著者
芹沢 真澄 宇多 高明 三波 俊郎 古池 鋼
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.476-480, 2003
被引用文献数
1 4

従来のいわゆる3次元海浜変形モデルでは, 予測対象が暴浪時や季節変化など, 短期スケールの現象に限られており, また侵食域が下手海岸へ波及するという種類の汀線変化が容易には計算できないという欠点があった. 本研究では, 筆者らの等深線変化モデルを拡張し, x-yメッシュ上での水深変化量を算出可能で, かつ長期的な地形変化予測も可能な3次元海浜変形モデルを開発した. モデルは検見川浜の海浜変形に適用され, その有効性が確認された.
著者
鈴木 高二朗 渡邊 和重 山本 悟 梅崎 康浩 小澤 康彦 村上 俊春
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.726-730, 2004

宮崎港南防波堤は全長2, 150mで, 昭和56年から建設が進み, 現在, 建設の最終段階にある. 当防波堤は夏期の台風のため設計有義波高が10m以上と大きく, 細粒の砂地盤上に設置されるため各種洗掘防止工を用いて室内実験や現地実験を重ねた上で, 現況の防波堤断面が決定されてきた. 現地実験では洗掘による防波堤の変形もあり, その防止工は施工法も含めて改良されてきている. 本研究では, 洗掘防止工の設計法の確立に資することを目的として, 宮崎港南防波堤での洗掘に関する現地実験と過去の洗掘の実態を調べるとともに, その対策法をとりまとめた.
著者
野中 浩一 山口 正隆 大福 学 畑田 佳男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.191-195, 2004

韓国南東岸に大被害をもたらした台風0314号時の最大波高の特性を, 過去55年間の台風時波高極値との関連で検討するために, 当該期間に生起し, 韓国周辺海域に高波をもたらした多数ケースの台風と台風0314号を対象として, 東シナ海における浅海波浪推算を高地形解像度格子網のもとで行い, 100年確率波高や台風0314号を含む異常台風時の最大波高を求めた. 台風0314号時最大波高は韓国南東岸から日本海西南部海域にかけて, 過去55年間の台風時最大波高あるいは100年確率波高をかなり上まわるという結果や, 韓国沿岸の台風時最大波高の規模は台風の勢力のみならず経路の偶然性に大きく依存するという結果が主な知見である.
著者
橋本 典明 河合 弘泰 松浦 邦明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1221-1225, 2005
被引用文献数
1

過去半世紀間において日本列島の南方海域では, 台風の平均中心気圧が低下してきた. また, 気象庁のRCM20で予測した100年後の気圧や風の日平均データから台風を抽出し, その属性を統計解析すると, 今後100年間に九州南部などでは平均中心気圧が低下する可能性があり, その一方で, 本州の東部や日本海における変化は少ないことが分かった. さらに, 地球温暖化の影響の一つとして, 台風属性の時間変化量の平均場が緯度・経度方向に平行移動すると仮定し, 確率台風モデルによって将来に発生する台風の属性を与えた. そして, そのような平均場の移動によって, 三大湾の周辺に来襲する台風の中心気圧や風速の極値が変化することを示した
著者
国分 秀樹 奥村 宏征 高山 百合子 湯浅 城之 上野 成三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1231-1235, 2006-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

著者らのグループは, 浚渫ヘドロの含有する豊富な有機物を干潟生態系への栄養供給材料として利用できるという観点から, 2004年3月に英虞湾において約3,000m2の人工干潟を造成し, 底生生物及び底質の調査を行ってきた.昨年度までの研究成果としては, 干潟生態系に最適な底質の有機物量と粒度, 地盤高条件を明らかにし, 干潟造成材に浚渫ヘドロを利用する際の混合率の設定方法をとりまとめた.本論文では, 造成干潟域の周囲をシートで囲うことにより, 干潟域に流入・流出する水質の変化について2潮汐間にわたり定量的に連続観測し, 人工干潟の特性および干潟に流入出する物質のフラックスについて検討した.その結果, 浚渫ヘドロを用いた人工干潟の特性として, 懸濁態有機物に対してシンクであり, 溶存態無機栄養塩に対してはソースとして機能していることが明らかとなった.
著者
清野 聡子 足利 由紀子 山下 博由 土屋 康文 花輪 伸一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.1136-1140, 2002-10-10 (Released:2010-03-17)
参考文献数
10

生物相や環境変遷の自然史文献がない海域では, 環境の基礎情報が決定的に不足しており, 管理や保全の計画の立案のための基礎情報がない. 瀬戸内海西部周防灘は豊かな生態系に恵まれているが自然史情報が欠落している. 大分県中津干潟では市民が中心となり研究者が支援する環境調査活動が行われている. その結果にもとづき, 無堤地区の海岸環境保全策の提言が行われた. 港湾開発時の環境アセスメント結果は広く公開されなかったため, 干潟の広域的な情報が含まれていたが活用され得なかった. 地域住民の主体的な調査は, 地元での環境学習や永続的環境管理の動機付けとなる. 今後は官学民の調査の各々の特性を活かした補間関係による情報の重層化と活用が不可欠である.
著者
清水 達也 小林 昭男 宇多 高明 熊田 貴之 野志 保仁 芹沢 真澄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.691-695, 2007 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7

Topography of beach cusps and grain size sorting was observed at four coasts, as well as the observation of a backwash flow in a bay of a cusp. A movement of sea water flowing obliquely from the apex to the bay was observed, resulting in the generation of a backwash flow. On the basis of this observation, two pairs of sink and source were assumed and three-dimensional cusp topography was predicted, using the contour-line-change model considering the effect of grain size change by Kumada et al.(2005). The formation of a cusp and associated accumulation of coarse materials around the apex were well predicted.
著者
中村 伸也 西川 一 山田 秀夫 原 文宏 神保 正暢 平野 宜一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.176-180, 2008-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
2

Historically, many disasters at Shimoniikawa Coast has occurred by high waves called Yorimawarinami from east. The direction of longshore sand transport of the Shimoniikawa Coast is eastward. In Nyuuzen-machi and Asahi-machi located in the east from the Kurobe River mouth which becomes the source of supply of the sand, many houses moved because of beach erosion. In such circumstances, intense high waves by the low pressure hit these areas on February 24, 2008, so that coastal protection facilities in Kurobe-shi, Nyuuzen-machi and Asahi-cho got damaged and, furthermore houses were flooded and destroyed by overtopping waves.In this paper, various observation data in Shimoniikawa Coast of Yorimawarinami was analyzed by and the cause of the disaster was considered.
著者
松本 浩幸 三ヶ田 均 大町 達夫 井上 修作
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.281-285, 2004-10-08 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

本研究では, 津波地震の発生原因が「断層面上のゆっくりとした断層破壊」と仮定して, それに伴う「ゆっくりとした海底面変動」が津波を引き起こす過程および伝播の特性を数値計算によって検討した.ライズタイムが100s程度であれば断層破壊の影響は無視でき, 静的変位から予想される津波と同程度の津波が発生する. また, ライズタイムが500sのゆっくりとした海底面変動でも水塊移動を引き起こし津波が発生することを示した. ただし, 津波の波高が小さくなり, 周期が長くなる点は従来の予測とは大きく異なる.本研究は, ゆっくりとした断層破壊による地震津波に対しても, 沖合観測によって早期に津波を検知できることを示唆している.
著者
中野 俊夫 大澤 輝夫 吉野 純 益子 渉 河合 弘泰 松浦 邦明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1286-1290, 2006-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

台風により発生する強風や波浪・高潮を高精度に推算することは, 海岸工学上, 極めて重要な問題である. 本研究は, 台風ボーガスの高度化および4次元データ同化の検討を通して, 数値予報モデルの精度向上を図り, 一般性のある海上風推算手法の確立を目指したものである. 台風ボーガスの高度化, 4次元データ同化を行った結果, 台風の中心気圧, 進路の推算精度が向上することが確認された.また, この手法で推算された海上風を周防灘・八代海に高波・高潮をもたらした10事例で比較したところ, 従来の簡易的な推算手法より精度の高いことが確認された.