著者
大林 功実 朝香 卓也 高橋 達郎 佐々木 純 品川 準輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.720-733, 2007-08-01
被引用文献数
9

ファイル共有などで主に利用されているUnstructured型P2Pネットワークでは,べき乗別に従うトポロジーが形成される傾向がある.またコンテンツの人気度の分布にも同様の性質が見られる.そのため隣接ピア数の多いピアにかかる負荷が著しく大きくなり,更に稀少コンテンツを発見できないことによるネットワーク全体のヒット率が不十分であるという問題がある.そこで本論文ではこれら二つの問題を同時に解決する各ピアによる自律分散的なキャッシュ置換え方式を提案する.本論文で提案する方式は各ピアの隣接ピア数に応じたキャッシュ置換えを行うことで,隣接ピア数の多いピアへの過負荷を低減し,同時にネットワーク全体のヒット率を向上させる.またシミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.
著者
田仲 理恵 新熊 亮一 板谷 聡子 小西 琢 吉永 直生 土井 伸一 山田 敬嗣 高橋 達郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.1549-1558, 2015-07-15

商業活動や社会活動においては,人々に情報を伝達して行動を促進する試みがしばしば行われる.社会活動では商業活動に比べて,情報受信者の情報や行動そのものへの興味が薄いことがあり,同じ情報伝達の枠組みでも行動に結び付きにくいという問題がある.そこで本論文では,商業活動において行動促進効果があるといわれているクチコミを用いた情報伝達に着目し,ソーシャルネットワーク上のクチコミによって社会行動を促進する手法について検討を行う.具体的には,ソーシャルネットワーク上での情報送信に対してインセンティブ報酬を与えるモデルを想定して,情報送信そのものに報酬を付与する送信基準方式と,情報送信後に相手が行動を起こした場合に情報送信者に報酬を付与する行動基準方式の2通りを比較した.114名の参加した社会実験結果から,行動基準方式の方が素早い行動が起きること,情報送信時に依頼的なクチコミを付加する方が素早い行動が起きること,行動基準方式は送信基準方式に比べて依頼的なクチコミを付加する割合が高いことが明らかになった.これより,行動基準方式を用いることで情報送信者は依頼的な内容のクチコミを作成する傾向が強まり,それにより行動促進効果があることが確かめられた.
著者
橋井 新治郎 新熊 亮一 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.339, pp.133-136, 2010-12-09

多数のモバイル端末が様々な情報のセンシング機能を有し,それらのセンシング情報を共有することで,人々に局所的,瞬間的に有用な情報を提供するサービスが期待されている.センシングを行うモバイル端末が情報の交換を行うことができるのはモバイル端末同士がエンカウントする(出会う)時のみに限られている.このため,モバイル端末が情報を共有する際に問題となるのが,サービス品質(例えば情報収集量や所要時間)がモバイル端末同士のエンカウント率に依存することである.エンカウント率が低い環境においてはセンシングされた情報の収集性能が低くなり,サービスの品質が低下してしまう.本稿では,ランダムネットワークコーディング(RNC:Random Network Coding)を用いることによる情報収集性能の向上について検討する.特に,バッファ容量の制限とバッファ制御アルゴリズムに対するRNCの特性に着目する.RNCを用いる場合に有効なバッファ制御アルゴリズムの提案を行い,様々なバッファ制御アルゴリズムに対するRNCの性能を計算機シミュレーションにより比較評価する.
著者
中河 隆仁 森 友則 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.457, pp.411-416, 2009-02-24
被引用文献数
3

Unstructured型P2Pネットワークにおいて,コンテンツごとに人気度が異なり,コンテンツのリクエスト数分布やコンテンツのネットワーク上の存在数分布がべき乗側に近い性質を持っていることが報告されている.これにより,フラッディングを用いてコンテンツの検索を行うと,人気度の高いコンテンツは発見しやすいが,人気度の低いコンテンツは発見しにくいという問題がある.さらに,人気度の高いコンテンツを検索する際に無駄なメッセージが多く発生するという問題が生じる.そこで,本稿では,コンテンツの人気度に応じて検索時のTTL(Time To Live)を制御する方式を提案する.本方式では,コンテンツの人気度を過去にそのコンテンツを検索したメッセージが通過した回数で計算し,人気度の高いコンテンツを検索する際には,TTLを小さく設定し,人気度の低いコンテンツを検索する際には,TTLを大きく設定する.これにより,人気度の高いコンテンツを検索する際に,高いヒット率を維持しながら無駄なメッセージが減少し,かつ人気度の低いコンテンツのヒット率が向上する.結果として,P2Pネットワーク全体で高いヒット率を維持させながら,メッセージ数を減少させる効果が期待できる.また,本稿では,シミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.
著者
坂本 佑樹 高橋 達二
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

ReynoldsによるBoidsモデルの提案以来、様々な角度から群れモデルの研究が行われてきた。また、近年の動画解析技術の向上により、現実の動物の群れの中にスケールフリー相関、相転移等の概念が新たに発見された。しかし、これらを踏まえた上での各モデル間の比較検証は十分ではない。本研究では既存のモデルについて比較分析を行った。
著者
高橋 達也 深尾 彰 藤盛 啓成 山下 俊一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

マーシャル諸島共和国は、34の環礁と火山島が太平洋中部に点在して構成されている島国である。ここでは、合衆国によって1946-58年の間に66回の核兵器実験が行われた。多くの住民は放射性ヨードやセシウムなどを含んだ放射性降下物を呼吸器あるいは消化器からを体内に取り込んだ。この体内からの放射線被曝(内部被曝)による晩期障害として甲状腺がん罹患増加が予測された。そこで1993年から、現地住民の甲状腺検診を開始し4762名の被曝住民のコホートを確立した。そのコホートのベースライン情報を用いた横断研究では、(1)生年がビキニ水爆実験(1954年)以前の年齢層では甲状腺がん有病率が1.5%と極めて高値である、(2)甲状腺がん有病率は被曝推定線量と関連が認められる可能性があるという結果を得た。しかし、低線量被曝晩期効果としての甲状腺がん有病率と被曝量との関連について統計学的に明確な結論を得ることができなかった。この原因の一つが、放射線被爆量推定の精度の低さと考えられた。そこで、本研究ではこのコホートの個人別甲状腺放射線被曝量を推定した。現在のところ、(1)1954年のブラボー実験で被曝したロンッゲラップ環礁住民の被曝線量を基にした簡易推定、(2)各環礁の残留放射性セシウム量を基にした被曝線量率を考慮しないモデルによる推定、(3)各環礁の残留放射性セシウム量を基にした被曝線量率を考慮したモデルによる推定を行った。(1)の推定を用いた研究結果では約5cGyを超える被曝量の集団では明瞭な線量反応関係が得られた。(2)、(3)の推定を用いたモデルでは統計学手に有意ではないが放射線被曝量と甲状腺がん有病率の間に両反応関係を認めた。今後、追跡で得られた総死亡と甲状腺がん罹患を用いた検討を行う予定である。
著者
西村 友伸 大用 庫智 高橋 達二
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.191-196, 2012-11-09

本研究では甲野により提案された可変参照型緩対称推論をモンテカルロ木探索に応用させ,その効果を測る為にリバーシのAI に実装し,モンテカルロ木探索で広く利用されているUCT を実装したAI と対戦させた.その結果ある程度のプレイアウトの上ではUCT に勝ち越し,可変参照が木探索においても有効に作用することが分かった.
著者
丹波 健 横田 健治 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.126, pp.47-52, 2010-07-08
参考文献数
16

近年,UGC(User Generated Content)が人気を獲得しており,様々なUGCを配信するサービスが提供されている.その一つとして,ニコニコ動画というサービスが挙げられる.ニコニコ動画では,利用者が動画を見ながらコメントを投稿することができ,他の利用者がその動画を視聴したときにそれが動画上に表示される.本サービスで,コメントは動画への付加情報と位置づけることができる.ユーザから付与される付加情報は,将来的に大容量化する可能性がある.その際に問題となるのは,クライアント-サーバ方式を用いた通信では,トラヒック量の増大に伴い,配信ウェブサーバの負荷が高くなることである.したがって,P2P(Peer to Peer)ネットワークを利用して,大容量化した付加情報をピア間で共有し,ウェブサーバ負荷を減少させるシステムの構築が必要である.本稿では,情報追加型UGCにおける付加情報をP2Pネットワークを利用してピア間で共有するECTI(Effectively Collect with Time Information)方式を提案する.ECTI方式は,クエリに時刻情報を記録してフラッディングさせることで,記録された時刻よりも後に投稿された付加情報だけを選択的に発見し,収集の際のトラヒック量を削減する.本稿では,計算機シミュレーションによって,ECTI方式の評価を行い,その有効性を示す.
著者
與語 一史 新熊 亮一 小西 琢 板谷 聡子 土井 伸一 山田 敬嗣 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.372, pp.85-90, 2011-01-13
参考文献数
13

コンテンツアップロードとリンク形成の2つの要素で構成される,SNS(Social Networking Services)でのユーザ行動を活性化させるインセンティブ付与メカニズムを提案している.ユーザが異なるプライバシー設定(「全体に公開」と「友人に限定して公開」)でコンテンツをアップロードする際に感じるリスクの違いに注目し,その違いに基づき報酬の配分を行う.報酬配分により,コンテンツ閲覧数によって測られるSNSの活性度がどのように変化するのかを調査するため,SNSをモデル化し,学習ベースのシミュレーション行う.これにより,報酬配分比率によってSNSの活性度が制御できることを示す.また,活性度を最大化させる配分比率は報酬源の総和に依存することを示した.本稿では,アップロードコンテンツ数ならびに形成されたリンク数の増加が活性度にどのように寄与するか,調査した結果を報告する.
著者
與語 一史 新熊 亮一 小西 琢 田仲 理恵 板谷 聡子 土井 伸一 山田 敬嗣 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.228, pp.145-150, 2009-10-08
参考文献数
9

SNSをはじめとするソーシャルグラフを形成するサービスは,新たな情報流通プラットフォームとして注目されている.しかし,そのようなサービスにおいて,現在,積極的な情報提供が得られていないという問題がある.その理由として,多くのユーザにとって,情報提供のリスクなどの心理的コストが,提供した情報に対するフィードバックなどから得られる心理的効用より大きいことが挙げられる.そこで,本稿では,ユーザの貢献行動にインセンティブを与えることによって情報提供を促進する方法を提案する.我々の知る限り,SNS上でのインセンティブ付与に関する議論は学術的にはまだなされていないため,本稿では,まず,ユーザの行動・心理的要因のモデル化と成長するソーシャルグラフのモデル化を行う.そして,ユーザの貢献に基づく報酬付与方法を提案し,構築したモデル上でシミュレーション評価を行い,その有効性を示す.
著者
高橋 達彦 平野 菅保
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.111-112, 1993-09-27

1変数の4次方程式の解を求める場合、一般的には、ニュートン法等による反復解法や、直接解法としては、フェラリ法(Ferrari:1522-1565)が用いられることが多いが、反復解法よりも、直接解法の方が都合の良いことが多い。その理由としては、次のようなことが挙げられる。(1)直接解法の方が、経験的なことであるが、反復解法よりも演算回数が少ない。(2)計算時間の予想、すなわち、計算機使用費用の見積もりが容易である。4次方程式の解法であるフェラリ法では、3次の係数を零にする座標変換を行うので、それによる情報落ちによって、4次方程式に含まれる4つの解の中で絶対値の小さい解は精度が悪くなるという問題がある。ここで述べる、ブラウン法は座標変換を行わず、4次式を2つの2次式の積に直接変形するアルゴリズムである。現在、用いられているブラウン法では、実際に有限桁で解を求めると、絶対値が桁違いに異なる解を持つ場合には、絶対値の小さな解は、計算途中における桁落ちの誤差によって、相対誤差が大きく入り、正確な値は求められない。今回、演算によって桁落ちする計算式を桁落ちの起こらない計算式に変更することによって、絶対値の小さな解も、与えられた係数の精度より当然得られる精度で求めることができた。
著者
北 英紀 日向 秀樹 近藤 直樹 高橋 達
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi = Journal of the Ceramic Society of Japan (ISSN:13486535)
巻号頁・発行日
vol.115, no.1348, pp.987-992, 2007-12-01
被引用文献数
1 3

Exergy is a measure which can commonly deal with the quantification of the variety of resources, products and energy coming in and going out the systems in manufacturing process. In this study, exergy consumption analysis was performed on ceramic parts. The exergy of the intrinsic to the materials and energy were calculated and then the degree of process efficiency (defined as the ratio of fixed energy to input in this report) was evaluated. Results revealed that the process efficiency was 5.5% in total, suggesting that the most part of input exergy was lost as a thermal enthalpy and wastes. Particularly, a lot of exergy was consumed and the process efficiency was low in granulation and sintering steps, then, the approaches to improve the efficiency were discussed.
著者
高橋 達
出版者
東海大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2004

今年度は、通風と天井扇により室内気流を促進させた二重屋根採冷システムの室内熱環境における快適感・温冷感の変化を定量的に把握するために、試験家屋を用いた被験者実験を行なった。昨年度と同様に東京都立川市にある試験家屋を実験に使用した。特に、天井扇による対流促進の実験のために、天井に扇風機(定格電力使用量43W/台、天井付近の平均風速2.65m/s)を2台設置し、天井表面に気流をあてて室空気を冷やし、室内気流を促進した。実験パターンは「夜間換気」「天井扇による対流促進」「通風」の3つであり、いずれも葦簾による日射遮蔽・天井散水・夜間換気(定格電力使用量4Wの換気扇で20:00〜翌6:00に50m^3/h)を実施しており、被験者はそれぞれ16人、15人、15人である。2006年8月1〜20日に被験者実験を行なった結果、以下のことが明らかになった。1)いずれの実験パターンにおいても相対湿度が50〜85%で高かったにも関わらず、MRTが低めに抑えられていたため、90%の申告割合で温度・湿度について「許容できる」という申告が得られた。2)「天井扇による対流促進」の実験では、外気温30℃以上のときに作用温度28℃未満で温冷感申告が「涼しい」側になり、快適感申告は「快適」側になった。「通風」の実験では、外気温30℃以上のときに温冷感申告が「涼しい」側と「暑い」側とでほぼ半々であり、快適感申告はほぼ「快適」側になった。
著者
布施 安隆 高橋 達
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.74, no.635, pp.33-38, 2009-01-30

This paper describes a study on "exergetic" design method to efficiently utilize nutrient matter contained by domestic wastewater and its results. The followings were found. An algorithm to purify domestic wastewater and to efficiently utilize its nutrient matter is derived. Only in the case of purifying wastewater by the combination of soil and vegetation such as small wetland, if the area of a vegetation site is 5〜13m^2 at least, exergy production by plants absorbing nutrient matter will exceed exergy consumption by a power plant and the other mechanical eguipment. Cascade use of domestic wastewater must be significant. A combined treatment septic tank or a multi-layering soil tank consumes "chemical exergy", vegetation site fixes of chemical exergy and absorbs "concentration exergy", and outdoor thermal environment is cooled by "wet exergy" consumption in summer. If the area of vegetation site is 20-40m^2 at least, exergy production by palnts will exceed exergy consumption by power plant and vehcles transporting compost on 50km/year.