著者
金丸 芳 遠藤 千鶴 高橋 啓子 松下 純子 後藤 月江 武田 珠美 長尾 久美子 有内 尚子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】前大会で、徳島県における行事食・儀礼食の認知と経験、料理の喫食の状況を年齢区分別で比較した。そこで今回、県を地形の特徴で4区分した地域の現状を比較した。 <br>【方法】調査は留め置き法で行い、10年以上徳島県在住者240名を、徳島市105名・北部(平野部)49名・西部(山間部)47名・南部(沿岸部)39名に4区分し、行事の認知と経験、料理の喫食についてクロス集計(有意差:&chi;<sup>2</sup>検定)をした。 <br>【結果】<u>徳島市は</u>人日の経験度、お節の黒豆・昆布巻・きんとん・魚料理、人日の七草粥、上巳の潮汁の喫食度が高く、百日祝の経験度は低いが、行事全体でみると高い傾向にあり、豊かさが伺えた。<u>北部は</u>土用の丑、百日祝、結納の経験度、お節の田作り・煮しめ・蒲鉾、上巳の潮汁、結納の各種料理の喫食度が高いが、お節の魚料理の喫食度は低かった。他地域より結納、土用の丑の行事を重んじている傾向があった。<u>南部は</u>クリスマスの経験度が高かった。一方、経験度の低い行事は、秋祭り、冬至、土用の丑、結納であり、喫食度の低い料理はお節の黒豆・田作り・昆布巻・きんとん・煮しめ、節分の鰯料理、上巳の潮汁、冬至の南瓜煮物、お七夜の尾頭付魚、初誕生の餅、葬儀の精進料理、結納の各種料理であった。漁業が盛んな沿岸部にも関わらず、魚料理の喫食が低かった。<u>西部は</u>秋祭り、冬至の経験度、節分の鰯料理、冬至の南瓜煮物、お七夜の尾頭付魚、初誕生の餅、葬儀の精進料理の喫食度が高く、人日、クリスマスの経験度、お節の蒲鉾・肉料理、人日の七草粥の喫食度は低かった。他地域では経験度・喫食度の低い行事が西部では高い傾向にあった。以上、地域間に有意差があり、重視する行事に特徴が認められた。&nbsp;
著者
高橋 啓子 松下 純子 後藤 月江 遠藤 千鶴 金丸 芳 有内 尚子 田村 咲江
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.166, 2005

<br>【目的】昨年、徳島県の魚食の実態について調査した結果、魚の入手方法では自給、もらうという回答が多かった。そこで本研究はその背景を明らかにするとともに、魚食の状況や魚を使用した郷土料理の摂取について現状を把握することを目的とした。<br>【方法】魚食の状況を把握するために、徳島県居住者を対象に学生を通してアンケート用紙を配布し、留め置き法により記入してもらった。留め置き期間は約2週間で、実施時期は2004年11月_から_2004年12月である。<br>【結果】アンケ_-_ト回答世帯は86世帯であり、調理担当者は40歳代(50.6%)、50歳代(28.3%)であった。魚を購入以外で入手する方法では趣味で釣る(28.3%)、釣ったものをもらう(62.7%)であった。このことは三方を海に囲まれ、大きな河川にも恵まれた環境にある徳島県の余暇の活用として釣りをする人口比率が高いことを裏付けている。摂取頻度の多い魚の調理法は焼き物(37.3%)、なま物(19.8%)であった。また、購入する魚料理も焼き物(26.5%)、なま物(23.0%)、煮魚(13.8%)、すし(13.3%)の順に多く、すしについては二世代世帯の方が三世代世帯よりも購入する割合が高かった(χ2検定:p=0.046)。徳島県の魚を使った郷土料理の摂取状況を現在と過去(10-20年前)で比較すると、アジ、アユ、ボウゼ(イボダイ)などの姿ずしは調理して食べることが少なくなり、購入して食べる割合が高くなっていた。一方、鮎の塩焼き、太刀魚の酢の物などは過去、現在も手作りで食べられていた。徳島県の魚の摂取頻度は現在も多いが、手間のかかる姿ずしなどは中食という形で摂取されている傾向が明らかとなった。
著者
金丸 芳 高橋 啓子 後藤 月江 三木 章江 長尾 久美子 近藤 美樹 松下 純子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】特別研究として次世代へ伝え継ぐ家庭料理について徳島県の聞き取り調査を実施してきた。2014年は寿司、餅菓子について報告した。今回は日常食としての家庭料理のうち<u>おかず</u>について報告する。 <br>【方法】聞き取り調査の地域区分は6地区(県南沿岸部、県南山間部、県中央部、県北部、吉野川北岸、県西部)とした。出現した料理からおかずに分類される料理について地域の特徴を明らかにした。 <br> 【結果】昭和30~40年頃のおかずは自家製の野菜やその地域で生産された食材を使用した料理が多く、各地域でよく出現した料理はれんぶ(でんぶ)、ならえ、干し芋の煮物であった。「れんぶ(でんぶ)」は金時豆や大豆と根菜類との煮物(地域によっては梅干しも)であり、昔は正月のお節料理であったが、近年では日常食として作られている。「ならえ」は精進料理の一品として作られたもので、根菜類や油揚げ、シイタケなどを煮て酢の物にした煮なますである。干し芋には生芋を干したものと茹で芋を薄く切って干した「ゆで干し」があり、どちらもよく食されていた。干し芋の煮物である「かんばの炊いたん」や「干し芋と小豆の煮物(いとこ煮)」は甘めの味付けで、おやつとしても食されていた。また、酢の物、煮物が多く出現し、お浸し、和え物も出現した。南部山間部では芋茎(ハスやズキガシ)の酢の物、たんぽぽのお浸し、クサギとジャガイモの炊き物も挙った。南部沿岸地域ではイタドリと生節や天ぷらとの煮物、サツマイモとネギの煮物があり、ハスと太刀魚の酢の物や鰯のぬたなど魚を使った料理も多い。吉野川北岸地域ではワラビやゼンマイなど山菜の煮物も見られた。この時代は野菜、芋を主材料とし、豆・豆加工品、魚を少々加えた料理が主であった。
著者
里口 保文 山川 千代美 高橋 啓一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.Supplement, pp.S70-S78, 2012-08-15 (Released:2013-02-21)
参考文献数
51
被引用文献数
2 2

近年,第四紀が正式な地質年代区分の一つとしてその定義が国際地質学連合(IUGS)に承認された.第四紀の始まりは更新世の始まりでもあり,地層としての第四系の下限は,鮮新−更新統境界という意味でもある.鮮新−更新統境界の新定義は1980年代に決められた旧定義より下げられ,年代的には約80万年古くなった.本コースでは,近畿地方において旧定義と新定義における鮮新−更新統境界の両方が観察できる古琵琶湖層群において,両者を露頭観察するとともに,陸域における地層にとっての鮮新−更新統境界の意味を考える.
著者
薄井 重雄 高橋 啓一 阿部 勇治 松本 みどり
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.7-17, 2014-03-31 (Released:2017-10-03)

The coronal sutures of nine specimens representing eight species of Japanese three pointed deer from the Pliocene-Pleistocene were investigated. Patterns of the coronal sutures are clearly observed in six specimens representing five species: Cervus praenipponicus from Kawasaki and Ichihara, C. akiyoshiensis from Mine, C. kazusensis from Otsu, C. shimabarensis from Minamishimabara and an unidentified specimen from Taga. It is advantageous to paleontology that the coronal sutural patterns are observable even in fragmentary fossil specimens. Combined with morphology of antlers, it is useful for classification of three pointed deers. The sutures of C. praenipponicus, C. kazusensis and C. shimabarensis are "W"- shape or open pentagonal shape expanding to the rostrad. In contrast, the suture of the Taga specimen exhibits a "V" -shape curve. Therefore, at least two groups are discriminated in Pliocene-Pleistocene three pointed deer species inhabited Japanese Islands. The "W" -shape suture is well observed in the extant Cervinae C. unicolor, C. nippon and C. elaphus, while the "V" -shaped type is seen in C. timorensis, C. eldi, Axis porcinus, Dama dama and Elaphurus davidianus. The Japanese three pointed deer species having the "W" -shaped sutures are closely related to C. unicolor. On the other hand, the Taga specimen having a "V" -shaped suture is supported the relation to C. timorensis or A. porcinus. It conflicts with the general arguments on Cervinae that A. porcinus is not closely related to C. unicolor or C. timorensis. The Taga specimen needs further reaserch utilizing other skeletons from the same locality to determine its taxonomic position.
著者
松下 純子 後藤 月江 金丸 芳 遠藤 千鶴 長尾 久美子 有内 尚子 高橋 啓子
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.42-48, 2014

日本の調理文化の地域性の特別研究のうち,平成21年から平成22年に「行事食・儀礼食」についてアンケート調査を行った。徳島県に10年以上在住する人を対象に,正月を除く年中行事について30歳未満,30歳以上50歳未満,50歳以上の年代区分に分類し検討した。人日,端午の節句,七夕,土用の丑,盂蘭盆,重陽の節句,春分の日,秋分の日,冬至,秋祭りでは,認知率および経験率の双方に年代区分で有意差がみられた。節分「巻き寿司・のり巻き」,土用の丑「うなぎの蒲焼き」は行事食としての喫食率が高かった。春分の日,秋分の日の「ご飯・だんご」,春祭り,秋祭りの「ご飯・すし」は,若い世代への伝承が薄れていることが推察された。全ての年代区分で年末のクリスマス,大みそかは行事として定着しており,「ケーキ」や「年越しそば」を多く食べていた。多くの行事食は以前には家庭で作ったが,現在は買う入手方法へ変化しており,特に50歳以上で顕著であった。
著者
高橋 啓介
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
医療福祉研究 (ISSN:13497863)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.30-36, 2006
被引用文献数
6

The purpose of this study is to clarify the effects of relative color temperature and illuminace of room lighting upon the evaluation of residential living space. In this study, 10 kinds of residential living spaces were simulated and in each case, the relative color temperature (2800K, 5000K, and 6700K) and illuminace (200lx, 400lx, 800lx) of the room lighting were systematically manipulated. I analyzed how these two factors affected the evaluation of each residential living space. The analysis suggests that 1) the kind of room lighting preferred changed in accordance with the kind of residential space; 2) high relative color temperature and high illuminance were preferred in spaces used for cognitive activities; and 3) low relative color temperature and low illuminance were preferred in spaces for relaxation.
著者
高橋 啓子 山内 博 益子 まり 山村 行夫
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.613-618, 1990-06-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
19
被引用文献数
3 7

We studied the role of S-adenosylmethionine (SAM) as a methyl group donor in the methylation of inorganic arsenic in mammalians.The SAM and S-adenosylhomocysteine (SAH) levels in the livers of untreated hamsters were 74.3±8.2 and 40.0±6.4nmol/g, respectively. The SAM level was 63.9±6.5nmol/g following oral administration of 1.5mg/kg of arsenic trioxide, which was 14% lower than the control level (t-test, p<0.05). This fall of the SAM level in the liver presumably derived from the SAM having acted as a methyl group donor.Oral administration of 1.5mg/kg of arsenic trioxide once only to hamsters pretreated intraperitoneally with 2.0mg/kg of SAM once only gave the following arsenic levels in the liver and urine. The dimethylated arsenic (DMA) levels in the livers of hamsters treated with SAM plus arsenic trioxide were significantly high, that is, 2 times as high as the control value at 6 hours, and 1.5 times as high as the control value at 24 hours after the administration of arsenic trioxide. The urinary DMA excretion rate in the hamsters treated with SAM plus arsenic trioxide during the first 24 hours after the administration was significantly higher, that is, higher by 36%, than the control value. The urinary DMA excretion rate following pretreatment with SAM was not dose-dependent. Pretreatment with methionine failed to exert any significant acceleratory effect on the methylation of arsenic trioxide.The decreasing pattern of the SAM level in the liver following administration of arsenic trioxide and the DMA behavior in the liver and urine following administration of SAM and arsenic trioxide revealed that SAM accelerated the methylation of inorganic arsenic. In other words, it appeared that SAM could be a very potent methyl group donor to inorganic arsenic.
著者
高橋 啓太 大須 悠季 李藤 ヘンドリー 安藤 公一
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.205-206, 2010

多種多様な製造フィーチャを知識ライブラリに蓄積してとけば、工程設計などで用いる製造情報を自由に取り出すことができるようになる。本研究では、各種機械加工作業に用いられる多種多様な製造フィーチャを調査収集し、著者らが開発した製造フィーチャ認識手法が適用可能な表現形式で、ライブラリにまとめた。製造フィーチャライブラリは、開発中のフィーチャベースフレキシブル工程設計システムの中核に位置づけられる。
著者
松田 裕子 中野 孝祐 金山 正範 佐藤 知春 松尾 美里 平良 由紀子 稲嶺 紀子 上村 晶子 梅田 博子 梅野 淳子 江口 みちる 大塚 涼子 梶原 ゆかり 金田 佳代 菅野 朋和 具志堅 三恵 古閑 夏樹 佐藤 有佳里 下村 真介 城間 唯子 平良 美穂 滝本 和子 田口 幸子 蔦谷 美奈子 渡嘉敷 典子 長野 愛 福田 寿子 帆足 羽衣子 松岡 陽子 満崎 裕子 宮里 桂子 安村 由美 若松 奈津美 渡辺 真理 安藤 かおり 井上 かおる 上田 友美 上野 由紀子 甲斐 直美 後藤 綾 後藤 里佳 後藤 さや加 西水 友絵 安部 雄司 益永 美紀 宇都宮 大地 河野 育恵 吉岡 幸子 井村 慎 下森 弘之 後藤 智美 秋吉 真由子 小川 智美 奥 望 蒲原 和也 栗本 俊希 黒木 稔子 合田 奈加 後藤 恵美 佐野 明香 財満 あき 竹内 あゆみ 田村 絵梨 津野 美和 富永 久美子 中島 義及 中村 智久 戸次 つゆ子 松本 一世 松本 千尋 村上 美帆 山田 輝明 山中 由香理 三ヶ尻 克也 高木 恵理 安藤 佳香 内山 智恵 岡 恵美 国広 千恵 栗井 幸恵 後藤 恵 清 真由美 村上 智美 西府 隆行 高橋 啓子 屋良 亮子 大槗 亜理紗 紙屋 喜子 本浦 由希子 森上 奈美 吉田 知子 吉留 紅蘭
出版者
別府大学・別府大学短期大学部司書課程
雑誌
司書課程年報 (ISSN:1343974X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.20-74, 1999-03 (Released:2011-02-28)
著者
沖津 進 高橋 啓二 池竹 則夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.149-155, 1985-12-25
被引用文献数
1

東京都西郊の多摩ニュータウン付近で,落葉広葉樹二次林中のコナラの種子生産を,16本を伐倒し,着果種子を直接数えることによって調査した.1.伐倒木のD. B. H.は8cmから37cmで調査地付近の林冠構成木のほぼ最小から最大までを含んでいた.これらの総健全果数はゼロから878個におよんだ.2.総健全果数は個体ごとに大きく異なり,また,D. B. H.,幹長,樹齢,樹冠投影面積とは明瞭な相関関係は認められなかった.樹冠投影面積1m^2当りの着果数はゼロから54.2個であったが,同じく個体間の差異は大きかった.3.個体ごとの総健全果数は年平均直径成長と大まかながら相関関係が認められ,直径成長の良い個体ほど着果数が多くなる傾向がある.4.枝ごとの着果も枝ごとに差異がみられたが,相対枝順位と枝直径との組み合わせである程度の傾向がみられた:同一順位の枝では太い枝のほうが着果が良かった;直径8cm以下の枝では同程度の直径の枝の場合上位の枝のほうが着果が良かった;直径8cm以上の大枝ではむしろ下位の枝のほうが着果が良くなる傾向にあった.5.枝方位別では南や西向きのものが,北や東向きのものに比べてやや着果が良かった.6.以上のようにコナラ種子生産は個体間や同一個体の枝間で大きく異なるため,小数の種子トラップからの種子生産量の推定は危険であると考えられる.