著者
近藤 一成 穐山 浩 合田 幸広 豊田 正武
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.412-417_1, 1997-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
12
被引用文献数
2

モロヘイヤ (C. olitorius) の各部位及び野菜“モロヘイヤ”, モロヘイヤ加工品である健康茶及び健康食品中の強心配糖体の分析法を開発した. 試料のメタノール抽出液を1mol/L塩酸で加水分解後, 種子は直接, その他の試料は Silica gel カラムで前処理し, 逆相HPLCでストロファンチジン (SP) として分析した. 完熟種子中には強心配糖体がSPとして平均5.43mg/g, その莱には0.24μg/g含まれていたが, 茎, 野菜“モロヘイヤ”, モロヘイヤ加工品である健康茶及び健康食品中には強心配糖体は含まれていなかった. したがって, 日常の食生活に用いられるモロヘイヤ中には強心配糖体は存在しないものと考えられる. また, 完熟種子にはSPをアグリコンとし, 糖部の異なる少なくとも2種の強心配糖体が存在することが明らかになった.
著者
渡邉 敬浩 菊地 博之 松田 りえ子 林 智子 赤木 浩一 手島 玲子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.69-76, 2015-06-25 (Released:2015-07-08)
参考文献数
6
被引用文献数
1 7

魚介類のメチル水銀濃度には,一部の魚種を除き,食品衛生法により暫定的規制値が設定されている.われわれは,この暫定的規制値への適合判定に用いることが可能なメチル水銀定量法として,フェニル誘導体化を介したGC-MS法を開発し報告した.本論文では,試料の脱脂操作の追加,フェニル誘導体化条件の変更,またPEG200との共注入を主とする大幅な改良を加えることにより,より操作性が高くGC-MSへの負荷が小さな分析法を開発した.改良した分析法の性能は,認証標準試料(4種)ならびに鮮魚(2種)を基材とする添加試料を,2機関に所属する分析者3名が計画的に分析して得た分析値に基づき評価した.その結果,全試料と分析者3名の組合せを通じ,本分析法の真度は85~98%,室内精度(RSD%)は1.6~8.1%と推定され,これらの推定値が厚生労働省のガイドラインに示された目標値を満たすことから,妥当性を確認した.
著者
河村 葉子 米澤 里香 前原 玉枝 山田 隆
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.154-161, 2000-04-25
被引用文献数
5 16

既報のポリエチレン及びポリ塩化ビニル中の添加剤一斉分析法について, ポリプロピレンへの適用を検討した. 84種類の添加剤を分析対象とし, そのうち29種類の添加回収試験を行ったところ, 回収率は63.1~114.1%とほぼ良好であった. 食品用ポリプロピレン製器具・容器包装39検体中の残存添加剤を測定したところ, 酸化防止剤のIrganox 1010が最も高頻度に検出され, 次いでIrgafos 168であった. その他, 酸化防止剤のBHT, 滑剤のオレアミド, ステアミド, エルカミド, ステアリン酸などが検出された. 更に, 界面活性剤のモノパルミチン, モノステアリンや可塑剤のDEHP, BBP, DINP等も検出された. また, 滑剤として添加されたと思われる3種類の脂肪族炭化水素群も見いだされた.
著者
木村 圭介 広門 雅子 安田 和男 西島 基弘
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.70-73, 2000-02-25
参考文献数
10
被引用文献数
14

HPLCによる食品中のコウジ酸の定量法を検討した. 食品中から50%メタノール溶液を用いてコウジ酸を抽出し, 遠心分離後, 上清液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し, ろ液をHPLC用試験溶液とした. カラムにはRP-18を用い, 移動相は0.1mol/Lリン酸二水素ナトリウム-メタノール (97:3) を用いて測定した. 試料からの添加回収率は73~96%であり, 定量下限は, 0.005g/kgであった. 本法を用いて各種食品92検体を分析したところ, カニ1検体から0.03g/kg, 清涼飲料水2検体から0.20及び0.03g/kgが検出された. コウジ酸の確認にはフォトダイオードアレイ検出器を用いて行った.
著者
城戸 浩三 作間 忠道 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.442-445_1, 1980

かまぼこ製造工場で原料魚から各工程におけるねり魚肉中のホルムアルデヒドの消長およびかまぼこ板から可食部へのホルムアルデヒドの移行の有無について検討した. 板のホルムアルデヒド平均濃度は古板で4.6ppm, 新板で9.4ppmであり, 原料魚のマエソのホルムアルデヒド含有量は222ppmで, マエソ, イシモチおよびメゴチを合わせた混合すり身は41ppmであった. これを水さらしするとその濃度は著しく減少した. 生と蒸かまぼこの上, 中, 下各層の濃度比較から, 板から可食部へのホルムアルデヒドの移行はなく, 上層のホルムアルデヒドの揮散によって, 濃度差ができると推定した.
著者
堀江 義一 山崎 幹夫 宮木 高明 宇田川 俊一
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.516-519, 1971-12-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Fungal content of 24 samples of various types of spices of which a half was domestic and the others were collected from the markets in U.S.A., was surveyed from the hygienic point of view on foodstuffs. From 15 mold-positive samples, 12 were estimated under heavy contamination. Twenty eight fungi were isolated from these spices and were identified. Except a few Fungi Imperfecti and Mucorales, the majority of the species was found to be belonging to the genera Aspergillus and Penicillium. In the genus Aspergillus, the members of A. glaucus, A. flavus, A. niger, A. terreus and A. versicolor groups were the predominant species on the Japanese samples. In Penicillium, the series commonly found was P. chrysogenum only appearing in paprika of Japanese sample. The important contaminants in U.S.A. samples were identified as representatives of the A. glaucus group. No aflatoxins were detected in CHCl3 extracts of the rice culture of A. flavus which were found in Japanese sage and pepper. Since some spices such as garlic powder are known to have a bacteriostatic or bacteriocidal property, it may be suggested from the result obtained that some spices are not subject to spoilage.
著者
永山 敏廣 小林 麻紀 伊藤 正子 田村 康宏 塩田 寛子 友松 俊夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.464-469_1, 1997-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
14

無農薬あるいは減農薬栽培農産物として東京都で市販されていた野菜類23品種114作物及び果実類7品種9作物について, 農薬の残留実態 (1988~1994年度) を調査した. 野菜類では9品種23作物からEPN, プロチオホスなどの有機リン系殺虫剤やTPN, プロシミドンなどの有機塩素系殺菌剤など, 13種類の農薬が検出された. また, 果実類では2種3作物から4種類の農薬が検出された. 食品衛生法の食品規格を超える検出例はなかった. 慣行栽培品に比較し, なす科作物で検出率及び検出量が低い傾向が認あられた. その他の作物では, 検出量はやや低かったが, 特に大きな差異は認められなかった.
著者
佐藤 恭子 坂元(佐々木) 史歩 米谷 民雄 山田 隆
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.122-125, 2000-04-25
被引用文献数
2

既存添加物のコウジ酸が甲状腺腫瘍を引き起こすことが報告されている. そこで, コウジ酸製剤を食品に使用した場合の残存量に寄与すると考えられる種々の要因, 浸漬時間, 洗浄, 保存, 煮沸等の影響について, 殻付きの甘エビを用いて検討した. その結果, 冷凍, 解凍の操作により, 殻及び身中のコウジ酸は減少し解凍時の水分の流出とともに溶出するものと考えられた. また, 殻ごと洗浄した場合は, 身中のコウジ酸含量は洗浄しない場合と変わらず, 洗浄では溶出しないと考えられた. 冷蔵では, 冷凍に比べ, 身中の残存量が多かった. 更に, 煮沸により, 殻及び身中のコウジ酸の8~9割が溶出すると考えられた.
著者
鈴木 昭 小沼 博隆 高山 澄江 今井 忠平 指原 信広
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.442-449, 1979-12-05 (Released:2010-11-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1 3 3

未殺菌液全卵の低温保存・流通時の適正温度を設定するための基礎資料を得るとともに低温保存時の品質劣化の原因追求のために, 10℃および5℃における保存性を細菌学的および化学的に検討した.1) 10℃では4日まで, 5℃では8日まで品質劣化はほとんど認められたかった. しかし10℃では6日で, 5℃では10日で異臭の発生, 菌数の増加, pHの低下, グルコースの減少, 揮発性塩基窒素の増加, トリメチルアミン態窒素の生成, エーテル抽出物の酸度の増加などにより品質の劣化が認められた.2) 低温で増殖した菌属はAeromonas, Pseudomonas, FlavobacteriumおよびMicrococcusなどでいずれも低温細菌に属するものであった.3) 一方常温流通の場合を想定した25℃放置試験ではMicrococcus, Streptococcus, Enterobacteriaceaeなどが優勢菌として増殖し, 保存性は期待できなかった. 品質劣化に伴う異臭も低温保存のものとは異なる強烈な腐敗臭であった.4) デソ赤変菌中に占める大腸菌群の割合は, 保存前91.7%であったものが, 低温保存中に減少し, 10℃ 8日で平均31.2%, 5℃ 12日で平均44%あった.
著者
渕 祐一 野口 玉雄 斉藤 俊郎 森崎 澄江 仲摩 聡 嶋崎 晃次 林 薫 大友 信也 橋本 周久
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.320-324_1, 1988-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

大分県地方のフグ料理専門店に伝えられていた, フグ肝臓の独特な調理方法による減毒機構について検討した. マウス試験及びHPLC, TLC, 電気泳動の結果から, 調理方法による減毒は, 手揉み工程ではフグ毒の溶出除去によること, また煮沸工程では加熱によって有毒肝臓中のテトロドトキシンがアンヒドロテトロドトキシン, さらにテトロドン酸へと順次構造変化を起こし, これに伴い毒性が弱毒性, 無毒性へと転換変化する現象に基づくことが明らかにされた. さらに, この煮沸工程での減毒には溶出による除去機構も関与していることが示唆された.
著者
南谷 臣昭 永井 宏幸 中村 昌司 大塚 公人 坂井 至通
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.177-182, 2012-08-25 (Released:2012-11-07)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーにより,U-8容器を使用して牛肉の放射性セシウム分析を行う際の,検出限界と測定精度を評価した.2,000秒測定の134Csと137Csの検出限界の和は,およそ20 Bq/kgとなり,暫定規制値レベルの放射性セシウムを含む牛肉(491 Bq/kg)の測定値の99%信頼区間は,447~535 Bq/kgとなった.牛肉は筋肉層と脂肪層が複雑に入り組んだ不均一な試料であるため,サンプリング箇所によって測定値が変動する.本研究で,筋肉層と脂肪層の放射性セシウム濃度には明らかな差があり,同じ首の部位の測定結果にも変動が見られる(SD=16.9 Bq/kg)ことが明らかとなった.
著者
野口 玉雄 高谷 智裕 荒川 修
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.146-149, 2004-06-25
被引用文献数
5 12

1990年から2003年にかけて,日本各地の囲い養殖(網生簀養殖,陸上養殖)場から養殖トラフグ計4,515尾を採取し,肝臓,ならびに一部の個体については筋肉,皮,内臓,生殖巣などの毒性を調査した.食品衛生検査指針・理化学編のフグ毒検査法に準じてマウス毒性試験を行ったところ,いずれの検体からも全く毒性は検出されなかった.また,一部の肝臓につき,フグ毒(tetrodotoxin, TTX)〔(M+H)<sup>+</sup>=<i>m/z</i> 320〕を対象として液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)を行ったが,いずれの個体からもTTXは検出されなかった(0.1 MU/g未満).この結果,囲い養殖で無毒の餌を用いて飼育された養殖トラフグは無毒であることがわかった.
著者
松田 りえ子 佐々木 久美子 酒井 洋 青柳 由美子 佐伯 政信 長谷川 康行 日高 利夫 石井 敬子 望月 恵美子 山本 敬男 宮部 正樹 田村 征男 堀 伸二郎 池辺 克彦 辻 元宏 小嶋 美穂子 佐伯 清子 松岡 幸恵 西岡 千鶴 藤田 久雄 城間 博正 大城 善昇 豊田 正武
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.18-23, 2001-02-25 (Released:2008-01-11)
参考文献数
7
被引用文献数
8 7

1996年から1998年に, トータルダイエット試料中のアルミニウム濃度を測定しアルミニウムの一日摂取量を推定した. 10か所の機関でトータルダイエット試料の調製及びアルミニウム濃度の測定を行った. アルミニウムの一日摂取量は平均3.5mgであり, 範囲は1.8mgから8.4mgであった. 分析結果の正当性は, 認証標準試料の分析により保証された.
著者
品川 邦汎 国田 信治 佐々木 寧 岡本 晃
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.431-436, 1979-12-05 (Released:2010-11-30)
参考文献数
13
被引用文献数
12 12

1973年6月から1978年10月にかけて大阪府下で米飯煩を原因食とするB. cereus食中毒7事例が発生した. 4事例は焼めし, 2事例は弁当, 1事例はにぎりめしが原因食品であった. 潜伏期が0.5~4時間 (平均2時間) で嘔気, 嘔吐を主症状とする嘔吐型が6事例, 2~12時間 (平均10時間) の潜伏期で下痢を主徴とする下痢型1事例であった.対照として食中毒とは関連のない生米, にぎりめし, 巻ずし, いなりずしのB. cereusによる汚染の実態を調べた結果, 生米の65.9%がB. cereus陽性で, 菌数はほとんど102/g以下であった. にぎりめしは65.5%が陽性で菌数は102~104/gのものが多かった. すしは41.5%が陽性で, 菌数はほとんど102/g以下であった.食中毒事例, 生米およびにぎりめし, すしなどの米飯類から分離したB. cereusの性状を比較した. 食中毒由来菌株は100%デンブン分解性陰性であったが, 生米由来菌株では16.7%, 米飯由来菌株では61.8%が陰性であった. 各分離株の芽胞の熱抵抗性を比較した. 食中毒由来菌株の全ては, 90℃, 60分, 100℃, 10分, 30分, 105℃, 5分の加熱ではすべて耐えた. 生米由来菌株では, 90℃, 60分に耐える菌株は92.9%, 100℃, 10分では26.2%, 100℃, 30分では9.5%, 105℃, 5分では7.1%であり, 一方, 米飯由来菌株では, 90℃, 60分に耐えるもの97.0%, 100℃, 10分では70.1%, 100℃, 30分では38.8%, 105℃, 5分では32.8%が耐え, 分離株の由来により, 芽胞の熱抵抗性に明らかな差が見られた.

1 0 0 0 OA 赤カビ毒 (I)

著者
上野 芳夫
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.403-414, 1973-10-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
86
被引用文献数
4 5