著者
末次 信行 Nobuyuki Suetsugu 千里金蘭大学 教養教育センター
巻号頁・発行日
vol.13, pp.169-173,

殷代武丁期(前1250~前1192※)に突然出現する「卜辞」について、その出現の歴史的経緯を検討したものである。そのうえで、城郭が無いという、当時の都市としての殷墟の欠陥を、「卜辞」の「盟約的機能」が代替する役目を果たし、神聖封建王朝として、あるいは戦士国家として発展する基礎を築いたという仮説を提出する。※この年代については『中国歴史紀年手冊』(気象出版社、2002年)による。一応の目安で絶対的なものではない。
著者
金谷 良夫 Kanaya Yoshio
出版者
神奈川大学
雑誌
麒麟 (ISSN:09186964)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.31-38, 1997-02-01
著者
金子 杏弓 高橋 史
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
no.16, pp.21-26, 2017-06

本研究では,被援助志向性に影響を及ぼす感情的側面として心理的負債感を仮定し,心理的負債感を感じやすい者ほど他者に対する援助要請への志向性が低いという仮説を検証した。大学生・大学院生92名を対象に質問紙調査を行った結果,被援助志向性と心理的負債感の聞には統計的に有意な相関がみられず,仮説は支持されなかった。この結果は,被援助志向性と心理的負債感がそれぞれ独立して援助要請行動に影響を及ぼしている可能性を示唆している。今後は,被援助志向性および心理的負債感が援助要請行動に及ぼす影響について検証を重ねる必要がある。
著者
金子 龍司
出版者
史学会 ; 1889-
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.125, no.12, pp.1989-2010, 2016-12
著者
玉木 香 谷口 典正 松畑 出 金井 成行
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.555-560, 2005-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

糖尿病に対して灸と牛車腎気丸がどのような効果を及ぼすかを糖尿病が自然発症するOLETFラットと発症しないLETOラットを用いて検討した。雄性OLETFラット5週齢18匹と雄性LETOラット5週齢6匹を4群に分けた。I群は, 腎兪と脾兪相当部位に週2回灸を行った。II群は, 牛車腎気丸 (1000mg/kg) を週5回強制経口投与した。III群 (OLETF) とIV群 (LETO) は, 無処置にした。刺激前後の体重, 血糖値, 尿中微量アルブミン, 痛覚域値, 血流量を測定し, 32週齢の腎臓と膵臓の組織を観察した。I II III群は, 生長とともに体重, 血糖値および尿中微量アルブミンともIV群に比べて, 有意な増加が認められた。ただしI II群はIII群に比べて増加抑制がみられた。痛覚閾値では, I II群はIII群に比べて, 遅延抑制が認められた。血流量は, I群でのみ低下抑制が認められた。組織では変化が認められなかった。灸及び牛車腎気丸は, 糖尿病の発症・進行抑制に少なからず効果があると考えられた。
著者
木田 森丸 金城 和俊 大塚 俊之 藤嶽 暢英
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.85-93, 2017

過去20年の研究でマングローブ林は熱帯森林生態系でもっとも炭素賦存量の多い生態系のひとつであることが示されており、その生態学的役割が注目されている。マングローブ林は河川を通じて流域および沿岸海域とつながっており、河川中の溶存態の有機物(Dissolved Organic Matter, DOM)を鍵としてマングローブ林の炭素循環および生態学的役割を議論することは重要である。DOMは生態系を支える栄養塩や微量金属元素のキャリアーとして働き、沿岸域の豊かな生態系を下支えしている可能性があるが、その機能性や循環速度は組成(構成成分割合)に応じて変化することが予想される。そこで本研究では、DOMの多くの機能を担い、かつ微生物分解に対して難分解性とされるフミン物質の組成をDOMの質的評価法として取り入れることで、沖縄県石垣島吹通川マングローブ林流域におけるDOMの特性把握を試みた。源流から海にかけて採水試験した結果から、吹通川のフミン物質割合は源流から海にかけて減少する傾向を示し、フミン物質割合の低い海水との混合および林内土壌へのフミン物質の凝集沈殿が示唆された。また、吹通川源流水中のフミン物質割合は他の非有色水系河川に比べて高く(60.9〜75.9%)、マングローブ林を含む沿岸生態系へのフミン物質の供給源として重要な役割を果たしていることが示唆された。加えて、マングローブ林内で採取した表層0〜25 cmの土壌から超純水を用いて水抽出有機物(Water Extractable Organic Matter, WEOM)を逐次抽出し、WEOM溶液中のフミン物質割合を測定した。その結果、電気伝導率の低下に伴いWEOM溶液のフミン物質濃度は大きく増加し、フミン物質が液相に移行溶出されることが確認された。これらの結果は、海水塩の影響により、マングローブ林内土壌に難分解性のフミン物質が選択的に保持されることを示唆するものであり、マングローブ林土壌の有機炭素貯留メカニズム解明に向けた大きな糸口を示したと言える。
著者
桐山 裕二 金沢 健雅 濱島 吉男 阿部 篤朗 橋本 かおり 藤原 寛樹 秋山 篤子 山井 庸介 清水 豊 本村 一郎 一和多 俊男 平岡 仁志 長尾 光修
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.338-343, 1999

症例は21歳, 男性。20歳時よりうつ病, 心身症で某医にて加療歴あり。深夜に泥酔状態で帰宅し, 酸素スプレーと誤って家庭用殺虫剤を吸入した。翌朝になって発熱, 咳嗽, 血痰, 呼吸困難が出現し近医で胸部異常影を指摘され, 当科紹介入院。入院時の胸部X線では両側S^6主体の肺胞性浸潤影が認められ, 発症経過からリポイド肺炎が考えられたため, パルス療法と抗生剤による治療を施行した。全経過中に胸水貯留像や結節状陰影など多彩なX線像を呈したが, ステロイド療法継続により線維化像をみることなく改善した。本症例では組織診断は得られなかったが, 気管支洗浄液のガスクロマトグラフ質量分析の結果において, 誤って吸入したとされる殺虫剤成分に含まれるケロシンと同一成分が気管支洗浄液中に検出されたことより外因性リポイド肺炎が強く疑われた。