著者
金田 勝幸 出山 諭司 李 雪婷 張 彤 笹瀬 人暉
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.155, no.3, pp.135-139, 2020 (Released:2020-05-01)
参考文献数
16

ストレスは麻薬や覚醒剤などに対する欲求を増強させる.薬物欲求増強は一旦中止した薬物を再摂取してしまう再燃につながると考えられることから,欲求増強に関わる神経機構の解明が重要である.薬物欲求には,腹側被蓋野,側坐核,内側前頭前野(mPFC)などから構成される脳内報酬系に加え,報酬系と密接に関わる脳幹の背外側被蓋核(LDT)が関与する.また,ストレス時には,mPFCおよびLDTでのノルアドレナリン(NA)レベルが上昇する.したがって,ストレスによる薬物欲求増強に,これらの脳部位でのNA神経伝達の亢進が関与している可能性が推測される.そこで,コカイン条件付け場所嗜好性試験(CPPテスト)に拘束ストレス負荷を組み合わせる実験系を考案し,この仮説を検証した.ポストテスト直前に拘束ストレスを負荷することで,CPPスコアの有意な増大,すなわち,コカイン欲求の増強が認められ,この増強はLDTへのα2あるいはβ受容体拮抗薬の局所投与により抑制された.さらに,コカイン慢性投与後の動物から得たLDTニューロンでは,NAにより抑制性シナプス後電流が抑制されたことから,コカイン摂取により抑制性シナプス伝達に可塑的変化が誘導され,これが,LDTニューロンの興奮性を増大させることが示唆された.一方,NAはα1受容体を介してmPFC錐体ニューロンの興奮性を上昇させた.また,mPFCへのα1受容体拮抗薬の局所投与はストレスによるCPP増大を抑制し,さらに,薬理遺伝学的手法によりmPFC錐体ニューロンの活動を選択的に抑制することによっても,ストレス誘発性CPP増大は減弱した.以上の結果から,ストレスにより遊離の亢進したNAがLDTおよびmPFCニューロンを活性化させることで,コカイン欲求行動を増強させると考えられる.したがって,NA神経伝達の制御が,再燃に対する治療薬・治療法の開発につながることが期待される.
著者
今井 新太郎 玉木 徹 Raytchev Bisser 金田 和文 曽根 隆志 木内 良明
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2015-CG-158, no.11, pp.1-6, 2015-02-20

白内障手術の際に眼内レンズが挿入されるが,後遺症として光源とは別の位置に光のぎらつき (グレア) を知覚することやコントラストの低下が挙げられる.Quality of Vision (QOV) の向上のために眼内レンズ挿入眼の見え方の質について調査することは重要である.本研究では,遠近に焦点を合わせることができる多焦点眼内レンズの見え方の質について調査することを目的とし,光線追跡シミュレーションに基づく網膜像作成手法と Modulation Transfer Function (MTF) を算出する方法を開発した.網膜像による定性的評価と MTF による定量的評価により,多焦点眼内レンズの見え方の質を単焦点眼内レンズと比較検討した.
著者
堀 雅夫 金田 武司
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1101-1106, 2009 (Released:2010-07-22)
参考文献数
6
被引用文献数
2

日本の乗用車市場に、ICEVに代わってHEVとPHEVを導入することによる、長期的なエネルギー需給構造の変化とCO2排出削減の効果を、ロジスティック曲線を用いた導入シナリオにより評価した。登録車・軽自動車の平均的な走行パターン、電池価格、電池容量などを想定し、エネルギー費用を含む車両保有の経済性についても調べた。
著者
小松 知広 伊東 浩太郎 村岡 宏隆 平原 尚久 岡田 俊也 一木 俊吾 板倉 剛 金田 隆
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.42-47, 2021 (Released:2021-04-01)
参考文献数
15

Background and Purpose: In recent years, a titanium-zirconium alloy(Ti-ZrO2)showing improved mechanical properties compared with commercially pure titanium(Ti)has been introduced. On magnetic resonance imaging(MRI), metal artifacts of dental implants often make diagnosis difficult in clinical situations. Therefore, it is very important to compare metal artifacts of Ti and Ti-ZrO2 dental implants using MRI. However, few studies have made this comparison. The purpose of this study was to investigate and compare metal artifacts of titanium and Ti-ZrO2 dental implants. Materials and Methods: The phantom used in this study was composed of a hollow cylinder with an outer diameter of 20.0cm, and a removable rod of 1.0cm in diameter was placed along the phantom’s central axis. Ti and Ti-ZrO2 alloy implants were placed on this rod. All subjects underwent imaging with a 1.5T MR scanner(Intera Achieva® 1.5T: Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)with a SENSE head 8-channel coil. The imaging sequences included turbo spin echo(TSE)T1-weighted imaging(T1WI), TSE T2-weighted imaging(T2WI), short tau inversion recovery(STIR), and single shot echo planar imaging diffusion-weighted imaging(DWI). The full width at half maximum (FWHM) of metal artifact in each phase-encoding direction and frequency-encoding was measured on Image J. The Mann-Whitney U test was used to compare FWHM between Ti and Ti-ZrO2 implants. p-values less than 0.05 were considered to indicate significance. Results: The phase-encoding direction and frequency-encoding of FWHM were significantly different between Ti and Ti-ZrO2 implants on T2WI(p <0.01)and DWI(p< 0.05). There was no significant difference between each material on T1WI and STIR imaging. Conclusions: This study suggested that the Ti-ZrO2 implant is affected by metal artifacts less than the Ti implant on MRI.
著者
杉浦 令人 畠中 泰彦 荒井 友章 櫻井 宏明 金田 嘉清
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.225-228, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
7
被引用文献数
4 1

〔目的〕膝関節伸展の等張性収縮における力─速度の関係の立証や等尺性最大トルクを推定する上で,人体にとって計測の安全性を担保するための適切な負荷を検討した.〔対象〕20~30代の健常男性6名とした.〔方法〕ハイスピードビデオカメラで撮影した映像を動画編集ソフトウェアにて連続静止画へ変換し,画像計測ソフトウェアの角度ツールを用いて角速度,関節角度を求めた.最小負荷では20%,30%,40%1RM,最大負荷では100%,130%,150%,160%1RMにおける角速度を比較した.〔結果〕最小負荷では3条件に有意差はなく,最大負荷では150%と160%の間以外に有意差があった.〔結語〕最小負荷は40%,最大負荷は150%が適切な負荷であると考えられた.
著者
松瀬 学 佐野 昌行 金田 竜成
出版者
日本スポーツマネジメント学会
雑誌
スポーツマネジメント研究 (ISSN:18840094)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.15-27, 2021-12-15 (Released:2022-02-22)
参考文献数
14

The purpose of this study is to clarify whether university sports clubs have governance structure for their coaches. 202 universities, members of Japan Association for University Athletics and Sport (UNIVAS), were surveyed. Among 98 universities (48.5%) that responded to the survey, 24 said there were ethical and compliance violations during 2016-2019 at their sports clubs. At more than 90% of universities, non-university staffs are coaching at clubs. These coaches are not selected through universities’ official process. The Study found that this leads to the lack of clarity for responsibilities. In addition, 51% of universities have ethical and compliance rules stipulated. Only one third have established athletic departments that supervise overall sports activities. As a conclusion, university governance is not functioning fully for supervision and management of sports club coaches.
著者
渡辺 裕明 金田 康正
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第53回, no.アーキテクチャサイエンス, pp.65-66, 1996-09-04

計算機による研究テーマの1つであるシミュレーションの分野において,モンテカルロ計算は非常に多くの乱数を必要とする.乱数発生法の一つとして,ロジスティック写像による擬似乱数発生手法が提案されている.本稿では,ロジスティック写像により得られた値をIEEE倍精度型実数表現のビット列として見なしたとき,その系列の一様性と乱雑さについて述べ,高速に発生可能な一様乱数発生法としての検討を行う.その結果,RISCワークステーション上で,標準ライブラリ関数であるrand( )とrandom( )と比べて高速に擬似乱数系列を発生できることがわかった.
著者
渡辺 裕明 金田 康正
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.65-66, 1996-09-04
被引用文献数
3

計算機による研究テーマの1つであるシミュレーションの分野において,モンテカルロ計算は非常に多くの乱数を必要とする.乱数発生法の一つとして,ロジスティック写像による擬似乱数発生手法が提案されている.本稿では,ロジスティック写像により得られた値をIEEE倍精度型実数表現のビット列として見なしたとき,その系列の一様性と乱雑さについて述べ,高速に発生可能な一様乱数発生法としての検討を行う.その結果,RISCワークステーション上で,標準ライブラリ関数であるrand( )とrandom( )と比べて高速に擬似乱数系列を発生できることがわかった.
著者
金田 憲明
出版者
土地改良建設協会
雑誌
土地改良 (ISSN:09162577)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.2-8, 2010-07
著者
金子 勝之 山崎 亮太 藪 李仁 曽山 美和 熊野 可丸 金田 勇 梁木 利男
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.8-13, 2001-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9

ポイントメーキャップにおいて爪化粧料は, 口紅に次いで主要なアイテムとして使用されている。さらに近年, ネールサロンやネールアートの台頭で, その使用者はますます増加し, 重要な化粧料に位置づけられてきている。このネールエナメルに求められる特性として, 「乾きが速い」「はがれにくい」「仕上がりが均一でつやに優れる」「爪に優しい」「つやや仕上がりの持続」等が挙げられ, その中で特に「乾きの速さ」に関する要望が強く, 常に求められる機能の上位に挙げられてきた。これに対し, 溶剤の揮散により被膜を形成する速乾性タイプのものが種々上市されてきたが, 塗布後の仕上がりの美しさが損われることから, これ以上の乾燥速度の短縮は困難とされていた。今回は「エナメルが乾く」という現象をまったく新しいユニークな発想で捉え, ネールエナメルの乾燥時間を飛躍的に短縮し, 超速乾性を実現した「水で乾かすエナメル」の技術開発を例に速乾性エナメルについて概説する。