著者
中山 功一 乗冨 喜子 大島 千佳
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

筆者らは,ユーザの「好み」を理解し,学習するコンピュータを目指している. 本研究では,ユーザの「好み」の例として,「顔」の好みを分析する. 擬人化された人の顔を持つアニメーやエージェントではなく,人間の顔写真を用いる. 「顔」に関するユーザの好みの分析から,好みの顔の作成方法とその利活用について議論する.
著者
大島 千佳 西本 一志 阿部 明典
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.1546-1557, 2006-05-15

以前より演奏表現に関しての研究が行われ,最近ではコンピュータに自動的に人間らしい演奏をさせる研究が行われている.これらの研究では,主に各音の音量や音長をもとに演奏表現を議論してきた.しかし,音楽演奏では「音の切れ方」も表現の一要素として重要である.ピアノ演奏の場合,音の切れ方は「離鍵速度(下におりた鍵盤が元の位置に戻る速さ)」によって表現され,Musical Instrument Digital Interface(MIDI)では,“Note off velocity” として数値的に示される.したがって本論文では,音楽情報科学分野における演奏分析や演奏生成の研究に利用可能な,知識表現を求めるための基礎的な段階として,ピアノの演奏表現における離鍵速度の重要性を示した.まず,音響スペクトログラムと聴取による評価実験により,離鍵速度の変化が演奏表現に影響を与えることが分かった.次に,演奏データを分析したところ,ところどころで際立って離鍵速度が遅い箇所があり,これらの箇所は楽譜上の情報と関係していることが示唆された.さらに度数分布を求めて打鍵速度の特性と比較することで,離鍵速度に示される奏者の知識表現を求めるには,離鍵速度が際立って遅い箇所や速い箇所に注目する必要があることが示された.
著者
大島 千佳 西本 一志 宮川 洋平 白崎 隆史
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.1778-1790, 2003-07-15
参考文献数
15
被引用文献数
10

本論文では,楽器の演奏経験が乏しい人でも容易にMIDIシーケンスデータを作成することができ,しかも従来の楽器と比べて遜色ない音楽表情づけのポテンシャルを持ち合わせるMIDIシーケンスデータ作成システムを提案する.近年の計算機の普及にともない,DTMシステムが多数開発され,誰でも音楽演奏に挑戦することができるようになった.しかし,MIDI楽器で通常に演奏してMIDIシーケンスデータを作成する方法では,楽器の演奏経験が乏しい人に多大な負担がかかる.また,音楽要素を個別に,端末を使って数値的に入力する方法では,質の高い音楽表情を担う各要素の微妙な調整や,音楽要素間の相互的な関係を考慮して操作をすることは困難である.そこで,入力を2段階に分けて,1段階目に端末かMIDI楽器で音高データのみの入力を行い,2段階目に音楽表情に関する要素を統合して入力する「2段階式作成方法」を提案する.38名の被験者に現在主流の2通りの入力方法と,提案した入力方法の3通りにより演奏データを作成してもらったところ,童謡とクラシック作品では「2段階式作成方法」が従来の方法よりも短時間で容易に入力ができ,作成された演奏データに満足がいくことが示された.また,ピアノ熟達者が従来の方法のうち,MIDI楽器を演奏して入力する「リアルタイム入力」と「2段階式作成方法」の2通りで,十分練習をしてから演奏データ作成を行い,20名の被験者に聴いてもらったところ,「2段階式作成方法」で作成された演奏データの音楽表情は,リアルタイム入力で作成されたものと比べて,遜色ないことが確かめられた.In this paper, we propose a method that allows people who are not goodat playing musical instruments to construct performance data with richmusical expression. Recently, everybody becomes able to tackle withperforming music by a MIDI system. There are two methods for composingMIDI sequence data, i.e., by normally playing the MIDI instruments andby separately inputting musical elements as numerical values. However,it is very difficult for inexperienced people to input correct notenumber with normally playing the MIDI instruments. On the other hand,it is also difficult for people to achieve rich expression bybalancing all of the musical elements, by inputting them as numericalvalue separately. Consequently, we propose ``a two-phase inputmethod''. In the first step, the user inputs only sequence of notenumber that she/he wants to perform by using MIDI instruments orkeyboard of a personal computer without considering musicalexpression. In the second step, she/he plays the MIDI keyboard toinput musical expression by integrated control of the expressivemusical elements. We conducted two experiments for examining theeffectiveness of the two-phase input method. These results show that itis easier for inexperienced user to compose the MIDI sequencedata with the two-phase input method than the conventionalmethods. Moreover, the musical quality of the MIDI sequence datacomposed by the two-phase input method was not inferior to thatcomposed by normal performance with using a MIDI keyboard.
著者
大島千佳 西本一志 宮川洋平 白崎隆史
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.1778-1790, 2003-07

本論文では、楽器の演奏経験が乏しい人でも容易にMIDIシーケンスデータを作成することができ、しかも従来の楽器と比べて遜色ない音楽表情づけのポテンシャルを持ち合わせるMIDIシーケンスデータ作成システムを提案する。近年の計算機の普及にともない、DTMシステムが多数開発され、誰でも音楽演奏に挑戦することができるようになった。しかし、MIDI楽器で通常に演奏してMIDIシーケンスデータを作成する方法では、楽器の演奏経験が乏しい人に多大な負担がかかる。また、音楽要素を個別に、端末を使って数値的に入力する方法では、質の高い音楽表情を担う各要素の微妙な調整や、音楽要素間の相互的な関係を考慮して操作することは困難である。そこで、入力を2段階に分けて、1段階目に端末かMIDI楽器で音高データのみの入力を行い、2段階目に音楽表情に関する要素を統合して入力する「2段階式作成方法」を提案する。38名の被験者に現在主流の2通りの入力方法と、提案した入力方法の3通りにより演奏データを作成してもらったところ、童謡とクラシック作品では「2段階式作成方法」が従来の方法よりも短時間で容易に入力ができ、作成された演奏データに満足がいくことが示された。また、ピアノ熟達者が従来の方法のうち、MIDI楽器を演奏して入力する「リアルタイム入力」と「2段階式作成方法」の2通りで、十分練習をしてから演奏データ作成を行い、20名の被験者に聞いてもらったところ、「2段階式作成方法」で作成された演奏データの音楽表情は、リアルタイム入力で作成されたものと比べて、遜色ないことが確かめられた。 : In this paper, we propose a method that allows people who are not good at playing musical instruments to construct performance date with rich musical expression. Recently, everybody becomes able to tackle with performing music by a MIDI system. There are two methods for composing MIDI sequence date, i.e., by normally playing the MIDI instruments and by separately inputting musical elements as numerical values. However, it is very difficult for inexperienced people to input correct note number with normally playing the MIDI instruments. On the other hand, it is also difficult for people to achieve rich expression by balancing all of the musical elements, by inputting them as numerical value separately. Consequently, we propose “ a two-phase input method”. In the first step, the user inputs only sequence of note number that she/he wants to perform by using MIDI instruments or Keyboard of a personal computer without considering musical expression. In the second step, she/he plays the MIDI keyboard to input musical expression by integrated control of the expressive musical elements. We conducted two experiments for examining the effectiveness of the two-phase input method. These results show that it is easier for inexperienced user to compose the MIDI sequence data with the two-phase input method than the conventional methods. Moreover, the musical quality of the MIDI sequence data composed by the two-phase input method was not inferior to that composed by normal performance with using a MIDI keyboard.
著者
町島 希美絵 坂本 麻衣子 大島 千佳 北島 かおり 東内 順子 木場 勉 郷原 るみ 佐藤 鮎美 中山 功一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.678-691, 2017-12-15

目的:「健康マージャン教室」に参加した健常な高齢者を対象に,健康マージャン教室が認知機能に与える効果を明らかにする。 対象と方法:対象者は89名(平均年齢72.0歳,標準偏差6.5歳)で,教室に週1回,合計20回参加した。教室開始時(Pre)と終了時(Post)でMini Mental State Examination(MMSE),Frontal Assessment Battery at Bedside(FAB),Trail Making Test(TMT)Part A and Part BとGeriatric Depression Scale(GDS)短縮版を測定した。Pre-MMSEの合計点を基準に比較的低い群(MMSE26点以下:A群)と高い群(MMSE27点以上:B群)に分けた。Pre-Post比較ではWilcoxonの符号付き順位検定を行ない,群間比較では,群間に有意差のあった年齢と教育年数を調整する目的で多変量共分散分析を行なった。教室終了時には,日常生活における変化を質問紙で調査した。 結果:Pre-Post比較では,特にA群でMMSEの「計算(p<0.01)」と「合計点(p<0.05)」,TMT-A(p<0.05),GDS(p<0.05)で有意差がみられた。質問紙への回答では,「生活の充実感」「チャレンジ意欲」等の各項目において有意差があり,さらに友人や地域交流への意欲がみられた。 結論:検査結果から,健康マージャン教室による認知機能の活性化が示唆された。さらに,新たな人間関係の形成や日常生活での活動意欲にも影響を与えたと考えられた。
著者
佐々木 千尋 大島 千佳 梶原 薪 中山 功一
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2020-HCI-187, no.29, pp.1-8, 2020-03-09

集団での議論による意思決定を円滑かつ適切に行うための有効な手段としてファシリテータの活用がある.本研究ではファシリテータ機能の一部分の再現を目的として “Discussion Board System” を開発し,議論参加者の意思をリアルタイムで把握し円滑にサポートすることを試みた.議論全体の進捗と参加者の個別意識による行動を比較し,最終合意への影響を観察した結果,これまで暗黙の了解のうちに隠れていた沈黙する否定者の意思をくみ取れる可能性が見られた.意思決定に多様な価値観と背景を取り入れる必要が高まる中で,人ではなくシステムがサポートすることの意義を検証した.
著者
大島 千佳 西本 一志 鈴木 雅実
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.157-171, 2005-01-15

本論文では,演奏初心者の親が,初級者の子どもと容易にピアノ連弾できるようにするシステム“Family Ensemble” を提案する.近年,ピアノ・レッスンに連弾が取り入れられ,連弾を通じて生徒の練習意欲が高まったという報告がある.さらに連弾には,パートナーと呼吸を合わせることで,音楽性を育てるという効果がある.しかし子どもが,家庭内で演奏経験の乏しい家族と連弾を行うことは難しい.そこで,本研究で提案するFamily Ensemble では,子どもの親が担当する連弾のパートを,正確な音高列を出力する機能と,子供の演奏位置を追従する機能により支援することで,まったくの初心者の親が,演奏誤りの多い初級者の子どもとでも連弾できるようにした.Family Ensemble を使用する場合としない場合の両方について,合同練習を5 組の被験者ペアに行ってもらったところ,使用した合同練習では,連弾の回数とFamily Ensemble に支援されていない子供の独奏による練習回数が大幅に増加した.この結果から,Family Ensemble によりまったくの初心者と初級者によるピアノ連弾が可能になることだけでなく,支援されていない子どもの練習意欲が増すことが示された.さらに,初心者と初級者のペアでありながら,お互いに音楽的なアイデアや演奏技術について意見をかわしている様子が見られた.
著者
西ノ平 志子 松井 博和 大島 千佳 中山 功一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.388-400, 2022-02-15

本論文では,上肢に障害がある人でも,すぐにギターを演奏したい気持ちを叶える支援装置“F-Ready”を提案した.対象者は,脳梗塞や脳性まひなどの脳神経系疾患による上肢の動作に困難がある重度障害者である.対象者のギターを演奏したいというモチベーションを維持するために,「すぐに演奏できる」「演奏している実感がある」に通ずる演奏動作に着目した.その演奏動作を実現するために鍵となる動きは,片方の手でギターネックに沿い手を動かし弦を押す動作と,もう片方の手で弦を弾く動作の協調動作である.対象者の上肢機能を考慮して,F-Readyはギターネックに沿い手を動かし弦を押す動作を支援する.本論文では,11人の対象者がF-Readyを搭載したギターを弾くことに挑戦した.9人の対象者はすぐにギターを演奏できた.さらに「ギターを演奏している実感がある」との回答を得た.次に別の対象者1人が,F-Readyを搭載したギターで1年間練習した.練習開始から5週間後には約1分間の曲を演奏できるようになった.続けて1年後には,4分以上の曲を演奏できるようになった.理学療法士は,対象者が楽器の練習により両上肢を運動する機会が得られ,通常のリハビリテーション以外で持久力と上肢の制御が改善されることを認めた.
著者
大島 千佳
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 = Journal of Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, 2005-01-01

本研究は,クラシック音楽に見られるような「再現演奏」を行う奏者が,作品に対する内的感動をより良く表現できるようにすることを目的とする.まずピアノレッスンのケーススタディを行い,生徒の演奏データ(MIDIデータ)を生徒のブラインドによる主観評価と照らし合わせた分析を試みた.その結果,主観評価では明示されていない生徒の音楽的理解度や技術習得上の問題点を推定することができた.次に,MIDIシーケンスデータの「2段階式作成システム」を構築し,音楽表情に関わらない「音高の再現」をシステムが直接に支援することで,音楽表情の表出を間接的に支援できることを示した.さらに,このシステムを応用して誰でもすぐにピアノ連弾ができる「Family Ensemble」を提案した.また,複数の奏者による演奏構築支援を目的に,ピアノ連弾の練習中の対話で使用された「楽器奏」の機能を基盤化の理論を用いて分析した.本論文では,奏者に対しての何らかの支援を目的としているが,音楽表情を高めることを阻害するような行き過ぎた支援を行わないように特に配慮している.そのためには「音楽」を知るとともに,多くの分野の学問を結集させることが必要であった.このように本論文は,各分野の知識を結集した知識科学的なアプローチによって,演奏構築における音楽表情の形成過程の解明と支援に取り組んだ最初の試みとして位置づけられよう.
著者
大島千佳 中山功一 伊藤直樹 西本一志 安田清 細井尚人 奥村浩 堀川悦夫
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.1, pp.1-6, 2013-08-24

シンセサイザのボコーダの機能を利用し,発声をリアルタイムに長調や短調の音楽に変換することによる,気分の変化について調べた.音楽はさらに MusiCuddle というシステムを利用し,ユーザの発声と同じ音高から開始された.実験の結果,気分の変化に関して,短調と長調の和声フレーズの条件の間で,「陽気な」 「悲観した」 に差異が認められた.ここから,憂鬱な気分であっても,自分の発声が強制的に楽しい気分を誘う音楽に変換されると,気分が楽しくなることが示唆された.
著者
大島 千佳 中山 功一 安藤 広志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.265-276, 2010-02-15

本研究は,市販の香料で遠隔地の景色の画像の臨場感を高めることを目的とする.本論文では,以下に示す4つの香りの特性を利用し,それぞれの特性から,ある特定のContentsを含む画像の臨場感を高める度合いが推定できるかどうか議論した.(1) 色特性:香りと色との関連,(2) 名詞特性:香りから想起される物の名前,(3) 形容詞特性:香りの印象を表現する形容詞,(4) 化学成分特性:香料に含まれる化学成分.実験では,Contentsが木である16種類の画像を用いて,被験者に20種類の各香料の臨場感を高める度合いを評価してもらった.次に各香料から想起される物の名前を記述してもらい,さらに香料の印象を形容詞対により表現してもらった.これらの結果から,臨場感を高める香料の推定は,(1) 色特性からは困難であり,(2) 名詞特性と(4) 化学成分特性からは限定された一部の香料にのみ可能であったが,(3) 形容詞特性からは臨場感を高めるすべての香料を推定できる可能性が示された.
著者
大島千佳 中山功一 伊藤直樹 西本一志 安田清 細井尚人 奥村浩 堀川悦夫
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-6, 2013-08-24

シンセサイザのボコーダの機能を利用し,発声をリアルタイムに長調や短調の音楽に変換することによる,気分の変化について調べた.音楽はさらに MusiCuddle というシステムを利用し,ユーザの発声と同じ音高から開始された.実験の結果,気分の変化に関して,短調と長調の和声フレーズの条件の間で,「陽気な」 「悲観した」 に差異が認められた.ここから,憂鬱な気分であっても,自分の発声が強制的に楽しい気分を誘う音楽に変換されると,気分が楽しくなることが示唆された.
著者
平賀 瑠美 大島 千佳 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.48, pp.33-38, 2003-05-16
参考文献数
10
被引用文献数
1

演奏生成システムの評価方法の確立を目指すワークショップ ``Rencon'' (Performance Rendering Contest) が2002 年より始まった.演奏生成システムは楽譜や人間の演奏を参考に,生成すべき楽曲の楽譜情報やその構造についての情報を入力として,表情のある演奏を生成するソフトウェアシステムである.一般に演奏は主観により判断されてきたため,演奏生成システムの評価をその出力から行うことは困難である一方,論文のみでシステムを評価することは技術面での優秀さしか知ることができない.また,演奏生成システムの研究には情報科学のみならず,音楽学,心理学,認知科学といった幅広い分野の研究者の共同作業が必要となる.そこで,Rencon は,演奏生成システムの評価の確立とともに,多くの関連分野の研究者が意見を交換し合う場としての意味も持ち得る.本稿では,2002年のRenconに主催者,発表者,参加者として関わった3名がそれぞれの立場および異なる研究背景から2002年のRencon から得た教訓,感想,提案について述べる.``Rencon'' (Performance Rendering Contest) has started from 2002 as a workshop to establish evaluation methods for performance rendering systems. Expressive performance is rendered by a software system with the data of musical scores and corresponding performances and their musical structures as well, as input. Performance has been considered to include subjective matters so that it is not possible to evaluate such a system only from technical papers. Rencon also has the meaning as a forum for researchers of various areas --computer science, musicology, psychology, and perception-- to meet and discuss on their interests in musical performance. In this paper, three authors, who participated two Rencons in 2002 as a steering member, a paper speaker and music entrant, and a participant, describe each of their opinions from different relationships with Rencon and research backgrounds.
著者
大島 千佳 原田 千聡 町島 希美絵 安田 清 中山 功一
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

認知症者の記憶障害を支援する機器として,最近はスマートフォンが活用される.しかし,携帯することを忘れてしまう人や,嫌がる人も多い.そこで,犬にスマートフォンを担がせ,主人のタスク(服薬など)時刻にアラームが鳴ると,主人のもとへ駆けつけるように訓練した.健常者を対象としたケーススタディについて報告する.
著者
大島 千佳 中山 功一 伊藤 直樹 西本 一志 安田 清 細井 尚人 奥村 浩 堀川 悦夫
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.1, pp.1-6, 2013-08-24

シンセサイザのボコーダの機能を利用し,発声をリアルタイムに長調や短調の音楽に変換することによる,気分の変化について調べた.音楽はさらに MusiCuddleというシステムを利用し,ユーザの発声と同じ音高から開始された.実験の結果,気分の変化に関して,短調と長調の和声フレーズの条件の間で,「陽気な」 「悲観した」 に差異が認められた.ここから,憂鬱な気分であっても,自分の発声が強制的に楽しい気分を誘う音楽に変換されると,気分が楽しくなることが示唆された.
著者
大島 千佳 宮川 洋平 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.103, pp.69-74, 2001-10-26
被引用文献数
10

ピアノレッスンでは、先生は言葉で説明したり、歌って聞かせたりといった間接的な手がかりを用いて指導を行う。先生による模範演奏は大事な手がかりの一つであるが、生徒の勉強する曲が技巧的に難しくなると、先生によってはたとえ過去に弾いた曲でも練習をせずに弾くことができない。そのような状況でも先生は、その作品を演奏表現するための知は備えている。そこで本稿では、技巧的な難しさや譜読みのおぼつかなさからくる、音の間違えやミスタッチを気にせずに、表情付けに専念できるピアノとして、Coloring-in Piano を提案する。ノーマルのピアノで弾いた場合の演奏と比較するために、演奏者が練習を積んでいる曲で評価実験とMIDIデータの分析を行ったところ、有意な差が認められなかった。一方練習していない技巧的な曲を通常のピアノとColoring-in Piano で演奏比較したところ、Coloring-in Piano ではミスが激減しただけでなく、演奏者のイメージに近い演奏ができた。In a piano lesson, a teacher teaches a way of performance by indicating some indirect cues, e.g., metaphors and singing. A model performance is one of the important cues. Meanwhile, it is difficult for the teacher to perform a very technical piece without enough practices, even if he/she had formerly performed it. Howerer, the teacher retains his/her knowledge for preforming the piece. Accordingly, we propose "Coloring-in Piano" that is a piano lesson supporting system. It allows the teacher to concentrate on expressions without paying attention not to play a wrong note. We conducted experiments to subjectively evaluate the performances and analyzed them. As a result, we could not find significant difference between the performances played by the nomal piano and Coloring-in Piano. Moreover, Coloring-in Piano can facilitate to perform even a unpracticed piece to his/her satisfaction.
著者
大島 千佳 安田 清
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.567-569, 2015-06

認知症者は日常生活で行うべきことを忘れがちである.これまで,ICT 機器を使って,記憶障害を支援する方法が提案されてきた.しかし認知症者は,設定や操作が面倒であり,持ち運ぶことも忘れがちである.さらに機器類の無機質感から,一方的な指示に従うことに抵抗がある.そこで,癒しにもなっている飼い犬に簡単なトレーニングを行うことで,必要なときに認知症者に機器を届けたり,気分を変えたり,必要な情報を遠隔にいる介護者に届けたりできる「認知症支援犬」を提案した.本稿では,アラームが鳴ると,スマートフォンを担いだ犬が,飼い主のもとに駆けつける実験や,今後の展開について解説する.
著者
藤本 悦子 安藤 詳子 寳珠山 稔 菊森 豊根 福山 篤司 有田 広美 大島 千佳 永谷 幸子 竹野 ゆかり 間脇 彩奈 佐伯 街子 今井 常夫 阿部 まゆみ
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

リンパ浮腫を来した患肢のリンパ動態とCDTの効果を明らかにし、その成果に基づいて効果的なケアプログラムを開発する。動物とリンパ浮腫患者を対象とした2つのアプローチで行った。前者ではICG-PDEシステムを用い、in vivoでリンパを追跡した。後者ではMR画像から水分の貯留部位を同定した。両者共にCDTを施行し、CDTの効果を明らかにした。両アプローチから、リンパは特異的な分布を示すこと、CDTには浮腫を軽減する効果があることが明らかになった。さらにラットでは、正常時にはないリンパの排出ルートが出現し、これが浮腫の軽減に寄与していることが示唆された。これまでとは違ったケアが考えられた。