著者
金子 守男
出版者
日本海洋協会
雑誌
季刊海洋時報 (ISSN:03852687)
巻号頁・発行日
no.82, pp.11-19, 1996-12
著者
金子 守恵
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.60-83, 2012-06-30 (Released:2017-04-10)

本論は、エチオピア西南部に暮らす農耕民アリの女性土器職人たちの手指の動きを手がかりとし、それが職人の行為や土器の評価にむすびつく過程を描きだすことをめざした。具体的には、職人の手指の動きやその配列を記録し、その動きの配列を経てうみだされる土器を「アーニ(=手)」という言葉で人びとが評価する過程に注目して、職人(の身体)と自然環境が双方向的に関わって(=「交渉」)土器つくりが実践されているととらえる視点にたつ。女性職人は、粘土の採取、土器の成形と焼成、そして市場において社会集団の異なる農民へと土器を販売するまでを担っていた。女性のライフコースと職人が成形できる土器種との関連性について検討すると、結婚したばかりの女性職人のなかに、成形途中や焼成後に土器が壊れてしまって生計をなりたたせることができないものがいた。本論でとりあげた職人Dは、約6ヶ月のあいたに自らのアーニにあわせて一定の配列を確定させるべく試行錯誤を続けた。一方、土器の利用者である農民は、アーニという土器つくりの行為に関わる表現をもちいて土器を評価し、その土器を介して社会集団を超えた盟友的な関係を職人とむすんでいた。このことを手がかりにして本論では、手指の動きの配列は、個々の職人と環境との関わりの歴史であり、それが前提となって社会的な関係が形成されていると論じた。手指という身体が自然環境との絶え間ない「交渉」を続ける過程で私のアーニという認識がつくりだされ、さらにそれはアリの人びとのあいだで新しい土器のかたちを創りだしていることも示唆された。土器を介した人びとのむすびつきは、環境や他者との関わりによって見いだされる自らの身体的な経験を基盤にしていた。手指の動かし方だけをとりあげると、それは土器を成形するうえでの微細な身体動作でしかない。だがその動作はそれが連鎖となって一定の配列を確立すると、異なる社会集団を架橋するような社会的な実践として認識され、さらには身体を基盤としたコミュニティをとらえる切り口となる可能性をもっている。
著者
谷津 三雄 弓削 朝子 坂本 嘉久 金子 守男
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.250-255, 1989-03-20
被引用文献数
1

連合軍から昭和21年4月15日に歯科教育審議会の設置を指示された.それにもとづき決定された「昭和22年歯科教育審議会に於いて決定せる教授要綱」を資料とし,戦後の日本歯科教育を運命づけた「標準学科課程」の別表を中心に述べた.
著者
重田 眞義 伊谷 樹一 山越 言 西 真如 金子 守恵 篠原 徹 井関 和代 篠原 徹 井関 和代 峯 陽一 西崎 伸子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究プロジェクトは、エチオピアにくらす人々によって絶え間なく創り出される様々な知(=在来知)の生成過程をこれまで認識人類学がふれなかった「認識体系と社会的な相互交渉の関係」と、開発学が扱わなかった「有用性と認知の関係」の両方を射程に入れて、グローカルな文脈に位置づけて解明した。さらに、この研究であきらかになった点をふまえて、研究対象となる社会への成果還元に結びつくような研究活動を展開した。
著者
李 真 仲野 隆士 金子 守男 守能 信次 江橋 慎四郎
出版者
中京大学
雑誌
中京大学体育学論叢 (ISSN:02887339)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.1-10, 1989-03-15

本研究では, 20歳代の人は地域スポーツクラブへの加入率が低く, 参加頻度も低い, ということが明らかにされた。次にこうした傾向をもたらす原因を, 調査結果に基づき考察を進めた。以下に示す3つが, その考察の結果である。1. 年齢が低ければ低いほど, 地域に対する共通の愛着感, 統一感, 永住意識などといった帰属意識が低くなる。2. さらに, 年齢が低ければ低いほど, チームへの帰属意識も低くなる。3. ほかの角度からみると, ニュースポーツ, あるいは流行のスポーツや趣味・娯楽といった余暇活動を行う人は中高年の人よりも20代の人が多い。このことから, 20代の人は活動範囲が広く, 特定の地域スポーツクラブの以外の余暇空間を占めているのではないかと考えられる (図2参照)。また, T市では, 若い人は技術・勝利志向のほうが強いこと, そして技術・勝利志向の人は参加頻度が高いということは, 「若い年齢層」(A) と「技術・勝利志向」(B) と「参加頻度」(C) の積事象, すなわち, A∩B∩Cの式で表すことができる。そして, 若い人は地域スポーツへの参加頻度が低いということは, (A∪B∪C)-(A∩B∩C) の式で示され, しかも, そのうちの一部分であると考えられる (図3)。T市の地域スポーツ活動の現状は, 若い人たちは中高年の人々より, よくスポーツ活動を行うが, 地域スポーツクラブに加入する人が少なく, チームのスポーツ活動への参加頻度が低くなっているという傾向にあるのではなかろうか。そして, T市の地域スポーツクラブの個々のチームは年齢構成の点から次にのべるように, 大きく二つに分かれている。一つは, 若い層のチームで, 技術・勝利志向が強いというチームであり, もう一つは, 中高年層のチームで, ゲームを楽しむ, あるいは健康のためにスポーツをするといった志向のチームの二つである。このことは, 参加者間の親睦や交流を図ることにチーム活動の目的を置くと, 地域スポーツ活動への若者の参加が減り, 反対に競技パフォーマンス・レベルの向上にチーム活動の目的を置くと, 中高年者の参加が減っていくという傾向を示唆している。自由回答 (資料a〜d) は, こうした傾向を述べた典型例であるが, 特に, T市ではチーム構成員が中・高年齢層に傾斜しつつあることを反映している。こうしたことから, より多くの若者を地域スポーツ活動へ参与させていくため, そして地域スポーツ活動に参加する人々の活動欲求を充足させていくために, クラブの組織構成や運営方法, あるいは施設管理にまで至るソフト・ハード面をいかして充実させ, 発揮させていくか, ということが今後の地域スポーツに課せられた主要な課題であると考えられる。
著者
金子 守恵
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アフリカの人々による「ものをつくり・つかう方法(=技術)」が製作者と利用者のものと身体を介したコミュニケーションにより創造され続けていることをライフヒストリー法により描いた。個々の製作者が身体を介して試行錯誤し環境と独自の関わり方を見いだしていること、その視点を技術文化複合に加える重要性を提示した。個々人の技術的な差異に積極的な価値を付与していく事が内発的発展を展開する可能性につながると提起した。