著者
村瀬 菜都子 若林 宏明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.135-143, 2011 (Released:2011-06-01)
参考文献数
8

ラクオリア創薬株式会社は,2008年7月の設立当初よりリンクリゾルバを利用してきた。リンクリゾルバ導入により電子資料へのアクセスは飛躍的に効率化されたものの,情報検索ツールの検索結果から複数の論文について所蔵を確認する際には,1件ごとにリンクリゾルバのアイコンのクリックを繰り返す必要があるなどの改善すべき点があることがわかった。さらにアグリゲータ系電子ジャーナルを多く購読している環境では,閲覧禁止期間に該当する割合が高くなり,この問題はより顕著になる。この課題を解決した一括所蔵確認システムを中心に,ラクオリア創薬でのリンクリゾルバを用いて効率化した情報サービスについて報告する。
著者
金森 悟 坂本 宣明 白田 千佳子 海野 賀央 江口 泰正 山下 奈々 北島 文子 厚美 直孝 小林 宏明 高家 望 福田 洋
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.79-86, 2021-02-28 (Released:2021-03-10)
参考文献数
6

目的:筆者らは,多職種産業保健スタッフの研究会にて「コロナは世界・健康教育・ヘルスプロモーションをどう変えたのか?」というテーマで夏季セミナーを開催した.本報告ではセミナーの開催概要を紹介するとともに,参加者によるセミナーの評価について報告する.方法:2020年9月13日に多職種産業保健スタッフの研究会のコーディネーター12名がセミナーを開催した.参加形態はZoomを用いたオンライン形式とした.全体の構成は第I部に基調講演,第II部は産業保健の現場からの話題提供,第III部は「オンラインの対面型コミュニケーションツールで可能になったことや新たな使い方」についてのグループワークとした.セミナーの評価を行うため,参加者を対象にGoogle formを用いた質問票調査を実施した.結果:参加者は71名,調査への回答者は52名(73.2%)であった.回答者のうち女性が69.2%,年代では40代が34.6%,職業では看護職が53.8%であった.各部について参考になったという者は80.8~96.2%であった.学んだことを今後に活用していこうと思う者は94.2%,全体について満足であった者は96.2%であった.結論:本セミナーでは,新型コロナウイルス流行下での健康教育やヘルスプロモーションの意義や事例,可能性が議論された.参加者のほとんどがセミナーに満足し,本セミナーの開催は意義があった.
著者
若林 宏明 ワカバヤシ ヒロアキ
雑誌
流通経済大学流通情報学部紀要
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.119-150, 2003-03
著者
小林 宏明 宮本 昌子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.158-168, 2018 (Released:2018-06-05)
参考文献数
21
被引用文献数
3

吃音のある小学生73名に,国際生活機能分類(ICF)に基づく発話・コミュニケーション活動と小学校生活への参加の質問紙調査を実施した.質問紙は,授業,学級活動,学年・全校活動,教師や子どもとのコミュニケーションにおける発話・コミュニケーション活動と小学校生活への参加に関する計50項目が得意か苦手かを5件法で答えるものだった.その結果,(1)苦手の回答が多かった項目は,授業,学級活動,学年・全校活動に関するもので,そのほとんどは大人数への発話や,長くまとまった話が求められるものであった.ただし,すべての項目で,苦手と回答した者は,得意と回答した者よりも少なかった.(2)学級活動,学年・全校活動に関する項目のなかに,吃音の心理面の問題との中程度の相関のある項目がある一方で,吃音の言語症状との中程度以上の相関のある項目はなかった.(3)発話・コミュニケーション活動と小学校生活への参加とに中程度の相関があった.
著者
石丸 伸司 山口 隆義 川崎 まり子 柿木 梨沙 管家 鉄平 五十嵐 正 岡林 宏明 古谷 純吾 華岡 慶一
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1_2, pp.41-44, 2018-10-25 (Released:2019-04-02)
参考文献数
15

2016年に公開された心臓サルコイドーシスの診断指針では,造影MRIによる心筋の遅延造影所見(Late Gadolinium Enhancement:LGE)が主徴候の一つとして挙げられているが,CT画像での異常所見については触れられていない.今回,我々はCTでの心筋遅延造影(Late Iodine Enhancement:LIE)が診断の契機となった心臓限局性サルコイドーシスの一例を経験した.本症例では,心臓CTでのLIEは心臓MRIでのLGEの部位と一致しており,また18F-FDG-PETでも同部に強い集積を認めた.サルコイドーシスの心病変診断において,CTはMRIと同等の診断能を持つ可能性があると考え報告する.
著者
柳下 和夫 若林 宏明
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究は海に近い砂漠に雨を降らせようというものである。その方法は砂漠に近い海の表面に黒色物質を浮かべる。これが太陽光を全部吸収し海面の温度が上昇する。すると海水の蒸発が増える。一方砂漠にも黒色物質を撒いておくと太陽光が全部吸収される。すると地面の温度が上昇し空気は膨張し軽くなる。そして上昇気流となる.その下は低気圧になる。そこへ海上の水蒸気が流れ込んでくる。すると上昇気流に引きずられて上昇する。そして上空で断熱膨張し、温度が下がり雲ができて雨が降るというのである。海に浮かべる物質としてどんなものが良いかいくつかの材料をテストした。水道水と塩水で差はあるが黒色物質を浮かべると最高41%も蒸発が加速されることが分かった。一方砂漠の上にも黒色物質を撒くとどれくらい太陽光熱が吸収されるかを調べるために、世界各国の砂漠の砂を入手し光の反射率を測定した。その結果砂の色にもよるが1/3ないし2/3の反射率であった。これを黒く塗れば吸収されるエネルギーは1.5倍ないし3倍増え、その分だけ余計に空気を暖めることができる。また一度砂漠緑化に成功すれば、植物からの蒸発水分により、自然の雨が降って緑化が持続するかどうかを,好塩性植物によるシミュレーションしたところ雨量が増えることが分かった。上昇気流を起こすものとして,大火や雨乞いがあるが、その後雨が降ったかは定かではない。この方法で砂漠に雨を降らせば良いこと尽くめかというと、マイナス面もある。そこでテクノロジーアセスメントを行ない、問題点を抽出した。海の生態系に対する配慮が必要なことなどが分かった。海と砂漠の距離がどれくらい離れていても水蒸気が移動するかについては,実験に失敗し分からなかった。
著者
本多 義昭 武田 美雄 木内 文之 飯田 彰 伊藤 美千穂 林 宏明 高石 善久
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

中央アジアにおけるトルコ系民族薬物に関する第3次調査研究として、現地調査として、2003年はウズベキスタンのアラル海沿岸部からブハラにかけての地域を、2004年にはイランのカスピ海沿岸部を、また2005年には中国の新疆ウイグル自治区を調査した。また、収集した薬用植物について、天然物化学的解析を行った。2003年の調査地のウズベキスタン西部は、アムダリア川流域の灌漑事業のために、アラル海周辺部の環境が悪化し、降雨量が少ないため砂漠化も進んでいる。この地域の薬草として目立つものはカンゾウで、分析用資料の収集をした。また、他の薬用植物数種類も収集した。この地域も含めて、ウズベキスタンでは、タビブと称される民間医が薬草の知識を伝えているが、その中身には、ロシア経由のヨーロッパのハーブの知識が多く見受けられた。2004年は、カスピ海に沿って東西に伸びるアルボルス山中に居住するトルクメンの調査をすることができたが、トルコとウズベキスタンの双方に共通するトルコ語系の呼称のものも認められ、更なる調査の必要性が明らかとなった。2005年はトルコ系のウイグル族が多い新疆省を調査した。省南部のホータンはウイグル医学が最もよく残っている地区であるが、この伝統医学はアラビア医学の系列に属するものであることが薬物とその呼称から明らかである。この3年間には、各地で収集した薬用植物に関する天然物化学的研究や品質評価研究についても解析を進め、これまでに13報を報告している。
著者
金子 栄 山口 道也 日野 亮介 澤田 雄宇 中村 元信 大山 文悟 大畑 千佳 米倉 健太郎 林 宏明 柳瀬 哲至 松阪 由紀 鶴田 紀子 杉田 和成 菊池 智子 三苫 千景 中原 剛士 古江 増隆 岡崎 布佐子 小池 雄太 今福 信一 西日本炎症性皮膚疾患研究会 伊藤 宏太郎 山口 和記 宮城 拓也 高橋 健造 東 裕子 森実 真 野村 隼人
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.6, pp.1525-1532, 2021

<p>乾癬治療における生物学的製剤使用時の結核スクリーニングの現状について西日本の18施設を調査した.事前の検査ではinterferon gamma release assay(IGRA)が全施設で行われ,画像検査はCTが15施設,胸部レントゲンが3施設であった.フォローアップでは検査の結果や画像所見により頻度が異なっていた.全患者1,117例のうち,IGRA陽性で抗結核薬を投与されていた例は64例,IGRA陰性で抗結核薬を投与されていた例は103例であり,副作用を認めた患者は23例15%であった.これらの適切な検査と治療により,結核の発生頻度が低く抑えられていると考えられた.</p>
著者
小林 宏明
出版者
大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
雑誌
子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.48-54, 2020 (Released:2020-09-24)
参考文献数
24

近年,発達性吃音のある学齢児の指導(訓練)・支援方法として,子ども一人ひとりの吃音の言語症状,心理症状,周囲の環境などの要因に応じた指導・支援を行う多面的包括的アプローチが支持されている.そこで,本稿では,まず,吃音の症状,出現率,原因論及び,吃音のある学齢児が抱える困難と,多面的包括的アプローチを中心とした学齢期吃音の指導法に関する国内外の動向を概説した.そして,これらを踏まえた筆者の実践である,ことばの教室での実践を想定した「ICF(国際生活機能分類)に基づいた学齢期吃音のアセスメントプログラム」,アセスメント及び指導・支援の効果検証に用いる評価ツールである「吃音のある学齢児の学校生活における活動・環境質問紙」,小中学校における教員の吃音の理解と配慮・支援の普及を意図した「子どもの吃音サポートガイド」の概要と今後の課題を述べた.
著者
林 宏明 稲沖 真 藤本 亘
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.515-518, 2006 (Released:2006-11-09)
参考文献数
13

緑膿菌による趾間感染症(Pseudomonas toe web infection)の2例を経験した。治療は“hyperkeratoticrim”と表面滲出物のdebridementおよび1%酢酸液による足浴が有効であった。緑膿菌はウッド灯を用いると緑色の蛍光を発するため趾間感染症の早期診断に有用で治療効果判定にも使用できた。趾間感染症は宿主側の感受性および環境要因により再発を繰り返しやすい。今回の症例では1%酢酸液足浴による局所管理が再発予防にも有用であった。
著者
山岡 明子 阿部 弘 渡邊 庸平 角田 文彦 梅林 宏明 稲垣 徹史 虻川 大樹 柳田 紀之 箕浦 貴則 森川 みき 近藤 直実 三浦 克志
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.801-809, 2011
被引用文献数
10

【目的】アレルギー疾患を有する小児が東日本大震災によってどのような影響を受けたかを調査し,今後の対応を検討する.<br> 【対象と方法】対象は,宮城県立こども病院総合診療科,仙台医療センター小児科,森川小児科アレルギー科を定期受診した402名のアレルギー疾患の小児の保護者.口頭で同意を得た後,外来の待ち時間にアンケート記入を行い,診察時に回収した.<br> 【結果】困った事で最も多かった回答は,それぞれ,気管支喘息では「停電のため電動式吸入器が使用できなかった」,アトピー性皮膚炎では「入浴できず湿疹が悪化した」,食物アレルギーでは「アレルギー用ミルクやアレルギー対応食品を手に入れるのが大変だった」であった.<br> 【まとめ】大震災に対する今後の対応として,気管支喘息では停電の時でも吸入できるような吸入薬や吸入器の備え,アトピー性皮膚炎では入浴できない時のスキンケアの指導,食物アレルギーではアレルギー用ミルクを含めたアレルギー対応食品の備蓄や避難所などの公的機関で食物アレルギーへの理解を深める啓蒙活動が必要と考えた.<br>
著者
松林 宏明 高岸 洋一 本同 宏成 久保 貴資 中田 俊隆
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学講演大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, pp.197-197, 2007

原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、アルコール異性体の構造力測定を行った。そこから、液体構造の相転移のメカニズムを探った。<BR>マイカ/液体アルコール系の固液界面の液体構造は、その温度によって変化する。しかしその転移メカニズムはまだわかっていない。そこで我々はAFMを用いてアルコール異性体の構造力を測定し、アルコール分子の構成要素、炭素鎖(疎水性)と水酸基(親水性)がそれぞれがどのように転移に影響を及ぼすか、考察した。
著者
大谷 真 倉林 宏明 伊東 一典 橋本 昌巳 香山 瑞恵
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.177, pp.29-34, 2013-08-09

バイノーラル方式による立体音響再生システムの再生系の一つとして,小数のスピーカとクロストークキャンセラを用いるトランスオーラル再生システムがある.ヘッドホン再生とは異なり,頭部及び耳介への装置の接触なしにバイノーラル信号を呈示できることがトランスオーラル再生の利点であるが,トランスオーラル再生で利用されるクロストークキャンセラが音像定位や聴覚による空間知覚において重要な役割を果たす頭部運動に対して頑健でないため,受聴者の頭部運動が制限されるという問題があった.そこで,我々は深度画像を利用した非接触ヘッドトラッキングを利用して,頭部運動に追従してクロストークキャンセラフィルタを更新する動的トランスオーラル再生システムを開発した.開発した動的トランスオーラル再生システムを用いた音像定位実験の結果から,頭部運動条件では,頭部静止条件よりも音像方向が高い精度で知覚され,開発したシステムが有効に働いていることが分かった.一方,音像距離については頭部静止条件の方が高い精度で知覚される場合が見られた.また,両条件において頭内定位はほとんど生じなかった.
著者
八十川 利樹 石丸 伊知郎 兵頭 亮治 小林 宏明 石崎 勝己 吉田 真
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2005年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.285, 2005-03-10 (Released:2005-10-06)

本報告では、単一細胞(直径10μm)の断層像解析アルゴリズムについて述べる。また、高空間解像度2次元分光計測技術として可変位相差顕微方式について報告する。本手法は新たに開発した局所可動ミラーデバイスにより、0次光と回折光の間で位相シフト干渉を行うことでインターフェログラムを得る。これらの技術と細胞回転技術により、生きたままの単一細胞の3次元分光特性を高空間解像度で取得することが可能となる。
著者
小林 宏明
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

多様な教育・支援ニーズがあり、勉学や部活動などで多忙な吃音のある中学・高校生の実情にあった教育・支援方法について、(a)「吃音のある中高生のつどい」の実施、(b)「吃音スタディーブック中高生版」の開発をした。「吃音のある中高生のつどい」は勉学や部活動などの影響が最小限となる夜間や休日に、2014年度に6回、2015年度に5回実施し、毎回1~7名の参加があった。「吃音スタディーブック中高生版」は、中高生が興味を持って取り組めるように、タブレット端末などを用いるマルチメディア自学教材とし、吃音の基礎知識クイズ、吃音動画クイズ、吃音の中高生へのメッセージ(吃音との付き合い方の提案)で構成された。
著者
高松 秀行 片桐 さやか 長澤 敏行 小林 宏明 小柳 達郎 鈴木 允文 谷口 陽一 南原 弘美 早雲 彩絵 和泉 雄一
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.31-39, 2013-02-28

目的:慢性歯周炎はインスリン抵抗性を亢進させることにより,2型糖尿病患者の血糖コントロールを悪化させると考えられている.高感度C反応性タンパク(hs-CRP), tumor necrosis factor-α (TNF-α), interleukin-6 (IL-6),また,アディポネクチン,レプチン,レジスチンのようなアディポカインなどのさまざまなメディエーターの増加や減少は,インスリン抵抗性に関与すると考えられている.本研究の目的は,歯周炎に罹患した2型糖尿病患者における,歯周治療による血糖コントロールおよび血清中のメディエーターへの影響を調べることである.対象と方法:歯周炎を伴う2型糖尿病患者41名に,抗菌薬の局所投与を併用した歯周治療を行った.ベースライン時と歯周治療2,6カ月後に,歯周組織検査として,プロービング深さ(PPD),プロービング時の出血(BOP)を測定し,また採血を行って糖化ヘモグロビン(HbA1c), hs-CRP, TNF-α, IL-6,アディポネクチン,レプチン,レジスチンを測定した.結果:全被験者において,PPDとBOPは有意に減少したがHbA1cおよび血清中のメディエーターには有意な変化は認められなかった.次に,6カ月後のBOPの改善率が50%以上の群(BOP-D群)とBOPの改善率が50%未満の群(BOP-ND群)に分けて解析を行ったところ,BOP-D群ではPPD, BOP, HbA1cが有意に減少しており,血清中のアディポネクチンは有意に増加していた.一方,BOP-ND群においては,PPDとBOPの有意な減少が認められたが,HbA1cや血清中のメディエーターには有意な変化は認められなかった.さらにBOP-D群においては,BOPとレジスチンの6カ月間の変化量の間に有意な正の相関(p=0.03, ρ=0.49)が認められた.結論:歯周炎に罹患した2型糖尿病患者において,歯周組織の炎症が顕著に改善した被験者では,血清アディポネクチンの増加およびHbA1cの減少が認められた.またBOPの減少に伴ってレジスチンも減少することが示された.歯周炎に罹患した2型糖尿病患者に対してBOPの改善率が50%以上と表されるように大きく炎症が減少することにより,インスリン抵抗性が改善し,血糖コントロールが安定する可能性が示された.