著者
饗場 直美 金田 雅代 中馬 和代 遠山 致得子 廣田 美佐子 村井 栄子 赤松 美雪 川本 輝子 西尾 佳代 亀ヶ谷 照子
出版者
神奈川工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

栄養教諭制度の導入以降10年間の学校給食の変化と給食の食育展開や、学校での食育の連携について実態調査を実施した。 全国7県の研究チームで、平成17年、21年、26年の3年間の給食献立内容について解析した結果、主食+主菜+副菜が明確な献立の増加、野菜の提供の増加、和洋中の献立の区別の明確化、献立中の食塩量の減少などが明らかになった。一方、設備などの環境要因も献立作成に影響を与えていた。給食を活用した食指導状況をみると、食育の6つの観点の中で、「食事の重要性」の観点をもたせた献立が増加していた。 以上のことから、栄養教諭はより意図の明確な献立を作成し給食指導を行って来たことが明らかになった。
著者
金田 晋 樋口 聡 原 正幸 奥津 聖 菅村 亨 青木 孝夫 外山 紀久子 松本 正男
出版者
東亜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

21世紀の初頭にあたって、アジア美学は、世界美学の多元化のもとで、辺境の地位から表舞台に登場した。そのような比較美学の視点から、アジアの藝術思想を事象に即して再検討し、新しい問題地平を開発しようとした。1)「藝術」という西欧近代美学で形成された枠を突破する必要がある。それは高級な教養としての藝術を娯楽に向かって開放する(シュスターマン教授を共同研究者として示唆を得た)。それはまた美的という価値概念をエポケーして、生の感性をむき出しにすることとも通じる。アジアの身体思想から新たな身体・感性論を開拓せんとした(樋口聡等)。2)訓練、練磨は、西欧美学においては新しい技術を身につけるための準備を意味していた。だが東洋で、それは座禅が端的に示しているように、何よりも身体から日常生活の惰性や先入観を洗い落とし、無の境地を開くための身体的行為であった(青木孝夫等)。3)感性的図式としての時間と空間は、西欧近代美学においてはっきり区別され、とくに言語は時間的継起において捉えられてきた。それに対して、東洋の漢字に代表される言語観において、書字は言語的行為にどこまでも浸透し、空間的並列として直観されるところに特色をもつ。カリグラフィーが言語の新しい可能性を開拓する(奥津聖等)。4)諸藝術ジャンルについての、事象に即した研究。中国の音楽(原正幸等)、日本近代の人形劇(澤井万七美)、絵画(菅村亨等)、色彩問題(金田)。スタッフ外から西アジアの工芸の発表(福田浩子)。5)古代ギリシャの陶器画に見られるアジアのイメージについての実証的研究(長田年弘)。現代の演劇パフォーマンスにおけるアジア・イメージ(外山紀久子)。アジアは内なる者の自覚としてだけでなく、他者によって作り上げられたイメージとしても捉えられるべきである。そこにはナショナリズムの問題も加わるであろうし、また共同研究に参加された藤川哲による、現代芸術におけるアジア・ブームの分析。
著者
小林 健太郎 金田 章裕
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.78-98, 1988-05-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
143
被引用文献数
1 1

比較的実りの多かったこの10年間の日本歴史地理学の成果のうち,以下の6つのテーマについて,その動向を紹介した。 作物栽培の起源は縄文早期に,水田稲作は縄文晩期に湖るようであり,水田分布は弥生中期に本州北端にまで達し,弥生・古墳期の水田のほとんどが極めて小区画であるという従来とは大きく異なった考古学的知見が得られた。 2) 古代都市の復原研究が進み,中国と日本の都城の比較研究も行なわれて,類似点と相違点についての知見が加わった。日本における都市計画の起源にかかわる議論も行なわれた。交通路の研究も活発であり,律令期における整然とした直線状の道路計画の展開の実状が知られるに至った。これらの都市や主要施設の立地・配置とその計画における同時代の人々の空間認識についての議論も始められた。 3) 条里地割と条里呼称法とからなる条里プランが,従来の通説とは異なって, 8世紀の中頃に完成したものであることが判明し,それが古代・中世において果した役割や,広範囲に分布する条里地割をめぐる議論・分析が進んだ。古代・中世の条里地割内部やそれ以外の部分の土地利用についての研究も主要な研究テーマの一つとなった。村落の領域や形態についても研究が進展し,広範な集村化現象や散村の展開の事実も知られるに至った。 4) 中世の市場集落の分布や景観についての研究が進展したが,商品流通からみると当時は市場の有機的な階層構造が成立していなかったとの主張も行なわれた。日本歴史地理学の主要なテーマである城下町研究も進展し,特に,先駆的な戦国城下町や城下町の構造をめぐる議論が展開した。 5) 近世の藩政村と村落共同体との関係や,村落の構造に関する研究が蓄積され,労働・結婚をめぐる人口移動についての研究も発表された。従来からの新田開発研究に加え,近世農書を資料とする分析も加わった。 6) 中・近世の日本では,様々な絵図が数多く作成されたが,これらの絵図の従来からの分析に加え,これらを用いて当時の空間認識にせまろうとする研究が始められた。又,中世の説話から生活空間の深層構造にせまろうという研究も展開した。
著者
金田 章裕
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.1-20, 1986-06-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1

条里プランの完成・変容・崩壊のプロセスやその古代・中世における機能について,絵図類における表現に注目しつつ,包括的な検討を進めた。 条里プランは, 8世紀の中頃に,すでに存在していた条里地割に加えて条里呼称法が導入されることによって完成した.これは,三世一身法と墾田永年私財法の下での私領の増大と,それに伴う土地の記録・確認作業の急増に対応するものであったと考えられる.従って,条里プランは律令と共に中国から直輸入されたものでも,班田収授の開始と共に完成した形で存在したものでもなかった・また,唐代中国の一般的な土地表示法とも異なっており,古代日本の実情に合わせて次第に完成度を高めていったものであり,この点では都城プランにおける土地表示法とも同一軌道上にあった. このような条里プランは,一条一巻として作製された班田図に明示されて使用されたが,これには条ごとに里を連続して描いたものと,条ごとではあっても,里を一つ一つ個別に描いたものとがあったと考えられる.現存する絵図類には,この双方の様式を反映したものを確認することができる。 このような条里プランは,班田制崩壊後もさまざまな土地関係の許可あるいは権利・義務などの単位として,中世に至るまで重要な役割を果し続けた.とくに坪の区画が果した意義は大きく,これが今日まで広範囲にわたって条里地割を存続させ,村落景観の基盤となっている大きな理由である. これに対して,里の区画の方は条里呼称の単位として以上の機能を本来は有していなかったが,荘園あるいは村の境界として使用された場合もあった. 条里プランは,定着度の高い地域では16世紀まで機能し続けたが,中世には必要:性や情報量の多寡によって,絵図類などの表現にさまざまな間違いを生じていることもあった. 以上のような条里プランの完成・定着・崩壊のプロセスとともに,土地表示法は典型的には,古代的地名の条里地割に対応する分割ないし再編,条里呼称法と古代的小字地名の併用,条里呼称法のみによる表示,条里呼称法と小字地名の併用,といったプロセスをたどり,遅くとも16世紀末までに,現状のように小字地名のみによる表示法へと変化した.これらの各段階は歴史的な社会的・経済的段階と対応するものであり,同時に日本の村落景観の形成プロセスないし画期にかかわるものである.条里プランは,日本の歴史地理研究において,重要:かつ有効な手がかりとなるものである.

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著者
金田 千秋
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.73, 2018 (Released:2020-03-23)
著者
金田 千秋
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.25-36, 2017 (Released:2018-07-01)

I would like to nominate the thoughts of Hermann von Helmholtz, a celebrated German physiologist and mathematician in the nineteenth century, as a framework for interpreting sculptor Adolf Hildebrand’s great work, ‘Das Problem der Form in der bildenden Kunst’ (1893). It can be clearly inferred from Hildebrand’s letters that he had inspected Helmholtz’s popular papar on the non-Euclidean geometry system. The concept of the “plane” in this paper was decisive. Helmholtz’s thinking experiment, “Can an insect with only plane perception crawling on an egg recognize its three-dimensional curved surface?”, probably influenced Hildebrand’s sculpture-aesthetics, which analyzed the shapes of objects with a series of concepts, “face”, “layer”, “face layer”, etc. Helmholtz’s insight that “The world is made of flat surfaces” had thus profoundly affected the sculptor. What kinds of human abilities are needed to perceive the composition of the world? At the end of the eighteenth century, a controversy broke out between Immanuel Kant and the followers of Gottfried Leibniz about whether to lay the foundation of space on “intuition” or “intuition and concept”. However, Hildebrand’s involvement in this history made him confront the conflict between “intuition” and “intuition and concept”, which unexpectedly led to a serious political and racial problem.
著者
金田 千秋
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.65-76, 2015-06-30 (Released:2017-05-22)

This paper attempts to reveal the philosophical origins of August Schmarsow's theorie of arts in Grundbegriffe der Kunstwissenschaft (1905). In the 1870s, young Schmarsow studied philosophy under the direction of Ernst Laas at the University of Strassburg. His doctoral dissertation, titled Leibniz und Schottelius, suggests his specialized knowledge of G.W.Leibniz. Moreover, Laas was a disciple of Adolf Trendelenburg(1802-1872), a now forgotten, but formerly influential professor of philosophy at the University of Berlin. Trendelenburg's philosophy was founded on the premise that every philosophical category is essentially based on the concept of motion. In Grundbegriffe, Schmarsow presented an esthetic doctrine maintaining that the fundamental esthetic categories - symmetry, proportion and rhythm - are founded on the motion of the human body. This paper examines whether Schmarsow's methods were influenced by Leibniz's and Trendelenburg's thoughts.
著者
金田一 京助
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:24240508)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-20, 1948 (Released:2018-03-27)

It has been contended by physical anthropologists and prehistoric archaeologists that Ezo and Emishi, whose names appear in ancient Japanese history, were distinct from the Ainu. The author, basing his case on documentary and linguistic materials, particularly on place names of Ainu origin in northeastern Honshu, concludes that the Ezo and Emishi were one and the same group with the Ainu, and that they had moved down from the north to settle in northeastern Honshu.
著者
金田 由美 岡本 恭明 尾迫 貴章 前田 浩 徳山 正徳 竹中 義昭 服部 益治 谷澤 隆邦
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.49-54, 2002-04-30 (Released:2008-02-29)
参考文献数
14

症例は12歳男児。ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群に対し,シクロスポリンを併用し症状の改善をみたが,白血球減少症という稀な副作用を認めたため減量を余儀なくされた。追加治療としてLDL吸着療法を試み,血中コレステロール値,LDL値が吸着療法前値に戻った約2ヵ月後,ステロイドを再開したところ著効し,完全寛解を得ることができた。LDL吸着療法の効果発現機序は明らかでないが,難治性ネフローゼ症候群において薬剤感受性の改善や吸着療法による未知の物質を吸着除去することによる臨床的改善効果の可能性が示唆されたので,若干の考察を加え報告する。
著者
金田 明子
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.43-55, 2006

In his book, The Concept of Logical Consequence, Etchemendy claims that the currently standard model-theoretic account of logical consequence is "the interpretational semantics" and does not capture logicality. The purpose of this paper is to defend the model-theoretic account from Etchemendy's criticisms. Through comparison with Sher's "Tarskian logic" and her model-theoretic definition of logical constants, I aim to demonstrate that the basis of Etchemendy's arguments are mistaken. I then explain that the model-theoretic account of logical consequence guarantees its logicality by the semantic functions of logical constants.
著者
中田 幸造 山川 哲雄 金田 一男 黒木 正幸 ヌリ モハンマド ザヒッド ジャバディ パシャ
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.85, no.778, pp.1633-1642, 2020
被引用文献数
1

<p> An economic and convenient seismic retrofitting technique based on the thick hybrid wall (THW) technique reported by Yamakawa<sup>1)</sup> is proposed. In the proposed technique, a cast-in-site partial hybrid wing-wall is built using additional concrete sandwiched by steel plates and high-strength steel bars (PC bars) prestressing. The aim of this technique is to enhance the lateral strength, stiffness, and ductility of soft-first story reinforced concrete (RC) buildings that are vulnerable to large seismic excitations. In the THW technique, the retrofitted section consisting of an additional wing-wall with short depth and the existing RC column are unified together as one unit using channel-shaped steel plates and tightened with PC bars. Since the additional wing-wall is not reinforced by longitudinal or transverse bars, the technique is convenient and cost effective. The important structural aspect of the THW technique is increasing the flexural strength as well as ductility by ensuring that all the longitudinal bars in the existing RC column yield in tension due to the increment of the internal moment lever arm, which results from the increase in the neutral axis depth into the additional wing-wall. To verify the efficiency of the proposed THW technique from the perspective of flexural strength, the equations to evaluate ultimate moment resistance in the retrofitted THW column section was proposed<sup>3)</sup> based on the ACI stress block parameters, which consider the condition that all longitudinal bars yielded under tension in the existing RC column, and the additional wing-wall was in the compression side. Furthermore, the equation to calculate the minimum additional wing-wall length ratio was also proposed to estimate the affordability of the THW technique in Ref. 3).</p><p> This study aimed to experimentally investigate the shear resistance and shear strength of the arch mechanism of the RC column retrofitted by the THW technique. From the test results of the retrofitted RC column showing a flexural failure mode, the proposed equations of the ultimate moment resistance<sup>3)</sup> of the THW technique were verified.</p><p> Experimental investigations were conducted on six specimens. In this study, two types of specimens were considered. One was a retrofitted RC column with no bonding force between the concrete and embedded longitudinal bars, thereby generating the arch mechanism. The other was a retrofitted RC column with bonded longitudinal bars to evaluate the flexural strength. In brief, the conclusions are as follows: (1) Bonded specimens for which the THW technique is applied showed flexural behavior with high ductility involving the tension yielding of all longitudinal bars in the existing RC column, and the calculated results of proposed equations are in good agreement with the test results. (2) The application of the THW technique not only creates a connection between the RC column and additional wing-wall, but also increases the shear resistance greatly. (3) In the unbonded specimens, the compression zone of the RC column for the arch mechanism was greater than 0.5D, and the zone was distributed from 0.8D to 1.0D. (4) Based on the test results and observations, an equation was proposed to evaluate the shear strength in the case of the THW technique following the proposed concept of the shear resistance (arch) mechanism with a nonuniform section of compression strut. The calculated results of the proposed equation are in good agreement with the test results showing shear failure mode.</p>