著者
高橋 陽子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, 2011-04-15
被引用文献数
1 1 2

繊維質とは,自然に放置しても分解されにくく,動物によっても消化されにくい成分のことを指す.本来,ヒトの消化酵素で消化されない繊維質は,生理的意義が低い非栄養素とされてきたが,難消化性の繊維質はヒトの健康維持に重要な役割を果たすことが次第に知られるようになった.食物繊維とは多糖類のひとつであるが,日本食品標準成分表2010では「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」と定義されている.ヒトの炭水化物消化酵素であるアミラーゼは,デンプンを構成している糖分子のα結合を分解できるが,食物繊維を形成しているβ結合を分解する能力がない.従来,食物繊維はエネルギー源にならないと考えられていたが,実際は,消化されない食物繊維の一部が腸内細菌により発酵分解されて短鎖脂肪酸とガスになるため,エネルギー量はゼロにはならない.また,食物繊維はタンパク質,脂質,炭水化物(糖質),ビタミン,ミネラルに次いで,ヒトに不可欠な第六の栄養素として数えられるようになっている.<BR>食物繊維は水に溶けない不溶性(water-insoluble dietary fiber ; IDF)と水に溶ける水溶性(water-soluble dietary fiber ; SDF)に大別される.一般的に食物繊維は,食物の咀嚼回数や消化液の分泌を増加させたり,便通や腸内環境を改善したりするが,不溶性と水溶性で異なる生理作用もある.不溶性食物繊維は保水性が良く,便量の増加や腸の蠕動運動の促進,脂肪や胆汁酸,発がん物質等の吸着・排出作用がある.水溶性食物繊維は,糖の消化吸収を緩慢にして血糖値の急な上昇を抑える糖尿病予防効果,胆汁酸の再吸収を抑えてコレステロールの産生を減らす脂質異常症の抑制効果が期待できる.また,水分を吸収してゲル化するため,胃腸粘膜の保護や空腹感の抑制作用がある.<BR>不溶性食物繊維には植物体を構成するセルロース,ヘミセルロース,リグニン,エビやカニ類の外骨格成分であるキチン・キトサンがある.セルロースは植物の細胞壁の主成分で,野菜や穀類の外皮に多く含まれる.グルコースがβ-1,4結合により直鎖状に連なってリボン状に折り重なる構造をしているため,力学的に強固な物質である.ヘミセルロースも細胞壁を構成する不溶性食物繊維であるが,セルロースを構成するグルコースが他の糖で置換された多糖類である.糖分子の種類によって水溶性が異なり,マンナン(グルコマンナンとも呼ばれるコンニャクの成分.グルコースとマンノースがβ-1,4結合したもの),β-グルカン(キノコ類や酵母類に含まれる.グルコースがβ-1,3または-1,4結合したもの),キシラン(細胞壁の成分であるキシロースがβ-1,4結合したもの)等がある.リグニンは果物や野菜の茎,穀類の外皮に含まれる木質の繊維である.キチンはセルロースに構造が似ているが,N-アセチル-D-グルコサミンが連なるアミノ多糖であり,キトサンはキチンからアセチル基が除かれたD-グルコサミン単位からなるものである.水溶性食物繊維にはガム質,ペクチン,藻類多糖類等が分類される.ガム質は植物の分泌液や種子に含まれている粘質物で,代表的なものにグアー豆に含まれるグアーガム(マンノース2分子に1分子のガラクトースの側鎖をもつ多糖類)がある.ペクチンはガラクツロン酸がα-1,4結合した構造をしており,腸内細菌では分解できるがヒトの消化酵素では分解できない.果物類に多く含まれ,水分を吸収してゲル化する性質があり,砂糖と酸を加えて加熱調理するジャムやゼリーの製造に利用されている.藻類多糖類には渇藻類に多いアルギン酸,紅藻類に多いフコイダン,寒天の主成分であるアガロース等がある.この他に,トウモロコシを原料として人工的に合成されるポリデキストロースや難消化性デキストリンも食物繊維として使用されている.<BR>食物繊維の摂取目標量は,日本人の食事摂取基準(2010年版)によると,18歳以上では1日あたり男性19g以上,女性17g以上とされている.日本人の食物繊維摂取量は,食生活の欧米化や穀類,芋類,野菜類,豆類の摂取減少の影響を受けて第二次世界大戦後から年々減り続けており,実際の摂取量は若い世代を中心に目標量を満たさない状況が続いている.
著者
高橋 陽子 玄田 有史
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.29-49, 2004-01-31

20万人に達する高校中退者および中学卒非進学者の労働市場には,高校卒以上に就業環境の悪化が予想されるものの,その実像は明らかでない.本稿では35歳以下の無業者に関する調査を用いて実証分析し,高校中退者は卒業者に比べて,明らかに学校をやめた直後に正社員となる確率が低いことを確認した.ただしそれと同時に,中退だから正社員になりにくいという傾向は,年齢を経るに従って解消されていくこともわかった.さらに中退者は学校をやめた直後に正社員となりにくいが,正社員となった後の就業継続でみれば,高校や中学の卒業者との違いは存在しないことも発見された.中退者が正社員としての就業が困難なのも,継続志向の弱さや認知能力といった資質のせいではなく,高卒以上に本人能力や志向に適った就業機会に出会いにくいことの結果である.
著者
高橋 陽子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.186, 2011-04-15 (Released:2011-05-31)
参考文献数
2
被引用文献数
4 1

繊維質とは,自然に放置しても分解されにくく,動物によっても消化されにくい成分のことを指す.本来,ヒトの消化酵素で消化されない繊維質は,生理的意義が低い非栄養素とされてきたが,難消化性の繊維質はヒトの健康維持に重要な役割を果たすことが次第に知られるようになった.食物繊維とは多糖類のひとつであるが,日本食品標準成分表2010では「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」と定義されている.ヒトの炭水化物消化酵素であるアミラーゼは,デンプンを構成している糖分子のα結合を分解できるが,食物繊維を形成しているβ結合を分解する能力がない.従来,食物繊維はエネルギー源にならないと考えられていたが,実際は,消化されない食物繊維の一部が腸内細菌により発酵分解されて短鎖脂肪酸とガスになるため,エネルギー量はゼロにはならない.また,食物繊維はタンパク質,脂質,炭水化物(糖質),ビタミン,ミネラルに次いで,ヒトに不可欠な第六の栄養素として数えられるようになっている.食物繊維は水に溶けない不溶性(water-insoluble dietary fiber ; IDF)と水に溶ける水溶性(water-soluble dietary fiber ; SDF)に大別される.一般的に食物繊維は,食物の咀嚼回数や消化液の分泌を増加させたり,便通や腸内環境を改善したりするが,不溶性と水溶性で異なる生理作用もある.不溶性食物繊維は保水性が良く,便量の増加や腸の蠕動運動の促進,脂肪や胆汁酸,発がん物質等の吸着・排出作用がある.水溶性食物繊維は,糖の消化吸収を緩慢にして血糖値の急な上昇を抑える糖尿病予防効果,胆汁酸の再吸収を抑えてコレステロールの産生を減らす脂質異常症の抑制効果が期待できる.また,水分を吸収してゲル化するため,胃腸粘膜の保護や空腹感の抑制作用がある.不溶性食物繊維には植物体を構成するセルロース,ヘミセルロース,リグニン,エビやカニ類の外骨格成分であるキチン・キトサンがある.セルロースは植物の細胞壁の主成分で,野菜や穀類の外皮に多く含まれる.グルコースがβ-1,4結合により直鎖状に連なってリボン状に折り重なる構造をしているため,力学的に強固な物質である.ヘミセルロースも細胞壁を構成する不溶性食物繊維であるが,セルロースを構成するグルコースが他の糖で置換された多糖類である.糖分子の種類によって水溶性が異なり,マンナン(グルコマンナンとも呼ばれるコンニャクの成分.グルコースとマンノースがβ-1,4結合したもの),β-グルカン(キノコ類や酵母類に含まれる.グルコースがβ-1,3または-1,4結合したもの),キシラン(細胞壁の成分であるキシロースがβ-1,4結合したもの)等がある.リグニンは果物や野菜の茎,穀類の外皮に含まれる木質の繊維である.キチンはセルロースに構造が似ているが,N-アセチル-D-グルコサミンが連なるアミノ多糖であり,キトサンはキチンからアセチル基が除かれたD-グルコサミン単位からなるものである.水溶性食物繊維にはガム質,ペクチン,藻類多糖類等が分類される.ガム質は植物の分泌液や種子に含まれている粘質物で,代表的なものにグアー豆に含まれるグアーガム(マンノース2分子に1分子のガラクトースの側鎖をもつ多糖類)がある.ペクチンはガラクツロン酸がα-1,4結合した構造をしており,腸内細菌では分解できるがヒトの消化酵素では分解できない.果物類に多く含まれ,水分を吸収してゲル化する性質があり,砂糖と酸を加えて加熱調理するジャムやゼリーの製造に利用されている.藻類多糖類には渇藻類に多いアルギン酸,紅藻類に多いフコイダン,寒天の主成分であるアガロース等がある.この他に,トウモロコシを原料として人工的に合成されるポリデキストロースや難消化性デキストリンも食物繊維として使用されている.食物繊維の摂取目標量は,日本人の食事摂取基準(2010年版)によると,18歳以上では1日あたり男性19g以上,女性17g以上とされている.日本人の食物繊維摂取量は,食生活の欧米化や穀類,芋類,野菜類,豆類の摂取減少の影響を受けて第二次世界大戦後から年々減り続けており,実際の摂取量は若い世代を中心に目標量を満たさない状況が続いている.
著者
小泉 祐一 木村 健 畑中 重克 門谷 美里 高橋 陽一
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.175-180, 2008 (Released:2009-02-16)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

近年,抗菌薬関連下痢症(AAD : antibiotic-associated diarrhea)によって死に至る症例が報告されている.そのようなAADの発生要因を調査するため,過去4年間の抗菌薬の使用実態調査とともに,院内で発生したAADの症例数ならびにその原因として推察される抗菌薬の調査を行い,その関連性について検討した.調査期間は2003年度から2006年度の4年間とし注射用抗菌薬の使用量を調査し,さらに同様の期間においてAADの発症患者数を調査した.またAAD発症と抗菌薬の使用との関連性を解析するため,AAD発症患者に使用された抗菌薬を各系統別にし使用率やオッズ比を算出した.   抗菌薬使用量とAAD発症患者数との相関については,2006年度は抗菌薬使用量が減少したにも関わらず発症患者数は増加していた.2005年度と2006年度の抗菌薬使用の系統別差異を分析するとセフェム系第3世代および,セフェム系第4世代の使用量は増加していた.よって,これらの抗菌薬群の使用がAAD発症に大きな影響を与えているものと推察される.コントロール群とAAD発症患者群との使用抗菌薬の系統については,AAD発症患者群においてセフェム系第3世代,セフェム系第4世代,カルバペネム系の使用率やオッズ比が高いことから,広域な抗菌スペクトルをもつ抗菌薬がAADを発症しやすいことが示唆される.
著者
高橋 陽一
出版者
東洋大学PPP研究センター
雑誌
東洋大学PPP研究センター紀要 (ISSN:21895457)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-53, 2019-03

1999年のPFI法施行から約20年が経過し、期間満了となるPFI事業が増え始めている。内閣府 PFI推進委員会は「手法の有効性・必要性について、管理者等(主に地方公共団体)や住民間での共有が不十分」と指摘しているが、現状を見ると事業が生み出した「成果」に関する情報開示は不足しており、アカウンタビリティが全般的に低い状況にあると言える。本論では、PPP/PFI事業における上述の課題を解決するため、成果志向の評価手法である「プログラム評価」に着目し、国内外の先進事例の分析をもとに、その適用可能性と課題を検証する。
著者
後藤 和文 高橋 陽子 中西 喜彦 小川 清彦
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.27-33, 1988

鶏の受精卵を使って,本来は卵殻内で行われる胚の発生•発育を,台所用ラップを利用した培養器内で行い,ふ卵開始後72時間以降の一連の過程を観察した。いずれの個体もふ化までに至らなかったが,培養器素材とした台所用ラップ2種(ポリエチレン製,ポリ塩化ビニリデン製)の胚発生に及ぼす影響を比較し,また,減菌した粉末状卵殻を添加することによる奇型発生への影響についても検討し,以下の結果を得た。<br>1) 本実験条件下での胚の生存率は,ふ卵開始後10日目で60.7%,15日目で41.1%であり,20日目までにほとんどの胚は死亡した。しかし20日以上生存したものが107例中7例見出され,最長生存日数は23日であった。<br>2) 培養胚の成長状態は,体重,くちばし長,脚部の長さ等を指標とした場合,通常ふ卵区のものに比べ,ふ卵12日目以降,徐々に遅延がみられ,16日目以降では約2日の遅延が認められた。しかし,体肢の大きさとは無関係に,ふ化日に近づくにつれ,通常ふ卵区のものと同時期に,卵黄の腹部への吸収が行われた。<br>3) 培養器素材として用いたポリエチレン製ラップは,ポリ塩化ビニリデン製のものに比して生存率が高かった。<br>4) 卵殻の添加により,くちばし•足指における奇型の発現が低減することを見出した。
著者
永吉 美智枝 斉藤 淑子 足立 カヨ子 高橋 陽子 谷川 弘治
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.150-156, 2020 (Released:2020-09-03)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本研究は,小児がん経験者が復学後の成長発達過程における生活上で経験した困難を明らかにし,心理社会的フォローアップのあり方を検討することを目的とした.18歳以上26歳未満の小児がん経験者14名を対象に半構造化面接を行った.分析の結果,94個のコードから37のサブカテゴリー,15のカテゴリー,6の大カテゴリーが生成された.困難を構成する要素は,学校生活と就労に関連していた.小児がん経験者には,[化学療法後の体力低下による長期間の授業の欠席]など【学校生活の大変さ】が生じていた.【友人関係・コミュニケーションの難しさ】においては,[体力低下や治療により友達との集団行動ができないもどかしさ]を感じ,【入院前の自分との違いに対する混乱・葛藤】が生じていた.また,【学習の遅れ】を取り戻すには時間を要し,治療による出席日数の少なさから【進学上の不利】を生じていた.【身体・心理的晩期合併症】は修学や成人以降の心理へ影響を及ぼしていた.小児がん経験者が学校生活を通して自己概念を再構築し,新しい役割を探求するプロセスにおける心理社会的問題について,教員と医療者が相談する体制をつくり,継続的に支援する重要性が示唆された.
著者
棗田 学 温 城太郎 渡邉 潤 高橋 陽彦 塚本 佳広 岡田 正康 平石 哲也 吉村 淳一 大石 誠 藤井 幸彦
出版者
一般社団法人 日本小児神経外科学会
雑誌
小児の脳神経 (ISSN:03878023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.358-364, 2022 (Released:2023-01-30)
参考文献数
25

Diffuse midline glioma(DMG)の80%以上がヒストンH3K27M変異を有する.橋に局在する病変は摘出術の適応はなく,針生検でも重篤な合併症が生じ得るためDMGに対してliquid biopsyの確立が切望される.我々は初発時に腰椎穿刺で採取した脳脊髄液よりH3K27Mを同定するのは困難と報告した.本稿では,多発病変および播種病変を有しliquid biopsyによりH3K27M変異と同定された2症例を紹介し,liquid biopsyの恩恵を受ける症例の特徴について迫る.
著者
高橋 陽一 末永 陽介 北野 三千雄 工藤 めぐみ
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.71, no.712, pp.3046-3052, 2005
被引用文献数
2

Response of a cylindrical premixed flame to periodic concentration fluctuation was investigated. The flame was formed in a porous cylinder by percolating the mixture uniformly through the cylinder wall. The burner used here was devised so as to fluctuate the mixture concentration (equivalence ratio) only in the radial direction of the flow (vertically to the cylindrical flame surface) without varying the flow field. With this burner the time variations of burning velocity, burnt gas temperature and flame luminosity were measured for the lean methane-air mixture in the range of fluctuation frequency from 3 Hz to 50 Hz, and the results were examined from the viewpoint of flame curvature effects. The results show that the variation width of the burning velocity of the dynamic flame is larger than that of the static flame corresponding to the concentration fluctuation. Burnt gas temperature and flame luminosity also exhibit similar tendencies. The magnification ratio of the variation width depends on the flame curvature and the large flame curvature makes the flame sustainable even for the mixture leaner than the flammability limit of the static flame.
著者
高橋 陽子
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育 (ISSN:02890836)
巻号頁・発行日
vol.108, no.9, pp.52-57, 2009-09-01
著者
高橋 陽一郎
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.1-12, 2013-12-31 (Released:2017-05-22)

Fur Schopenhauer war die Philosophie nicht sowohl eine Wissenschaft als vielmehr eine Kunst. Aber von dem hat er in seinem Hauptwerk keines Deutliches erwahnt. Im Nachlass der fruheren Periode seines Denkens hat er aber vom Konzept der "Philosophie als Kunst" deutlich geredet. Demnach ist die Philosophie ein Ergebnis vom "bessren Bewusstseyn" als einem Vermogen, das die kiinstlerische Kontemplation und die moralische Tugend verwirklicht. Durch diese Anschauung uber die Philosophie wurde die Schopenhauersche Philosophie konzipiert. Den kunstlerischen Moment des Hauptwerkes kann man in seiner organischen Struktur finden, "wo das Ganze jeden Theil erhalt und (…) umgekehrt auch jeder Theil das Ganze und alle andern". Diese Struktur selbst ist eine Schonheit. Aber mehr hat die Struktur bei Schopenhauer die Bedeutung als Form, die uns die "Ideen der Welt" oder "einen einzigen Gedanken" anschauen lasst. Die Welt als Wille und Vorstellung (1818/19) wurde eben gemaig der Schopenhauers Anschauung uber die Philosophie vollendet. Die wahre Vollendung der "Philosophie als Kunst" besagte, keine Spuren des Konzepts derselben zu hinterlassen.