著者
稲川 雄太 野口 啓 秋山 美奈子 下村 浩祐 吉本 宏 竹下 浩二 惠木 康壮 保坂 茂
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.643-649, 2019 (Released:2019-11-28)
参考文献数
18

症例は76歳の男性. IgA腎症による末期腎不全で64歳時に透析導入した. 維持血液透析中に腰痛と発熱が出現し, 炎症反応高値であることから抗生物質投与のうえ入院となった. 熱源精査目的の腰椎MRIで大動脈腎動脈分岐部から総腸骨動脈分岐レベルでT2延長域を認め, 造影CTでは大動脈周囲に境界不明瞭な組織濃度上昇が認められた. 画像上血管自体の変化に乏しいため大動脈周囲炎を第一に考えた. 一方, 感染性動脈炎も否定できないためステロイド投与は直ちに行わず抗生物質投与を続行したところ, 血液検査や画像上炎症所見の改善が得られたが, 左腎動脈分岐部に動脈瘤が出現し急速に増大した. 破裂の危険に対しステント留置術を施行した. 経過から感染性大動脈炎に伴う腹部大動脈瘤すなわち感染性動脈瘤であると診断した. 今回, 治療法の異なる大動脈周囲炎と感染性大動脈炎の鑑別に難渋し, 感染性大動脈炎から瘤への形成過程を観察し得た貴重な症例を経験したので報告する.
著者
野口 啓示
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.107-118, 2003-09-30 (Released:2019-04-06)

平成13年度の全国の児童相談所における児童虐待相談は、10年前と比べると21倍の23,274件となった。虐待は社会問題であり、被虐待児およびその親に対するケアやサポートは大きな関心事である。本稿においては、家族の再統合を目指し、虐待をした親のケアとして行ったペアレント・トレーニングの実践について論究したい。ここで用いたのは行動療法を基礎としてペアレント・トレーニングとしてアメリカで開発されたCommon Sense Parentingである。 Coercion theoryやsocial learning theoryを基礎として6セッションからなっている。虐待により施設入所となった親に対して行った実践報告を行いながら、虐待の防止・再発防止という取り組みへの本プログラムの有効性やプログラムの特徴について論究する。
著者
野口 啓子
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は19世紀中葉のルネッサンス期アメリカ文学を、従来活発に行われてきた人種・階級・ジェンダーという視点からの研究に、(文学的)ナショナリズムという視座を加味して考察することで、この時代の文学的特質を横断的に検証することの可能性を探ったものであるが、その結果、このようなナショナリズムからの視座がこの時代の文学の再評価や、人種・階級・ジェンダーの区分を統合的に把握する手段として有効であることが明確となった。
著者
松久保 眞 野口 啓幸 中目 和彦 家入 里志
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.1218-1222, 2016-10-20 (Released:2016-10-20)
参考文献数
21

症例は1 歳7 か月女児.夕食後,木製の箸を手に把持した状態で転倒した際に,箸先端が左頬部に刺さった.母親が可及的に刺さった箸を抜去した後に当院救急センターを受診した.箸の先端は約1.5 cm 破損し,その所在は不明であったが,単純X 線検査と超音波検査では異物の残存は同定できず経過観察となった.しかし2 日後に発熱,食欲不振が出現したため再診した際に,CT 検査を施行したところ左顎関節周囲に高吸収域を認め,異物の残存が疑われた.3 次元再構築したCT 画像(以下3D-CT)により左顎関節内に残存する木片異物の正確な位置と形状を特定し,全身麻酔下の手術で木片を除去することができた.術後に軽度の顔面神経麻痺を認めたが軽快し,術後7 日目に退院となった.木片異物はX 線透過性が高いため単純X 線検査では見逃される可能性がある.異物の残存が否定できない場合はCT 検査まで行い,3 次元構成により確認することが必要であると考えられた.
著者
野口 啓示 高橋 順一 姜 民護 石田 賀奈子 千賀 則史 伊藤 嘉余子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.28-38, 2019-11-30 (Released:2020-06-16)
参考文献数
21

本研究の目的は,里親養育支援の実態を明らかにするとともに,その支援が里親養育支援に対する満足度にどのような影響を与えているのかについて分析することである.全国の里親家庭4,038カ所を対象に郵送法による質問紙調査を実施した.里親養育支援の実態を探索的因子分析した結果,「里子が委託される前の里親への養育支援状況」を構成する因子として「委託前支援」と「未委託里親への支援」の2因子が抽出,また,「里子が委託されてからの里親への養育支援状況」を構成する因子として「里子のニーズと里親の意向を尊重した里親子支援」,「里親研修」,「里親養育をささえるつながりづくりの支援」,「不調時の危機介入」,「レスパイト」の5因子が抽出された.また,得られた因子が里親の満足度にどのような影響を与えているのかを重回帰分析したところ,「里親養育をささえるつながりづくり支援」と「委託前支援」のみが貢献していた.
著者
野口 啓介;NOGUCHI Keisuke 池永 訓昭;IKENAGA Noriaki 津田 敏宏;TSUDA Toshihiro 坂本 康正;SAKAMOTO Yasutada 平間 淳司;HIRAMA Junji 廣田 哲夫;HIROTA Tetsuo 大澤 直樹;OSAWA Naoki 深田 晴己;FUKADA Haruki 芦野 慎;ASHINO Makoto
出版者
金沢工業大学
雑誌
工学教育研究;KIT progress (ISSN:13421662)
巻号頁・発行日
no.27, pp.135-143, 2019-03-01

電気電子工学科(EL 学科)の平成 30 年度における新たな取り組みとして、プロジェクトデザイン入門(実験)(以下、PD 入門(実験))の検討を行い、前学期に実施した。ここではその内容について報告する。専門科目との接続を重視した PD 入門(実験)のカリキュラムにおける位置付けを示すとともに、EL 学科の実験科目との関係について説明している。これまでのいきさつとして電気系ワーキングの取り組みについても説明する。PD 入門(実験)の学習支援計画書に盛り込んだ内容を示し、6つのテーマ、運営方法などを紹介する。実施結果の検証として受講学生および TA 学生に対するアンケート調査を行い、その結果について検討している。さらに過去3年間の電気回路Ⅰの中間試験結果について比較検討し、PD 入門(実験)と並行して開講された電気回路Ⅰの理解度について考察する。;We have developed practical education of the introduction to project design (PD introduction (experiment)) as a new approach of the department of electrical and electronic engineering in this academic year. This paper reports the detail of the development. Position of the curriculum of PD introduction (experiment) is shown for orientation of major subjects. Relationship with the major experiment subjects is also explained. As the past efforts, related activities in our department are described. Contents of the developed syllabus are explained, and then it shows six themes and steering methods. As a verification of the implementation results, we conducted a questionnaire survey on students attending and TA students. The summary results and graphs are shown. In addition, based on the results of the intermediate test of Electric Circuit I in the past three years, understanding degree of students with respect to PD introduction (experiment) is discussed.
著者
野口 啓介 水沢 丕雄 山口 尚 奥村 善久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-2, 通信2-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.777-783, 1997-09-25
参考文献数
13
被引用文献数
1

携帯無線機器に用いられる小形アンテナの一つにヘリカルアンテナがある. へリカルアンテナの直径および軸長が波長に比べて小さい場合, 励振されるモードは垂直モードとなり, モノポールと同様の指向性をもち, 偏波は直線偏波をとる. 0.1波長程度より小さい小形のへリカルアンテナでは放射抵抗が小さく, Qが大きくなり, インピーダンス整合が問題となる. 本研究では, 垂直モードヘリカルアンテナについて2線式とし, その場合のインピーダンス特性について解析している. へリクスを2線式にすることによりアンバランスモードとバランスモードとの複合モードの利用が可能となる. その結果, 放射モードであるアンバランスモードのインピーダンス成分をステップアップできること, 非放射モードであるバランスモードのインピーダンス成分がインピーダンス整合に寄与できることが明らかとなった. また数値解析の結果は実験により確認している.
著者
野口 啓介 水澤 丕雄 山口 尚 奥村 善久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.95, no.354, pp.35-40, 1995-11-16
参考文献数
10

現在用いられている小形アンテナの一つに1線式へリカルアンテナがあり, 携帯電話, PHSの携帯端末用アンテナの一部として使われている. ヘリカルアンテナの高さが波長に対して小さい場合垂直モードで動作し, 微小ダイポールと同様な放射指向性を持つことが知られている. しかし1線式ヘリカルアンテナでは整合がとりにくいこと, 広帯域化が困難であることなどの問題点がある. 本論文ではヘリカルアンテナの整合および周波数帯域を改善する手法の一つとして2線式ヘリカルアンテナを提案する. 解析手法はモーメント法を用い, ヘリカルアンテナのパラメータを変化させ整合および広帯域化の方法についで検討する. さらに2線式ヘリカルアンテナの試作実験を行い理論値との比較を行う.
著者
野口 啓示
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.107-118, 2003-09-30

平成13年度の全国の児童相談所における児童虐待相談は、10年前と比べると21倍の23,274件となった。虐待は社会問題であり、被虐待児およびその親に対するケアやサポートは大きな関心事である。本稿においては、家族の再統合を目指し、虐待をした親のケアとして行ったペアレント・トレーニングの実践について論究したい。ここで用いたのは行動療法を基礎としてペアレント・トレーニングとしてアメリカで開発されたCommon Sense Parentingである。 Coercion theoryやsocial learning theoryを基礎として6セッションからなっている。虐待により施設入所となった親に対して行った実践報告を行いながら、虐待の防止・再発防止という取り組みへの本プログラムの有効性やプログラムの特徴について論究する。
著者
野口 啓介
出版者
金沢工業大学
雑誌
KIT progress : 工学教育研究 (ISSN:13421662)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.75-84, 2008-06-01
被引用文献数
3

e-ラーニングの一つのシステムであるWebCTを電子回路授業に用い、学習教材と小テストを学生に提供することにより自学自習の促進を図っている。ここでは学習教材と小テストの作成について示すと共に、WebCTの教員側の機能を用いた学生の学習状況の調査例について報告する。さらに、平成15年度から19年度までに実施したWebCTに関するアンケート調査をまとめ、その代表例について集計結果を示す。
著者
向井 基 高松 英夫 野口 啓幸 田原 博幸 加治 建 矢野 常広 坂本 浩一
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.579-584, 2003
被引用文献数
1

【目的と方法】当科で経験した小腸原発消化管重複症7例の患者背景,症状,診断・治療,重複症の形態的特徴を示し,症状と形態的特徴との関連を中心に考察を加える.【結果】年齢は1ヵ月から4歳で,性別は男児4例,女児3例であった.合併異常を認めた症例はなかった.重複腸管は全例が回腸にあり,そのうち3例が回腸末端に存在した.形態は7例とも嚢腫型であった.腸間膜との位置関係は重複腸管を腸間膜側に認めた症例が4例,反腸間膜側に認めた症例が3例であった.固有筋層を共有しなかった症例は1例のみであった.異所性胃粘膜は検索可能な6例中4例でみられた.重複症の形態的特徴と,症状との関連の検討では,重複腸管が回腸を圧迫し比較的早期より通過障害を認めた2例では重複腸管と回腸の固有筋層が共有されていたが,年長時まで通過障害をきたさなかった1例では,固有筋層の共有はみられなかった.また,乳児期早期に腸重積で発症した症例では,重複腸管が反腸間膜側にみられ,回腸内腔に突出していた.【結論】消化管重複症は発生部位により臨床像が異なるが,今回の小腸原発症例のみの検討からも重複腸管の形態の違いにより,症状とその発現時期が異なることが予想された.
著者
野口 啓介 水澪 不雄 山口 尚 奥村 善久 別段 信一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.402-409, 1999-03-25
被引用文献数
7

小形アンテナの一つとして2線式メアンダラインアンテナ(2線式MLA)を取り上げ, その広帯域化について検討を行っている.素子を2線式にすることによりバランスモードとアンバランスモードの二つのモードの電流を流すことができ, 放射抵抗のステップアップとバランスモードのインピーダンスの反共振特性を利用することによってアンテナ自身で広帯域化が可能となる. 入カインピーダンスを放射抵抗, Q, 共振周波数を使って表し, その式において周波数の変化率を表すパラメータuを導入することにより広帯域化について考察している. 広帯域化に必要なバランスモードとしての平行2線の特性インピーダンスを20Ω程度まで小さくする必要があり, そのためにはストリップ導体を用いたメアンダラインの構造が有利であることを示している. 更に試作, 実験を行い, 高さ0.11波長の2線式MLAで, VSWRが1.5以下の場合において比帯域幅7.2%が得られている.