著者
酒井 一夫 岡田 重文
出版者
日本放射線影響学会
雑誌
Journal of Radiation Research (ISSN:04493060)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.415-424, 1981
被引用文献数
13 15

An alkaline separation technique originally established by Ahnstrom is modified to detect small amount of DNA damage in X-irradiated mouse leukemic L5178Y cells. It is made quantitative by calibration with an alkaline sucrose gradient centrifugation. The present method would make it possible to study DNA damage and its repair within a dose range of X-rays where cell survival and mutation are usually investigated. It is also useful for detecting DNA damage caused by chemicals.
著者
服部 隆利 酒井 一夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.648-648, 2004

人工放射性核種からの被ばくに対してこれ以上の最適化を必要としない免除とクリアランスの線量規準は10μSv/yオーダーであるが、一方、自然放射性核種については、このような線量規準を適用することが現実的ではないことから、最近、その線量規準を人工核種の線量規準よりも高い300μSv/yオーダーや1mSv/yに設定する提案が報告されてきている。このような背景のもと、本発表では、自然放射線から受ける被ばくの線量分布に、人工放射性核種からの線量分布が付加された時の総線量に対する確率分布の変化に着目した新しい最適化アプローチを検討した結果について報告する。
著者
酒井 一夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.126, no.10, pp.827-831, 2006-10-01
被引用文献数
2 18

"Hormesis" is defined, originally in the field of toxicology, as a phenomenon in which a harmful substance gives stimulating effects to living organisms when the quantity is small. The concept was extended and applied to ionizing radiation, high doses of which are harmful. Although radiation has been thought to be, based on findings in high dose ranges, harmful no matter low the dose is, recent investigation revealed that living organisms possess the ability to respond to low-dose radiation in very sophisticated ways. A good example of such responses is the so-called radiation adaptive response, a process in which acquired radioresistance is induced by low-dose radiation given in advance. The stimulation of certain bioprotective functions, including antioxidative capacity, DNA repair functions, apoptosis, and immune functions are thought to underly the adaptive response. The adaptive response is effective for chromosome induction, acute death, and tumorigenesis induced by high doses of radiation. Radiation hormesis and adaptive response provide a new scope in the risk assessment and medical application of ionizing radiation.
著者
日本保健物理学会医療放射線リスク専門研究会 甲斐 倫明 伴 信彦 太田 勝正 小野 孝二 酒井 一夫 長谷川 隆幸 福士 政広 吉永 信治
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 : hoken buturi (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.42-51, 2011-03-01
参考文献数
20

Radiation use in medicine generally gives us the benefit that outweighs the risk. However, some patients are much concerned about the risk while some medical people are unaware of radiation risk. The aim of this report is to review the low dose risk not only in the reports of ICRP, UNSCEAR, BEIR and French academy but also in the scientific papers that have been paid attention to. On these bases, we discuss the low dose risk and how we face the risk in medicine in order to go for medical use of radiation to the right way. In particular, we hope this report will support medical people as well as radiation protection experts should understand the radiation risk in medicine on current scientific basis.
著者
酒井 一人 仲村渠 将 吉永 安俊 長野 敏英 大澤 和俊 石田 朋康
出版者
土壌物理学会
雑誌
土壌の物理性 = Journal of the Japanese Society of Soil Physics (ISSN:03876012)
巻号頁・発行日
no.122, pp.23-31, 2012-12

本研究では,冬季に沖縄県北部亜熱帯広葉樹林地の沢沿い複数地点でのCO2フラックス,地温測定および土壌水分測定により,CO2フラックスの地点間および観測日による変動実態を把握し,既往研究と比較した。さらに,対象地点の土壌の粒度分布,有機物含有量,根量とCO2フラックスの関係について解析した。また,温度制御した円筒管土壌呼吸実験により対象土壌のCO2フラックスの温度依存性について確認した。その結果,次の(1)~(5)が認められた。(1)CO2フラックスはばらつきがあり,南尾根で最大,谷に向かって小さくなる傾向にあった。同じ観測日での地温の測定地点間差は小さく,各地点の観測時の温度差がCO2フラックスの差に与えた影響は小さいと判断された。(2)既往の研究との比較では,本調査での値はA0層除去の影響により小さかったと判断できた。(3)観測日の温度の違いによるCO2フラックスの違いは明確ではなかった。それに対して,土壌水分の増加によりCO2フラックスが減少するという土壌呼吸特性が見られた。(4)本研究での観測では,粒度組成,有機物量,根量などとCO2フラックスの関連性は明確ではなかった。(5)土層実験により温度依存性を調べた結果,既往研究で示されたQ10値の範囲内の結果を得た。
著者
酒井 一臣
出版者
史学研究会
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.452-479, 2013-05
著者
酒井 一臣
出版者
史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.452-479, 2013-05

本稿の目的は、一九二九年に発効した不戦条約にかんする日本国内の諸議論を考察することによって、外交の民主化と国際協調外交の関係を探ることである。不戦条約は国際的平和宣言という性格だったにもかかわらず、日本では、条約中の一節「人民ノ名二於テ」が天皇大権を侵すとの批判がでて政治問題化した。この文言をめぐり、衒学的な不毛な論争が行われたが、条約に実効性がない点、外交の民主化に慎重である点では、意見が一致していた。これに対して、信夫淳平など、条約を高く評価する論者は、「国民外交」すなわち外交の民主化を重視していた。ここに条約をめぐる重大な論点があった。しかし、自衛権の範囲などの論点とともに、外交の民主化についても議論は深まらず、政争の面だけが注目されて、「人民ノ名二於テ」の一節は日本に適用されないとの条件をつけて条約は批准された。結論として、国際協調主義者でさえ、その多くが「国民外交」の問題に背を向けた点が日本外交混迷の一因となっていくことを指摘した。
著者
北口 暢哉 川口 和紀 中井 滋 伊藤 信二 加藤 政雄 酒井 一由 伊藤 健吾
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

血中Aβ除去で脳内Aβを減少させるアルツハイマー病治療機器を創製するために、血中Aβがよく除去される血液透析で以下の検討を行った。1) 血液透析患者の死後脳では、非透析者に比して脳内Aβの蓄積(老人斑数)が有意に少なかった。2)横断的研究:非透析者では腎機能が低下するにつれて血中Aβは増加し認知機能は低下したが、血液透析患者では透析歴が長くなっても血中Aβは増加せず、認知機能はほぼ維持された。3) 前向研究:非透析腎不全患者5例 (平均64.0歳)は透析導入とともに、血中Aβ濃度は低下し、認知機能は改善傾向を示した。以上から、血中Aβ除去器がアルツハイマー病治療につながる可能性が示唆された。
著者
小川 吉雄 酒井 一
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-9, 1985-02-05
被引用文献数
13

水田のN浄化機能を解明するため,硝酸塩灌漑水田におけるN収支および水稲生育に及ぼす灌漑水中のNO_3-Nの限界濃度を調査した.結果を要約すると次のとおりである.(1)水稲が正常な生育相を示し,適正な玄米収量を得るための灌漑水中のNO_3-Nの限界濃度は,標肥,生わら施用の条件で5〜6 mg/lであろうと推定された.(2)硝酸塩灌漑水田におけるN収支を調査した結果,高濃度灌水区ほど作物体N吸収量,浸透流出N量は多くなったが,それ以上に未回収N量も多かった.(3)土壌のEh,脱窒菌数,脱窒能などの測定結果から,未回収N量の大部分は脱窒に起因するものと推定された.(4)水田の灌漑水中のN(おもに NO_3-N)浄化機能を要因別に解析した.水稲の吸収利用による浄化率は生育初期5%程度であるが,生育が進むにつれて高まり,出穂期には40%になった.脱窒による浄化率は初期は20〜30%,中期から後期は50〜55%で推移した.また,生わらを施用することにより,土壌の還元化を促進させ,生育初期の浄化率を5〜20%高める効果が認められた.