著者
栗原 まな 千葉 康之 小萩沢 利孝 衛藤 義勝
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.531-536, 2006-08-18
被引用文献数
6

当センターにおいて脳外傷後遺症に対するリハビリテーション(リハ)を行った受傷時16歳未満の症例のうち高次脳機能障害が認められた39例と認められなかった43例について比較検討した.受傷原因は高次脳機能障害がある群で交通事故が有意に多く(p<0.01),転落・転倒・落下物が有意に少なかった(p<0.05).急性期の意識障害の程度も高次脳機能障害の有無と有意な関連性をもち,高次脳機能障害がある群でGlasgow Coma Scaleは有意に高かった(p<0.05).脳損傷の種別では硬膜下血腫,びまん性軸索損傷などが多かったが,高次脳機能障害の有無との関連は認められなかった.また高次脳機能障害のある39例についてみると,症状は記憶障害,注意障害,感情コントロール低下,遂行機能障害,対人技能拙劣の順に多かった.
著者
水野 勝広 赤星 和人 堀田 富士子 内川 研 永田 雅章 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.730-734, 2002-11-18
被引用文献数
3

We reported a case of auditory agnosia following bilateral intracerebral bleeding. A 56-year-old man was admitted to our rehabilitation hospital with disorder in cognition of human voices and environmental sounds. He suffered from intracerebral bleeding in right temporal lobe and in left putaminal hemorrage prior to this admission. He had no other cognitive disorders, and bilateral moderate sensorineural hearing loss was revealed by pure-tone audiometry. He could not recognize human voices or other kinds of environmental sounds. However he could communicate by writing, and his spontaneous talking was normal. Auditory brainstem response (ABR) was normal, but middle latency response (MLR) indicated impairments of left auditory radiation and right primary auditory cortex. We introduced lip-reading rehabilitation and educated the patient and his family. After 2 months, he could communicate with his family by listening and lip-reading, but he sometimes needed writing when he communicated with other medical staffs.
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.149-179, 2006-03-18 (Released:2010-02-10)

リハビリテーション医の立場から—全国実態調査の概要と安全管理ガイドライン作成に向けての取り組み—…里宇 明元 149リハビリテーション看護の立場から…北代 直美 155理学療法におけるリスクマネージメント…遠藤 敏 159作業療法士の立場から…東 祐二 164言語聴覚士の立場から…佐場野優一 171義肢装具士の立場から…栗山 明彦 176
著者
山内 克哉 伊藤 倫之 美津島 隆 三浦 美穂
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, 2005-04-18

慢性呼吸不全患者は,呼吸補助を行うと呼吸状態が改善することを経験する.今回,気道確保を必要とせず呼吸補助を行える長所を持つRTXを使用し,呼吸状態の改善の有無を検討した.症例は81歳,男性.10年前より肺気腫の診断で通院していた.2003年8月より呼吸状態悪化し,在宅酸素療法施行となった.2004年8月10日より入院加療し,口すぼめ呼吸や筋力増強訓練などの呼吸リハを開始したが,呼吸状態の改善は得られなかった.11月8日より1週間,毎日1〜2時間RTXを使用し,前後の血液ガス,呼吸機能検査を測定した.結果,血液ガスは,PaCO_2低下,PaO_2増加反応を示した.呼吸機能検査では,%VCは増加したが,FEV_1.0は低値のままであった.また,RTX使用で呼吸疲労度は軽減し,本人の満足度も得られる結果となった.今回の症例では,RTX使用が有用であり,今後も更なる症例を重ね検討を加える必要がある.
著者
高見 正利 福井 圀彦
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.93-101, 1987-03-18
被引用文献数
17

床反力計を用いて歩行特性の正常範囲を求めた.加齢により歩行は60歳前後で急激に変化した.これは高齢での歩行が慎重になるためである.歩幅と歩調(ケイデンス)の減少により歩行速度は低下するが, 影響は歩幅の方が大である.歩幅は広くなる.各位相期は増加し, 特に両脚支持期の増大は立脚期を延長させ, 歩調を減少させる.床反力では, 2峰性の垂直分力が緩やかな波形となり, 前後分力は減少し側方分力は変化が少ない.性別による比較では, 女性の方が歩調と歩幅が狭く高歩調を示し, 速度は遅い.歩幅の性差は脚長差の影響が大きい.また立脚期と単脚支持期は少なかったが, 歩行周期による規格化後は性差がない.女性の床反力の各ピーク値は総体的に小さい.