著者
田岡 三希 佐藤 哲 鎌田 勉 奥村 浩
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.82-90, 1988-09-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
8 11

1 北海道の大黒島でコシジロウミツバメOceanodroma leucorhoaの鳴声がどのような状況で発せられるかを調べた。2 鳴声のレパートリーは主にChatter-call,Purr-call,Screech-callの三種で各々雌雄共に鳴く。このうちPurr-callとScrreech-callは特定の状況下でのみ鳴かれ,状況特異性が見られた。3 Purr-callが鳴かれる巣穴には必ず雄,雌の二羽がおり,また卵や雛はいない。従って,この鳴声は求愛行動や番形成に関係していると思われる。4 Screech-callは同性の二羽の間で鳴かれ,おそらく闘争に伴って鳴かれる鳴声と思われる。5 Chatter-callは様々な状況下でまた他の鳴声と共に鳴かれるが,飛翔個体はほとんどこの鳴声しか鳴かない。しかしながら,Chatter-callの鳴かれる状況をそれに伴って鳴かれる鳴声に従って分類すると状況特異性が見られた。このことはこの鳴声が状況の違いにより複数の機能を持ちうることを示唆する。事実,この鳴声の再生実験を巣穴中の個体に対して行ったところ,様々な反応を誘起した。
著者
杉浦 邦彦
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.293-308, 1974

1)伊勢道路は1893年頃,3.0m幅の小さな県道であったが1965年,日本道路公団により幅6.5mのアスファルト舗装道として開通した。当時は1日平均1500台の自動車通過をみたが最近はその3.5倍近い5300台の通行量となった。これにともない野鳥の斃死体が道路上で頻度高く発見されるようになったため,これをとりまとめ解析してみた。<br>2)神宮林は一般に暖帯林の天然林であると考えられているが大部分は人工林である。ところが伊勢道路の通過する個所は常緑広葉樹が主体となり,落葉広葉樹は極くわずか点在している。いわゆる天然林が五十鈴川の上流に沿って細長く続き,この天然林の中を伊勢道路が走っている。<br>3)野鳥の事故件数を年次的変動でみると.その相対被害優占度(相対被害数/総合計相対被害数×100)は開通当時の1965年よりも1972年の方が大きく,その値は約3.2倍となっている。これは自動車の通過数量の約3.5倍と同じに近い数で野鳥の被害数と自動車の通過数とは比例しているようである。<br>4)10科18種に及ぶ被害野鳥は72.2%が留鳥,16.7%が冬鳥で両者合せて89%の多くになる。そしてこの野鳥の被害数全体の1/3が若鳥であることは注目させられる。また,被害野鳥はジョウビタキの21.4%を最高に,ホオジロの14.3%と続き,実にヒタキ科に属するものは全体の45.2%にも達する。これは野鳥の生活環境による例えば採餌,ねぐらなどの習性からくる影響によるものではないだろうか。<br>5)被害野鳥の季節的傾向については3月の19%を最高に2月,4月,11月,12月,1月の10%。台で,11月から翌年4月の6カ月間に87%が衝突被害を受けており,夏季より冬季の方が被害は約3倍ほど多くなっている。これは神宮林内の野鳥生息密度数と関連しているようである。<br>6)被害野鳥の死亡原因を明確なものだけとってみると,頭部内出血が33%で最も多く,道路の左右いずれの方からも等しい数の頻度で衝突しているようである。衝突の激度については内臓の内出血を14%も数えるが,この中には大動脈切断や肝臓破裂などあって衝突時のスピードのすごさが推察される。<br>7)被害野鳥が集中して発見される地域性については伊勢道路と殆んど直角に交差する,延長約20m以上,幅2~5mの小谷の吐出口に多いか,旧県道と伊勢道路が交差する幅広い無立木地の交差点附近にウグイス,シロハラなど低空移動性の野鳥が被害を受け易い。これをまとめると伊勢道路の神宮林内約8kmのうち9個所にそれが顕著に現われている。<br>8)目撃例では野鳥が自動車に驚いて逃げるときのスピードが大体30~60km/hである。したがって自動車のスピード60km/hでは衝突被害は現れるが,最高50km/hではその限界になるようである。野鳥に逃避準備のできないときは30km/hでも危険性はあるが,普通40km/hのスピードで自動車の運転をすれば山間部を走る道路としては野鳥に危害を及ぼすことはないようである。
著者
風間 辰夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.389-398, 1971-12-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

The author first noticed in 1959 the shore washed sea birds on the beach of Kashiwazaki, Niigata prefecture and has reported, since 1964, Synthliboramphus antiquus, Uria lomvia, Brachyramphus marmoratus, Cerorhinca monocerata, Lunda cirrhata, Aethia psittaculus, Rissa tridactyla, Larus argentatus, Calonectris leucomelas, Gavia stellata and Gavia arctica, found dead by oil pollution. Alcids are especially affected by the pollution and the Ancient auklet, Synthliboramphus is the most usual species.In this report, 30 examples of this auklet were selected for anatomical analysis. On 24 January 1971 numerous dead ones contaminated black by oil were found along, 280km of the beach, 5 birds in 100m at a certain part. They could be grouped into 3 categories with respect to the body weight, amount of fat and oil attached. The most severely polluted example had oil weight 50% of the body weight with least fat. Others still had some fat. The oil was found even in the digestive tract.The ship oil is still being casted offshore in Japan Sea but is drifted ashore by prevailing winds. After much effort by the author and others, the problem became seriously considered but no definite solution is reached yet.
著者
千羽 晋示
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3-4, pp.208-216, 1965-12-31 (Released:2008-11-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

Between October and April, many sea-birds have been found dead on the beach on Niigata coast concentrated in Kashiwazaki area. This part is south of Sado I. and east of Noto Peninsula and owing to this situation, winds and sea currents are very complicated. Since 1959 to 1965, 16 species, 73 birds were collected and the correlations with temperature and winds were considered (possibly positive with day variation in temperature and wind velocity and consequent waves). From the sea currents and the state (freshness) of drifted birds, the distribution of these birds in March and November was estimated.
著者
マハウルパタ ターラカ マハウルパタ ダルシャニー 中根 周歩 藤井 格
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.36-43, 2001

本研究ではセグロセキセイ(<i>Motacilla grandis</i>)の雛の餌を,西日本の東広島市で1998年と99年の繁殖期に生まれた31羽の雛を用いて,首締め法で調べた。雛の餌のうち昆虫綱が個体数で85.5%,クモ綱が14.2%,多足綱が0.3%を占めた。乾燥重量でみた場合,昆虫綱のうちトンボ目は餌の4分の1近くを占め,また双翅目,鱗翅目,鞘翅目,直翅目の餌重量も大きかった。ユスリカ科とコカゲロウ科については,個体数は最も多かったが乾燥重量は小さかった。これらの結果は,セグロセキセイは雛の餌を捕獲する際にはある限定された生物(トンボ科,ガガンボ科,ゲンゴロウ科)を好むということを示唆している。
著者
細野 哲夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.63-71, 1983
被引用文献数
9

(1) 1976年から1980年に,長野県上水内郡鬼無里村大字日影•鬼無里(西地区)で,オナガの年間の個体数の変化と繁殖について調べた。<br>(2) 積雪期間が12月末から4月上旬に及び,積雪1~1.5mの地域にも通年オナガは生息していた。調査地域内の地域群は1群で,最大個体数は約40~45羽であった。<br>(3) 6巣を発見した。うち2巣は非繁殖期の群行動圏外,約3.5kmの所であった。<br>(4) 営巣木は,モミ,スギ,カイヅカイブキ,ウメであった。産卵は6月初旬から7月中旬の間であった。1腹の卵数は,6~7卵で今までの観察例と似ている。3巣で不ふ化卵が1~2個みられた。抱卵日数,育雛日数も従来の観察と特に変った点はみられなかった。<br>(5) 1巣にカッコウが托卵した。カッコウの卵が4日前にふ化し,オナガの卵と雛を巣外へ出してしまった。小林建治氏によれば,塩尻市東山の1巣では,両者とも巣立った。<br>(6) 育雛期に,前年生まれの個体による手伝い行動が見られた。雛および雌への給餌,糞の始末,害敵の攻撃などが観察された。
著者
亀田 佳代子
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.94-97, 1999

ボルネオ島のマレーシアサラワク州において,これまで繁殖記録のなかったクリイロバンケンモドキの繁殖を観察したので報告する。1996年8月4日,ランビルヒル国立公園内にあるつり橋状のウォークウェイで,オスのクリイロバンケンモドキが枝をくわえてヒルギ科の樹冠付近に入るのが目撃された。8月7日にその木に巣があるのを発見し1羽が巣にいるのを確認したため,営巣が判明した。高さは地上約20mであり,営巣木である <i>Carallia brachiata</i> の樹冠付近には,数種のつる性植物が繁茂していた。巣は外側が小枝,内側には葉が敷かれており,近縁種の巣と似た構造であることがわかった。抱卵期にはオスメスが約1時間おきに抱卵しており,卵の形態や卵数は確認できなかった。8月28日には雛が確認され,9月2日には雛数は2羽であることが判明した。雛は9月6日には巣から歩いて枝に移動するのが見られた。翌7日には,頭の羽の色からオスメス1羽ずつであることがわかった。9月8日以降,雛は巣および営巣木からいなくなった。羽がほぼ生えそろっていたこと,歩いて巣から出ていたことなどから,巣立って他の場所に移動した可能性が高いと考えられた。育雛中の9月3日に終日観察を行ったところ,12回のエサ運びが観察され,雌雄が確認された10例は全てメスであった。しかし,巣作り,抱卵,および抱雛はオスも行っていたため,本種では雌雄とも何らかの形で子育てを分担していることがわかった。
著者
黒田 長久
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.222-227, 2002-10-25 (Released:2008-11-10)
参考文献数
4

ハゴロモヅルAnthropoides paradisea(上野動物園で落鳥)の筋肉写生図(1976)を整理,分析した。大胸筋には深部(profundus)(帆翔鳥類に見る)はなかった。闊背筋(latissimus dorsi)は板状で白色筋の前部と赤色筋の後部からなり,中間の膜状帯で連なる。肩先と頸基部を結ぶ小筋を肩頸筋m. collumiscapularisと名付けた(これは文献に見当たらない。前報(2002)では闊背筋前部としたので訂正しておく)。また,大腿骨基端と腰骨を結ぶ小筋を大腿転子筋m.fermor-otrochantericusと名付けた(これはハトでは膜状である)。脚筋では半膜筋m.semimembranosusと半腱筋m.semitendinosusの複雑な連繁と宇回筋m.ambiensの腱の第II,III,IV趾屈筋群への連結を図示した。なお前頸筋m.tibialis anteriorの腱は骨化している。
著者
佐藤 文男 百瀬 邦和 鶴見 みや古 平岡 考 三田村 あまね 馬場 孝雄
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-21_1, 1998
被引用文献数
5 6

現在,伊豆諸島鳥島で繁殖するアホウドリは約170つがいであるが,営巣地が不安定な地形にあるため繁殖率が低下している。本研究はアホウドリの個体数回復を促進させるために,より安定した場所に新しい営巣地を作ることを目的に行なった。<br>予備調査として,1991年11月に鳥島燕崎のアホウドリ営巣地でデコイ10体と音声を用いてアホウドリを新営巣地で繁殖させるための誘致調査を行い,アホウドリがデコイと鳴き声に反応し,近づくことを確認した。引き続き,1992年4月に鳥島初寝崎の新営巣地予定地にデコイ16体を設置,音声を再生して誘致実験を4日間行なった。その結果,通常アホウドリが飛来しない地域で9個体のアホウドリをデコイ上空に飛来させるのに成功した。同年11月からはデコイ41体を継続設置した(音声なし)。<br>これらの予備調査の結果を受け,1993年3月からはデコイを50体とし,太陽電池を用いた音声システムを併用,はじめてアホウドリ5個体(重複個体を除く)を新営巣地に着地させることに成功した。1993年の繁殖期から1996年にかけて誘致調査を継続させた結果,新営巣地への着地は重複個体を除き,1994年に5個体,1995年に29個体,1996年に41個体と増加した。また,年毎のアホウドリの滞在時間を示す滞留指数は,1993年:0.31,1994年:0.86,1995年:1.64,1996年:2.37となり4年間で7.6倍になった。アホウドリの着地は1993('92~'93)年にはデコイ区域に多く見られたが(78.9%),1994年からはデコイ区域の下部一帯に広がり,デコイ区域への着地数は1993年に比較し23.1%,1995年に8.3%,1996年には31.4%と減少した。この理由として1993年10月に音声システムの一部を変更し,スピーカーの向きを変更したことが考えられた。デコイ区域内に着地したアホウドリの着地地点と着地後に歩いて近寄ったデコイの型は成鳥型が多く,亜成鳥型は少なかった。また,音声との関係ではスピーカー近くの音量の大きい地域に着地地点が集中していた。着地したアホウドリは幼鳥•亜成鳥が多く,成鳥は少なかった。成鳥の着地は1996年の調査では41個体中4個体であった。着地個体の年齢は4•5•6齢が多く,1995年2~3月の調査では60%を占めていた。<br>新営巣地では1993年に2個体によるディスプレイダンスが観察されたのを始め,1994年には複数回のダンスと夜間も滞留する個体が,1995年には特定の場所に長時間座る個体が確認された。さらに,1995年11月には6歳の雄と5歳の雌との営巣産卵が確認され,1996年2月には雛の艀化を確認,6月10日に巣立った。また,1996年11月にはデコイ地域で3つがいの巣作りが確認され,うち2つがいで産卵を確認した。初繁殖したアホウドリの年齢は,4歳11ヶ月(♀),5歳11ヶ月(♂)•6歳11ヶ月(♂)で,いずれも1990•1991年生まれであった。1990年生まれの個体は1994年1月から複数回観察されており,繁殖開始は飛来しはじめて2年から3年かかることが示唆された。これらの観察を通し、アホウドリはデコイを海上から確認して,上空に飛来し,デコイと音声の両方の効果により着地,その後,おもに音声効果によって滞留が促されていると考えられた。また,初寝崎で繁殖しているクロアシアホウドリの存在もアホウドリの定着に効果的に作用したと考えられた。
著者
米田 重玄 上木 泰男
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.96-111, 2002
被引用文献数
1

福井県丹生郡織田町笈松にある環境庁織田山1級鳥類観測ステーションでは,山地性の小鳥類の渡り状況を把握するために標識調査を1973年から,毎年10月中旬から11月上旬までの期間に継続的な調査を行なってきた。調査は,毎年ほぼ一定の枚数のカスミ網を場所を定めて設置し,状況に応じて最大の捕獲効果が得られるように,テープレコーダーで鳥を誘引し,捕獲される鳥の捕獲数•捕獲時期や種構成の年毎の変化を調査してきた。1973年から1996年までの24年間の秋の標識調査では,総放鳥数は合計75種71,416羽であった。もっとも多いのはカシラダカとアオジの2種で総放鳥数の約53%になった。上位10種は,上記の種の他,メジロ,シロハラ,メボソムシクイ,マミチャジナイ,ウグイス,シジュウカラ,ツグミ,アトリであり,合計放鳥数は総放鳥数の90%を占めた。75種のうち毎年放鳥記録があったのは,16種あった。年毎の標識放鳥種数は,21~54種で平均40.0種であった。各年の調査期間が異なるため,ほぼ毎年調査を行なった17日間について,1日の平均捕獲数を年毎に比較した。この期間の放鳥数の多かった上位25種について,種ごとに1日の平均捕獲数を年度別に増減を見て,1970年代から1980年までと,伐採によって環境の変わった後の1983年から1996年との間で比較した。その結果,種による個体数の増減は,(1)有意に減少傾向が見られる種(カシラダカ,メジロ,アトリ等9種),(2)有意に増加傾向が見られる種(アオジ,クロツグミ),(3)放鳥数に有意差がない種(メボソムシクイ,エナガ,ムギマキ等14種),(4)(3)の種のうち年変動が激しい種(ウソ,ルリビタキ,キビタキ等4種),に分けられた。増減の変化が特に大きかったカシラダカとアオジの放鳥数の変動は,他の調査地との比較によって,大規模伐採の影響が示唆された。1970年代と1990年代とを比較すると,1970年代に比べて1990年代では種数で9種減少し,放鳥数では約半分となった。特に,カシラダカ,アトリ,ツグミについては,1990年代には1970年代に比べて100分の1から10分の1の放鳥数であった。いっぽう,アオジ,シロハラについては1970年代よりも1990年代の方が多かった。1970年代に織田山1級観測ステーション周辺で行われた大規模な伐採が,環境を大きく変化させ,標識鳥の種構成や,個体数を変化させたと考えられるが,鳥種によって変化の仕方が様々であった。しかし,全体的に言って種の多様性が少なくなったと考えられた。
著者
シュプリンガー マークS. 樋口 広芳 上田 恵介 ミントン ジェイソン シブレイ チャールズG.
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.66-77_1, 1995-10-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
37
被引用文献数
8 8

小笠原諸島の固有種,メグロApalopteron familiareは,1958年以降ミツスイ科に分顔されているが,これまでにヒヨドリ科,メジロ科,チメドリ科などにも分類されており,分類学上の位置が不安定な鳥である.われわれはミトコンドリア12SリボソームRNAをコードするDNAの塩基配列に基づく分子生物学的手法により,メグロがメジロ科の1種であることを示す証拠を得た.また,メジロ科の中では,マリアナ諸島南部に生息するオウゴンメジロCleptornis marcheiに近縁であることを明らかにした.オウゴンメジロもかつてはミツスイ類とされていたが,最近,DNA-DNAハイブリダイゼーション法や生態•行動研究などによってメジロ類であることが判明した鳥である.メグロは,相互羽づくろいや接触就眠を行なう,巣づくりから育雛まで雌雄で行なう,求愛給餌を行なわない,などの生態,行動面でもメジロ類に似ている.また小笠原諸島には元来メジロ類は分布しないことになっているが,メグロがメジロ類の1種になることで分布のこの奇妙な空白も埋まることになる.
著者
黒田 長久
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.222-224, 1962
被引用文献数
2

この鳥は1962年7月29日,名古屋市鶴舞公園附近の道路で生きて拾われ,東山動物園に寄贈されたが,餌を摂らず10日ほどで死亡した。この報告は標本と共に同動物園の安藤洋一氏から山階研の高野伸二氏宛送にられて来たもので,12月21日筆者に同定を依頼され,<i>Pterodroma externa cervicalis</i>(Salvin)(Kermadec島産)なることが判明した。和名は大型であることから高野氏提案のオオシロハラミヅナギドリと命名した。<br>本種は頭頂黒く,白頸輪で背の灰色と分離することが特徴で,英名をWhite-necked(Gadfly)Petrelと呼び,この点で一見大西洋の<i>P.hasitata</i>(Black-capped Petrel)に似るが上尾筒が白くない点でこの種と区別容易である。基亜種はチリ沿岸産である。北半球従って日本からは初記録である。この鳥が得られたのは台風7号が名古屋地方を27~28にかけ通過した翌日であったという。
著者
池長 裕史 儀間 朝治
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.28-39, 1993
被引用文献数
2

沖縄島の北部のみから記録されているクイナ科の希少種であるヤンバルクイナは5種類以上の鳴き声を持つ。初めてビデオ撮影に成功したデュエットの映像と録音テープをもとに,本種の鳴き声についてソナグラフで解析し,以下の知見を得た。<br>1) 5種類の鳴き声:コールI(ケッケッ(<i>Kyo</i>)-コール),コールII(ググッ(Gu)-コール),ソロソングI(クルル(<i>Krr</i>)-コール),デュエット(ケケケ(<i>Kek</i>)-デュエット)及びソロソングII(ケケケ(<i>Kek</i>)-コール)のソナグラムと波形を図示し,デュエットについては2羽を分別した。<br>2) デュエットの際,2羽はお互いに向かい合わず,反対方向を向いて頭をふりながら同時あるいは交互に鳴き合わせた。<br>3) デュエットは,先に鳴き始め,1秒間に7~8回の比較的安定した間隔で発声する個体と,これに同調し,やや分散的に鳴く別の個体とにより唱和され,この2羽は嘴の長さの差からそれぞれ雄と雌と考えられた。<br>4) ソロソングII(ケケケ(<i>Kek</i>)-コール)はデュエットに類似していたが,他の個体が同調することなく,それより短い独唱のままで終わっており,導入部,声の連続性,後半の声の強さの変化においてデュエットとは差がみられた。<br>5) 同じ種類の鳴き方でも鳴き声は変化し,ある特定の声の特徴について,それが雌雄の差によるのか,鳥の個体差によるものなのかは今後の課題である。
著者
田村 實 上田 恵介
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.86-90, 2000-12-29 (Released:2008-11-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

一般に鳴禽類では,メスの囀りは一般的ではないが,著者らは1998年5~7月に,山梨県清里において,コルリの繁殖生態を調査中に,コルリのメスが囀るのを観察•記録することができた。観察したのは繁殖期の後半(6月下旬)で,2つのなわばり内の巣で,メスが巣内ビナに給餌を行っていた時期と,巣立ち雛を連れている時期に観察され,ビデオ撮影•録音された。またヒナが巣立った直後に発見した別のなわばり内の巣のメスも,巣立ちビナを連れながら,さえずっているのが観察された。メスの囀りにもいくつかのレパートリがあったが,オスの囀りと異なり,囀り4パターンの中,2パターンにおいて,オスの囀りに特徴的な「チッ,チッ,チッ…」という前奏が聞かれなかった。メスはオスよりも低い声で,また,オスよりも弱い声で囀っていたが,囀りのパターンは部分的にはよく似ている傾向が見られた。メスが囀ることの意味は,まだよくわからないが,人の巣への接近という状況下で起こっていることから,メスによる巣の防衛行動に関連した機能があると思われた。
著者
黒田 長久
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.12-27, 1993-03-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
10
被引用文献数
5

1992年7月8日沖縄島東村北部新川ダムサイトで犬の咬傷で死亡し,同村教育委員会で冷凍保存され,その後我孫子市鳥の博物館に送られたヤンバルクイナ雄幼鳥についてその形態測定と解剖を行った。この標本と1992年11月石垣市ダム下流道路で拾われたオオクイナ,筆者所有の断片的記録資科(クイナ,ヒクイナ,ツルクイナ,ムナジロクイナ,バン,タスマニアバン(無飛力),オオバン)を用い,外形態の翼開型や剥皮体の各部測定(黒田1961),胸骨,腰骨,胸筋量,脚節量,臓器重量などを調べた。ヤンバルクイナは胸骨,胸筋が縮小し,無飛力化が進んでおり,脚筋は発達し,胸筋の約4倍の量があった。上膊骨は短細化し,大腿骨は太く上膊骨より長かった。脚も長く地上走行から樹上塒への登攀にも十分適応を示していた.
著者
小笠原 〓
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.351-362, 1968-12-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
7
被引用文献数
3 4

調査は1965年11月から,1966年1月までに,キジ,ヤマドリの生態分布及び食性を明らかにするために仙台市周辺及び,秋田県北秋田郡田代町周辺で行なった。冬期,キジ,ヤマドリの生息場所及び生息範囲は,対照的であるが,その分布はかなりオーバラップしている。すなわち,仙台市周辺では,キジの生息範囲はかなり広いが,ヤマドリは主に山地に限られ,一方田代町周辺ではヤマドリの分布範囲が広く,キジは主に米代川沿に多く分布し,さらに,キジの個体数は,仙台市周辺の方が,田代町周辺より多いように思われる。捕獲した鳥は,キジが仙台市周辺で12個体,田代町周辺で2個体,岩手県で1個体で,計15個体,一方ヤマドリは,仙台市周辺で4個体,田代町周辺で1個体の計5個体で,それぞれについての食性調査を行なった。食餌物の全般的配分では,キジでは植物質が全体の99.6%,動物質が0.4%,一方,ヤマドリでは,植物質が全体の99.8%,動物質が0.2%と,両種とも,そのほとんどが植物質であった。さらに,植物質では,キジで37種,ヤマドリで20種が同定できた。仙台市周辺のものでは,キジ,ヤマドリともに,植物の種実が多く,それぞれの77.4%,75.1%を占めていた。田代町のものでは,キジで全体の91.2%が種実であった。植物の種実を,木本類,草木類,つた類と大別すると,仙台市周辺では,キジ(GP),ヤマドリ(CP)では,それぞれ,草木類で,42.2%(GP),44.5%(CP),木本類が,10.4%(GP),12.4%(CP),さらに,つた類では,43.3%(GP),43.1%(CP),となり,草本類及びつた類の種実が多かった。また植物質を科別にみると,キジでは,マメ科,イネ科,ブドウ科,タデ科の種実及びヤマノイモ(ムカゴ)が多く,一方ヤマドリではマメ科,タデ科,ヒユ科,ミズキの種実及びシダ類葉片が多かった。動物質は,きわめて少なく,わずかに5種類にすぎなかった。
著者
Peter Berthold Ulrich Querner
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2-3, pp.157-165, 1982-12-20 (Released:2008-11-10)
参考文献数
31
被引用文献数
6 11

Suspended moult is a special adaptive moult strategy which is widespread in long-distance migrants. The replacement of remiges and rectrices in this type of moult starts before migration but then is interrupted during migration. So far, it has virtually not been investigated experimentally. We carried out an investigation on the Orphean Warbler, Sylvia hortensis, an European trans-Saharan migrant known commonly to suspend its moult. We studied 15 trapped adults and 8 handraised young individuals, which were kept in light conditions simulating those to which freeliving conspecifics are normally exposed in the course of a year. In the first experimental year, the adults, caught during breeding, all suspended their moult and retained some old primaries, secondaries, and tertials. In the second experimental year, when the same birds were prevented from breeding, they moulted weeks earlier, and, as a result, completed their moult before the migratory period. Similarly, the handraised birds showed a complete moult in their second year. Thus, the suspended moult of the Orphean Warbler is not based on strictly endogenously controlled moult programs with preprogrammed moult pauses. Moult in this species can be adapted on a facultative basis to various conditions experienced. The course of the moult and its suspension appear to be linked to the preceeding individual breeding season, and some conceivable control mechanisms are discussed in detail.
著者
藤巻 裕蔵 樋川 宗雄
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1-2, pp.172-177, 1978-03-31 (Released:2008-11-10)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

旭川市東旭川町瑞穂で森林性鳥類の調査法の研究中にクロジの営巣を確認した。調査地は標高500m,面積140haほどの針広混交の天然林中に設けられた23haの区画である。ここではエゾマツ,トドマツの針葉樹が40%,シナ,カツラ,イタヤ,オヒョウなどの広葉樹が60%を占める。調査地の中央を流れる沢を境に南側では林床植物がシダ類,ヤマアジサイなどでそれほど密ではないが,北側ではクマイザサが密生している部分が多い。クロジは調査地内で2~4つがいで生息し,主として北側のクマイザサの密生地にいた。このうち一つがいの巣を1976年7月8日に確認した。巣は高さ130cmのトドマツの幼木上部,地上90cmのところにあり,巣内には4卵があった。その後7月20日に巣内に巣立ちまじかのひなを見たが,翌日にはひなは巣立っていた。このほか調査地内で7月6日に雄1羽と幼鳥3羽の群が観察された。北海道でクロジは,春と秋の渡り時期に平地の森林で見られる。繁殖期には北海道南部以外の地方では標高200~1300mの主として針広混交林でかなり普通に見られる。
著者
西垣外 正行 小海途 銀次郎 和田 貞夫 奥野 一男
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.286-299, 1971-06-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

1.1957年から1969年に,大阪,奈良,和歌山の県境を走る金剛山地および和泉山脈のうち,二上山から和泉葛城山までの尾根づたい約40km,幅1kmの範囲で,クマタカの繁殖生活に関する調査を行なった。2.この報告は,12年間に発見された19巣をもとにして,繁殖全期間中,巣場所選定から巣造りまでを扱う。3.本地方におけるクマタカは,1月下旬から2月初旬に巣造り開始の兆候を現わす。4.巣造り期に風雪害による巣に被害が生じた際,営巣が中断され,新に再営巣する。5.巣造りに要する日数はおよそ30日位である。6.本種は自らの古単を利用することがわる。7.営巣樹における巣の位置は,樹幹,樹頂,枝先の3つの型がある。枝先型は本種の特性とみなされる。8.巣の大きさは,直径150cmから80cm位のほぼ円型,巣の厚みは,最大85cmから最小25cm位である。9.産座の材料には,アカマツまたはスギを主とし,ヒノキ,五葉マツを混じえる。いずれも青葉のつらた小枝が使用される。10.巣台に使用される材料は,アカマツの枯枝が主で,最大直径3.5cm,長さ110cmの木片が使用されることがある。11.営巣地点の標高は,250mから600m位で,各主峰に対して1/2位(450m)に位置する事が多い。12.営巣地点と人家の距離150mという例がある。13.営巣林は赤松の純林84%,杉の純林5%,混合林(ヒノキ林にアカマツの混合)11%である。14.営巣樹の大きさは,胸高直径39cm,高さ約5m以上の樹木が必要とされる。15.営巣樹はアカマツ94%,スギ6%である。16.営巣林内の巣の位置は,垂直的には下層部が多く,平面的には何ら特微がない。17.各巣の位置の年変化は,平均590m位である。
著者
元 炳〓 禹 漢貞 咸 奎晃 尹 茂夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.405-444, 1966-12-31 (Released:2008-11-10)
参考文献数
25
被引用文献数
1 4

本論文は,1963年6月から1966年12月までの期間に,韓国に於て京畿道を中心として標識放鳥した結果と併せ,この放鳥過程で観察した主に渡り鳥の季節的分布並びに其の生態に就いて纒めて報告した。1.1963年6月6日から25日までの20日間に,3種(及び亜種)99羽,1964年7月3日から1966年12月31日までに124種(及び亜種)123,242羽を放鳥した。22種(及び亜種)196羽(144羽再帰)が国内(標識放鳥した以外の場所)で回収されており,5種(及び亜種),7羽が国外から回収された。2.1964年8月12日から1966年9月30日までの3年間に亙ってSeoul東北方泰陵墨洞所在の梨畑でホオジロハクセキレイ11,680羽とツバメ9,013羽を放鳥した。a.ホオジロハクセキレイは3月初めにツバメは4月上旬,韓国に渡来し5月~6月に繁殖を終え,10月下旬南下移動するまで梨畑で集団就眠する。b.ホオジロハクセキレイとツバメは,同じ塒で就眠するが,帰眠,離眠時間及び照度が違い,その行動にも差異があるのみでなく塒の一部が重複(overlap)するけれども,其の地位(roosting niche)が違っている。ホオジロハクセキレイの大群が塒周囲に集結すると同時に入塒を始める頃,ツバメは上空に現われ始め,ホオジロハクセキレイの群が入塒完了後ツバメ小群が大群をつくりながら就眠地域上空を時計針と反対方向に飛び廻る。次いで低空を飛びながら,素早く入塒を完了する。ツバメが離塒した後,ホオジロハクセキレイが出始める。c.帰眠,離眠(塒)は晴,曇天に依って時間的差はあるが照度(Lux)には,殆んど差がなかった。d.ホオジロハクセキレイは塒から20km半径以上の距離から小群で帰眠飛翔を始める。e.ホオジロハクセキレイとツバメの一部は1~2年後回帰(return)する。再捕獲(repeat)が少いが,これは両種共南下移動中の群であるためであろう。3.1964年7月から1966年10月まで,主に京畿道で放鳥したホオジロ属鳥類は12種(及び亜種)78,170羽である。Emberiza rutila, E. spodocephala, E. tristrami, E. aureola ornata及びE.rusticaは春秋通過する優占種であり,秋には大豆,トウモロコシ,キビ畑を好み,特にEmberiza rutila集団は粟畑に集結する。E.rustica集団は前記4種とは違い,開けた土地の藪,疎林又は森林の下木や灌木等に集結する第一位の優占種である。シマノジコEmberiza rutila秋の渡りは,8月上旬から10月下旬まで,春は5月に韓国を通過する。性比は155:100(17761♂,11674♀)であるが,9月(1964年と1965年両年共)だけは38:100である。渡りの初めには雄群が先立ち,以後雌群が渡来し,次いで若鳥と雌雄の混成群が通過する。アオジEmberiza spodocephala秋は,9月下旬から10月下旬まで,春は4月下旬から5月中旬まで,韓国を通過する。性比は140:100(551♂,392♀)である。シロハラホオジロEmberiza tristrami9月下旬から10月下旬まで韓国を南下通過し,翌年4月下旬から5月中旬まで北上通過する。性比は140:100(551♂,392♀)である。シマアオジEmberiza aureola ornata8月上旬から10月下旬まで,韓国を南下通過し,翌年4月下旬から5月下旬まで北上通過する。カシラダカEmberiza rustica10月上旬南下渡来し始め,前記の4種が韓国を通過完了する頃の10月下旬から大群が南下し,11月下旬から渡来最盛期をあらわす。12月上旬から漸次渡来数が減少しながら通過を終えるが,一部は残留越冬する。越冬群の滞留期間は10月上旬から4月下旬までであり,性比は191:100(25687♂,13450♀)である。チョウセンコジュリンEmberiza yessoënsis continentalis10月中旬頃韓国に渡来するが一部は越冬し一部は南下する。滞留期間は10月中旬らか2月中旬までであるが数は少い。チョウセンホオジロEmberiza cioides周年見かける繁殖種であるが,冬大群が南下し,翌年春北上する。性比は1964年と1965年の調査では159:100(792♂,497♀)である。ミヤマホオジロEmberiza elegans elegans数少く繁殖する留鳥であるが,10月下旬頃大群が南下し,翌年4月北上する。性比は280:100(962♂,462♀)である。ホオアカEmberiza fucata fucata4月中旬韓国に渡来繁殖し,9月大部分南下する夏鳥である。キマユホオジロEmberiza chrysophrys5月と9~10月に極めて数少く韓国を通過する。コホオアカEmberiza pusilla春秋韓国を通過するが数は稀で少ない。厳冬にも数少く南下し漂行しているようである。シラガホオジロEmberiza leucocephala leucocephalaいままで5回6羽が採集され迷鳥として知られていたが,厳冬の1月下旬頃極めて少数南下し,翌年3月まで越冬する冬鳥である。