著者
尾辻 健太 酒井 一徳
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.175-179, 2019 (Released:2019-06-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1

子持ちシシャモ (Mallotus villosus〔カラフトシシャモ, 別名 : カペリン [以下, シシャモ] 〕) 経口摂取によるアナフィラキシーを2例経験したので報告する. 2例とも食物アレルギーの既往はなく, シシャモ摂取歴は不明であった. 1例目は6歳男児. シシャモなど摂取後アナフィラキシーをきたした. シシャモの皮膚プリックテスト (SPT) の結果, 生では身は陰性で卵は強陽性, 加熱では身・卵とも陽性であった. 焼いたシシャモの食物経口負荷試験 (OFC) では, 身と卵のOFCいずれもアナフィラキシーをきたし, 卵ではアドレナリン筋注を要した. イクラ, タラコはともに特異的IgE陰性かつOFC陰性であった. 2例目は7歳男児. シシャモなど摂取後眼瞼腫脹あり. 加熱シシャモのSPTは身で陰性, 卵で弱陽性であった. 焼きシシャモOFCの結果, 身は陰性であったが, 卵はアナフィラキシーを認めた. イクラは自宅で症状なく摂取可能で, タラコOFCは陰性であった. 以上より, シシャモ卵独自のアレルゲンが存在する可能性があると考えられた.
著者
ヴォイチェフ ヤストシェンボフスキ:ポーランド語原本 ダヌータ コルデツカ:復刻版編集者 テレサ バウカ-ウレヴィチョヴァ:英語訳 斉藤 進:日本語訳 松田 文子:日本語訳 酒井 一博:日本語訳
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.189-219, 2012 (Released:2014-07-25)
被引用文献数
1

人間工学のルーツは,1857年にポーランドの科学者ヤストシェンボフスキが,ギリシャ語に由来するエルゴノミクスを「働くことの科学」として造語したことに遡る。人間工学の誕生である。ヤストシェンボフスキは,エルゴノミクスの概念を1857年発行の「自然と産業」誌にポーランド語で発表した。ポーランド労働保護中央研究所では原典を英訳し,「エルゴノミクス概説-自然についての知識から導かれる真理に基づく労働の科学」として,国際人間工学連合と米国人間工学会大会が2000年に併催されたときに記念出版した。歴史的に重要な書籍の復刻版を日本語で公開することに対し,快諾頂いたポーランドの英語版編集者ダヌータ・コルデツカ労働保護中央研究所長に感謝する。
著者
大西 真輝 澤井 裕一郎 駒井 雅之 酒井 一樹 進藤 裕之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.3O13in, 2015 (Released:2018-07-30)

近年,インターネット上での失言をきっかけに,誹謗中傷や非難が殺到する「炎上」と呼ばれる現象が大きな社会問題となっている.そこで,我々はTwitter上の発言を対象に炎上抑制を目的とする包括的なシステムを構築した.システムは,入力文に対し炎上判定を行い,必要に応じて予想される返信文の提示と炎上する表現を訂正した文の提案を行う.利用者は,炎上の危険性と,未然に防ぐ知見を得ることが予想される.
著者
酒井 一介 澄川 耕二
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.470-473, 2008-04-28
参考文献数
10

  脊髄小脳変性症患者の気管喉頭分離術の麻酔を経験した. 既往歴として声帯の外転障害による上気道の閉塞があり, 気道管理に配慮を要した. 喉頭展開時に観察された声門に異常は明らかでなかったが, 細径の気管チューブでなければ気管挿管は困難であった. 脊髄小脳変性症など多系統萎縮症では, 後輪状披裂筋の麻痺のため上気道の閉塞が起こることがある. 全身麻酔を行う場合には, 声門部の狭窄に注意し, 細径の気管チューブを準備するとともに, 経皮的気管穿刺や気管切開などの準備が必要である.
著者
諏訪 僚太 中村 崇 井口 亮 中村 雅子 守田 昌哉 加藤 亜記 藤田 和彦 井上 麻夕里 酒井 一彦 鈴木 淳 小池 勲夫 白山 義久 野尻 幸宏 Ryota Suwa Takashi Nakamura Akira Iguchi Masako Nakamura Masaya Morita Aki Kato Kazuhiko Fujita Mayuri Inoue Kazuhiko Sakai Atsushi Suzuki Isao Koike Yoshihisa Sirayama Yukihiro Nojiri 京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所 九州大学付属天草臨海実験所 琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設 琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設 琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設 琉球大学大学院理工学研究科 琉球大学大学院理工学研究科 東京大学海洋研究所 琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設 産業技術総合研究所 琉球大学 京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所 国立環境研究所地球環境研究センター Seto Marine Biological Laboratory Field Science Education and Research Center Kyoto University Amakusa Marine Laboratory Kyusyu University Sesoko Station Tropical Biosphere Research Center University of the Ryukyus Sesoko Station Tropical Biosphere Research Center University of the Ryukyus Sesoko Station Tropical Biosphere Research Center University of the Ryukyus Graduate School of Engineering and Science University of the Ryukyus Graduate School of Engineering and Science University of the Ryukyus Ocean Research Institute The University of Tokyo Sesoko Station Tropical Biosphere Research Center University of the Ryukyus Geological Survey of Japan National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST) University of the Ryukyus Seto Marine Biological Laboratory Field Science Education and Research Center Kyoto University Center for Global Environmental Research National Institute for Environmental Studies
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.21-40, 2010-01-05
参考文献数
102
被引用文献数
3

産業革命以降の二酸化炭素(CO_2)排出量の増加は,地球規模での様々な気候変動を引き起こし,夏季の異常高海水温は,サンゴ白化現象を引き起こすことでサンゴ礁生態系に悪影響を及ぼしたことが知られている。加えて,増加した大気中CO_2が海水に溶け込み,酸として働くことで生じる海洋酸性化もまた,サンゴ礁生態系にとって大きな脅威であることが認識されつつある。本総説では,海洋酸性化が起こる仕組みと共に,海洋酸性化がサンゴ礁域の石灰化生物に与える影響についてのこれまでの知見を概説する。特に,サンゴ礁の主要な石灰化生物である造礁サンゴや紅藻サンゴモ,有孔虫に関しては,その石灰化機構を解説すると共に,海洋酸性化が及ぼす影響について調べた様々な研究例を取り上げる。また,これまでの研究から見えてきた海洋酸性化の生物への影響評価実験を行う上で注意すべき事項,そして今後必要となる研究の方向性についても述べたい。The increase of the atmospheric carbon dioxide (CO_2) concentration after the industrial revolution caused global climate change. During the last several decades, coral reef ecosystems have been devastated by the mass-scale coral bleaching events caused by abnormally high seawater temperature in summer. In addition, increased atmospheric CO_2dissolves in the ocean, acts as an acid and finally decreases the pH level of seawater. This phenomenon, known as ocean acidification, is now being considered as a future threat to the calcifying organisms in coral reef ecosystems. In this review, we summarize basic backgrounds of ocean acidification as well as its potential impacts on coral reef calcifiers. Together with the distinctive mechanisms of calcification among specific groups, we review the impacts of ocean acidification on major reef-builders such as scleractinian corals, calcareous red algae and reef-dwelling foraminifera. Finally, we point out some recently-recognized problems in acidified seawater experiments as well as the future direction of this research field.
著者
井上 麻夕里 中村 崇 田中 泰章 鈴木 淳 横山 祐典 川幡 穂高 酒井 一彦 Nikolaus Gussone
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.65, 2018

<p>本研究ではサンゴの骨格成長における褐虫藻の役割を明らかにするために、褐虫藻有りと無しのポリプ試料を作成し、温度、塩分、pCO2を調整した水槽で飼育した。飼育実験の後、ポリプ骨格について6種類の化学成分を分析した。その結果、海水のpH指標とされているU/Ca比についてのみ、褐虫藻有りと無しの間に有意な差が見られた。これは、褐虫藻有りのサンゴ体内のpHが上昇していることを示しており、これにより褐虫藻と共生関係にあるサンゴは骨格成長が早いことが分かった。</p>
著者
中島 祐一 中村 雅子 酒井 一彦 御手洗 哲司
出版者
沖縄科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

南西諸島には400種以上ものサンゴが生息しており、種多様性豊かなサンゴ礁を形成しているが、近年の地球規模・地域規模の撹乱の影響でサンゴ礁の減衰が懸念されている。サンゴ個体群がどのように維持されているかを評価することは、個体群動態を予測する上で必要不可欠である。本研究では集団遺伝学・ゲノム学的手法を駆使してサンゴ個体群の遺伝解析を行った。大隅諸島、琉球列島、大東諸島、小笠原諸島のアザミサンゴ属で一塩基多型(SNPs)解析を行った結果、琉球列島内では個体群間のコネクティビティが高いこと、小笠原諸島は他の解析地域間とのコネクティビティが低く長期にわたるタイムスケールでも移住がほとんどないことが示唆された。このことは、地理的距離が遺伝的なコネクティビティを維持することに重要であること、飛び石状の生息地がない場合には幼生分散や分布拡大が制限されることを示す。また、前年度までに開発したマイクロサテライトマーカーのうち9遺伝子座を用いて、屋外水槽内のハナヤサイサンゴ属の親子関係を解析した。その結果、親候補となるハナヤサイサンゴ種を複数飼育していたものの、幼サンゴ25群体は1種類のハナヤサイサンゴ種に由来し、さらに無性生殖に由来するクローンであることが判明した。ハナヤサイサンゴのクローンは物理的な破片分散だけでなく、他の地域でも報告されている無性的なプラヌラ幼生の放出でも起こりうる。一方、人工的な飼育環境によるストレスでポリプの抜け出しが起こった可能性も考えられる。さらに、同じ属でも種類によって無性生殖のプロセスに大きな違いがある可能性も示唆された。
著者
小木 和孝 内村 喜之 堀野 定雄 酒井 一博
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.171-184, 1973

空港管制席作業空間について, 人間工学研究者10人と学生12人が2種の評価的リスト (米国ダンラップ社A, 日本人間工学会N) および修正的リスト (オランダのワーキンググループH), の3種の人間工学チェックリストを用いてチェックした. 研究者に比べて学生群は問題項目を見落しやすく, とくに定性的評価を行なうリストで目立った. 他方Aリストのように限定しすぎる定量的設問を主にする場合も指摘される問題点が制約された. 当管制席で重要とされた姿勢転換・脚空間の余裕とそのための視界の確保について, 対策選択式のHリストは問題意識を広げやすく, 一致度もよかった. このように人間工学チェックリストでは, 項目の網羅性のほかに, 融通性の高い修正的機能をもつことと人間工学知識をもつ多人数による使用とが肝要だと考えられる.
著者
酒井 一臣 宗村 敦子
出版者
大阪大学西洋史学会
雑誌
パブリック・ヒストリー (ISSN:1348852X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.134-141, 2012-02

藤川隆男著 『人種差別の世界史 : 白人性とは何か』 刀水書房、2011 年7 月刊、四六判、x + 274 頁、2300 円+税、ISBN978-4-88708-398-1竹内幸雄著 『自由主義とイギリス帝国 : スミスの時代からイラク戦争まで』 MINERVA 西洋史ライブラリー91、ミネルヴァ書房、2011 年2 月刊、A5 判、x + 345 + 5 頁、5000 +税、ISBN978-4-623-05971-3
著者
酒井 一臣
出版者
オーストラリア学会
雑誌
オーストラリア研究 (ISSN:09198911)
巻号頁・発行日
no.14, pp.52-64, 2002-03-08

In the inter-War period, a major problem in the Australia-Japan relations was how to defend the White Australian policy against Japan who had been building up an important status in international relationship. In particular, after World War I, Australia came to regard Japan as a threat to its safety. Japan's occupation of the South-Sea Islands (Nanyo Gunto) and her racial equality proposal at the Paris Peace Conference intensified such perception. Mr. E. L. Piesse was the Director of the Pacific Branch of the Prime Minister's Department from 1919 to 1923. As such he exerted considerable influence on Australian foreign policy. This essay examines Piesse's view on Japan and the Japanese reaction to his view. Piesse suggested the adoption of pragmatic policy towards Japan, but his proposal was rejected because most Australians increasingly considered Japan as a threat. Their judgment was made on the basis of partial and incorrect information. In this period, the basic structure of Australia-Japan relations was that the more strenuously Japan attempted to preserve her dignity as an empire, the more serious the threat Australia felt from Japan. Piesse thought that it was important to preserve White Australia without hurting Japan's sense of national pride. But his view was not supported, and he resigned his post after Japan's threat had become felt less keenly due to the Washington Conference which replaced the Anglo-Japanese Alliance with the Four-Power Treaty. In this way this structure continued to remain as a fundamental problem in Australia-Japan relations.
著者
酒井 一夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.548-554, 1957-09

1) Malignant Tumors arising in the Lymphatic Tissue of the Tonsil and Nasopharynx There were no differences in radiosensitivity and prognosis of malignant tumors arising in the lymphoid tissue due to the differences in the anatomical sites in which the tumors occurred. A larger percentage of reticulosarcoma of syncytial type developed in the nasopharynx. 2) The Radiosensitivity and Prognosis of Tumors in Relation to their Histopathological Classification. Reticulosarcomas of syncytial type (undifferentiated types) were less radiosensitive, and their prognosis was worse than that of reticular type (differentiated type). Lymphosarcomas were more radiosensitive, and their prognosis was better than that of reticulosarcomas. 3) Tumor cells which divide themselves into larger numbers of daughter cells in mitosis were less radiosensitive than those which divide themselves into smaller numbers of daughter cells.
著者
酒井 一夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.543-547, 1957-09

Roentgen diagnosis has been applied to cancer of the larynx for many years, but it has not become a routine procedure with all laryngologisits. For the diagnosis in cancer of the larynx, laryngoscopy is used, but there are regions of the larynx which are difficult to see by laryngoscopy, especially sub-glottic area. In such cases Roentgen examination may show good information about the endo-larynx. Since 1954 I have tried some radiographical methods in cancer of the larynx. This method should be used Tomography in frontal plane with lateral radiography. I believe that radiographical diagnosis in cancer of the larynx is a valuable method, but it should always be associated with laryngoscopy.