著者
平野 京子 新村 紀子 安田 和正 朝倉 みどり 木下 茂美
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.602-608, 1983-08-01 (Released:2012-03-21)
参考文献数
19
被引用文献数
4 3

ハトムギはわが国では古くより疣贅に対し単独漢方薬として広く民間に用いられてきたが, その成分や薬理学的, 免疫学的作用機作に関しての記載は乏しい。今回われわれの教室ではin vitroの実験にてハトムギの各種細胞に対する傷害活性が, いわゆるヨクイニン(種子)よりもその外皮(種皮と果皮, とくに種皮)の方がより強いことを実証した(第1報, 第2報)。そこで臨床的治験として, 外皮を集めこれを熱水抽出して遠心沈澱しその上清を処理して注射用液とし, 沈渣を外用剤として尋常疣贅と扁平疣贅に対する治療を試みた。注射は週1回0.1∼0.3ml皮内に, 外用は1日数回塗布した。その治療成績の結果は, 尋常疣贅では, 注射法より外用剤の塗布の方がよい成績を得, さらに注射と異常に過角化した角質をメスで削除して外用剤を塗布した例の方がより良い結果が得られた。扁平疣贅は, 外用剤塗布のみにて治療を行つたところ, 治癒または有効で無効例はなく, 良い成績であつた。すなわち, ウイルス性疣贅の治療には, ハトムギ果実の外皮による外用剤使用によりかなりの効果が期待出来るものと思われた。その作成法, 治験対象, 結果について述べ, 考察を加えた。
著者
林 宏明 稲沖 真 藤本 亘
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.515-518, 2006 (Released:2006-11-09)
参考文献数
13

緑膿菌による趾間感染症(Pseudomonas toe web infection)の2例を経験した。治療は“hyperkeratoticrim”と表面滲出物のdebridementおよび1%酢酸液による足浴が有効であった。緑膿菌はウッド灯を用いると緑色の蛍光を発するため趾間感染症の早期診断に有用で治療効果判定にも使用できた。趾間感染症は宿主側の感受性および環境要因により再発を繰り返しやすい。今回の症例では1%酢酸液足浴による局所管理が再発予防にも有用であった。
著者
小林 彩 吉川 美香 小川 英作 奥山 隆平
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.346-349, 2013-08-01 (Released:2013-09-07)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1

基幹病院とクリニックが連携して患者の治療を進めることは,地域医療を充実する上で大変重要である。慢性皮膚疾患の一つである乾癬の診療では,生物学的製剤が近年使用できるようになり,高い治療効果を得ることが可能となってきた。そこで,私たちは長野県内の皮膚科医 (皮膚科を標榜する病院,クリニック) にアンケート調査を行い,乾癬治療の現状を把握することを試みた。 159 施設へアンケートを郵送し,各診療施設での患者数,現在の治療法,生物学的製剤に対する各医師の考えなどに関して,質問を行った。その結果,87 施設 (回答率 55%) から回答が得られた。アンケート結果からは長野県内の乾癬患者数は約 3000 人,その 7 割近くはクリニックで診療を受けていた。全体の 8 割以上の患者は外用剤のみで加療されていた。クリニックでは,生物学的製剤投与の対象となる患者が 15 施設 34 人いることがわかった。また,副作用への懸念や患者への説明時間が確保できないといったことがクリニックでの生物学的製剤導入を阻む要因となっていた。これらの結果から,生物学的製剤を含めた乾癬の診療を進める上で,クリニックと基幹病院の間の連携が大変重要であると考えた。
著者
大嶺 卓也 粟澤 剛 山口 さやか 粟澤 遼子 山本 雄一 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.187-191, 2019

<p>68 歳,男性。初診の 10 年前に徐々に拡大する後頭部の皮下腫瘤を自覚していた。部分生検の結果,隆起性皮膚線維肉腫(dematofibrosarcoma protuberans:DFSP)の疑いで当科を紹介され受診した。当科初診時,後頭部皮下に 4.5×1.5 cm の皮下腫瘤を触知した。可動性は不良で,表面皮膚の色調変化や萎縮はなかった。頭部造影 MRI で腫瘍は後頭部皮下に境界明瞭に描出され,STIR 像で高信号を示した。病理組織学的には,紡錘形の腫瘍細胞が皮下組織において比較的均一に増殖し,花むしろ構造を呈しており,腫瘍細胞は核異型に乏しく,核分裂像はほとんど存在しなかった。免疫組織化学的には腫瘍細胞はCD34 がびまん性に陽性であった。腫瘍の凍結組織から抽出した RNA を用いて RT-PCR を行い,<i>COL1A1-PDGFB</i> の融合遺伝子を検出した。以上より皮下型 DFSP と診断した。皮下型 DFSP の報告は稀であるが,<i>COL1A1-PDGFB</i> 融合遺伝子を検出したことから,皮膚に発生した DFSP と腫瘍発生学的に同じ発癌機序によることが示唆された。</p>
著者
香西 伸彦 冨高 晶子 曽和 順子 赤松 浩彦 竹内 誠 松永 佳世子 鈴木 加余子 大竹 直樹
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.234-236, 2003-06-01
参考文献数
7
被引用文献数
1

土木作業中に200V電圧の電流で感電し受傷した42歳男性の電撃傷を報告した。両前腕,右手背に電流斑を認め,右側は手背より流入し前腕より流出し,左側はスイッチより流入し前腕より流出したと考えた。局所的な筋組織の損傷程度,範囲の確定には,MRIが有用であった。減張切開術,デブリードマンおよび人工真皮貼付と全層植皮術を二期的に施行した。術後リハビリを施行し,軽度手指関節の拘縮を認めるが運動機能はほぼ改善した。
著者
勝俣 道夫 瀧川 雅浩 杉浦 丹 田中 信 古川 福実
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.803-809, 2000-12-01
参考文献数
6

脂漏性皮膚炎の治療には,従来からステロイド外用剤が広く用いられてきたが,外用抗真菌剤であるケトコナゾールクリーム(商品名;ニゾラール<SUP>&reg;</SUP>クリーム)は海外において高い評価を得ており,また国内で実施された治験においても改善率は70~80%であることが報告されている。今回我々は,顔面に病変部を有する脂漏性皮膚炎患者54例において,ケトコナゾールクリームと非ステロイド系抗炎症外用剤であるイブプロフェンピコノールクリーム(商品名:スタデルム<SUP>&reg;</SUP>クリーム)との比較検討を行った。その結果,両群の治癒率および改善率&middot;有用性は,ケトコナゾールクリーム投与群ではそれぞれ59%,93%,93%,イブプロフェンピコノールクリーム投与群ではそれぞれ8%,56%,56%であり,両群間には有意な差が認められた。ケトコナゾールクリームは,脂漏性皮膚炎に対してイブプロフェンピコノールクリームより有用性が高いと考えられた。
著者
深井 恭子 小松 恒太郎 松尾 雄司 林 健太郎 苅谷 嘉之 宮城 拓也 山口 さやか 照屋 操 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.115-119, 2019
被引用文献数
1

<p>症例 1:87 歳,男性。18 歳時に L 型ハンセン病と診断された。5 年前から左足背に皮膚潰瘍があり,次第に隆起してきた。初診時,左足背に腫瘤があり,病理組織検査にて有棘細胞癌と診断し,左下腿切断術を施行した。症例 2:54 歳,男性。20 歳で L 型ハンセン病と診断された。43 歳頃より右第1 趾に皮膚潰瘍があり,47 歳時,病理組織検査にて有棘細胞癌と診断し右下腿切断術を施行した。30 代から左足底には胼胝があり,52 歳頃に皮膚潰瘍が出現した。54 歳時,潰瘍が増大し,病理組織検査にて有棘細胞癌と診断し,左第1~3 趾切断術を行った。術後約 3 カ月で術後創部から再発,肺に転移し永眠した。ハンセン病の慢性潰瘍は瘢痕癌の発生母地となる。瘢痕癌は他の有棘細胞癌より予後不良であり,ハンセン病の後遺症による神経障害で生じた難治性潰瘍は注意深く経過観察する必要がある。</p>
著者
砂川 文 山城 充士 粟澤 遼子 粟澤 剛
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.31-34, 2019

<p>36 歳,女性。自宅の冷蔵庫で右足を打撲した後,同部の疼痛が次第に増強し発熱もみられた。翌日の当科初診時には右足全体に著しい疼痛を訴え,外果には発赤,腫脹,熱感を認めた。高熱と炎症反応の高値を伴っており,LRINEC(laboratory risk indicator for necrotizing fasciitis)score は 4 点で,入院の上,蜂窩織炎として抗生剤加療を開始した。しかし,半日後にはショック状態となり,炎症反応の更なる上昇と腎機能の悪化,凝固系の延長を来たし,LRINEC score は 8 点に上昇した。患部には水疱が出現,試験切開所見から壊死性筋膜炎と診断し,緊急デブリードマンを施行した。起因菌は <i>Streptococcus pyogenes</i> であり,アンピシリン,クリンダマイシンの全身投与を 2 週間継続し,免疫グロブリン療法を併用した。 その後は感染の拡大を起こすことなく,第 47 病日に植皮術を施行,患肢は大きな後遺症を残すことなく,温存できた。A 群 <i>β </i>溶血性連鎖球菌は,基礎疾患を持たない健常人に単独で壊死性筋膜炎をおこし得る。 また一部の症例では致死率の高い劇症型溶血性連鎖球菌感染症(STSS)へと発展する。自験例は,A 群 <i>β </i>溶血性連鎖球菌による壊死性筋膜炎からショック状態に至ったものの,早期診断と治療開始により,患肢の温存と救命に成功した。本疾患は迅速かつ注意深い対応を要するため,経験症例を共有する必要があると考え報告する。</p>
著者
清井 起鵬 前川 嘉洋 國武 裕子 田中 敬子
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.214-217, 2000-04-01
参考文献数
7

28歳の中国人の女性。生食を好み,中国&middot;日本において蛇&middot;蛙&middot;スッポン&middot;蟹&middot;魚等をよく生で食していた。1998年1月頃より右下腹部に痛みを伴う皮下腫瘤が出現,同年4月7日当院外科にて黒色虫体を摘出した。その後クエン酸ジエチルカルバマジン(商品名スパトニン<sup>&reg;</sup>)を投与するも軽快せず,4月10日当科紹介となった。臨床症状&middot;臨床経過&middot;血清反応より顎口虫症と診断され,肺吸虫症も合併していることが判明し,6月17日よりプラジカンテル(商品名ビルトリシド<sup>&reg;</sup>)の投与により症状は軽快した。
著者
浪花 志郎 西山 和光 原 曜子 白石 達雄 山本 俊比古 内田 寛
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1022-1026, 1982-12-01 (Released:2012-03-21)
参考文献数
9

パシフラミン(パッシフローラエキス製剤)を皮膚そう痒症を始めそう痒を伴う各種皮膚疾患計29例に投与し, その鎮静作用がもたらす止痒効果について検討した結果, 一日量3錠ないし6錠の投与で, 比較的早期に止痒効果が発現し, 併用された抗ヒスタミン剤, マイナートランキライザー, またはステロイド剤の有する止痒効果に補助的に作用する傾向がうかがわれた。副作用を示した症例は1例も認められなかつた。従つて, 上記薬剤による止痒効果が不十分であつたり, 副作用のために投与継続が困難な症例では, パシフラミンによる鎮静的止痒効果を期待して補助的に用いることは有用と考えられる。
著者
林 伸和 川島 眞 津村 睦子 吉田 康弘
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.71-74, 2008-02-01
参考文献数
5

糖質マイクロニードルはマルトースを主成分とする微小な針状成型物で,皮膚に圧抵することにより物理的に角層よりも下層の皮膚に薬剤を運び,その部分でマルトースが融解することで薬剤の作用が発現するという新しいドラッグデリバリーシステムである。今回,アスコルビン酸リン酸マグネシウムを含有した糖質マイクロニードルを作製し,老人性色素斑4例および炎症後色素沈着1例の計5例に使用したところ,著明改善3例,やや改善2例という結果を得た。安全性については,軽度の紅斑や腫脹を認めた症例が3例あったが,いずれも3日以内に症状は消失した。糖質マイクロニードルは経皮的薬剤投与の有望な方法の一つであり,ビタミンC誘導体を含有した糖質マイクロニードルは色素沈着症に対し有用なツールとなりうると考えた。
著者
片野 あずさ 上里 博 内海 大介 大平 葵 粕谷 百合子 苅谷 嘉之 﨑枝 薫 眞鳥 繁隆 平良 清人 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.469-472, 2014
被引用文献数
1

16 歳,男性。生下時より右肩の皮下結節を自覚していた。結節は徐々に増大し,7 歳時には鶏卵大の皮下腫瘤となった。その後も腫瘤は増大を続け,16 歳時に当科を受診した。右肩に手拳大の表面常色,弾性軟,ドーム状に隆起した皮下腫瘤を認めた。下床との可動性は良好で,隆起部中央に瘻孔を有し,瘻孔内より数本の毛髪の突出がみられた。造影 CT 検査では右肩甲骨背側上方に周囲との境界明瞭な,86×44 ×67 mm の増強効果の無い単房性腫瘤であった。摘出された腫瘤は線維性の被膜を有し,その内部には多数の毛髪と粥状物質がみられた。病理組織学的所見では重層扁平上皮に裏打ちされた囊胞状構造を示し,囊腫壁には毛包,脂腺,平滑筋線維が付随し,皮下皮様囊腫と診断した。一般に皮下皮様囊腫は頭頚部,特に眼周囲に好発し,それ以外の部位に発症することは比較的稀である。囊腫の大きさが 5 cm を超える症例は本邦では自験例を含め 7 例のみが報告されているが,頭頚部以外に発症した報告は自験例のみであった。
著者
橋壁 道雄 山崎 雙次
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.65-69, 2003-02-01 (Released:2008-05-23)
参考文献数
12

帯状疱疹後神経痛21例にワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(商品名: ノイロトロピン®)を投与し,その前後で疼痛スコアを測定した。ノイロトロピン投与前後のスコアを全体で比較すると有意な差はなかったが,投与後には低下傾向がみられた。21例中8例(38.1%)については明らかなスコアの低下がみられ有効であったと考えた。また,サーモグラフィーを用いた投与前後の皮膚温の比較では,投与前に皮疹部の皮膚温が健側より低下していた症例は,差がなかった症例より有意にノイロトロピン有効例が多かった。有効例8例中5例(62.5%)にサーモグラフィー上,皮膚温上昇が認められたが,不変·無効例13例では全例に投与後に有意な皮膚温上昇は見られなかった。また,有効例は不変·無効例より有意に投与前の疼痛スコアが高かった。よって,PHN患者ではサーモグラフィーを施行し,皮疹部の皮膚温の低下がみられた場合,あるいは投与前の疼痛スコアが高い症例にノイロトロピンの投与を行うと疼痛の軽減が期待できるものと考えた。
著者
野中 薫雄 大神 太郎 村山 史男 増本 義
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.675-677, 1986

Chromosome eighteen trisomy syndromeは多くの奇形と染色体異常を伴つた新生児の疾患である。患者は生後4日女児で, 家族内に同症なく, 血族結婚もない。生下時体重1,920g(在胎42週)で, チアノーゼ, 低体重, 心雑音, 外表奇形のため新生児センターに入院した。皮膚全体に潮紅が著しく, 全身ことに四肢伸側, 背部, 臀部, 大腿にかけて多毛を認めた。その他, 耳介の下方位置, 耳介奇形, 胸骨短縮, 手指の交叉現象, VSD, ASDを伴つていた。染色体数は47で, 18 trisomyを認めた。皮膚病理組織学的所見では毛包数の増加は認められたが, 形態学的異常は認められなかつた。生後23日目, 呼吸機能不全のため死亡した。本症候群の皮膚科的記載は比較的少なく, 頸部のcutis laxa, 多毛, 大理石様斑, 指紋の異常, 四肢爪の形成不全などがみられるが, 本患者では多毛のみであつた。
著者
増田 亜希子 伊東 孝通 和田 麻衣子 日高 らん 古江 増隆
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.353-355, 2016

<p>27 歳,女性。小児期よりアトピー性皮膚炎に罹患していた。初診の 6 年前より夫の精液付着部位に蕁麻疹と瘙痒を認めた。その後,避妊具なしで性交した際に全身に蕁麻疹を認め,呼吸困難も出現した。同様のエピソードが過去 2 回あった。避妊具を使用した性交渉では同様の症状を生じたことはなかった。近医を受診し,精漿アレルギーの疑いで当科を紹介され受診した。10 倍から1000 倍に希釈した夫の精漿を用いたプリックテストでは,検査した全ての濃度で紅斑と膨疹が出現した。本疾患は精漿中に存在する前立腺由来の糖蛋白に対するⅠ型アレルギー反応であると考えられている。精漿アレルギーの患者の半数以上にアトピー性皮膚炎の既往があると報告されており,皮膚バリア機能の障害による経皮感作が発症に重要な役割を担っていることが推察される。本疾患は皮膚科領域での報告は比較的稀であるが,アトピー性皮膚炎関連アレルギー疾患の一つとして位置づけることができると考え報告した。</p>
著者
馬野 詠子 伊藤 祐成
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.972-975, 1983

50才男子。主として吉草酸ベタメサゾンクリームを5年以上使用して生じた顔面のステロイド皮膚症難治例を治療中, 眉毛部と下顎部に臨床的にも, 病理組織学的にもeosinophilic pustular folliculitisと診断された局面を生じた。該部に対しては, とくに治療を行わなかつたが, ステロイド外用剤の完全離脱から約9週間後に病巣は消退した。
著者
渡辺 幸恵 森田 明理
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.548-552, 2006

2001年に日本皮膚科学会においてケミカルピーリングガイドラインが作成されて以来,ケミカルピーリングは,大学病院や総合病院,また開業医においても,皮膚科治療の一方法として盛んに行われるようになっている。今回,開業医で行われるケミカルピーリングの実態を知る目的で,当院でグリコール酸ピーリングを受けたざ瘡患者199例について検討した結果,2回以上継続して治療を受けたものは176例であり,著効27例と有効105例を合わせ,約75%に治療効果を認めた。一方,副作用は7例に認められ,部分的痂皮形成が2例,強い発赤が認められステロイド外用の必要があったものが5例であった。本治療法は,一般開業医のレベルにおいても,その日常診療で非常に診療頻度の高い尋常性ざ瘡の患者に対して,安全かつ有効性の高い治療だと考えられた。
著者
砂川 文 山口 さやか 宮城 拓也 岡本 有香 山城 充士 山本 雄一 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.336-339, 2018
被引用文献数
1

<p>13 歳,女児。3 カ月前より眉間部に線状の紅斑が出現し,次第に拡大した。臨床症状と病理所見より剣創状強皮症と診断した。ステロイド外用と紫外線療法を開始したが改善せず,ステロイドとメソトレキセート内服併用療法を行い,4 週間後に紅斑が改善し,2 年後には略治した。治療中,明らかな副作用はなかった。本邦において,剣創状強皮症に対するステロイドとメソトレキセート併用療法の報告例は少ないが,有効かつ比較的安全であり,治療選択の一つとして考慮すべきであると考えた。</p>
著者
花城 ふく子 島岡 洋介 仲里 巌 苅谷 嘉之 山口 さやか 屋宜 宣武
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.345-348, 2018
被引用文献数
1

<p>74 歳,女性。初診半年前に後頭部右側に結節病変が出現した。生検組織では,異型の強い好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞が充実性に増殖し,HE 染色所見,免疫組織化学染色では診断がつかなかった。全切除した際に,対側の後頭部左側にも類似した小結節が 2 カ所あった。病理所見はいずれも真皮全層にわたり腫瘍細胞が充実性に増殖し,異型のある内皮細胞様細胞が不規則な形状の間隙,管腔構造を形成していた。免疫組織化学染色では CD31,D2-40,ビメンチン陽性であった。以上より血管肉腫と診断した。PET-CT で転移病変はなく,家族の希望より後療法は行わなかった。術後 10 カ月で肺・肝臓へ転移し,weekly docetaxel 療法を 2 クール行ったが,間質性肺炎を合併した。ステロイドパルスを行ったが改善せず永眠した。自験例は,血管肉腫に特徴的な紫斑は伴わず,当初,鑑別診断として血管肉腫を挙げることができないまま,全切除に至った。タキサン系抗腫瘍薬は,頭部血管肉腫に対する第一選択薬とされ,今後も使用が増加すると考えられるが,間質性肺炎の合併に留意する必要がある。</p>
著者
仁井谷 暁子 松浦 浩徳 藤本 亘 河野 匡彦 石原 諭 堀家 英之 佐々木 環 佐々木 慎理
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.387-392, 2008-08-01
参考文献数
13

単純血漿交換法を施行した中毒性表皮壊死剥離症(toxic epidermal necrolysis;TEN)の2例を報告する。症例1:50代の女性。感冒様症状に対し,ルル<SUP>&reg;</SUP>,バファリン<SUP>&reg;</SUP>,アルピニー<SUP>&reg;</SUP>坐薬を使用後発症。症例2:60代の男性。急性心筋梗塞を発症し,治療過程で多剤を使用しており原因薬剤は特定できず。いずれもステロイドパルス療法を施行後も紅斑,表皮剥離が進展し,単純血漿交換法を施行した。2例とも数日以内にびらん面の上皮化が認められたが,症例2は急性心不全により死亡した。TENの発症機序にFas/Fas系を介した表皮角化細胞のapoptosiが提唱されているが,自験例では血漿交換施行前の患者血清中sFasLの上昇が認められなかった。自験例で単純血漿交換法が有効であったことはTENの発症&middot;進展にはsFasL以外にも重要な因子が関与する可能性を示唆している。