著者
竹沢 尚一郎 関 一敏
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、都市祭礼と山村の祭りの比較研究であり、都市祭礼として福岡市の2つの祭り(博多祇園山笠と博多どんたく港祭り)を、山村の祭りとして宮崎県東臼杵郡椎葉村の祭り(栂尾神楽)を取り上げ、文献調査を通じて個々の祭りの歴史と祭り研究の視点を確立すると同時に、現地調査を実施することでそれぞれの祭りの深い理解をめざした。その結果、いずれのケースとも祭りが地域社会と密接に結びつきながら遂行されてきたこと、とくに地域社会の中にさまざまな対立(年長者/年少者、男性/女性、参加者/観察者・加勢者など)を生み出しながら、それを超えて共同性や共同意識を生みだす働きをしていることが確認された。それぞれの祭りの固有性としては、山村の祭りは生業と密接に結びつきながら発展してきたこと、近代化と過疎化が進行する中でその機能が形骸化するのと対照的に、祭りがはたす成員のアイデンティティ付与の機能が強化されていることが理解された。また、それを観光資源として活用することに対しては、参加者の側に強い抵抗があることが理解された。一方、都市祭礼の方は、過去から現在にいたるまで、農村や周辺の市町村から都市へ人口と資源を吸引させる働きをしていることが確認され、そのために都市祭礼は構成要素間の競争をあおることで、ますます華美・勇壮・盛大になる傾向があることが理解された。都市祭礼と山村の祭りにおけるこれらの機能は、これまであまり研究されていないばかりか、現在進行中のものでもあり、今後の祭り研究の上で有効な視点になると判断される。
著者
草野 凌 吉川 憲一 宮田 一弘 Neil David Parry 石本 立 古関 一則 冨田 洋介 佐野 歩 矢吹 惇 水上 昌文
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12304, (Released:2022-12-09)
参考文献数
23

【目的】Spinal Cord Injury Functional Ambulation Inventory(以下,SCI-FAI)を翻訳し,信頼性を検討した。【方法】国際基準に準じてSCI-FAIを日本語へ翻訳した。不全脊髄損傷者34名を対象とした。評価者2名が動画上でSCI-FAI評価を2回実施した。級内相関係数,Cronbachのα係数,Weighted K係数,Bland-Altman分析を用いて信頼性を確認した。【結果】検者内信頼性Intraclass Correlation Coefficients(以下,ICC)(1, 1)は0.928~0.973,α係数0.967~0.986,K係数は0.713~1.00,1名の評価者に固定誤差・比例誤差が確認された。検者間信頼性ICC(2, 1)は0848,α係数は0.916,K係数は0.349~0.899,固定誤差,比例誤差は確認されなかった。【結論】日本語版SCI-FAIは本邦の臨床設定において信頼性を有する評価であることが確認された。
著者
古関 一則 吉川 憲一 前沢 孝之 浅川 育世 水上 昌文
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.271-279, 2015-06-20 (Released:2017-06-09)
被引用文献数
1

【目的】リハビリテーション病院(以下,リハ病院)入院時点の身体状況から,脊髄不全損傷者の歩行獲得に影響を及ぼす因子および予後予測のアルゴリズムを明らかにすること。【方法】脊髄損傷者87名を対象に診療録より後方視的に調査した。調査項目は入院時の基本情報,神経学的情報,動作能力等を含む14項目とし,退院時の歩行自立度を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。【結果】自立歩行獲得にはASIA Impairment Scale・寝返り・Functional Independence Measure認知合計・Walking Index for Spinal Cord Injury IIが,屋外歩行獲得には受傷年齢・立位が予測因子として挙げられた。【結論】リハ病院において使用可能な客観的予後予測の指標を作成できたことは,計画的かつ効率のよい介入内容の選択や目標の統一を図るうえで大きな意義がある。
著者
大原関 一浩
出版者
摂南大学外国語学部「摂大人文科学」編集委員会
雑誌
摂大人文科学 = The Setsudai review of humanities and social sciences (ISSN:13419315)
巻号頁・発行日
no.26, pp.45-70, 2019-01

20世紀初頭のハワイ日本人移民社会では、酒席で客をもてなす芸妓(あるいは芸者)と呼ばれる女性たちがかなり存在し、日本語新聞の社会面を日々にぎわせていた。本論文は、ホノルル芸妓組合の活動に関する新聞記事を分析し、芸妓が現地の日本人社会やハワイ社会でどのような存在だったのか、検討する。契約労動の時代が終わり、ハワイの日本人社会がしだいに安定すると、耕地から都市部に移り住む日本人が増え、ホノルルでは日本人小規模ビジネスが成長し、それとともに料理屋や芸妓の数が増加した。芸妓として働く女性たちは、組合化を通じて自らの労働環境の整備・向上を図り、職業的自律性を高めていくなかで、当時の日本人女性としてはめずらしく高い収入を得ることができた。しかし同時に、日本人移民の結婚・定住化が進むにつれ、芸妓は家庭にとっての脅威として問題視されるようになり、1920 年に禁酒法が施行されると、芸妓と組合の活動は衰退した。Notes on Activities of the Honolulu Geisha Union, 1900-1920In the early twentieth century, a fair number of Japanese women were working as the Geisha in Honolulu's Japanese community, servicing male customers at dinner tables.This article examines the activities of the Honolulu Geisha Union and the discourse on the Geisha by drawing upon articles published in two Japanese-language newspapers,Hawai Hochi and Nippu Jiji. It argues that the Honolulu Gisha Union was a key institution in advancing the welfare of its members by serving as the mediator between the Geisha and restaurants and disciplining the behavior of its members. The Geisha work provided the women a rare opportunity to earn high wages, but their presence came to be considered a threat to immigrant families as increasing numbers of Japanese immigrants had families and began to settle in Hawaii. The constitutional ban on the sale of alcohol in 1920 gave a devastating blow to Japanese restaurants, resulting in decline in activities of the Geisha and their union in Honolulu.
著者
大原関 一浩
出版者
西南学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

明治・大正期、中国や東南アジアに渡航し売春に従事した「からゆきさん」については注目されてきたが、英語圏の諸外国に渡航した「からゆきさん」についての研究は進んでおらず、未だ解明されていない点が多い。本研究では、アングロアメリカ系が政治的に支配的な勢力を持った太平洋の諸地域―カナダ・アメリカ合衆国・ハワイ・オーストラリア・アラスカ―における性管理のあり方と日本人売買春の実態について検討を行う。そのために、これまで日本国内の研究では十分に利用されてこなかった海外現地における英語の公文書を収集・分析し、どのような論理と社会的状況下で日本人売買春が広まり管理されていたのか、その実態を明らかにする。
著者
関 一敏
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.402-407, 1997-12-30
著者
小谷 哲郎 関 一也 松居 辰則 岡本 敏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.60, pp.37-42, 2003-05-09
参考文献数
16
被引用文献数
5

協調学習環境において、複数の学習者が議論をリアルタイムに行うツールとして、WEBチャットが広く利用されている。議論を活性化するためには、議論の状態を把握して、議論の滞りを解消したり、学習者の発言を誘発する仕組みや、議論に参加する学習者個々の役割を同定する仕組みなどが必要になる。また議論における学習者の役割は、議論の進行状態に応じてリアルタイムに変化する。各学習者のリアルタイムな役割を同定し、議論の場に提示することは、議論を活性化する上で重要であると考える。本稿では、議論進行をモニタリングし、リアルタイムに変化する学習者の役割を発言意図と発言回数などから"好意的発言影響度(協調学習活動の議論における議論を、好意的に方向付ける発言の影響力)"を算出し、WEBチャット上に表示する機能を実装した議論支援システムを提案する。これにより学習者は自己および他者の議論に対する影響力を把握することができ、各学習者の発言意欲を高めることが可能になる。
著者
白石 眞 関 一平 安藤 裕康 中澤 暁雄 伊巻 尚平 長嶋 淳三 高木 妙子 山中 郁男
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.692-695, 2001
被引用文献数
4

A 62-year-male presented a high fever and a dry cough during a trip to Australia. He was admitted to a hospital as soon as be returned to Japan. The next day after returning to Japan, he was transferred to our hospital with septic shock and loss of consciousness. <I>Neisseria meningitidis</I> was cultured from his blood. <I>N. meningitidis</I> is rare in Japan. However its seems common, in some foreign countries. With these findings, it can be postulated that <I>N. meningitides</I> might be one of the etiological agents of the imported infectious disease.
著者
内藤 喜之 関 一 小林 暁 伊藤 公一 亀井 宏行
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

FM-CW(周波数変調-連続波)レーダーは、周波数検出方式なので、微弱な反射もとらえ易いと考えられるので、土層の判別能力もパルスレーダより優れていると考えられる。また、アンテナの周波数帯域内に、発信周波数を収めることもできるので、リンギングも抑えられ明瞭な画像が得られると期待される。本研究では、まずFM-CWレーダの試作からはじめた。スロットアンテナを用いた500MHz〜1GHz帯域のレーダ,300MHz〜500MHz帯域のレーダなどを試作し実験を重ね、最終的には中心周波数300MHzのボウタイアンテナを用いたFM-CWレーダシステムを完成させた。このFM-CWレーダは、送受別体の2台のアンテナを持ち、発信周波数は、100MHzから500MHzの400MHzの帯域で、三角波状に周波数変調をかける。この三角波の周期は、5msec,10msec,50msec,100msecの4種類を選択できる。走査する時は、車輪のついた台車の上に乗せて引くか、そりに固定して牽引する。変調三角波の周期は50msecを用いた場合、周波数変調速度は16Hz/nsec(=400MHz/25msec)となり、パルスレーダで30nsecの深さ(土の比誘電率25とした時90cmの深さに対応)はFM-CWレーダでは、480Hzに対応する。このレーダを用い、長崎県壱岐郡原の辻遺跡、茨城県ひたちなか市殿塚1号墳、宮崎県西都市都原古墳群横穴墓、岐阜県大垣市昼飯大塚古墳、大阪府岸和田市久米田貝吹山古墳、岐阜県養老町象鼻山1号墳などで探査実験を行った。とくに原の辻遺跡では、従来のパルスレーダでは捕らえられなかった水田下の環濠がFM-CWレーダでは捕らえることができ、このレーダの土層判別能力の優位性が証明された。また、土の誘電率を現場で直接測定する方法として、同軸ダイポールアンテナやモノポールアンテナを直接大地に刺入して反射係数から推定する方法を開発した。
著者
草野 凌 吉川 憲一 宮田 一弘 Neil David Parry 石本 立 古関 一則 冨田 洋介 佐野 歩 矢吹 惇 水上 昌文
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.399-407, 2022-12-20 (Released:2022-12-20)
参考文献数
23

【目的】Spinal Cord Injury Functional Ambulation Inventory(以下,SCI-FAI)を翻訳し,信頼性を検討した。【方法】国際基準に準じてSCI-FAIを日本語へ翻訳した。不全脊髄損傷者34名を対象とした。評価者2名が動画上でSCI-FAI評価を2回実施した。級内相関係数,Cronbachのα係数,Weighted K係数,Bland-Altman分析を用いて信頼性を確認した。【結果】検者内信頼性Intraclass Correlation Coefficients(以下,ICC)(1, 1)は0.928~0.973,α係数0.967~0.986,K係数は0.713~1.00,1名の評価者に固定誤差・比例誤差が確認された。検者間信頼性ICC(2, 1)は0848,α係数は0.916,K係数は0.349~0.899,固定誤差,比例誤差は確認されなかった。【結論】日本語版SCI-FAIは本邦の臨床設定において信頼性を有する評価であることが確認された。
著者
菊川 忠臣 小関 一英 大松 健太郎 小林 國男
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-9, 2017-02-28 (Released:2017-02-28)
参考文献数
21

JRC蘇生ガイドライン2010に準拠した10分間のCPRを圧迫単独法で行う場合と,標準法で行う場合でのCPRの質の違いについて,CPR習熟者群(救急隊員)と非習熟者群(一般大学生)間で比較検討した。圧迫単独法は手技が容易であるが,経時的な圧迫深度の低下が標準法に比べて大きかった。標準法では非習熟者群が行う人工呼吸は習熟者群と比べて過剰換気になりやすく(p<0.01),圧迫中断時間が習熟者群に比べて長かった(p<0.01)。圧迫単独法は標準法と比べて疲労度が高い手法であった(p<0.01)。救助者が一人で長時間のCPRを行わざるを得ない場合は,圧迫深度の維持が期待できる標準法が適しているが,人工呼吸に伴う胸骨圧迫の中断時間を最小限にとどめる必要がある。
著者
尾関 一将 桜井 伸二 田口 正公
出版者
日本水泳・水中運動学会
雑誌
水泳水中運動科学 (ISSN:18806937)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.4-11, 2015 (Released:2015-03-05)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

The aims of this study were to evaluate performances during the start phase using both the kick start and the track start and to compare kinematic parameters for sex differences. Eleven male and 10 female elite collegiate swimmers executed the two start techniques in random order. Trials were recorded using three synchronized video cameras sampling at 60 frames/s and analyzed in the 2-dimensional sagittal plane. Paired t-testing was used to compare all variables between the two techniques. When differences in kinematic parameters were observed, absolute differences between with or without start plate were calculated. Two-way analysis of variance was used to compare parameters between males and females. In male swimmers, block time and 15-m time were significantly shorter for the kick start than for the track start. Horizontal velocity and speed at take-off were greater for the kick start than for the track start. In female swimmers, the 15-m time was significantly shorter for the kick start than for the track start. Horizontal velocity at take-off was greater for the kick start than for the track start. In addition, 15-m time was comparably improved by using the kick start for both male and female competitive college swimmers.