著者
内村 祐之 倉本 誠 曽根 謙一
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.573-577, 2011-12-20
参考文献数
14
被引用文献数
1

アコヤガイ赤変病が発生以来、収穫された真珠にレンガ色の真珠(濁り玉)の割合が増加した。この真珠は収穫された真珠の有機物を除去する脱色作業でも除去されないことが多いため、真珠生産者では商品価値のある真珠の収量は激減した。そこで、レンガ色の正体を明らかにするため、濁り珠を破砕し抽出した真珠の色素のNMR分析と、電子顕微鏡による正常な真珠との結晶構造を比較した。色素のNMR分析では、これまで報告されたメラニンのほかに、アコヤガイ体内のラジカル損傷産物である過酸化脂質が検出された。一方、電子顕微鏡観察では、濁り珠は正常な真珠に比べ稜柱層が有意に厚いことがわかった。抽出された色素は、真珠加工会社の脱色過程で除去されることから、レンガ色の正体は厚く形成された稜柱層にあると考えられた。
著者
秋山 真一 滝井 健二 眞岡 孝至 中川 雅雄 北野 尚男 熊井 英水
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.47-52, 2001

18種の酵母乾燥粉末に対するマダイ稚魚(平均体重:6.4-10g)の嗜好性を魚粉のそれと比較した。<I>E.lindneri, R.yubya</I>および<I>G.ressii</I>にそれぞれ魚粉の1.31, 1.20および1.14倍の高い摂餌活性が認められたが,他の酵母には同等か低い活性しか得られなかった。嗜好性では<I>E.lindneyi</I>が優れていたが,嗜好性と粗タンパク質含量がともに高い<I>R.rubra</I>が酵母タンパク(YP)には最適であると判断した。そこで,飼料魚粉の0,25および50%をYPに代替した飼料をマダイ稚魚(5g)に給与したところ,YPの配合率が増加するに伴って,日間摂餌率は上昇した,逆に増重率,飼料効率およびタンパク効率は低下したが,劣悪ではなかった。以上の結果から,YPはマダイの嗜好性に優れ,マダイ用実用飼料のタンパク源の一部として利用できることが示唆された。
著者
秋山 信彦 今井 秀行 小笠原 義光
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.231-238, 1994-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
17
被引用文献数
1

ミヤコタナゴの繁殖用産卵基質として用いるカワシンジュガイの有効性を調べ, ほかに6種の淡水産二枚貝と比較検討した。7種の二枚貝をミヤコタナゴの産卵用水槽に入れた場合, ミヤコタナゴは, カワシンジュガイに対して最も多く繁殖行動を行い, 産卵した卵・仔魚数もカワシンジュガイが最も多かった。しかし, カワシンジュガイを除くと, ミヤコタナゴは特定の種だけに繁殖行動を多く行うことはなく, 産卵した卵・仔魚数も極少数であった。実際にカワシンジュガイを用いて, ミヤコタナゴを繁殖した結果, 雌1個体・1か月あたりの浮出仔魚数は6.65と6.81個体であり, 従来用いられてきた産卵基質二枚貝で繁殖した場合より多かった。以上の結果から, カワシンジュガイは, ミヤコタナゴを増殖させるための産卵基質として有効であると, 考えられる。
著者
吉本 洋
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.205-212, 2007-06
被引用文献数
1

1980~2004年の紀伊水道東部日高海域での漁獲資料をもとに、海産稚アユの漁獲特性について検討した。豊漁年は不漁年に比較して、長期間にわたり漁獲されるとともに、採捕海域が広範囲に及び空間的な広がりもみられた。また1990~1997年の耳石を用いた日令査定により、豊漁年は不漁年に比べて、稚アユは若齢で早生まれから順に規則的に漁場に出現し、滞在期間も短く、日間成長も良好であることが明らかになった。以上のことから、アユ稚魚の成長と資源豊度との関連性が示唆された。
著者
伊藤 史郎 川原 逸朗 青戸 泉 平山 和次
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.299-306, 1994-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14

マナマコ (アオナマコ) Doliolaria幼生から稚ナマコへの変態促進に関する2, 3の実験を行い, 以下のような結果が得られた。1.ヤツマタモク, オオバモク, ヒジキ, ジョロモク, フクロノリなどの褐藻で, わずかに稚ナマコへの変態が促進されたが, 付着珪藻に比べるとその効果は極めて低かった。2.自然繁殖させた, いわゆる天然珪藻では, 稚ナマコへの変態がすみやかに進み, また, 付着珪藻の密度が高いほど, 稚ナマコへの変態が促進された。3.単離培養したAchnanthes biceps, Navicula ramosissima, Nitzschia sp.では, その密度にかかわりなく, ほとんど変態が促進されなかった。4.付着珪藻が変態促進効果を発揮するには, Doliolaria幼生との接触が必要であった。5.K+による変態促進効果は認められなかった。6.採苗時の, 付着板の設置方法は, 水槽底面に対して垂直に設置した方が水平に設置した場合よりも, 稚ナマコの付着数のバラツキが少なかった。
著者
山元 憲一 半田 岳志 茅野 昌大 藤本 健治 原田 裕子 丸岡 詳治
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.183-188, 2002-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11
被引用文献数
2

換水量を連続して直接測定する装置で, 酸素飽和の状態において水温16.0±0.1℃でマナマコ, Apostichopus japonicusの換水を調べた。換水は, 一回の大きな呼出と複数回のほぼ等間隔に行われる吸入を一周期として行っていた。1換水周期での呼出時間は10.6±1.3sec/cycle, 呼出水量 (Vcy, ex) は95.5±20.0ml/cycle/kg, 一分間当たりの呼出回数は0.7±0.1stroke/minおよび一分間当たりの呼出水量は67.5±18.8ml/min/kgであった。1換水周期での吸入時間 (Tin) は79.5±26.3sec/cycle, 吸入水量 (Vcy, in) は95.8±26.4ml/cycle/kg, 吸入回数 (If) は10.3±2.9stroke/cycle, 吸入一回当たりの吸入量は9.8±1.8ml/stroke/kg, 吸入一回当たりの吸入時間は7.8±1.6sec/strokeであった。Vcy, inとVcy, exの関係は, Vcy, ex=0.27Vcy, in+69 [R2=0.12] あるいはVcy, in=0.48Vcy, ex+53 [R2=0.13] で表された。IfとTinの関係は, Tin=8.2If-4.3 [R2=0.84] , IfとVcy, inの関係は, Vcy, in=7.0Tin-27 [R2=0.61] で表された。
著者
伊藤 史郎 小早川 淳 谷 雄策
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.257-259, 1987-03-31 (Released:2010-09-07)
参考文献数
7

1) 1986年3月から5月の間, アオナマコ浮遊幼生の飼育適水温を知るため, 13~22℃間における1℃ごとの飼育実験を行った。2) Doliolaria幼生の出現は13~20℃間では水温が高いほど早いが, 22℃は20℃と同じであった。3) 浮遊幼生の適温下限は15℃付近だと考えられる。4) 少なくともAuricularia幼生の適温上限は19℃と考えられるが, Doliolaria以降の幼生の適温上限については明確でない。
著者
加藤 暁生 平田 八郎
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.75-80, 1990-04-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1

1) ナマコ (アカナマコ) の活動日周性を調べるために, ナマコの底面縁周性を活用した移動記録装置を作成した。2) ナマコの活動速度は低温区 (12~17℃) で平均49.6±2.8m・d-1と活発であったが, 高温区 (18~25℃) では平均21.6±6.3m・d-1と不活発であった。なお, 最高活動速度は16℃区の52.3m・d-1であった。3) ナマコのリズムパターンは, 水温12~17℃では双峰型 (日中54%: 夜間46%) を, また, 水温18~25℃では単峰型 (昼間12%: 夜間88%) を示す傾向が伺えた。4) そのように異なるリズムパターンの発現は, 代謝量の増減に伴う摂餌時間帯の増減によるものと推察した。
著者
畑中 宏之
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.141-146, 1996-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
19

マナマコをポリカーボネート波板で採苗する時に, 波板に対する付着数にバラツキが発生する。種苗生産過程における飼育密度が成長におよぼす影響について調べた。日間成長率と飼育密度の間に負の相関関係がみられた。体長の変動係数と歪度は, 飼育密度が高くなるに従い大きくなる傾向がみられた。一方, 低飼育密度の体長組成は正規分布に近い形となった。人為的に均一に再付着させた2つの実験区の体長組成は, 最も正規分布に近い形となった。マナマコの種苗生産において, コレクターに対する付着密度を均一にすることは, 成長を良くし, さらに大小のバラツキを小さくすることができると考えられた。
著者
畑中 宏之
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.227-230, 1994-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
9
被引用文献数
2

タグ標識法により, ナマコこぎ網の漁獲効率を推定した。試験は, 小浜湾東部に位置する2つの海域を選んだ。両海域の底質は共に泥質であるが, 1つの海域はカキ殻が散在していた。タグを打ったアオナマコを試験海域に均一に放流し, ナマコこぎ網を放流後10分以内に曳網した。漁獲効率の推定は放流数と再捕数の割合から求めた。その値は, 単なる泥質では0.780が, カキ殻が散在する底質では0.555が推定され, 漁獲効率は海底が平坦でない場合は低下すると考えられた。また, 得られた漁獲効率から天然集団の生息密度は, A地点で3.74個体/100m2およびB地点で7.45個体/100m2と推定した。
著者
畑中 宏之 上奥 秀樹 安田 徹
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.563-566, 1994-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11

イトマキヒトデがマナマコを捕食するに際し, マナマコのサイズおよび水温が捕食に及ぼす影響について調べた。捕食試験では, 平均腕長43.3mmのイトマキヒトデは, 平均体長15.9, 30.1, 40.0, 54.6mmのマナマコを, それぞれ1日当り1.8, 0.5, 0.1, 0個体捕食した。また, 平均腕長46.2mmのイトマキヒトデは, 水温が20, 15, 10℃の場合, 平均体長29.2mmのマナマコをそれぞれ1日当り0.9, 0.8, 0.2個体捕食した。イトマキヒトデによるマナマコの捕食量は, マナマコのサイズが大きくなるにつれて減少し, また, 水温が下がるに従い減少するものと考えられた。
著者
山元 憲一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.313-316, 1992-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
2

マナマコの1型であるクロナマコの酸素消費量は酸素飽和度が低下しても18.1℃では38.1%まで, 14.0℃では38.4%まで, 9.9℃では27.5%まで, ほぼ正常状態での値を維持し, さらに低下すると著しく減少した。酸素消費量は水温を徐々に低下させるとそれに伴って減少したが, 徐々に上昇させた場合および各水温に順応させた場合には, 水温の上昇に伴って増加し, それぞれ水温22.0あるいは23.0℃のところで最大となった。しかし, さらに水温が上昇すると減少した。
著者
伊藤 史郎 川原 逸朗 平山 和次
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.287-297, 1994-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1

アオナマコおよびアカナマコ浮遊幼生のAuricularia後期幼生とDoliolaria幼生について, 稚ナマコへの変態に及ぼす水温と塩分の影響について検討した。さらに, 規模を拡大した実験として, 同一飼育群の浮遊幼生についてAuricularia後期幼生の割合が高まったときと, 発育がさらに進みDoliolaria幼生の割合が高まったときの2回採苗実験を行った。その結果, アオナマコおよびアカナマコともにDoliolaria幼生のほうがAuricularia後期幼生に比べ稚ナマコへの変態過程で, 低水温や低塩分の影響が受けにくく, さらに, 採苗時の水温や塩分の条件が同じ場合, Doliolaria幼生のほうがAuricularia後期幼生に比べて, 稚ナマコへすみやかに変態することが明らかとなった。これらのことから, 採苗はDoliolaria幼生の割合が高まった時点 (平均体長約500μm) で行うのが効果的であるといえる。
著者
山元 憲一 半田 岳志 藤本 健治
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.67-74, 2005-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
17
被引用文献数
1

呼吸樹での換水運動から, マナマコのアカ, アオ, クロの高水温に対する抵抗性の違いを12, 22, 28℃から水温を上昇させて調べた。各水温から水温を上昇させてもアカ, アオ, クロはいずれも同様に, 水温28℃では, 換水量, 呼出1回の水量, 吸入1回の水量, 呼吸数および呼吸1回の吸入回数はほぼ同じ値を示した。22℃および12℃でも, 呼吸1回の吸入回数はほぼ同じ値を示したが, 換水量, 呼出1回の水量, 吸入1回の水量および呼吸数は水温の上昇に伴って増加した。これらのことから, 水温上昇に伴う換水運動の変化はアカ, アオ, クロに差違がないことが明らかとなった。しかし, 高水温に対する抵抗性はアオとクロがほぼ同じで, アカがそれらよりも弱いことが明らかとなった。
著者
浜野 龍夫 近藤 正和 大橋 裕 立石 健 藤村 治夫 末吉 隆
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.249-254, 1996-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1

マナマコ種苗が放流地点から急速に見られなくなる原因を究明するため, 水槽とタイドプールを使って実験を行った。その結果, 主因は, 食害による減耗ではなく, 「観察者による見落とし」と「種苗の移動」と推察された。
著者
中田 和義 和田 信大 荒木 晶 浜野 龍夫
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.263-274, 2005-09-20
参考文献数
35
被引用文献数
3

テナガエビ類を効果的に採集できるエビ篭の構造と使用人工餌料について検討するため、1)エビ篭に入れた人工藻体、2)エビ篭の入り口の直径、3)エビ篭に用いる人工餌料がテナガエビ類の採集効率に及ぼす効果を調べる野外実験を実施した。エビ篭に人工藻体を入れ、篭の内部をテナガエビ類の隠れ場所に似せても、採集個体数は変わらなかった。一方、エビ篭の入り口の直径は採集個体数に大きく影響し、採集効率は直径40~50mmで最適であったが、40mmは50mmよりもモクズガニの混獲を防ぐ効果が高かった。人工餌料の実験では、餌料1(ウナギ育成用配合飼料)、餌料2(餌料1にイカ内臓ソリュブル吸着飼料とオキアミエキスを混ぜた餌料)ともに冷凍サンマと同等の採集効果を期待できた。以上の結果から、テナガエビ類の採集では、入り口の直径を40mmとしたエビ篭に、常温での長期保存が可能で、餌料2よりも安価な餌料1を用いる方法が良いと結論づけた。これらの条件を伴うエビ篭と、市販のカニ篭(餌料は冷凍サンマ)を用いて、8河川4湖沼で採集比較実験を行ったところ、テナガエビ類はエビ篭のみで採集され、エビ篭はテナガエビ類の採集に有効であることが示された。また、このエビ篭は他のエビ類やザリガニ類に対しても採集効果が高かった。
著者
西内 康浩 吉田 孝二 橋本 康
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5-6, pp.227-235, 1971-03-30 (Released:2010-06-30)
参考文献数
38
被引用文献数
1

1. ドジョウおよびコイ稚魚にたいする農薬の影響をしらべ, 農薬にたいするこれら供試生物問の感受性の差異について比較検討した。2. 結果は供試した53種類の農薬にたいしてコイおよびドジョウは以下のような多少の相違は認められたが概して近似した感受性を示した。ドジョウの方がコイよりも高い感受性を示す薬剤しとてはアルドリン, テロドリン, ヘプタクロル, ベンゾエピン, DEP (デイプテレックス), ダイアジノン, PMP (PMP. アッパ), CBA (ミノコール) およびEDDP (ヒノザン) 等があげられ, ダイアジノンがやや著るしい傾向が認められ, これとは逆に, コイの方がドジョウより多少高い傾向にあるものとしてはEPNおよびTPN (ダコニール) が上げられ, コイの方が高いものとしてはMCPCA (マピカ) が上げられる。
著者
村野 正昭
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.159-165, 1963-10-10 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

霞ガ浦より採集したイサザアミの胃内容物調査, 稚イサザによる飼育実験ならびにその観察から食性について検討を加えた。イサザアミは泥土上より餌料を得, プランクトンの捕食はまれである。泥土上において利用するものは大量のプランクトンの遺骸ならびにその分解の進行した有機残渣, およびそこに繁殖する輪虫類, 貧毛類, 繊毛虫類, 緑藻類, 珪藻類などである。
著者
村野 正昭
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.19-30, 1964-06-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11
被引用文献数
1

1) イサザアミ, Neomysis intermedia CZERNIAWSKYの生活史のうち主に生殖に関し報告した。2) 雌雄の判別は成熟した個体においては雌では哺育嚢, 雄ではペニス, 第1触角基節の葉状片および伸長した第4腹肢外肢をそれぞれ保有することにより可能である。3) 雄に比し雌は大きい。4) 雌雄比はおおむね1: 1であるが, 時に一方に偏することがある。5) 主な産卵期は3月中旬より10月までであるが, 夏季7, 8月は産卵に好適な季節とは認め難い。6) 産卵群は越年型と当年型とに分けられ, 前者は前年の秋に生まれたもので3~6月に, 後者は越年型より生まれたもので4~10月に産卵を行なう。7) 産卵数は1~46粒が観察されたが, 春秋季に多く夏季に少ない。8) 哺育日数は30℃で6日, 25℃で7日, 21℃で8~9日であるが低温期には最高20日が記録された。9) 生存期間および産卵回数は越年型で5~7ケ月生存して3~6回, 当年型では2~2.5ケ月生存して2~4回が推定される。10) 1年に7~9回の世代の交替があるものと推定される。