著者
中村 一雄
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.16-26, 1958

1) オイカワ卵の発育と水温との関係について実験をおこなつた。<br>2) オイカワ卵のふ化は15.3℃と18.9℃の間から28.7℃と31.7℃の間が適温で, その範囲は相当広く, なかんずく18.9-27.4℃が最適温度である。<br>3) オイカワ卵のふ化可能の低温の限界は11.0-15.3℃の間であり, 高温の限界は33.5℃前後である。<br>4) オイカワ卵のふ化適温範囲内において水温 (θ) とふ化日数 (T) との関係はTe<sup><i>a</i>θ</sup>=Kの公式に適合し, これより<i>a</i>loge=0.5103, <i>a</i>=0.1175, K=1,705, Q<sub>10</sub>=3.24の値を得た。<br>5) オイカワ卵のふ化日数と水温との関係は次のごとくである。 平均水温 (℃) 11.0 15.3 18.9 21.4 23.1 25.8 27.4 28.7 31.7 33.3平均ふ化日数 - 8.56 5.52 4.10 3.40 2.19 2.16 1.89 1.73 1.57<br>6) オイカワ卵のふ化日数と水温の相乗積はふ化適温範囲内においては水温の上昇するにしたがい減少する傾向がある。<br>7) 千曲川におけるオイカワの産卵期の水温とオイカワのふ化適温とは一致する。<br>8) オイカワのふ化稚魚の浮上水温は31.8-20.1℃までは適温範囲内にあつたが, 20℃以下は明らかになし得なかつた。 また33.6℃は適温外であつた。<br>9) オイカワのふ化稚魚の浮上日数と水温との関係は適温範囲内においてはTe<sup><i>a</i>θ</sup>=Kなる公式が適用できて<i>a</i>loge=0.032, <i>a</i>=0.0742, K=1.472, Q<sub>10</sub>=2.12の値を得た。<br>10) オイカワのふ化稚魚の浮上日数と水温との関係は概略次のごとし。 平均水温 (℃) 20.1 22.0 25.9 27.5 28.8 31.8 33.6 平均浮上日数 6.8 6.3 4.6 4.1 3.4 2.8 2.4<br>11) オイカワのふ化稚魚の浮上日数と水温の相乗積は水温の上昇するにしたがい減少する。<br>12) オイカワのふ化適温範囲はコイ, フナ, ワカサギと同じく広く, しかもメダカとともに最も高水温に適する種類である。<br>13) オイカワは自然水域において16.7℃の低温まで繁殖する可能性があると考えられる。
著者
川辺 勝俊 木村 ジョンソン
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.613-617, 2008-12-20 (Released:2012-09-15)
参考文献数
23

アカハタ仔魚期の鰾開腔率改善のために,油膜回収器を使用して水面の油膜を連続的に除去する飼育実験をふ化後20日目まで行った。油膜回収器は鰾の開腔が始まる6日齢から鰾開腔率が80%に達した7日齢までの照明点灯時に設置し,そのとき以外は浮上斃死防止のために,水面にフィードオイルを添加して油膜を形成させた区(油膜除去区)と,実験期間中常時油膜を形成させた区(対照区)をそれぞれ1区ずつ設定した。油膜除去区の鰾開腔率は,開腔開始の6日齢が20.2%で,7日齢以降は73.3~87.5%で推移した。対照区は6日齢が3.3%で,7日齢以降では0~22.2%で推移した。この結果,油膜回収器による連続的な油膜除去方法は本種仔魚の鰾開腔率改善に有効であることが判明した。実験終了時(20日齢)における生残率は,油膜除去区が12.8%であり,対照区が18.1%であった。20日齢での全長は,両区の間で有意差は認められず,約8.7 mm であった。
著者
中島 祥 山本 淳
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.525-530, 2009-12-20 (Released:2012-09-26)
参考文献数
20

近年の遺伝子診断の発達に伴い,Anisakis I型幼虫は1種類ではなく様々な同胞種で構成されており,少なくともA. simplex sensu stricto,A. pegreffii,A. simplex C,A. ziphidarum,A. typicaの5種が存在することが知られている。しかし,これらの同胞種の日本近海における地理的分布や疫学については知見が少ない。このため,日本近海(東シナ海)と南シナ海(中国,フィリピン)のAnisakis I 型幼虫をrDNAのITS1-5.8S rRNA-ITS2領域におけるPCR-RELP法を用いた分子生物学的特徴の点から識別し,地理的分布を調査したところ,A. simplex sensu stricto,A. pegreffii,hybrid genotype,A. typica-like larvaeの存在を確認した。A. typica-like larvaeについては,さらにITS領域のシークエンスを行い,A. typicaであることを確認したが,塩基配列にわずかな相違が認められた。また,アニサキス症患者から得られたAnisakis I 型幼虫は,A. simplex sensu strictoであった。
著者
木曾 克裕
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.521-528, 1994-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
25

1983年4月から1989年3月にかけて牡鹿半島周辺海域で漁獲されたサクラマス成魚の胃内容物を観察した。胃内容物組成を月別および尾叉長階級別に整理して個体数法, 重量法, 出現頻度法の3方法で表示し, これらの総合評価の一つの方法であるIRI (Index of Relative Importance) も併用して解析した。成魚の主な食物は大型プランクトンのニホンウミノミやツノナシオキアミ, 魚類のイカナゴ, カタクチイワシ, スケトウダラ稚魚, マイワシなどであった。重量と出現頻度では季節を問わず, 魚類が最も多く, 特にイカナゴは3~6月に卓越した。個体数では4月および5月にはニホンウミノミが多かった。大型個体と小型個体の食物を比較すると大型個体のほうが魚類への依存度が強く, 大型プランクトンへの依存の度合が低かった。サクラマス幼魚の食物と比較すると, 幼魚も成魚もイカナゴとニホンウミノミを主な食物としていたが, 成魚が摂っている動物の方が大型であった。そのほかの餌生物では, 成魚が外洋性の比較的大型の魚類とツノナシオキアミ, 幼魚が汽水性の魚類やThysanoessa longipes, カニ類幼生, ヨコエビ類などを摂っており, 両者の大きさに基づく捕食能力と微小棲息場所が異なることを示唆していた。
著者
照屋 和久 升間 主計 本藤 靖 浜崎 活幸
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.359-368, 2008-09-20

石垣島におけるマダラハタの産卵期および産卵開始時期を明らかにする目的で,天然魚の生殖腺指数を調査するとともに,天然魚を数年間養成した親魚の水槽内における産卵開始時期を5年間にわたり調査した。さらに,親魚の産卵行動を観察し,本種の配偶システムを明らかにすることを試みた。天然魚の主要な産卵期は,雌雄とも生殖腺指数がピークに達する4月~5月(太陽暦)であると推察された。産卵期最初の親魚の産卵は,満月から下弦の月にかけての3月19日~23日(太陰暦)に集中した。ただし,産卵期前の水温が低い年の産卵は,1カ月後の満月から下弦の月の期間にシフトした。このように,マダラハタの産卵は月齢に同調していた。水槽内では最大の雄1個体がなわばりを形成し,その個体と成熟雌によるペア産卵が行われたが,小型雄によるスニーキングも観察された。
著者
森田 哲男 今井 正 山本 義久
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.399-402, 2016-12-20 (Released:2017-12-20)
参考文献数
24

We investigated the removal of the monogenean parasite Benedenia epinepheli and survival of commercially-reared host red-spotted grouper Epinephelus akaara under immersion at salinities (0-20 psu) at 28-29 ℃. Replicate samples of juvenile grouper did not die in salinities of 6 psu and above for 2 hours. All parasites were removed from fish at <10 psu. Immersion time required for the complete parasite removal in 6 and 8 psu waters was 30 and 120 minutes, respectively. Our results suggest immersion into 6 psu salinity water for 30 minutes is a practical and effective treatment to remove B. epinepheli without significant mortality.
著者
谷 敬志 川越 力 松本 世津子 水田 浩之 安井 肇
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.235-244, 2015

函館市根崎沿岸において,ガゴメの季節的消長と形態形成について詳細に観察した。その結果,1~7月に発生したガゴメの1年目幼胞子体は10月までゆっくりと生長して約10 cm になり,10月~翌年1月に全てが再生した。再生現象が見られるまでに成熟する胞子体は見られなかった。2年目胞子体は1~7月の期間,著しい生長を示し7月には葉長が 2 m を超える大形体となった。8~10月には腐朽が見られ,約100 cm となるが10~11月に成熟した。標識をつけた2年目胞子体400個体のうち,約40%の胞子体で12月~翌年2月に再生が確認されたがほとんどが4月までに流失し,7月まで生長した胞子体は400個体のうち約2%だけであった。3年目胞子体は8~10月に腐朽したが10~11月には成熟した。その後,12月には全ての胞子体が流失した。
著者
竹内 俊郎 廣田 哲也 吉崎 悟朗 酒井 清
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.547-555, 1998-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14

循環濾過飼育におけるティラピアの成長と水質変動との関係を調べた。循環濾過において, サンゴ砂を用いなければ, pHが急速に6を下回り, 亜硝酸化成細菌の働きの低下に伴い, アンモニア態窒素が漸増し, その状態が持続されることにより, 硝酸化成細菌の活動も鈍り, 亜硝酸態窒素も蓄積すること, 水質の悪化に伴い, 飼育水の着色が目立つことが明らかになった。一方, サンゴ砂を用いることは, pHの低下を防止でき, 硝化細菌全般の活動の活発化に極めて有効に作用することが判明した。なお, 水質悪化に伴い助長される着色成分 (黄色色素) は, 8時間程度の活性炭による処理により速やかに吸着・除去できた。濾材を比較検討した結果, バイオアルファ, シポラックス, ゼオライトとも, 魚体に影響を及ぼすほどの大きな差は認められなかった。また, 本実験においてアンモニア態窒素の増加による, ティラピアの増重率や日間成長率の低下は認められなかった。なお, 成長と総窒素濃度との間に相関がみられたが, 今後更なる検討が必要である。今回の結果から, ティラピアを循環濾過式水槽で飼育する場合には, アンモニア態窒素濃度81mg/l, または硝酸態窒素濃度616mg/lまでに達する飼育水中 (初期値はそれぞれ0) で70日間ほぼ正常に飼育できることが明らかとなった。
著者
白石 一成
出版者
水産増殖談話会
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.119-120, 2003 (Released:2011-03-05)

ホシガレイ、Verasper variegatusは本州東北地方以南の沿岸各地の砂泥底に棲息する異体類であり、市場では活魚としての出荷が多い高級魚である。このため、近年では種苗生産に関する技術開発や人工孵化稚魚の放流並びに追跡調査も行われている。ホシガレイの食性については、口器の形状から海底表面を匍匐生活する甲殻類を捕食するとされ、このことを支持する数多くの知見が報告されている。ホシガレイは甲殻類を選択的に捕食するという共通認識ができあがりつつあった。著者らは、宮城県北部志津川湾においてホシガレイ放流魚の追跡調査の一環として食性調査を実施し、星口動物のスジホシムシ、Sipunculus nudusが、胃内容物全部を占める形で認められるというこれまでにない知見を得たので報告する。
著者
白石 一成
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.119-120, 2003-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Many scientific papers and reports state that the spotted halibut, Verasper variegatus, preys on crustaceans selectively, and the oral organs are formed suitably for taking crustaceans creeping along the bottom surface. In Shizugawa Bay, we are tracing released halibuts which were artificially produced and reared. To study the feeding habit of the halibut, prey items found in their stomachs were investigated, and the sipunchroid, Sipunculus nudus, was found to be the main prey item. This result shows that the halibut preys on various species available, including sipunchroids.
著者
岩田 雄治 杉田 治男 出口 吉昭 Fred I. KAMEMOTO
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.183-188, 1992-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11

1984年11月に駿河湾から採集されたサガミアカザ抱卵雌より得た幼生を飼育し, その形態を観察した。採集時に発眼卵であった卵は, 40日後に孵化を開始した。幼生はプレゾエア, 2期のゾエアを経てメガロパに達した。ゾエアは摂餌が観察されず, メガロパにおいて摂餌が観察された。同属の幼生との比較ではミナミアカザエビ幼生と類似していたが, ゾエアの生時の体色および腹節の背棘が無いことによって同種との判別が可能であることが判った。
著者
山本 昌幸 小路 淳
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.53-61, 2016

瀬戸内海中央部の砂浜海岸(調査時の水深1.0~5.7 m)で小型底びき網調査を2002年5月から2005年9月まで37回実施し,39種以上14,013尾の魚類を採集した。水温は9.0(2月)から30.3℃(8月)の間で変動した。一曳網あたりの魚種数は1.25(1月)から9.50尾/曳網(6月)の間で,個体数密度は0.6(1月)から103.5尾/100 m<SUP>2</SUP>(10月)の間で変動した。魚種数と個体数密度は春から夏に増加して秋から冬にかけて減少し,水温との間に有意な正の相関が認められた。優占上位6種(個体数%)はヒメハゼ(62.6%),アラメガレイ(11.4%),シロギス(6.7%),ネズッポ属(6.4%),ササウシノシタ(3.3%),ヒラメ(3.2%)であった。
著者
宮下 盛 村田 修 澤田 好史 岡田 貴彦 久保 喜計 石谷 大 瀬岡 学 熊井 英水
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.475-488, 2000-09-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
42
被引用文献数
2

1987年に採捕したクロマグロ幼魚を親魚まで養成し,成熟年齢と想定した満5歳以降,生殖腺体指数(GSI)の周年変動を調べるとともに,毎年6~8月にかけて自然産卵を観察し,産卵条件を検討した。また,産卵盛期における産卵時刻直前の生殖腺の性状を調べるとともに,卵および精子の構造を電子顕微鏡を用いて観察した。GSIは雌雄とも7月を中心に最大となる傾向を示した。産卵時刻直前の雌個体は,体重21.3kgと小型ながら熟卵を有し,卵巣内の卵径組成は0.8mm以上の卵を約25%含む多峰型を示し,産卵多回性を認めた。自然産卵は満7歳以降,延べ4年にわたり認められた。串本での産卵期は,6月中旬から8月中旬の約2カ月間と推定された。産卵が認められた水温範囲は21.6~29.2℃であり,50%正常孵化率で示す孵化限界水温範囲に対応した。本種の精子は,全長約35μmで,頭部,中片部および尾部から構成され,硬骨魚類の一般的な形態を示した。卵の動物極と思われる位置には直径5μmの卵門が観察され,卵膜表面全体に多数のpit(小孔)が認められた。
著者
瀬岡 学 坂東 貴裕 水門 満義 澤田 好史
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.143-144, 2010-03-20

魚類養殖、マグロ属、配合飼料、イカ類、タンパク、給餌。
著者
宮腰 靖之 竹内 勝巳 安藤 大成 北村 隆也 永田 光博
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.407-408, 2006-09-20
参考文献数
5

In the fall of 1999-2001, hatchery-reared masu salmon <I>Oncorhynchus masou</I> juveniles were stocked in southwestern Hokkaido rivers. Catches of these fish in coastal commercial fisheries were estimated by sampling landings during 2001-2003. Recovery rate estimates ranged between 0.67 and 0.84% (mean of 0.75%), approximately 1.8 times and 0.36 times those reported previously for fry and smolts, respectively.
著者
山形 陽一 丹羽 誠
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.5-11, 1979-05-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
13

1) 水温25℃におけるウナギに対する亜硝酸の急性毒性と低濃度の亜硝酸溶液中でウナギを長期間飼育した場合の成長および生理状態におよぼす影響について検討した。2) A.japonicaおよびA.anguillaに対する亜硝酸態窒素の24時間TLmは, 460mg/lおよび351mg/lとなり, 0いずれの魚種も亜硝酸に対して強い抵抗性を示した。また, これら致死濃度の亜硝酸溶液中においたウナギは, 鰓および肝臓組織に変性がみられた。3) 9週間の飼育結果から, A.japonicaの成長を阻害する亜硝酸の濃度は30mg/lNO2-Nであることが判った。この濃度ではヘマトクリット値・血色素量・赤血球数が著しく低下し, 鰓組織にも変性がみられた。4) A.japonicaに対する亜硝酸の安全濃度は, 本実験条件では10mg/l NO2-Nと考えられる。
著者
今井 正 齋藤 寛 秋山 信彦
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.349-351, 2015-09-20 (Released:2016-09-20)
参考文献数
5

Larvae of freshwater prawn Macrobrachium nipponense reared in tap water dechlorinated with sodium thiosulfate (STS) have reduced survival time and retarded development, compared with other dechlorination methods. We examined the effects of STS and sodium tetrathionate (STT), which is produced by residual chlorine and STS, on survival and molts of larvae. STT had the same effect on larvae as the positive control (aerated tap water), however, larvae were susceptible to STS, onset of death was rapid at STS concentrations of >2 mg/l. Therefore, further clarification of appropriate concentration of STS for dechlorination is necessary.
著者
切田 正憲 松井 敏夫
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.281-286, 1993-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

1.ノリ幼芽が乾燥によって受ける障害は1時間では極めて少ないが, 乾燥時間がより長くなるにつれて, しだいに大きくなった。2.ノリ幼芽を淡水に浸漬すると, 30時間浸漬より影響があらわれ, 72時間浸漬ですべての幼芽が枯死した。3.乾燥前に浸る海水比重が1.015からノリ幼芽に障害がではじめ, 1.012では障害が大きくなり, 1.010以下では比重が低くなるにしたがって, 障害がさらに大きくなった。4.乾燥前後に浸る海水比重のうち, 乾燥前に浸漬する海水比重の影響のほうが極めて大きかった。5.ノリ幼芽の生長は, 乾燥前後に浸漬する海水比重が正常海水の1.024よりも, やや低い側で効果的であった。