著者
中西 襄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.44-45, 1993-01-05
著者
中村 卓史
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, 2004-04-05
参考文献数
3
被引用文献数
1
著者
藤堂 眞治
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.275-282, 2015-04-05

スーパーコンピュータやワークステーションが計算物理における「実験装置」であるとすると,シミュレーションソフトウェア(プログラム)はそれらを使いこなすための「実験技術」であると言える.将来の研究成果につながる「技術」は,個々の研究者あるいは研究グループが,門外不出のものとして日々磨きあげていくべきである.このような立場に立つと,シミュレーションに使うプログラムは,これまでの経験と知識に基づき「速く」て「信頼できる」ものを自分で一から作るのが当然であり,できあいをブラックボックスとして使うのは研究として認められないということになろう.コンピュータの計算速度は年とともに指数関数的に伸びている.シミュレーションの手法もそれ以上の速さで進化している.例えば,量子磁性,高温超伝導など,電子相関の強い量子多体系に対する代表的な手法の一つである量子モンテカルロ法は,状態更新のアルゴリズムにおいて,近年,多くの本質的な改善がなされ,バイアスのない最も精密な数値解析手法となっている.それに伴い,アルゴリズムはますます複雑化している.プログラム開発や並列化,チューニングのためのコストは増加し,研究者の「専門化・固定化」も大きな問題となっている.その一方で,実験家の間でも,日常的なツールとしてのシミュレーションの需要が高まっている.このような状況のもと,計算機実験の技術開発や整備は,もはや個人の素養に頼るだけではなく,コミュニティー全体で取り組み共有していくべき段階にきているのは明らかである.本稿では,計算物性物理,量子統計物理分野におけるそのような取り組みの一つである「ALPS」を紹介する.ALPS(Algorithms and Libraries for Physics Simulations)は,量子スピン系,電子系など強相関量子多体系の有効模型のシミュレーションのためのオープンソースソフトウェアの開発を行う国際共同プロジェクトである.ALPSでは,主に,量子統計物理分野のシミュレーションの共通基盤となるライブラリやデータ解析ツールを開発すると同時に,最新のアルゴリズムに基づく質の高いアプリケーションプログラムの提供を目指している.ALPSには,厳密対角化,古典・量子モンテカルロ法,密度行列くりこみ群,動的平均場近似など,量子多体系の有効模型に対する標準的あるいは先進的なアルゴリズムを用いたアプリケーションが用意されており,興味ある模型の特性や計算したい物理量に応じて,最適なアプリケーションを選ぶことができる.ALPSのようなコミュニティーコードを用いることで,計算物理の専門家でなくとも,様々な模型について手軽にシミュレーションを始めることができる.それだけでなく,新たなプログラムやアルゴリズムを開発する際のリファレンスコードとして,あるいは計算物理教育の題材,シミュレーション結果の共有やアーカイブ化のためのツールとしての活用など,ハイエンドのスーパーコンピュータによる大規模シミュレーションだけでなく,計算物理の裾野を広げていくためにも,このようなコミュニティーコードの整備・知識共有は,今後ますます重要となっていくに違いない.
著者
住 斉 宇津巻 竜也 伊藤 繁 石浦 正寛 針原 伸二
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.901-909, 2009
参考文献数
20

住は2006年春の定年後は故郷のためになることをしたいと思い,專門の理論物理から離れ,故郷の飛騨で人々のルーツをDNA解析により探る研究を始めた.大学勤務最後の十年間は光合成を研究していた縁で,住物を専門とする宇津巻,伊藤,石浦と連携でぎた.光合成の逆反応は呼吸で,呼吸を司る細胞内小器官ミトコンドリアは独自のDNAを持つ.その解折により,この15年程の間に現代人のルーツが根本的に書き換えられたことにも注且していた.この縁で,針原からDNA解析を教えて貰うことができた.この研究は,日本各地の縄文系対弥生系人口比率の決定につながった.それは太古以来の日本人成立過程を記録していることが明らかになった.
著者
吉岡 伸也 木下 修一
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.619-623, 2009-08-05

タマムシを始めとして,昆虫や鳥など多くの生物が輝きのある鮮やかな色を持っている.これらの色は構造色と呼ばれ,自然界のフォトニック材料とでも呼ぶべき微細な構造体にその起源がある.近年のフォトニクス研究の高まりに呼応するように,生物の構造色は再び注目を集め,微細構造が示す光学特性はもちろんのこと,波長よりもはるかに大きい構造や視覚との対応をも利用した,総合的な発色の仕組みが明らかになりつつある.
著者
高橋 忠幸 内山 泰伸 牧島 一夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.707-712, 2010-09-05
被引用文献数
2 1

非熱的放射を示す天体現象の研究は,宇宙線の加速機構やその加速現場を探るとともに,宇宙のエネルギー形態の一つである非熱的エネルギーの果たす役割を知る上で重要である.硬X線領域での放射スペクトル測定は,熱的放射から切り離された非熱的放射を選択的に調べることを可能にするが,これまでの衛星では高い感度が得られなかった.日本のX線衛星「すざく」は,広いエネルギー範囲でのスペクトル測定に威力を発揮し,硬X線領域においては世界最高の感度を有する.本稿では「すざく」による硬X線観測の結果を中心として,高エネルギー粒子加速(超新星残骸,ガンマ線連星)と極限状態での非熱的現象(マグネター)の研究を紹介する.
著者
萩野 浩一 有友 嘉浩
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.654-661, 2013-10-05

On August 12, 2012, the anticipated event for the element 113 (with the atomic number 113 and the mass number 278) was detected in the fusion reaction between ^<70>Zn and ^<209>Bi by the experimental group led by Dr. Kosuke Morita at RIKEN. The potential energy between two colliding nuclei consists of a short range nuclear attraction and the long range Coulomb repulsion, and the potential barrier, which is referred to as the Coulomb barrier, appears due to the strong cancellation between the two interactions. For relatively light systems, such as ^<16>O + ^<209>Bi, fusion takes place once the Coulomb barrier is overcome. In contrast, for massive systems, such as ^<70>Zn + ^<209>Bi used in the experiment by Morita, et al., the quasi-fission process, in which the two nuclei reseparate after the Coulomb barrier is overcome, becomes increasingly dominant, and the fusion cross sections are hindered accordingly. Moreover, even if the fusion is succeeded, the compound nucleus quickly decays by the (ordinary) fission. In this article, we first discuss how it is rare to synthesize a new element by heavy-ion fusion reactions and discuss a significance of the experimental result of Dr. Morita, et al. We also discuss a comparison between the so called hot fusion and cold fusion reactions, a transition of fusion dynamics from light systems to heavy systems, and the role of nuclear structure such as nuclear deformation on fusion of massive systems.
著者
田崎 晴明
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.797-804, 2008-10-05

マクロな系の平衡状態に関する普遍的な体系である熱力学と統計力学を非平衡定常系にまで拡張するという(まったく未解決の)課題について,問題意識と現状を解説する.特に,過剰熱の概念,「ゆらぎの定理」,確率分布の表現,そして,拡張クラウジウス関係式といった,非平衡定常系の物理学の鍵になりうる結果について,基本的なアイディアと意義を述べる.この解説では,非平衡物理の「業界用語」を持ちださず,古典力学と平衡統計力学の初歩的な知識だけを使って,ミクロな時間反転対称性がいかにマクロな非平衡物理と関わりうるかを描き出したい.
著者
梅村 勲
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.277-281, 1982-04-05
著者
小松 英一郎
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.583-590, 2007-08-05
被引用文献数
1

ウイルキンソンマイクロ波異方性探査衛星(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe)-通称WMAP-は,ビッグバンの残光「宇宙マイクロ波背景幅射」を史上最高の精度で観測する天文衛星だ.2001年6月30日の打ち上げ,2003年2月11日の初年度の観測成果発表に続き,去る2006年3月16日,3年間のデータから得られた成果を発表した.今回の発表のハイライトは,宇宙マイクロ波背景幅射の微小な偏光の直接測定である.そこから何が得られるのか,またこれから何が期待されるのか,本稿で簡単に紹介する.
著者
押川 正毅 戸塚 圭介 山中 雅則
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.814-819, 1999-10-05
参考文献数
34

磁性体において磁化を磁場の関数としてプロットしたものは磁化曲線と呼ばれる. その名のとおり, 磁化は飽和するまで磁場の増加とともに滑らかに増加するのが通常である. しかし最近, 磁化曲線の途中にプラトーと呼ばれる平坦な領域が出現し, プラトーにおける磁化が特定の値に量子化される現象が注目されている. 何故プラトーが出現し, そこで磁化が量子化されるのか, 主に一次元の系について理論面から解説する.
著者
宮崎 州正
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.431-434, 2007-06-05
参考文献数
14
被引用文献数
2

ガラス転移の特徴である,ダイナミクスの急激なスローダウンの背後には,空間的に不均一な動的構造があることが最近明らかになった.現在,この構造の定量化が実験と数値実験により急速に進んでいるが,これを説明する微視的理論は存在しなかった.我々は,ガラス転移における唯一の第一原理理論と言われるモード結合理論を拡張することにより,ガラス転移点近傍における動的構造を定量的に評価することに初めて成功した.
著者
上田 和夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.316-323, 2010-05-05
参考文献数
51

抵抗極小の現象に対する近藤効果による説明は多体効果の研究の本格的な幕開けを告げるものであった.不純物スピンに関する近藤効果の本質が明らかになるとともに,多体相関の研究は局所的問題から格子系へと展開し,重い電子系からさらには銅酸化物超伝導体を含め強相関電子系の磁性と超伝導というジャンルを形成した.一方,ナノサイエンスの舞台である二次元電子系の量子ドットにおける輸送現象にも近藤効果が本質的役割を果たすことが明らかになり,非平衡状態における多体相関が関心を集めている.近藤効果に淵源を持つこれら二大潮流の研究の現状と今後の動向について私見を述べる.
著者
板倉 数記
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.148-156, 2004-03-05
被引用文献数
1

「陽子は3つのクォークからできている」という一般的な"常識"は,強い相互作用の基礎理論である量子色力学(QCD)に根差した現在の理解からすると,甚だ曖昧で不正確なものである.実際,非常に高いエネルギーでの散乱で弱結合理論になるQCDは,この素朴な"常識"からはほど遠い陽子の姿を予言する.すなわち,高エネルギーの極限では,陽子は「グルオン」というクォークとは異なる構成要素が高密度に飽和した状態になり,この現象は陽子に限らず,如何なるハドロン(陽子,中性子などのバリオンと中間子の総称)にも,原子核にも現れる普遍的なものである.この状態は,あたかもガラスのようにゆっくりと変化するランダムな「色」の荷電分布を背景にして,「色」を持つグルオンがボーズ凝縮のように高密度に凝集したものであるので,「カラーグラス凝縮」と呼ばれている.本橋では,この「カラーグラス凝縮」の生成過程と性質,記述方法,実験的証拠の有無などについて,最近の理論的発展を解説する.
著者
小川 哲生 上田 正仁 井元 信之
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.781-788, 1993-10-05

量子力学の観測問題のなかでもマクロ系での波束の収縮に関する問題は,「シュレーディンガーの猫のパラドックス」でも知られるように積年の論争の対象である.『量子力学はマクロ系にも適用可能か?』この問いに答えるべく実験が始まっている.本稿では,この問題の意義を振り返りながら最近の状況を報告し,「シュレーディンガーの猫状態」(マクロな量子力学的重ね合わせ状態)を実際に作り出すフォトンカウンティング法を紹介する.この議論を通して,時間的に連続な量子力学的測定,すなわち波束の連続的収縮を概説し,波束が時々刻々収縮することと観測によって得られた情報との関連を,「番犬効果」を例にとり具体的に説明する.
著者
佐藤 正寛
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.479-480, 2021-07-05 (Released:2021-07-05)

新著紹介相対論とゲージ場の古典論を噛み砕く;ゲージ場の量子論を学ぶ準備として