著者
佐久間 大 高石 哲巳 今井 智貴 長谷川 勝久 室田 真男
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.91-103, 2019-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
26

本研究の目的は,模擬授業内の出来事や状況を,実際の授業の状況に近似させることである.上記の目的を達成するため,児童生徒役である大学生の演技を補助する児童生徒のイメージカードを用いた模擬授業をデザインした.(1)これを教職志望者が参加する授業に取り入れて実践し,臨場感に対する主観的評価を得た.(2)さらに本研究でデザインした模擬授業で起こる模擬状況が,実際の授業の状況とどの程度近似していたかについて現職教員8名の評価を得た.分析の結果,本研究でデザインした模擬授業で得られる臨場感が,中位校を想定した模擬授業においては,従来型の模擬授業のそれよりも高く,実際の授業に近いものであることがわかった.また,教師役,児童役の両者にイメージカードを配布する模擬授業デザインの臨場感が,中位校を想定した模擬授業においては,児童役のみにイメージカードを配布する模擬授業デザインのそれよりも実際の授業に近いことが明らかになった.
著者
岡田 三津子 長谷川 勝久 小橋 愛子 鈴木 弥生 原之薗 裕三枝 大田 恵子 筒井 康子 角田 智恵美 岡 敏江
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.63-78, 2008

昨年、我が国では10〜20代を中心に麻疹が流行し、高校や大学の休校が相次いだ。九州女子短期大学および九州女子大学では、麻疹対策のために2007年と2008年に無料で学生に抗体価測定を実施した。抗体測定にはHI法またはEIA法を用い、麻疹抗体が陰性と判定された学生(HI抗体価:8未満、IgG抗体価:4未満)に対してはワクチン接種を勧奨した。本研究では九州女子短期大学養護教育科に所属する学生の麻疹ウィルス抗体保有状況を把握するために質問票調査を行った。麻疹の既往や過去のワクチン接種に関しても同時に調査した。質問票の回収率は94.5%だった。解析の対象はウィルス抗体価を測定し、質問票に回答した九州女子短期大学養護教育科学生209人であり、そのうちHI抗体価測定者は70人、IgG抗体価測定者は139人いた。HI抗体価を測定した学生の約47.9%が8以上で陽性と判定されたのに対し、IgG抗体価測定者では、約77%が抗体価4以上で陽性あった。HI抗体価においてもIgG抗体価においても麻疹の既往は抗体保有に関連している傾向があった。幼児期の麻疹ワクチン接種は、麻疹の既往のない学生において、抗体保有との関連が認められなかった。一方、例数が少ないが、麻疹既往がある学生においては幼児期ワクチン接種者のほうが抗体価の維持ができていない可能性が示唆された。
著者
柴崎 浩一 渡辺 卓也 長谷川 勝彦 山脇 敏裕
出版者
日本歯科大学新潟短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

H. pyloriの初感染時期を推測する目的で、園児とその両親を対象に唾液中のH. pylori DNAの検出を行った。園児のH. pylori DNA検出率は年齢とともに上昇する傾向がみられ、4歳児と5歳児の間で有意に上昇していた。H. pylori陽性であった園児の母親のH. pylori陽性率は陰性児の母親の陽性率に比し有意に高率であった。これらは園児における初感染は3歳未満で起こっており、4.5歳間でも感染の危険性が高いことを示している。さらに、H. pylori陽性児の母親の陽性率が高かったことは母親から園児への感染が最も重要であることを示している。
著者
長谷川 勝志
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.306-310, 2019-06-24 (Released:2019-08-30)
被引用文献数
1

歴史継承の新しい方法として最新技術であるヴァーチャルリアリティを活用したコンテンツ製作を行ってきた。仮想空間ではコンピュータグラフィックスとプログラミングによりどのような世界も作り出すことができる。私たちはこの技術を活用し原爆投下前後の広島を復元した。1945年8月6日、あの日の体験が可能なこのコンテンツはモダンな建物が立ち並ぶどこか懐かしい街並みから投下後の焼け野原まで、地獄と化した広島の疑似体験が可能である。遠い日の出来事を体験を通し身近に感じることができるこのコンテンツは新らたな平和継承の手法として有用であると考える。
著者
溝口 弘泰 長谷川 勝男 古川 秀雄 宇野 秀敏 大貫 伸
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産技術 (ISSN:18832253)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.27-36, 2010-09
被引用文献数
1

日本の海岸に漂着する大量のゴミは年間約15万トンであり,美観を損ねるだけでなく生態系まで破壊する問題となっている。漂着ゴミ発砲スチロールを回収し油化することによって得られるスチレン油を,軽油と混合し漁船エンジン等で使用することができれば,新しい循環サイクルを構築することができる。本研究では,漂着ゴミ (発砲スチロール) から抽出されたスチレン油を軽油と混合し (5wt%,10wt%,15wt%,20wt%),エンジン試験を行い,燃焼特性,排気特性ならびに耐久性について比較検討した。スチレン油の動粘度が小さいため,混合率20wt%が使用限度となる。それぞれの混合油の燃費率,排気温度ならびにCO2濃度は軽油と比較して,特段の変化は見られなかった。混合油のNOx濃度とスモークは,軽油と比較して混合率が高くなるに従い増加傾向となった。混合油 (10wt%) 使用での32時間耐久試験を行い,エンジンヘッドを開放し燃焼室の汚れ具合を軽油使用後と比較した結果,カーボンの付着具合ならびに吸排気弁裏側の汚れについては同等であった。以上のことより,漂着ゴミ発砲スチロールを油化して生成されるスチレン油は,軽油と20wt%までの混合であればディーゼル機関の燃料として使用できる可能性があることが示唆された。
著者
松本 純 長谷川 勝 松井 景樹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.132, no.1, pp.67-77, 2012-01-01
参考文献数
14
被引用文献数
1 12

In this paper, a novel position sensorless control method for interior permanent magnet synchronous motors (IPMSMs) that is based on a novel flux model suitable for maximum torque control has been proposed. Maximum torque per ampere (MTPA) control is often utilized for driving IPMSMs with the maximum efficiency. In order to implement this control, generally, the parameters are required to be accurate. However, the inductance varies dramatically because of magnetic saturation, which has been one of the most important problems in recent years. Therefore, the conventional MTPA control method fails to achieve maximum efficiency for IPMSMs because of parameter mismatches. In this paper, first, a novel flux model has been proposed for realizing the position sensorless control of IPMSMs, which is insensitive to <i>L<SUB>q</SUB></i>. In addition, in this paper, it has been shown that the proposed flux model can approximately estimate the maximum torque control (MTC) frame, which as a new coordinate aligned with the current vector for MTPA control. Next, in this paper, a precise estimation method for the MTC frame has been proposed. By this method, highly accurate maximum torque control can be achieved. A decoupling control algorithm based on the proposed model has also been addressed in this paper. Finally, some experimental results demonstrate the feasibility and effectiveness of the proposed method.
著者
松田 秋彦 橋本 博公 谷口 裕樹 寺田 大介 三好 潤 溝口 弘泰 長谷川 勝男 世良 亘
出版者
海洋理工学会
雑誌
海洋理工学会誌 (ISSN:13412752)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.47-51, 2017 (Released:2017-07-07)
参考文献数
12

As seaborne trade has greatly increased in recent years, it becomes more difficult to secure crew of ships. Therefore, it is an important issue how to realize unmanned robot ships which can automatically navigate without collisions even in congested waters. Although Rolls-Royce is planning to build a remotely controlled ship in 2020, standard control technology for unmanned ships has not been developed yet. Therefore an automatic collision avoidance system is discussed by carrying out not only computer simulations but also model experiments prior to the tests using actual vessels. For this purpose, the authors built an experimental system for the validation of automatic collision avoidance algorithm. In this paper, model experiments using multiple ships conducted at Marine Dynamics Basin at National Research Institute of Fisheries Engineering are introduced. Through comparisons with numerical simulations which the same algorithm for collision avoidance is implemented, it is found that there is a discrepancy in occurrence of collision in extremely congested situation.
著者
中村 維男 杉本 理 小林 広明 萩原 将文 後藤 英介 深瀬 政秋 長谷川 勝夫 FLYNN Michae MICHAEL Flyn
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究では、脳構造化スーパーコンピュータの解析と統合およびその性能評価を目的として、スタンフォード大学と東北大学が共同研究を行うことを計画した。このために、研究代表者と研究分担者は合計10回の研究連絡会議を開いた。その内訳はスタンフォード大学で8回、東北大学で2回である。これらの会議では、日米の研究協力者も適宜討論に参加した。その他、計算機アーキテクチャの分野で指導的立場にある研究者を招いての会議も開催した。さらに、日常的には電子メールによる研究連絡を頻繁に行った。その結果、研究計画の項目毎に以下に示す実績を得ることができた。本年度はこの他にも、機械設計支援システム、並列アルゴリズム、マルチメディアに関する論文、計算機アーキテクチャを指向した計算機ハードウェアに関する著書1冊の実績を得ている。1.脳構造化スーパーコンピュータの統合:研究計画の全項目を脳構造化スーパーコンピュータとして統合した。マインドコンピュータ、表現認識連想記憶メモリ、脳波学、人口蝸牛殻、過疎分散メモリ、波状パイプライン、ジェットパイプライン、論理型アーキテクチャ、記号処理アーキテクチャ、機能型アーキテクチャ、コンピュータグラフィックスの役割を考慮に入れ、脳構造化スーパーコンピュータにおける位置付けを明確に図示した。2.過疎分散方式メモリの構築:脳構造化スーパーコンピュータにおいて過疎分散方式メモリと対をなす波状パイプラインシステムに関して、CMOS VLSIベクトルユニットによる実装設計を行った。さらに、脳構造化スーパーコンピュータにおける処理とデータ伝送に不可欠のベクトルマシン、スーパースカラプロセッサ、マルチプロセッサなどの超高速プロセッサとコンピュータネットワークについての問題点と指針を明らかにした。3.RIGHTコンピュータの解析:スーパーコンピュータで脳機能を実現するための方法論に関するこれまでの研究をさらに発展させ、階層構造を有する分散型連想記憶メモリシステムを用いた脳構造化スーパーコンピュータの概念的モデルを明確にした。特に、このモデルに関してのRIGHTコンピュータの解析を行った。さらに、概念的モデルと具体的モデルの融合を試みた。これらの研究成果は近く公表の予定である。4.超並列記号処理システムの構築:超並列記号処理システムをVLSIで構築することを目的として、この研究の基礎となる学問の体系化を行い、1冊の図書にもとめた。さらに、VLSIの設計に関する独自の方法について研究を行った。得られた成果をもとに現在論文を作成中である。5.脳の処理モデルの研究:医学的な見地から遺伝子と脳の相互作用を検討し、脳の処理モデルの独創的な研究を展開している。これらの研究成果は近い将来公表の予定である。6.RIGHTコンピュータの性能評価:RIGHTコンピュータの構成要素であるニューラルネットワークとファジィ推論システムの融合、分散表現を用いた知的情報処理、および連想記憶メモリの性能評価に関して4編の論文を公表した。7.LEFTコンピュータとRIGHTコンピュータの性能評価:LEFTコンピュータとRIGHTコンピュータは、脳構造化スーパーコンピュータの処理部と入出力部に対応する。本研究計画項目では、特にデータ処理と出力を担当するコンピュータグラフィックスシステムの光線追跡法と多重路表現法について、詳細な性能評価を行った。8.RIGHTコンピュータのためのニューラルネットワークの研究:RIGHTコンピュータのためのニューラルネットワークに最近話題のウェーブレット変換を導入し、音声データ処理についての研究を展開した。
著者
長谷川 勝巳
巻号頁・発行日
2002-03

Supervisor:赤木 正人
著者
牧野 秀夫 森下 文仁 阿部 好夫 山宮 士郎 長谷川 勝 石井 郁夫 中静 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.11, pp.3094-3100, 1997-11-25
被引用文献数
12

3次元物体の実時間音声案内を目的に, 同一形状でも種類の異なる物体の識別が可能な音声案内方法を検討した. 具体的には, 従来開発してきたテレビカメラによる図形情報案内システムを基本とし, 更に物体識別には従来の画像処理による方法に代わり, バーコードを用いることとした. しかし, 物体に通常のバーコードを貼付する方法では, 視覚障害者用教材を他の障害者教育に応用する場合問題があり, また日用品等に応用した場合はプライバシー保護の点からも適切ではない. そこで, 通常の可視光領域では検出されず赤外線にのみ優れた反射特性をもつ顔料を用いたバーコードを作成し, これを物体識別用に用いる方法を考案した. 実験では, 識別用の積み木表面に貼付した見かけ上同一色のバーコードから個々の情報が自動的に読み取られ, 更にパーソナルコンピュータに接続された音声合成装置から3秒以内に物体案内情報が出力されることを確認した. 本論文ではリ非可視型バーコードの具体的な検出方法と音声案内結果について報告する.
著者
長谷川 勝久
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.51-66, 2006-02

本稿では、階層構造を持つ情報数学に関する学習課題において、一人ひとりの学習者が異なった情報を持ち寄って行うJigsaw学習に学習効果があることを示した。次に、学習中の言語記録簿をデータとして、そこで起きている学習者相互の会話の質を探った結果、以下のことが明らかになった。階層構造を持つ情報数学に関する学習課題を用いたJigsaw学習では、1階層構造の下位に位置する課題には学習効果が得られず、上位に位置する課題に学習効果が得られる。2自分が説明を担当する課題の成績と、他者から説明を受ける課題の成績との間には、統計的な有意差は見られない。3階層構造の下位、中位の課題において、説明者は、言い換え、メタファーなどを使って自分なりに再解釈を加えた深い思考を伴う説明の発話が多い。4階層構造の上位の課題において、説明を受ける者の質問は、単に内容や理由の説明を求めるだけではなく、自分の知りたいことを明確にし、資料にない内容についても、自分なりの仮説を持った質問の発話が多い。5質問に対する回答は、論拠を伴わない回答の発話頻度と、論拠を伴う回答の発話頻度に有意な差は見られない。6学習の進め方に関する発話は、質の高い相互交渉を引き起こすきっかけとなりうる。