著者
鈴木 渉 籔脇 健司 中本 久之
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.450-459, 2019-08-15 (Released:2019-08-15)
参考文献数
22

身体障害領域および高齢者領域に勤務する臨床経験が1〜3年目までの作業療法士を対象とし,作業療法士の職業的アイデンティティ自己評価尺度(以下,PI尺度)の項目反応理論を用いた項目分析を行い,構造的妥当性を検討した.PI尺度は,中本らが回復期病棟に勤務する作業療法士用に改変したものに,加筆・修正を加えて使用した.結果として,PI尺度は,作業療法士に独自性があると思う程度が平均的な回答者に対する測定精度が高く,4因子29項目の2次因子モデルで適合していたことから,身体障害領域および高齢者領域の作業療法士を対象として,広く使用できる尺度であることが明らかとなった.
著者
櫻井 利康 山崎 宏 小林 勇矢 奥原 健史 三村 祐太
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.507-514, 2016-10-15

要旨:手の浮腫・腫脹の測定法であるリングゲージ法と掌囲(中手骨頭レベルでの手の周径)法の信頼性と妥当性を明らかにした.健常成人40例80手を対象に,2人の検者がリングゲージ法,掌囲法,Figure of Eight法を2回測定した.信頼性は級内相関係数,妥当性はFigure of Eight法との相関係数を用いた.検者内信頼性のICC(1,1)はリングゲージ法が0.99,掌囲法が0.99,検者間信頼性のICC(2,1)はリングゲージ法が0.98,掌囲法が0.98〜0.99であった.Figure of Eight法との相関係数はリングゲージ法がr=0.76〜0.84,掌囲法がr=0.91〜0.94だった.リングゲージ法と掌囲法は信頼性と妥当性が高く手の周径法として使用可能な方法と考えた.
著者
山根 寛
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 = The Journal of Japanese Occupational Therapy Association (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.344-351, 1999-10-15
参考文献数
13
被引用文献数
2
著者
中嶋 克行 坂上 真理 坂上 哲可 仙石 泰仁
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.266-276, 2019-06-15 (Released:2019-06-15)
参考文献数
23

本研究は,地域に住む要支援高齢男性が価値を置く作業の特徴を,当事者の視点から理解することを目的に,質的研究法を用いて調査した.北海道内の通所系サービスを利用する男性10名を対象に,1人60分程度の半構造化面接を実施した.分析はグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた.その結果,価値を置く作業は,【見える達成を実感できる作業】,【社会的に意味あることが確認できる作業】の2つの特徴が確認できた.さらに,作業に価値を見出す背景には,【作業選択を動機付ける自己資源】,【現状の生活に対する認識】があった.作業療法支援では,当事者による価値を置く作業の捉え方とその背後の状況の理解が,有効である可能性が示唆された.
著者
田島 明子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.340-348, 2005-08-15

要旨:社会に内在する価値に無自覚であることで,支援という名目において,かえって障害を有する人たちの否定的価値を助長してしまうことがある.本稿の目的は,そうしたパラドキシカルな現況を明らかにすることにある. 本稿の構成は次のとおり.①作業療法に内在する価値について整理した.②障害者就労の形態について,「能力主義」と「障害価値」を分析軸として3つの位相があることを述べ,そうした分析視点から「リハビリテーションの位置」を明確化した.③それらの結果から,作業療法に内在する価値について,「ひとの価値」という観点から検討を加えた.
著者
長倉 寿子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 = The Journal of Japanese Occupational Therapy Association (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.190-193, 1998-06-15
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
荻原 牧子 川原 靖弘
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.171-177, 2019-04-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
26

高齢者の生活時間におけるテレビ視聴の割合は余暇活動の大半を占め,長時間の視聴が健康に与える悪影響もわかっている.しかし,視聴時間帯と健康との関連についての検討はなされていない.本研究では,383名の在宅高齢者に対して基本チェックリストとテレビ視聴アンケートを実施し,フレイルの有無による2群と視聴時間および視聴時間帯との関連をみた.結果は,両者に視聴時間の差はみられなかった.しかし,総合基準と,運動分野およびうつ分野のフレイルの者は,健常者に比べて16:00〜18:00の視聴が多かった.
著者
中島 そのみ 仙石 泰仁 中村 裕二 加藤 静恵 岸 玲子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.309-316, 2010-06-15

要旨:ベイリー乳幼児発達検査一第2版(以下,BSID-Ⅱ)は乳幼児期の発達状況を評価できる,国際的にも用いられることの多い検査の一つである.しかし,日本では標準化されておらず使用報告が少ない現状にある.本研究では,生後6ヵ月児192名にBSID-Ⅱを実施し,日本版デンバー式発達スクリーニング検査(以下,JDDST)から見たBSID-Ⅱの有用性を検討した.BSID-ⅡのMentalとMotorの平均得点は米国の標準値よりも約10低い値であった.また,BSID-ⅡのMental,MotorはともにJDDSTの関連領域との間で感度・特異度が高く有用性が認められた.しかし,本邦においてはBSID-ⅡのMotorは過剰に遅れと判定する可能性があった.
著者
能登 真一 毛利 史子 網本 和 杉本 諭 二木 淑子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.126-133, 1999-04-15

要旨:半側空間無視症例に対し,右手使用の木琴を用いた訓練を考察し,訓練効果をシングルケースデザインで検討した.木琴療法は180度回転させて設置した木琴を演奏するものである.ABAB法を用いて訓練効果を検討した結果,べース期と介入期,除去期と再介入期の間に半側空間無視の成績の有為な改善を認めた.半側空間無視の改善は,左方向への音階の探索により左方向への運動意図が高まったことと,音楽の利用により右半球が活性化されたためと考えられた.