著者
Mitsuhiro Nakaya Yuhei Takeya Ryo Suzuki Kyosei Noro Weifeng Gao Tetsuya Takatsu
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.251-254, 2017-09-20 (Released:2018-09-20)
参考文献数
30

The effect of temperature (15, 18, and 21°C) on the early development and starvation tolerance of yellow goosefish Lophius litulon was investigated. The periods of initiation of first feeding and starvation tolerance were shortened with increasing temperature. The period of first feeding varied from 5 days after hatching (DAH) at 15°C to 3 DAH at 21°C. Yellow goosefish larvae can survive for approximately 9-15 DAH (50% mortality period) without feeding in 15-21°C, but such an extended period of starvation is considered to increase the cumulative mortality.
著者
村田 修 板倉 壮太 山本 眞司 服部 亘宏 倉田 道雄 太田 博巳 升間 主計
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.93-95, 2017-03-20 (Released:2018-03-20)
参考文献数
11

In order to breed a faster-growing grouper, the longtooth grouper, Epinephelus bruneus (LG), was hybridized with the giant grouper, E. lanceolatus (GG). Eggs from a female LG that was injected with HCG were inseminated by the fresh sperm of LG and cryopreserved sperm of GG obtained from a fish in Malaysia. Normal hatching rate was 8.8% (LGGG) and 18.6% (LG), respectively. The LGGG and LG larvae were raised for 61 days after hatching; the survival and mean size were 17.5, 42.0% and 63.6±11.3, 36.2±8.7 mm, respectively. This new hybrid grouper would be a promising-breed for aquaculture.
著者
門脇 秀策 田中 啓陽
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-65, 1993-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
9

本研究は熊本県天草郡のクルマエビ養殖場で得た1988年および1991年のそれぞれ4月から11月までの観測資料を解析して, クルマエビ養殖場の水温および透明度に視点を置いて, クルマエビの成長速度との関係から水質評価を試み, 次の知見を得た。1) クルマエビの成長が通常の成長曲線として, ブリの成長解析に用いた井上・田中の式を用いて解析し, 種類によって決まる定数γ=0.50を定めた。2) 水質要因に係わる定数λ値の上限値を対象にみれば, λ値は水温とともに高くなり, 水温27~28℃で最大値が得られ, 29℃以上では急減する傾向がみられた。これらの結果は現場における経験的な知見とよく合致する。3) 透明度が50cm以下ではλ値は大きな変化はないが, 50cm以上ではλ値は減少の傾向を示した。この結果から, クルマエビ養殖池の透明度は50cm以下に保持することがクルマエビの良好な成長を期待し得ると考えられる。以上の結果から, クルマエビ養殖現場における透明度の測定は水質評価のうえで有効な指標になり得ると思われる。
著者
四井 敏雄 前迫 信彦
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.67-70, 1993-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
13
被引用文献数
12

対馬東岸の磯焼け帯においてウニ類と巻貝類を駆除し, アラメの母藻を投入するという方法で藻場回復実験を行った。その結果, 1年半後には自己増殖が可能なアラメの群落が出現した。方法は, 1988年6月にダイバーによって巻貝類を取り上げ, ウニ類はハンマーで潰した。アラメ母藻は11月にタマネギ袋に発泡スチロールの小塊と共に入れ, 3~4m毎に海底に設置した。1989年の3月にはアラメの幼体がフクロノリ等と共に現れ, 1990年5月には1才と2才のアラメが2: 1の割合をもつアラメ群落が形成された。
著者
浜野 龍夫 坪井 俊三 今井 厚 星野 尚重 沖本 博 陣之内 征龍 林 健一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.127-133, 1994-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

陸上植物の育苗培地用資材であるロックウールは自然砂に比較して軽く, 作業性にすぐれている。このため, ロックウールを潜孔・埋在性動物の飼育に利用することを目的にその水質保全効果を確かめた。循環水槽にロックウール・イワムシ・クルマエビを組み合わせて収容し水質の経時的変化を観察したところ, ロックウールを使用した飼育ではアンモニア態窒素濃度が抑えられた。とくに, イワムシとロックウールを組み合わせて飼育した水槽のアンモニア濃度は低かった。また, ロックウールか自然砂を入れたビンに海水と配合飼料を加え黒色還元層の発現状況を観察したところ, ロックウール中の還元層の発達速度は天然砂よりも有意に小さかった。これらのことから, ロックウールには水質保全効果があり天然砂に代わる底質材として有効であると判断した。
著者
加藤文男
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.61-69, 1991-04
被引用文献数
1
著者
竹丸 巌 加塩 信広 前野 幸二
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.255-264, 2009-06-20 (Released:2012-09-26)
参考文献数
16

1999年に鹿児島湾内で上湾症が高率に発生した養殖場のブリおよびカンパチについて,形態異常の特徴とその原因について調べた。両魚種ともに上湾症発生の原因と考えられる細菌や寄生虫の感染は認められず,ブリについては形態異常を起こす可能性のある農薬であるカーバメート系殺虫剤の残留検査を行ったが,検出されなかった。体型および脊椎骨の形態的特長として,ブリでは魚体の中央部または中央からやや後方部における腹側の方向への形態異常(後湾)と,尾部における背側の方向への形態異常(前湾)が複合的に発生しているものが多く認められた。カンパチではブリと同様の形態異常も見られたが,ブリよりも形態異常の程度が小さく,形態異常部位はやや前方に位置していた。また,カンパチではこのような形態異常以外に,ブリにはなかった魚体中央よりやや前方における著しい背側の方向への形態異常(前湾)が認められた。ブリとカンパチとの間に見られる形態異常の特徴の違いは,脊椎骨の構造の違いあるいは種苗の由来(天然・人工)によるものと推察された。
著者
小川 泰樹 角田 俊平
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.151-156, 1988-09-10 (Released:2010-03-09)
参考文献数
43

1986年5月6日から6月29日までの間, 研究室内でスジエビ (Palaemon paucidens) の雌雄の交尾前の行動と交尾行動, および雌の放卵行動を観察した。1) 本種の交尾行動は夕刻4時頃から夜9時頃までの間に行われることが多く, 交尾の約2時間前頃から雌雄の動きが活発になり, 雄が雌を追尾する。しかし雌雄が特定のペアを形成することはない。2) 雌が一時的に水槽底面に静止した際には, 雄が近付き, 腹部と尾部を底面からやや上方に持ち上げて全腹肢を激しく前後に振動させたり, 腹肢を“く”の字状に曲げたりする。3) 交尾が行われる直前に雌は脱皮をするが, 脱皮は1, 2秒間で終わる。この脱皮の間や, 脱皮中から脱皮直後までの間に雄が雌の腹部背面に乗るマウンティングが観察される。しかしこのマウンティングをしない雄もいるので, 交尾にとって雄のマウンティングは必ずしも必要条件ではない。4) 交尾行動には, 雌の体に対して水平 (十字状) に雄が巻きつく姿勢と, 雌雄が平行に並ぶようにして腹面を相接する姿勢の2通りがあり, 両者とも一瞬のうちに終わる。5) 放卵行動は夜7時または8時頃から始まり, 9時から11時頃まで断続的に行われる。この行動は雌が腹部を水槽底面に対して40~60°の角度で上方に持ち上げ, 全腹肢を数秒間激しく前後に振動させるもので, 数分から約10分間隔で数十回繰り返される。
著者
大貫 貴清 田中 彰 鈴木 伸洋 秋山 信彦
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.57-66, 2008-03-20 (Released:2012-09-04)
参考文献数
30

静岡県におけるスジエビの生殖活動を調べるために2002年12月から2004年10月にかけて,静岡県静岡市三保半島の水路におけるスジエビの雌の生殖周期を調べた。また,この結果を基に本種の成熟と水温および日長時間との関係を飼育実験により検討した。生殖腺の組織学的観察により,卵巣卵の発達過程を6期に分類した。さらに卵巣卵の発達過程や卵巣の内部構造,生鮮時の色調やGSIから,増殖相,卵黄蓄積相,成熟相,排卵相の4相の成熟段階に分類した。静岡県三保半島におけるスジエビの生殖周期は,産卵開始1~2カ月前である11~1月に雌の卵巣卵に卵黄蓄積がおこり,1~6月のおよそ4カ月間に産卵を数回行うことが明らかとなった。さらに小型個体の出現や大型個体の減少から,本種は産卵期の終了後に多くの個体が死亡するが一部は生残することが示唆された。また,本種の雌の生殖腺の成熟には秋分点以降の降温,短日化が関与しており,水温17~20℃,日長時間9~12時間の範囲内に雌の成熟を開始する要因があると考えられた。また,短日条件においても高水温では成熟に至らないことや,長日条件でも低水温で卵黄蓄積が確認されたことから,本種の雌の成熟は日長時間よりも水温に強く依存していることが示唆された。
著者
網田 健次郎 岡田 稔
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.62-64, 1973-09-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

サケ稚魚の河川内減耗要因である食害魚ウキゴリについて生態的知見を得た。1) ウキゴリは水生昆虫・シロウオ・サケ稚魚などの動物性のものを多く捕食している。2) ウキゴリは夜間に多く捕獲され, 昼間は殆んど捕獲されない。また夜間にサケ稚魚を捕食している。3) ウキゴリは川の川岸部よりは中心部でその大部分が捕獲された。
著者
伏屋 玲子 高 天翔 横田 賢史 岩本 美央 北田 修一 渡邊 精一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.25-29, 1997-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
19

種苗放流が行われている島根県高津川と行われていない同県神西湖のモクズガニを用い, 種苗放流が天然集団におよぼす遺伝的影響を明らかにするためにアイソザイム分析を行った。10酵素16遺伝子座について調査した結果, AAT-1, AAT-2, FH-2, GPI*, IDHP-1, MDH-2の6遺伝子座で変異がみられた。各集団の平均ヘテロ接合体率は高津川では0.029, 神西湖では0.027となり, ほぼ同じ値であった。また集団間のNeiの遺伝的距離を求めたところ, 0.0001という小さい値であった。以上の結果は調査した2集団の間には遺伝的差異がほとんどないことを示しており, 種苗放流が行われている高津川に生息するモクズガニの遺伝的変異性の減少は現在のところみられなかった。
著者
廣野 育生 青木 宙
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.257-258, 2002-06-20
著者
佐々木 剛 猿渡 敏郎 渡邊 精一
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.141-150, 2003

遡河回遊型ワカサギの産卵生態を調べるために, 1995年から1998年の産卵期に閉伊川において調査を実施し, 河川の水温, 水量等の環境要因, 体サイズ, 性比に関して考察した。調査の結果, 水温が約10度を越えると遡上が開始し, 遡上のピークは常に雪融けによる濁り水が治まってから始まった。その後, 半月周期的にピークが確認された。4年間にわたり, 性比は雄に偏っているが, 雌が多くなるのは新月の前後であった。体サイズは年変動し奇数年は大きく, 偶数年は小さい。これに対し, 遡上期間は奇数年が短く, 偶数年は長い。また, 体サイズが大きい年は雌の体サイズは雄より大きいが, 体サイズが小さい年は雄雌の差は認められなかった。
著者
塩出 雄亮 中田 和義
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.203-208, 2017

観賞魚の"楊貴妃メダカ"は,朱赤色のミナミメダカの変異体である。楊貴妃メダカの発色メカニズムを解明するため,鱗の色素胞,体内のカロテノイドの定量,カロテノイドを含む飼料による体色変化について,楊貴妃メダカとヒメダカを比較し検討した。体表の色素胞は,楊貴妃メダカ,ヒメダカともに黄色素胞が主体で,黒色素胞はほとんど存在しなかった。一方,黄色素胞内の色素顆粒は楊貴妃メダカが橙赤色で,ヒメダカは淡黄色であった。アスタキサンチン,ゼアキサンチン,ルテインの濃度は楊貴妃メダカがヒメダカよりも高く,とりわけアスタキサンチンは楊貴妃メダカがヒメダカの10倍以上高かった。アスタキサンチンを添加した飼料を給餌したところ,楊貴妃メダカ,ヒメダカともに頭頂部の色相値が有意に低下した。これらの結果は,楊貴妃メダカの朱赤色はカロテノイドと関連があること,カロテノイドの摂取により赤みが強くなることを示している。
著者
山本 喜一郎 大森 正明 石井 清士 森岡 孝朗
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-10, 1972-04-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

青森県三戸町泉山地先の馬淵川で採集した下りウナギにサケまたはカラフトマス下垂体を投与し十分成熟させた10個体についてその孕卵数を数えた。その結果, 体長71.8cm卵巣採集時の体重860g, 成熟度指数54.6%のもので1, 166, 070粒, 体長85.5cm体重2, 020g, 成熟度指数66.3%のもので3, 023, 040粒と算定され, 自余の個体の孕卵数はこの両者の間の数値を示した。
著者
秋山 真一 滝井 健二 眞岡 孝至 中川 雅雄 北野 尚男 熊井 英水
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.47-52, 2001-03-20
参考文献数
26
被引用文献数
1

18種の酵母乾燥粉末に対するマダイ稚魚(平均体重:6.4-10g)の嗜好性を魚粉のそれと比較した。E.lindneri,R.rubraおよびG.ressiiにそれぞれ魚粉の1.31,1.20および1.14倍の高い摂餌活性が認められたが,他の酵母には同等か低い活性しか得られなかった。嗜好性ではE.lindneriが優れていたが,嗜好性と粗タンパク質含量がともに高いR.rubraが酵母タンパク(YP)には最適であると判断した。そこで,飼料魚粉の0,25および50%をYPに代替した飼料をマダイ稚魚(5g)に給与したところ,YPの配合率が増加するに伴って,日間摂餌率は上昇した,逆に増重率,飼料効率およびタンパク効率は低下したが,劣悪ではなかった。以上の結果から,YPはマダイの嗜好性に優れ,マダイ用実用飼料のタンパク源の一部として利用できることが示唆された。