著者
酒井 直樹
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.11-22, 2016-06

アジア太平洋戦争後の東アジアで、日本はアジアの近代化の寵児とみなされ、アジアで唯一の先進国と呼ばれてきた。冷戦秩序下のパックス・アメリカーナ(アメリカの支配下の平和の意味)で日本は、東アジアにおけるアメリカ合州国の反共政策の中枢の役割を担い、「下請けの帝国」の地位を与えられ、経済的・政治的な特別待遇を享受してきた。日本研究は、この状況下で、欧米研究者による地域研究と日本人研究者の日本文学・日本史の間の共犯構造の下で、育成されてきたと言ってよい。「失われた二十年」の後、地域研究としての日本研究も日本文化論としての日本研究も根本的な変身を迫られている。それは、東アジアの研究者の眼差しを無視した日本研究が最早成り立つことができないからで、これまでの日本文化論に典型的にみられる欧米と日本の間の文明論的な転移構造にもとづく日本研究を維持することができなくなってきたからである。これからの日本研究には、合州国と日本の植民地意識を同時に俎上にあげるような理論的な視点が重要になってきている。
著者
酒井 直樹
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
失われた20年と日本研究のこれから・失われた20年と日本社会の変容
巻号頁・発行日
pp.87-97, 2017-03-31

失われた20年と日本研究のこれから(京都 : 2015年6月30日-7月2日)・失われた20年と日本社会の変容(ハーバード : 2015年11月13日)
著者
酒井 直隆 嶋脇 聡
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

ラットの坐骨神経を大腿二頭筋枝、脛骨神経、総腓骨神経の3つの神経束に分割し、各々の神経束にフック電極もしくは埋設電極を取り付け、ラットの下肢動作時の神経活動電位を計測した。その結果、各々の神経束から個別に活動電位を得ることができ、いずれも活動電位は2相性で、活動時間、最高電位、最低電位、電位差といったパラメータの値や周波数分布の特徴は類似していた。フック電極と埋設電極によって計測される活動電位を比較すると、計測される最高電位、最低電位、電位差の値に相違があるものの、活動時間や周波数分布の特徴から同様の活動電位を検出できた。活動電位は、大腿二頭筋枝、脛骨神経、総腓骨神経ともに類似の波形であり、足関節の屈伸はこれらの神経活動電位の位相差によって、拮抗筋の収縮・弛緩による協調運動が実現するものと考えられた。そのため坐骨神経を神経束に分離後、同一平面上に配置して各神経束に電極を装着することで、電位束ごとに異なる神経電位を感知することが可能であり、この方法で神経束電位による多チャンネル化が実現するものと考えられた。
著者
酒井 直樹
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学国際学部紀要 (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
pp.1-28, 2015-07-01

新潟国際情報大学開学20周年記念情報文化学部情報文化学科学術シンポジウム特集
著者
嶋脇 聡 酒井 直隆
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.78, no.787, pp.883-891, 2012 (Released:2012-03-25)
参考文献数
27

Finger deformities refer to the symptoms where a flexed or extended joint becomes fixed in one direction and is prevented from returning to a normal state due to muscle or tendon abnormalities around the joint as a result of trauma or a pathological abnormality. The deformities exist in numerous forms, and their causes are known to be either a muscle imbalance or tendon rupture. We focused on the finger deformity forms of the boutonnière and swan-neck deformity. To clarify the formation mechanisms of these deformities, conventional studies have used cadaveric fingers whereas in this study we used the finite element method to model the mechanism of human finger flexion and extension (extensor tendons, flexor tendons, phalanges, tendon pulleys, and ligaments). Using this model, flexion angles of the distal interphalangeal (DIP) and the proximal interphalangeal (PIP) joint were calculated with conditions for a tendon (central band, lateral band, flexor digitorum superficialis tendon) rupture and tendon tension abnormalities. The results have shown that the conditions which most resembled the boutonnière deformity were those of the central band removal model, and the conditions which most resembled the swan-neck deformity were those of the flexor digitorum superficialis tendon removal model and the tendon tension abnormalities. These results are in agreement with those from clinical observations and cadaveric finger experiments, and demonstrated that the finite element method was effective for clarifying the mechanisms for finger deformity formations.
著者
嶋脇 聡 酒井 直隆
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 = The Japanese journal of ergonomics (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.31-35, 2011-02-15
被引用文献数
1

ヒトが物体を把持する直前に,物体の形状や大きさに依存した手の形を準備するプリシェイピング動作を実行する.本研究の目的は,三次元動作解析システムを用いて指関節角度を計測することによって,プリシェイピングに及ぼす視覚条件の影響を調査することである.9人の健常者が4つの視覚条件(通常,閉眼,仮想,仮想閉眼)で円柱の把持を実施した.円柱は高さ120 mm,直径30 mmであった.関節の初期角度と最終角度の間である中間値までの中間時間が計測された.結果として,仮想条件におけるDIPとPIP関節の中間時間は通常および閉眼条件におけるそれらより有意に低値であった.4つの視覚条件におけるMP関節の中間時間の間で有意差は無かった.これは,通常および閉眼条件で,近位関節より順番に屈曲する「なじみ機構」が作用しているが,仮想条件では,3関節とも同時に屈曲したことを示した.
著者
網代 広宣 小林 雄也 平田 昂大 板野 圭佑 佐藤 慎也 酒井 直也 仲島 佑紀
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.49-55, 2023-10-31 (Released:2023-11-07)
参考文献数
18

本研究は117名の高校野球選手を対象にCOVID-19感染拡大防止措置が実施された年と前年の傷害発生率を調査し比較した.季節別では,2019年と比較し,2020年の夏季で肩・肘傷害,冬季は足・足部傷害が増加した.各季節のポジション別では,夏季の投手・内野手の肩傷害,秋季で内野手の肘傷害,冬季で外野手の足・足部傷害が増加した.今後は得られた特徴より,傷害予防を講じていく必要がある.
著者
酒井 直樹 田口 仁 六川 修一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.L1, pp.9-18, 2023 (Released:2023-03-01)
参考文献数
6

災害時の最大のニーズは「どこで何が起きたのか」の把握である.その情報がすぐに災害対応者の意思決定に必要な情報として提供されるべきである.そのためには各種衛星に関して「いつ・どこのエリアをどの衛星で観測するか」をマネジメントする必要がある.特に,広範囲にわたる災害では必要不可欠な技術である.そのためには,各衛星の特性を知った上で,複数機体制の実現とその運用管理の一元化が求められる.緊急観測依頼から衛星データ入手までの時間を短縮する必要もある.観測の精度や手順を標準化することも求められる.SAR衛星や小型衛星を使い,AI解析技術の確立することが重要である.今後ユーザーのニーズに応じて衛星データの選択が可能となり,必要な時に入手できるようになることを踏まえ,平時はインフラのモニタリングをして情報を蓄積し,災害時にはその延長で対応できるようなフェーズフリーな利用が進むと考えられる.
著者
池田 達彦 酒井 直
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2002年度秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.17, 2002 (Released:2003-01-17)

これまで組織論は、近代的個人を暗黙に想定して議論され、発展してきた。組織の維持は、目的(Why)に合意した人々ではなく、手段(What)に合意した人々の集まりによってなされるとされた。しかし我々の関心領域であるオープンソースコミュニティを捉えるためには、これまでの組織論のみでは言及できないという考察に至った。それは手段だけでなく、目的をも共有するような組織であるという推察によるものである。オープンソースソフトウェア開発グループに関する研究は既に様々な報告があるが、ユーザグループの組織化(Organizing)に関する研究は発展途上である。本研究では行為論的アプローチにより、一つの理解を提示するものである。
著者
酒井 直人 竹原 康雄 山下 修平 馬場 聡 難波 宏樹
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

脳神経外科手術において頭蓋内腫瘍の硬さは手術の難易度を左右する。核磁気共鳴エラストグラフィー(MRE)は非侵襲的に生体内に組織の弾性率、すなわち硬さを測定することができる画期的な方法である。我々は、MREを用いて代表的な4つの頭蓋内腫瘍:髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、グリオーマに対してMREを用いて術前に弾性率を評価し術中の硬さとの相関について研究を行った。その結果、術前のMREの弾性率と術中の腫瘍の硬さは相関した。MREは術前に硬い腫瘍を鑑別するのに有用と考えた。
著者
酒井 直樹
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.11-22, 2016-06-30

アジア太平洋戦争後の東アジアで、日本はアジアの近代化の寵児とみなされ、アジアで唯一の先進国と呼ばれてきた。冷戦秩序下のパックス・アメリカーナ(アメリカの支配下の平和の意味)で日本は、東アジアにおけるアメリカ合州国の反共政策の中枢の役割を担い、「下請けの帝国」の地位を与えられ、経済的・政治的な特別待遇を享受してきた。日本研究は、この状況下で、欧米研究者による地域研究と日本人研究者の日本文学・日本史の間の共犯構造の下で、育成されてきたと言ってよい。「失われた二十年」の後、地域研究としての日本研究も日本文化論としての日本研究も根本的な変身を迫られている。それは、東アジアの研究者の眼差しを無視した日本研究が最早成り立つことができないからで、これまでの日本文化論に典型的にみられる欧米と日本の間の文明論的な転移構造にもとづく日本研究を維持することができなくなってきたからである。これからの日本研究には、合州国と日本の植民地意識を同時に俎上にあげるような理論的な視点が重要になってきている。
著者
中山 敦 嶋脇 聡 酒井 直隆 中林 正隆
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
茨城講演会講演論文集 2013.21 (ISSN:24242683)
巻号頁・発行日
pp.219-220, 2013-09-06 (Released:2017-06-19)

When human hand grasping an object, nail will support and restrain the deformation of finger pulp. Object is able to be grasped firmly due to the adaptation of finger pulp to the shape of grasped object. So, the nail is considered to be playing an important role in every motion of the fingertip. But the study case regarding the nail structure and it's mechanical properties are very rare. We used guitar string and applied to ways of doing experiment, such as pressing and flipping on the string.
著者
長岡 亜紀子 中澤 明尋 酒井 直隆 竹内 良平 高木 敏貴 斎藤 知行 岡本 連三 腰野 富久
出版者
Japanese Society for Joint Diseases
雑誌
日本リウマチ・関節外科学会雑誌 (ISSN:02873214)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3-4, pp.197-202, 2001-02-25 (Released:2010-10-07)
参考文献数
10

The purpose of this study was to describe the clinical course of steroid induced osteonecrosis of the humeral head, and to investigate the relationship between radiological stage, pain, and range of motion (ROM) .Nine patients (16 shoulders) were examined directly at our out-patient clinic, with an average follow-up period of 4.2 years. There were 2 men and 7 women, with an average age of 42 years at the first visit. Correlation between radiological stage and both pain and ROM of the shoulder was evaluated with Spearman's rank correlation coefficient.At the first examination, 9 of 16 shoulders were evaluated as radiological Stage III or IV, and only 7 as II. During follow-up, the stage advanced from Stage III to IV in 2 of 5 shoulders, but no advance-ment from Stage II to III was observed. Thus, the radiological stage did not progress in a time-dependent manner. A positive correlation was found between radiological stage and pain grade (p<0.0001), and between that and limitation of active movement (p=0.0064) .
著者
菊本 統 中島 伸一郎 小山 倫史 酒井 直樹
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,吸排水に伴うヒステリシスや体積変化による飽和度変化の影響も考慮した発展型の水分特性曲線モデルと、それを組み込んで締固め過程から変形・破壊までシミュレートできる不飽和土の構成則を開発した。これらのモデルの適用性は,排気非排水圧縮や浸水,せん断シミュレーションを通して検証し,同モデルを用いれば最適含水比と最大乾燥密度を持つ締固め曲線を解析的に表現できることを明らかにした。さらに,有限変形理論に基づいて、2年目までに開発、検証を行った構成モデルと水分特性曲線モデルを組み込んだ有限要素解析コードを開発するとともに、大変形問題のシミュレーションを通して検証を行った。