著者
小林 武志 長島 裕二 木村 凡 藤井 建夫
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.76-80, 2004-04-25
参考文献数
14

フグ毒テトロドトキシンを滅菌したぬか漬けに添加すると毒性が低下することを見いだし,この原因を明らかとするために,テトロドトキシンを添加した滅菌無機培地を弱酸性下に放置し,経時的にマウス試験を行ったところ,マウス致死活性が消失した.このことから,無機培地中にテトロドトキシンの毒性を低下させる要因があると考え,高速液体クロマトグラフィーと併用して検討したところ,培地成分の無機塩溶液を除去したとき,毒性の減少が抑制された.そこで,無機塩溶液に含まれる各成分の影響を検討したところ,ホウ酸がテトロドトキシンの毒性減少に深く関与していることが判明した.
著者
飯塚 広
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.17-29, 1960-10-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2 8
著者
坂本 義光 多田 幸恵 福森 信隆 田山 邦昭 安藤 弘 高橋 博 久保 喜一 長澤 明道 矢野 範男 湯澤 勝廣 小縣 昭夫 上村 尚
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.41-50, 2007-06-25 (Released:2008-04-28)
参考文献数
13
被引用文献数
14 13

除草剤グリホサート耐性の性質を有する遺伝子組換え大豆(GM大豆)の安全性を確かめる目的で,ラットを用い,GM大豆および非遺伝子組換え大豆(Non-GM大豆)を30%の割合で添加した飼料による52週間摂取試験を行った.また大豆に特異的な作用を観察する目的で,一般飼料(CE-2)を大豆と同様の期間摂取させた.GM大豆群の投与期間中の体重,摂餌量はNon-GM群と比べて差はなかった.投与開始後26週目と終了時のGM大豆群の血液学的および血清生化学検査,臓器重量測定および組織学的検査結果は,いずれもNon-GM大豆群と比べて有意な差は認められなかった.GM大豆の性状はNon-GM大豆と同等であり,飼料に30%まで添加し,52週間摂取させても障害作用はないものと考えられた.
著者
高鳥 浩介 高橋 恵子 鈴木 敏正 宇田川 俊一 倉田 浩
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.307-312_1, 1975-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
15

市販カビ醗酵型, 自然醗酵型サラミソーセージ31試料について菌類分布を調査し, 主要菌としてカビ醗酵型より P. cyclopium, P. viridicatum など Penicillum を,自然醗酵型より Cephalosporium sp., Mucor mucedo, M. racemosus, Aspergillus versicolor, P. cyclopium などを分離した. カビ醗酵型の Penicillum は主として加工上のスターターと考えられるが, 分離株の penicillic acid 産生能は認められず, カビ醗酵型ソーセージなどは食品衛生上一応支障ないものと考えられる.
著者
貝瀬 利一 大屋-太田 幸子 越智 崇文 大久保 徹 花岡 研一 Kurt J. IRGOLIC 櫻井 照明 松原 チヨ
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.135-141_1, 1996-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
40
被引用文献数
22 32

海藻中に含まれる有機ヒ素化合物アルセノ糖の毒性学的評価を培養細胞を用いて行った. 被験ヒ素化合物は有機化学的に合成し, 細胞増殖阻止試験, 染色体異常誘発性試験及び姉妹染色分体交換誘発試験について検討を行った. アルセノ糖の50%細胞増殖阻止濃度 (ID50) は2mg/mlで, 亜ヒ酸ナトリウムの毒性の1/2800, ヒ酸ナトリウムの1/300であった. 染色体異常は5mg/mlの濃度においても15%の頻度でしか誘発されず, また姉妹染色分体交換 (SCE) を起こさないことから, 細胞毒性の低いヒ素化合物であることが推定された.
著者
坂牧 成恵 中里 光男 松本 ひろ子 萩野 賀世 平田 恵子 牛山 博文
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.326-331, 2008-08-30 (Released:2008-09-11)
参考文献数
15
被引用文献数
8 9

グレープフルーツジュース類(GFJ) 13製品,健康食品16製品および20種のかんきつ類についてフラノクマリン(FC)類の分析を行い,製品中の含有量と一日摂取量を調査した.GFJ中平均含量はベルガモチン(BG) 7.7 μg/g, 6',7'-ジヒドロキシベルガモチン(DHB) 3.7 μg/g, ベルガプトール(BT) 8.8 μg/gであり,GFJ 200 mLを飲用すると,BG 1.5 mg, DHB 0.75 mg, BT 1.8 mgが摂取されると推定された.健康食品では,5製品からFC類を検出し,一日最大0.34 mgのBTを摂取することが推定された.また,スイーティ,メローゴールド,晩白柚などのかんきつ類ではFC類を含有していた.薬剤相互作用の点からは,GFJ以外にも他のかんきつ類や健康食品の摂取についても注意が必要と考えられた.
著者
下井 俊子 牛山 博文 観 公子 斉藤 和夫 鎌田 国広 広門 雅子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.77-82, 2007-06-25 (Released:2008-04-28)
参考文献数
8
被引用文献数
2 5

ジャガイモ中のグリコアルカロイド(ポテトグリコアルカロイド,PGA)について,青果27品種および市販そう菜に含まれる皮付きジャガイモ31試料の含有量調査を行った.ジャガイモ青果27品種についてPGA含有量を調査した結果,品種間で差が見られた.高い値を示したのはメークインおよびシェリーであり,Mサイズ(100 g程度)のPGA含有量はそれぞれ180および320 mg/kgであった.低い値を示したのはインカレッドで,MサイズのPGA含有量は21 mg/kgであった.また,PGA含有量はどの品種でもサイズが小さいものほど高かった.市販そう菜に含まれる皮付きジャガイモについてPGA含有量を調査したところ,その値は48~350 mg/kgであった.
著者
新藤 哲也 牛山 博文 観 公子 安田 和男 斉藤 和夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.277-282, 2004-10-25 (Released:2009-01-21)
参考文献数
17
被引用文献数
6 8

5種の市販ジャガイモ(メークイン,男爵,ワセシロ,レッド,パープル)中のα-ソラニンとα-チャコニンを衛生試験法に基づいて抽出,固相抽出カラムによるクリーンアップを行い,C18カラムを用いてHPLCにより分析を行った.回収率はα-ソラニンおよびα-チャコニンともに 96% と良好であり,本法における定量限界は試料1 g当たりいずれも2μgであった.ジャガイモの皮層部中のα-ソラニンとα-チャコニンはすべての試料で検出され,それらの含有量はメークイン,男爵,レッド,パープル,ワセシロの順で多かった.ジャガイモの髄質部中のα-ソラニンとα-チャコニンはメークインおよび男爵のみから検出され,その含有量はいずれも皮層部の1/10以下であった.ジャガイモを90日間室温暗所で貯蔵した場合のα-ソラニンとα-チャコニン含有量は多少の増減はあったものの5種のジャガイモのいずれの部位においても顕著な増加傾向は見られなかった.

7 0 0 0 OA 変敗油の毒性

著者
金田 尚志
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.321-333, 1970-10-05 (Released:2010-02-22)
参考文献数
66
被引用文献数
2
著者
若林 茂 里内 美津子 植田 由香 大隈 一裕
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.557-562_1, 1992-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
10 15

馬鈴薯デンプンを加熱, 酵素処理して調製した水溶性食物繊維 (一般名: 難消化性デキストリン, 商品名: パインファイバーC, 以下PF-C) について機能性食品素材として開発を進めるに当たり急性毒性及び変異原性試験を実施した. さらにラットを用いて便通に及ぼす影響を検討した. (1) マウスを用いた急性毒性試験においてPF-C摂取による死亡例は最大投与可能量の20g/kgにおいても見られなかった. (2) 細菌を用いた変異原性試験において, PF-Cは代謝活性化の有無に関わらず復帰変異コロニー数を増加させなかった. (3) ラットを用いた単回投与試験においてPF-Cのふん便への排泄率は約36%であった. (4) PF-C連続投与により盲腸重量は増加し, さらに盲腸内容物のpHの低下が観察された. また, PF-Cは14.29g/kg wt. (1g/70g wt.) において下痢を誘起しなかった. (5) PF-Cの連続投与により食餌の消化管通過時間は非投与群に比して有意に短縮された.
著者
高橋 邦彦 星野 庸二 徳丸 雅一
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.619-622_1, 1992-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
5

オレンジを摂取した乳児の顔や首筋が赤くなったという消費者からの苦情があり, 検査したところ苦情品から約0.5%のエタノールが検出された. そこで, 果実中のエタノール含有量の実態調査を行った. 11種の果実の117検体のエタノール含有量を調査したところ, 9種97検体から検出された. 検出量はオレンジを除き, 他の果実はほとんど0.15%以下であった. オレンジは27検体調査したが, 最小0.01%, 最大0.71%, 平均で0.13%であり, なかには高い濃度 (0.21, 0.31, 0.71%) が検出されたものがあった.