著者
原口 浩一 遠藤 哲也 阪田 正勝 増田 義人 Mark SIMMONDS
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.287-296, 2000-08-25 (Released:2008-01-11)
参考文献数
25
被引用文献数
17 27

1999年, 全国6都市で販売されていた鯨肉製品61点について, 重金属 (水銀, カドミウム, 鉛) 及び有機塩素系化合物 (PCBs, DDTs, HCHs, HCB, dieldrin) の汚染実態調査を行った. ハクジラの赤身肉では水銀汚染が, ハクジラ及び北太平洋産ミンククジラの脂身にはPCB及び有機塩素系農薬の汚染が顕著にみられた. 鯨肉の多食によってこれらの汚染物質の摂取許容量を超えることも考えられるので, 食品としての安全性を再検討する必要がある.
著者
小沢 千重子
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.258-262_1, 1983-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
9
被引用文献数
7 6

石川県の特産品であるフグ卵巣ぬか漬けの製造方法の改善を目的とした一連の研究を開始するにあたり, 2, 3の予備的実験を行った. まず, フグ毒の抽出法を比較したところ0.1%酢酸及び酢酸酸性メタノール抽出法より熱水抽出法の方が効率がよいことがわかった. ぬか漬け卵巣の毒力を測定すると長期のぬか漬けを経たものにもかなりの毒力が認められた. 一方, マウスに腹腔内投与するテトロドトキシン溶液中の食塩濃度が増すとマウスの致死時間がかなり遅延することがわかった. また, フグ卵巣抽出液が腐敗すると毒力がすみやかに低下するという報告について検討したが, 腐敗と毒力との間に明確な関係は認められなかった.
著者
小沢 千重子
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.263-267_1, 1983-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

フグ毒がアルカリ性で不安定な性質を応用してフグ卵巣ぬか漬けの毒力を低下させる方法を検討した. 各種アルカリ剤を含む食塩水中に卵巣を浸しその毒力とpHの経時変化を調べたところ, 炭酸水素ナトリウムが最も有効であることがわかった. そこで実験室及びぬか漬け工場で食品添加用炭酸水素ナトリウムを加えて塩漬け実験を行った結果, 特に実験室において毒力低下が著しかった. また, いずれの場合もpHの上昇が細菌の増殖を顕著に促すという事実は認められなかった.
著者
渕 祐一 成松 浩志 仲摩 聡 寿 久文 平川 英敏 鳥島 嘉明 野口 玉雄 大友 信也
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.520-524_1, 1991-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
8
被引用文献数
8 10

これまで毒性が不明とされてきたホシフグについて, フグ毒試験を行って部位別の毒性を検討した. 大分県沿岸産30個体及び山口県近海産1個体の計31個体 (雄16個体, 雌15個体) 中, 皮膚の有毒個体出現率は雄12.5%, 雌33.3%で雌の方が高く, その毒力レベルは雌雄とも弱毒であった. 卵巣の同出現率は80.0%で, その毒力レベルは強毒を示した. また, 消化管は雌の1個体が弱毒を示した. 他方, 筋肉, 肝臓及び精巣はいずれも無毒であった. 以上の結果から, ホシフグは皮膚, 卵巣, 消化管に毒性が認められる有毒種であることが明らかになった.
著者
杉山 英男 柴田 尚 磯村 公郎 岩島 清
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.13-22_1, 1994-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
22
被引用文献数
12 19

富士山山腹 (標高1,700~2,300m) を中心に採取 (1989~1990年) した野生キノコ中の放射性セシウムの濃度レベル並びに生息基質からの移行について調べた. 富士山山腹ではキノコ中の放射性セシウム (137Cs+134Cs) 濃度は17~1,083Bq/kg生で, 生息基質である土壌の66~531Bq/kg乾と共に他地点より高い値を示した. キノコと生息基質との137Cs濃度比 (湿/乾) は報告のある葉菜, 根菜等の移行係数より100~1,000倍高いレベルにあった. これらの濃度比と生思基質のpHには有意な相関がみられ, 更に生息基質の強熱減量の増加に伴いキノコの137Cs濃度は高くなる傾向が認められており, 移行特性の一部が示唆された. これらキノコ摂取による実効線量当量は, 最大で自然界からの年間被曝線量の2%程度と推定される.
著者
片岡 洋平 渡邉 敬浩 林 恭子 穐山 浩
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.269-274, 2018-12-25 (Released:2019-01-09)
参考文献数
21
被引用文献数
3 5

チョコレートとココアは,カカオ豆から作られる主な製品である.これらの製品は,土壌などの環境に由来するカドミウム(Cd)を含むことが知られている.Cd濃度を調査するために,国内流通していたダークチョコレート,ミルクチョコレート,ホワイトチョコレート,ココア粉末製品を購入した.分析には誘導結合プラズマ質量分析計による妥当性確認された分析法を用いた.チョコレートおよびココア粉末中のCd濃度は,それぞれ0.00021~2.3および0.015~1.8 mg/kgの範囲であった.各製品のCd濃度を製品のラベルに記載されているココア固形分の含有量に基づき評価した結果からは,Cd濃度とココア固形分の含有量との間に弱い正の相関があることが示された.調査した180種類のチョコレート製品のうち8製品,140種類のココア粉末製品のうち26製品中のCd濃度は,EUが設定した基準値を超過していた.
著者
田端 節子 井部 明広 小沢 秀樹 上村 尚 安田 和男
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.444-447_1, 1998-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
4
被引用文献数
10 14

1991年から1996年に東京都内で市販されていた食品及び食品原料, 2,047検体についてアフラトキシン汚染の調査を行った. ピーナッツ, ピスタチオナッツ, ハトムギ, 黒糖, 唐辛子, パプリカ, ナツメグなどから, アフラトキシンが, 痕跡量から128ppb検出された. 日本での規制値である10ppb以上のアフラトキシンB1が検出された検体は, ピーナッツ, ピスタチオナッツ, 唐辛子で, 合計5検体であった. 過去の調査結果と比較すると, そば, ナチュラルチーズのように過去の調査では検出されたが, 今回は検出されなくなったもの, ナツメグのように継続的に検出されるものがあった.
著者
川上 宏之 天倉 吉章 堤 智昭 佐々木 久美子 池津 鮎美 稲崎 端恵 久保田 恵美 豊田 正武
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.258-263, 2010
被引用文献数
2

天然/畜養クロマグロおよび畜養ミナミマグロの赤身,中トロおよび大トロのダイオキシン類および総水銀を分析し,部位,畜養/天然および種差について検討した.検討の結果,ダイオキシン類濃度は,脂質含有量との間に正の相関が見られ,部位別濃度は赤身<中トロ<大トロであった.クロマグロは,畜養と天然産で差がなく,畜養ミナミマグロに対して約2~10倍ほど高い値を示した.総水銀濃度は,脂質含有量との間に負の相関を示し,部位別濃度は赤身>中トロ>大トロであった.畜養クロマグロの総水銀濃度は,天然産と同レベルの蓄積であったが,畜養ミナミマグロの約2~3倍高い値を示した.
著者
川上 宏之 天倉 吉章 堤 智昭 佐々木 久美子 池津 鮎美 稲崎 端恵 久保田 恵美 豊田 正武
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.258-263, 2010-10-25 (Released:2010-11-06)
参考文献数
18
被引用文献数
2

天然/畜養クロマグロおよび畜養ミナミマグロの赤身,中トロおよび大トロのダイオキシン類および総水銀を分析し,部位,畜養/天然および種差について検討した.検討の結果,ダイオキシン類濃度は,脂質含有量との間に正の相関が見られ,部位別濃度は赤身<中トロ<大トロであった.クロマグロは,畜養と天然産で差がなく,畜養ミナミマグロに対して約2~10倍ほど高い値を示した.総水銀濃度は,脂質含有量との間に負の相関を示し,部位別濃度は赤身>中トロ>大トロであった.畜養クロマグロの総水銀濃度は,天然産と同レベルの蓄積であったが,畜養ミナミマグロの約2~3倍高い値を示した.
著者
田中 康夫 細井 志郎 清水 亮子 桐ヶ谷 忠司 笹尾 忠由 水野 惇雄 河村 太郎 中澤 裕之
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.323-328_1, 1997-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

薬品臭トマトの原因物質を究明するたあにトマト及びその栽培土壌を採取してGC-FPD及びGC/MSにより検討した. いずれの試料からもトルクロホスメチル (以下: TLCM) 及びTLCMの分解生成物の2,6-ジクロロ-p-クレゾール (以下: 2,6-DCPC) を検出した. その値は, 土壌でTLCMが0.02~2.2μg/g, 2,6-DCPCが0.03~0.15μg/g, トマトでTLCMが0.01~0.02μg/g, 2,6-DCPCが0.01~0.02μg/gであった. この2,6-DCPCは2,4-ジクロロフェノールと同様のフェノール臭を呈し, トマトの薬品臭の原因物質は2,6-DCPCであると推測された.
著者
小口 太一 大西 真理 近川 幸恵 児玉 貴志 鈴木 えみり 笠原 正輝 穐山 浩 手島 玲子 布藤 聡 日野 明寛 古井 聡 橘田 和美
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.41-46, 2009-02-25 (Released:2009-03-26)
参考文献数
5
被引用文献数
2 14

食品・飼料としての利用を目的とした遺伝子組換えテンサイ品種が開発されている.本研究では,テンサイを原料とした加工食品を遺伝子組換え食品の検査の対象にすべきか評価するため,テンサイ糖製品におけるDNA残存の有無を調査した.複数のテンサイ内在性遺伝子配列を標的としたPCR分析の結果,テンサイに含まれるDNAは製糖過程の早い段階で分解され,テンサイ糖製品中から分析可能な質および量のDNAは回収できなかった.
著者
古武 彌三 小野 忠義
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-43, 1964-02-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
40

B12同族体はAnimal protein factorと呼ばれ, 植物性食品には含有されないように考えられているが, 量的には少ないが, 泥中に育つクワイ, レンコン, ジュンサイ, 土壌に育つものではタケノコのなかに含まれることを明らかにしえた.
著者
杉本 直樹 多田 敦子 黒柳 正典 米田 祐子 尹 永淑 功刀 彰 佐藤 恭子 山崎 壮 棚元 憲一
出版者
[日本食品衛生学会]
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.56-62, 2008 (Released:2011-07-27)

グレープフルーツ種子抽出物(grapefruit seed extract:GSE)は既存添加物名簿に収載されている天然添加物である。最近、GSEが食中毒の原因ウイルスとして重要なノロウイルスに対する不活化効果を有することが報告されて以来、食品業界で注目されている。一方、海外において、GSE中に合成殺菌剤である塩化ベンゼトニウム(BZT-Cl)または塩化ベンザルコニウム(BZK-Cl)が検出されることが報告されている。そこで、われわれは、わが国に流通しているGSE製品の実態を早急に確認するため、食品添加物(6社13製品)、化粧品配合剤(10社16製品)、GSE配合健康食品(4社5製品)および除菌・消臭スプレー(7社7製品)中のベンゼトニウム(BZT)およびベンザルコニウム(BZK)の存否についてNMRおよびLC/MSにより調査した。その結果、41製品中38製品よりBZT(食品添加物からBZT-Cl換算で最高39.1%)またはBZK(食品添加物からBZK-Cl換算で最高13.9%)が検出されたことから、わが国に流通するGSE製品の多くがBZTまたはBZKを含有している可能性が高いと考えられた。
著者
寺田 久屋 山本 勝彦
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.189-195, 1992-04-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

1. 市内のデパートの健康食品コーナーなどで購入した58製品の梅加工食品についてAM, PR, 遊離シアンをそれぞれ定量し総シアン量を求めるとともにAM, PRの分解生成物であるBA及びBAL量を測定した.2. AMは, 梅肉エキス及び梅肉エキスを用いた菓子類に100μg/g (HCN換算5.9μg/g) 以上残留する製品が多く認められた.3. PRは, AM含有量の高い梅肉エキス類のほか, 梅干し及び梅干し加工品類, 梅シソ加工品類から比較的高濃度な製品が認められた. 一般にAMに比較して広範囲な製品から検出された.4. 遊離シアンは, 梅漬け類及び梅干し類に10μg/g近い濃度の製品が認められたが, 加熱処理を伴う梅肉エキス及び乾燥梅製品などでは低濃度であった.5. 総シアンは, AM及びPRの高い梅肉エキス類, 遊離シアンの高い梅漬け類及び梅干し類から平均5μg/g以上認められた. 最高濃度は梅肉エキスで112.9μg/gであり, 1回の摂取量から考えて健康的には問題ない量と思われる.6. BALは, 梅干し類, 梅漬け類に比較的高い濃度の製品が認められたが, 加熱処理を行った梅肉エキス及び乾燥梅製品では, ほとんど検出されなかった.7. BAは, BALとは反対に加熱処理を行った梅肉エキス及び乾燥梅製品において高い値を示した.
著者
高木 加代子 豊田 正武 藤山 由起 斎藤 行生
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.67-73_1, 1990-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
9
被引用文献数
19 30

ジャガイモ中の, α-チャコニン (CHA), α-ソラニン (SOL) の煮沸, 電子レンジ加熱, フライによる減少を調べた. 両アルカロイドは5%酢酸溶液で抽出し, Seppak C18 で精製した後, 高速液体クロマトグラフィーで定量を行った. CHA及びSOL含量は, 煮沸しても減少が見られず, 電子レンジ加熱で若干の減少が認められた. フライの場合は油の温度による影響が大きく, 150°では両アルカロイドの減少が見られず, 170°では減少の見られる場合があったが, 変動が非常に大きく有意とは認められなかった. 210°ではCHAで 35.1%, SOLで40.3%の減少が認められた. 一般家庭における調理の加熱条件ではCHA及びSOLは大部分残存し, 除去効果は期待できないことが確認された.
著者
梶原 直子 冨山 智恵子 二宮 隆博 細貝 祐太郎
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.42-46_1, 1983-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
19
被引用文献数
2 6

高速液体クロマトグラフィーを用い, 杏仁中のアミグダリンの分析法を検討した. すなわち, 杏仁中のメタノール抽出物について Zorbax ODSカラム, 溶離液としてアセトニトリル-水 (14:86v/v%) を用いたところアミグダリンの保持時間は約7分, 回収率平均97.4%変動係数2.08%, 定量限界50ngで精度, 分離能とも良好な結果を示した. 杏仁豆腐の各調理過程におけるアミグダリンの消長をこの方法によって測定したところ, 最終製品では原材料に対し0.3% (5.07ppm) に減少した. 市販杏仁豆腐及び杏仁製品からはアミグダリンは検出されなかった.
著者
杉本 直樹 多田 敦子 黒柳 正典 米田 祐子 尹 永淑 功刀 彰 佐藤 恭子 山崎 壮 棚元 憲一
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.56-62, 2008
被引用文献数
5

グレープフルーツ種子抽出物(grapefruit seed extract: GSE)は既存添加物名簿に収載されている天然添加物である.最近,GSEが食中毒の原因ウイルスとして重要なノロウイルスに対する不活化効果を有することが報告されて以来,食品業界で注目されている.一方,海外において,GSE中に合成殺菌剤である塩化ベンゼトニウム(BZT-Cl)または塩化ベンザルコニウム(BZK-Cl)が検出されることが報告されている.そこで,われわれは,わが国に流通しているGSE製品の実態を早急に確認するため,食品添加物(6社13製品),化粧品配合剤(10社16製品),GSE配合健康食品(4社5製品)および除菌・消臭スプレー(7社7製品)中のベンゼトニウム(BZT)およびベンザルコニウム(BZK)の存否についてNMRおよびLC/MSにより調査した.その結果,41製品中38製品よりBZT(食品添加物からBZT-Cl換算で最高39.1%)またはBZK(食品添加物からBZK-Cl換算で最高13.9%)が検出されたことから,わが国に流通するGSE製品の多くがBZTまたはBZKを含有している可能性が高いと考えられた.
著者
合田 幸広 酒井 信夫 中村 高敏 穐山 浩 豊田 正武
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.256-265_1, 1998-08-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
22
被引用文献数
5 12

日本で栽培されているモロヘイヤの種子中の主強心配糖体の単離構造決定を行い, strophanthidin 配糖体 (erysimoside, olitoriside, corchoroside A, helveticoside), だけでなく, digitoxigenin 配糖体 (coroloside, glucoevatromonoside) も含まれていることも明らかにした. また, HPLCによる分析から, モロヘイヤの種子には, これらの化合物が種子湿重量の0.1~1%存在し, 種子の色の違いによって, 強心配糖体の含有量及び組成が異なることを示した. 精製した強心配糖体 erysimoside+olitoriside, 及び coroloside+glucoevatromonoside を, ddY系雄性マウスに対し経口投与した結果, 両者とも500mg/kg以上のLD50値を示した.