream. As a result, a refined chat log can be obtained as expected.
著者
西本 一志
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

工学研究は,人々の生活を便利にする技術の実現を目的として推進されてきた.しかしながら,過剰で近視眼的な便利さの追求の結果,副作用として各種の問題が生じてきている.この1つの解決策として,筆者らは,妨害的要素をあえて導入することによって,人による人間的な営みに対して,異なる視点,あるいは高次の視点から見た場合にプラスの影響をもたらそうというメディア・デザインの考え方を提唱している.本研究成果報告書では,我々自身の研究事例に基づき構築した,妨害による支援システムのデザイン方法論について述べる.併せて,この考え方に基づき新たに開発した2つの語学学習支援システムの概略を示す.
著者
才記 駿平 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2016-HCI-167, no.1, pp.1-8, 2016-03-01

プレゼンテーションを行う上で重要な要素として,聴衆の興味を引くプレゼンテーションスライドを作成する,というものがある.近年ではスライド中に面白い画像を配置しておくことによって,聴衆の笑いを誘う方法が使用される.しかし,プレゼンテーションに関係のある面白い画像を探す際には,様々なキーワードを用いて,試行錯誤しながら画像検索を行わなければならず,非常に手間がかかる.本研究では,スライド作成者が手軽に面白い画像を探し出せるようにするため,画像検索を行う際のキーワードの発想支援として 「謎かけ」 をもとにした多段階単語連想法を検討し,これを用いたプレゼンテーション用おもしろ画像検索支援システムを提案する.評価実験の結果,謎かけを元にした単語連想を用いることで,通常スライド作成者が行うキーワードの変換を支援することができる可能性が示唆された.また,プレゼンテーション用おもしろ画像検索支援システムによって,通常の画像検索ではすぐに得られないような画像をユーザーに提示することが可能となった.この結果,システム使用者がプレゼンテーション用の画像を検索する手間を減らすことができる可能性が示唆された.: Making catchy presentation slides is one of the important points of giving a presentation. Recently people often use funny images in presentation slides for this purpose. However, it is very complicated to find suitable funny images because it requires a lot of try-and-errors using various keywords. In this paper, we propose a “Nazokake” based multistage word association tool that supports generating keywords to retrieve suitable funny images. We conducted user studies and obtained possibilities that the proposed tool is effective to retrieve funny images.
著者
岩本 拓也 小倉 加奈代 西本 一志
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2012-UBI-36, no.16, pp.1-8, 2012-10-25

恋人間の愛着行動 (いわゆる 「いちゃいちゃ」) は,幸福感を得るためや相手との関係をより良いものにするために重要な行為である.恋人達の多くは,常に愛着行動をとりたいと願っている.しかしながら公共空間では,目の前にパートナーがいるにもかかわらず愛着行動を行うことができない.従来の恋愛支援技術の研究は,遠距離恋愛者を対象に研究開発が進められてきたが,近距離恋愛者に対しても支援すべき課題が残されていると考える.そこで我々は,公共空間内での対面状況において,周囲に不快感を与えることなく愛着行動を行えるメディアの研究開発を進めている.本稿では,このメディアの実現に向け,どのような種類の行動を伝え合うことが有効かに関する基礎的検証を行う.
著者
山内 賢幸 坊農 真弓 相原 健郎 西本 一志
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2010-HCI-137, no.10, pp.1-8, 2010-03-12

学会の懇親会や結婚式の披露宴などの立食形式パーティーで会話の輪から孤立している人がいる. この会話の輪に入ることが出来ていない状態の人を「孤立者」と呼ぶ.本研究では立食形式パーティーの映像を使いハンドアノテーションを行う.そしてそこから得られたアノテーションデータを用いて孤立者の検出を行う.今回提案する検出手法は会話集団を見つけ,それ以外の人を孤立者とする方法である.人が映像を見て直感的に孤立者と判断したデータと提案手法で得られた結果との比較を行い,どれだけ孤立者が検出できたのかを明らかにする.またその結果から今後の課題についても検討を行う.
著者
大島 千佳 中山 功一 伊藤 直樹 西本 一志 安田 清 細井 尚人 奥村 浩 堀川 悦夫
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.1, pp.1-6, 2013-08-24

シンセサイザのボコーダの機能を利用し,発声をリアルタイムに長調や短調の音楽に変換することによる,気分の変化について調べた.音楽はさらに MusiCuddleというシステムを利用し,ユーザの発声と同じ音高から開始された.実験の結果,気分の変化に関して,短調と長調の和声フレーズの条件の間で,「陽気な」 「悲観した」 に差異が認められた.ここから,憂鬱な気分であっても,自分の発声が強制的に楽しい気分を誘う音楽に変換されると,気分が楽しくなることが示唆された.
著者
小倉 加奈代 田中 唯太 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2012-HCI-148, no.20, pp.1-8, 2012-05-25

本稿では,大皿料理のように,共食者が料理を共有する共食場面において,しばしば見られる「遠慮のかたまり」という状況がどのような状況かを明らかにすべく,大皿上の料理の残量が最後の一個,最後の一口に近づくにつれ,食事をしている人々の取り分け行動にどのような特徴,変化がみられるのかに着目した分析,考察を行った.その結果,食事開始中盤から終了前にかけて,取り分け行動の停滞,停止が起こり,その停滞,停止直後に起こった取り分け行動が短い間隔で 2,3 度連続して起こることがわかった.この,停滞→取り分け行動の活発化という流れが「遠慮のかたまり」につながる最後の一個に向けての準備行動である可能性があることがわかった. : In this paper, we try to analyze serving food to reveal a situation of “the last on piece of food”. When we analyzed video data of table talks with some platters, we focused on serving food for each platter and for dining table. As a result, we confirmed situations of suspending serving foods from middle stage to end often occurred. In addition, we found after suspending serving food, serving food occurred continuously for short time span. A series of suspending and activating serving food is important for us to handle a situation of “the last one piece of food”.
著者
大島 千佳 宮川 洋平 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.103, pp.69-74, 2001-10-26
被引用文献数
10

ピアノレッスンでは、先生は言葉で説明したり、歌って聞かせたりといった間接的な手がかりを用いて指導を行う。先生による模範演奏は大事な手がかりの一つであるが、生徒の勉強する曲が技巧的に難しくなると、先生によってはたとえ過去に弾いた曲でも練習をせずに弾くことができない。そのような状況でも先生は、その作品を演奏表現するための知は備えている。そこで本稿では、技巧的な難しさや譜読みのおぼつかなさからくる、音の間違えやミスタッチを気にせずに、表情付けに専念できるピアノとして、Coloring-in Piano を提案する。ノーマルのピアノで弾いた場合の演奏と比較するために、演奏者が練習を積んでいる曲で評価実験とMIDIデータの分析を行ったところ、有意な差が認められなかった。一方練習していない技巧的な曲を通常のピアノとColoring-in Piano で演奏比較したところ、Coloring-in Piano ではミスが激減しただけでなく、演奏者のイメージに近い演奏ができた。In a piano lesson, a teacher teaches a way of performance by indicating some indirect cues, e.g., metaphors and singing. A model performance is one of the important cues. Meanwhile, it is difficult for the teacher to perform a very technical piece without enough practices, even if he/she had formerly performed it. Howerer, the teacher retains his/her knowledge for preforming the piece. Accordingly, we propose "Coloring-in Piano" that is a piano lesson supporting system. It allows the teacher to concentrate on expressions without paying attention not to play a wrong note. We conducted experiments to subjectively evaluate the performances and analyzed them. As a result, we could not find significant difference between the performances played by the nomal piano and Coloring-in Piano. Moreover, Coloring-in Piano can facilitate to perform even a unpracticed piece to his/her satisfaction.
著者
西 康太郎 西本 一志
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-162, no.17, pp.1-8, 2015-03-06

本稿では,ハッカソンチームの協調活動のパフォーマンス向上に役立てるために,「成果物イメージ共有を兼ねたプロトタイプ Ver.0 作成機能」 および 「作業進捗共有を兼ねた画面共有機能」 から構成される支援システム 「HackathonMediator」 を提案する.本システムを実際のハッカソンに導入し,参加メンバーに対して実施した行動観祭およびインタビューによる評価の結果を報告する.
著者
伊藤 直樹 西本 一志
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.4, pp.965-977, 2013-04-01

計算機を用いた音楽制作におけるMIDIファイル作成法の一つに鼻歌入力法(Voice-to-MIDI)がある.しかし既存システムでは1音ごとの区切りがうまくいかないことによって,出力されたMIDIファイルに欠落音や余剰音の発生,音高の誤判定などの変換精度低下が起こる.この問題に対して,幾つかのシステムでは,歌詞を全て「タ」に置き換える「タタタ歌唱」をさせることで音区切りの精度向上を図っている.しかし,歌詞先作曲のように歌詞歌唱によって,歌詞のイントネーションをメロディづくりに活用したい場合には不向きである.そこで我々は,Voice-to-MIDIの音数・音高判定精度の向上のために,歌唱と同時にタップをすることによってメロディリズムの区切りを入力する,人間と計算機の協調的な音数・音高判定手法を提案する.本手法と,タタタ歌唱を前提としない,自由歌唱可能な既存システム3種類を比較した結果,欠落する音や不要な音の発生が抑制され,音数及び音高判定精度が向上することを確認した.また,楽器経験の有無がタップに影響しないこと,そしてタップの有無は歌唱に影響しないことを示す.
著者
西本 一志
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

近年,ピアノレッスンに連弾が採り入れられ,生徒の練習意欲向や,パートナーと呼吸を合わせることによる音楽性の育成に効果が認められている.しかし子どもが,家庭内で演奏経験の乏しい家族と連弾を行うことは難しい.本研究では,演奏初心者の親が初学者の子どもと容易にピアノ連弾できるようにするシステム"Family Ensemble"を構築した.このシステムは,子どもの親が担当する連弾のパートを,正確な音高列を出力する機能と,子供の演奏位置を追跡する機能により支援することで,全くの初心者の親が,演奏誤りの多い初学者の子どもとでも連弾できるようにしたものである.技術的な核は,従来から自動伴奏システム研究で扱われている,余分な音の挿入,音高の誤り,音の脱落,という3種の誤りのほかに,突然前の部分に大きく戻って弾き直すという子供特有の誤りに対応できるロバストな演奏位置追跡機能を実現した点である.被験者実験により,全くの初心者と初学者によるピアノ連弾が可能になることのみならず,子どもの練習意欲が増すことが示された.さらに,初心者と初学者のペアでありながら,お互いに音楽的なアイデアや演奏技術について意見をかわしている様子が見られた,さらに,演奏停止時に停止箇所を楽譜上で見いだすと共に,その停止箇所以前に誤りがあったか無かったかを判定できるようにした.そのうえで,誤りがあった場合は停止箇所までのフレーズの模範演奏映像を提示し,誤りが無かった場合は停止箇所以降のフレーズの模範演奏映像を提示するシステムを考案・実装した.また,「離鍵」動作に注目した音楽表現の構築プロセスの分析研究,歌唱と並行して行うリズムタッピングにより音の区切り情報を入力する「歌唱による音楽データ入力手法」を考案し,評価を行った.以上を通じて,初心者の音楽演奏学習を総合的に支援するための基盤技術を確立した.
著者
藤本 貴之 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.100, pp.47-52, 2002-10-25
被引用文献数
1

本論文では、単調な選曲作業に陥りがちなDJという演奏様式に対し、DJ機器をソフトウェア化し、利用音源をレコードやCDからデータとすることで、DJのオリジナリティを発揮させ、ひいてはそのクリエイテビティをも支援するシステムについて論じ、そのプロトタイプを紹介する.また、単に既存のハード機器をソフトウェア化するのではなく、ツールをソフトウェア化することや音源をデータ化することの意味についても検討し、データとソフトウェアと言う形式において強化拡張されるDJのクリエイティビティについても提案する.This paper describes a system that augments creativity of a DJ(DiscJockey) who tends a mere "song selector".We introduce a prototype system that is not a simple replacement for the ordinary hardware-DJ-system by software. We illustrate meanings of implementation of the DJ-system as software, not as hardware. Additionary, we also discuss how the combination of the software-DJ-system and digital music data can augment the DJ's creativity.
著者
王 曦虹 小林 智也 小倉 加奈代 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2012論文集 (情報処理学会シンポジウムシリーズ) (ISSN:13440640)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.3, pp.481-486, 2012-03-16

近年Q&Aサイトの利用者が増加している.Q&Aサイトの質問は情報検索型と社会調査型に大別される.このうち社会調査型質問には客観的な正解はなく,特定の個人あるいは集団に対してアンケート調査を行うことで回答を得る.このため,質問者は回答の信頼性を判断しにくいという問題点がある.本稿では,質問者が回答の信頼性を判断するための補助材料として,回答者の質問・回答履歴から,今回答しようとしている質問と類似した質問とそれへの回答を抽出し,これを質問者に提示する.これによって,質問者が回答者の態度や価値観を推測可能とする手法を提案する.Yahoo! 知恵袋のデータを用いてシステムの初期的評価を行い,一定の有用性を確認した. : Recently, Q&A sites have been widely used. Questions of the Q&A sites can be classified into two types: an information-seeking type and a social-survey type. Since there are no objectively correct answers for the social-survey type questions, questionnaires are usually used to obtain answers from responders. However, it is difficult for a questioner to judge credibility of the answers. For supporting the judgment, we extract questions similar to the questioner’s question from the responders’ histories of questions and answers as well as answers to the extracted questions. By providing them to the questioner, it is expected that the questioner becomes able to infer each responder’s attitude and sense of values. We conducted pilot studies using Yahoo! Chiebukuro data and confirmed basic efficiency of the proposed method.
著者
宮下 芳明 西本 一志
出版者
映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.29, no.30, pp.17-20, 2005-05-30

本研究では「楽譜」が単なる情報記録にとどまらない作用を演奏者に及ぼすものであると考え、その効果を高めるひとつの拡張例として「動的な楽譜」を製作し、実際に解釈し演奏してもらうことを試みた。その結果、フレーズの創造という領域まで踏み込み、解釈幅の自由度は増えているものの、分析や解釈の議論においては五線譜とほぼ同様なプロセスがとられた。また実際の演奏からは、静的な楽譜と比較してより強く時間的な制約をかけるメディアであることが観察された。 : In this paper, we developed a moving graphic score as non-static musical score, and verified them practically on stage. As a result of analyzing the process of planning for playing it by performers, we found that they passed almost the same process as staff notation, though the interpretation was more flexible. From that point, we concluded the effectiveness and possibilities for developing such expanded scores to lead musical performers to new musical expressions.