著者
高瀬 凡平
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.89-92, 2005-04-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1
著者
小野 理恵 髙山 真 有田 龍太郎
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.429-435, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
38

要約:昨今の新興ウイルスによる呼吸器感染症では,病原体の変異,多臓器不全をきたす病態管理の困難さや医療資源の枯渇化が問題となっている。漢方治療では病原体にかかわらず,感染症の病態を感染経過や宿主の状態から6つの病期ステージに分類し,独自の病態把握によって漢方薬を適用してきた。過去の繰り返されるパンデミックにおいて,漢方薬は炎症と急激な病態悪化に対応できるよう工夫された。漢方薬は多成分系薬剤でありその作用機序は複雑であるが,基礎研究において非特異的抗ウイルス作用,サイトカイン調整作用,臓器保護作用を有することが示唆されている。集中治療においても宿主の恒常性を調整する概念と漢方薬の特徴を活かしたアプローチが治療選択の一つとなる可能性がある。
著者
和田 健志郎 岩元 悠輔 中山 龍一 柿崎 隆一郎 文屋 尚史 片山 洋一 岸本 万寿実 成松 英智
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.580-584, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)
参考文献数
10

症例は58歳,男性。新型コロナウイルス感染症とARDSに対して人工呼吸,veno venous extracorporeal membrane oxygenation(VV-ECMO)管理となった。酸素化の改善が得られたものの,低コンプライアンスが改善せず,カテーテル関連血流感染の治療に難渋したため,来院第98病日に通常のVV-ECMOから透析用カテーテルと遠心ポンプを用いたextracorporeal CO2 removal(ECCO2R)に移行した。分時換気量の低下,食道内圧の変動の低下から,ECCO2Rによる二酸化炭素除去は呼吸努力を軽減し,肺保護換気戦略を可能にしたと考えられた。ECCO2Rは二酸化炭素の除去のみを目的とした体外循環であるが,本邦には専用のデバイスが存在しない。本症例では透析用カテーテルと遠心ポンプを併用した方法で安全に施行できた。また,ECCO2Rの適応は定まっていないが,長期ECMO後の離脱困難症例に対して有効な可能性がある。
著者
浜中 聡子 上條 吉人
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.271-276, 2007-07-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
38

抗精神病薬は, 統合失調症をはじめとする精神障害の治療薬として広く用いられている。欧米では以前より, クロルプロマジンを中心とする従来型抗精神病薬のみならず, クロザピンを中心とした非定型抗精神病薬服用症例に発症する肺血栓塞栓症 (pulmonary thromboembolism, PTE) の報告が多数みられ, 近年ではPTEの治療ガイドラインでも抗精神病薬服用がPTEの危険因子として記載されるようになった。一方本邦では, 抗精神病薬服用がPTEの危険因子のひとつであることは, いまだ十分に認知されていない。しかし最近の研究報告から, 本邦もその例外ではなく, むしろPTE症例の中で抗精神病薬服用症例の割合が非常に高いことが示されている。抗精神病薬服用がPTEの危険因子となるメカニズムは明らかではないが, 血小板の5-HT2A受容体を介した血小板凝集能の亢進や, 薬剤性の全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus, SLE) などの関与が指摘されている。今後この分野の研究が進み, 抗精神病薬服用症例の突然死の原因となるPTEの具体的な予防策がもたらされることを期待する。
著者
山村 仁 高橋 誠 仲村 光世 溝端 康光 西澤 聡 李 栄柱
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.63-66, 2011-01-01 (Released:2011-07-20)
参考文献数
11

麻酔導入後に用いた薬剤が原因と考えられるアナフィラキシーショックから心停止に至った症例を経験した。患者は55歳,男性で,食道癌根治術予定であった。麻酔導入後に抗菌薬とステロイドを投与した際に,アナフィラキシーショックを起こし血圧が低下した。心肺蘇生を行い約24分後に心拍が再開し,経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS),大動脈内バルーンパンピング (intra-aortic balloon pumping, IABP)などを用いた全身管理の結果,第4病日にPCPSより離脱し,第8病日に抜管でき後遺症なく救命できた。心拍再開にアドレナリンは無効であり,バゾプレッシン投与が有効であった。麻酔中の心停止であったため,心拍再開まで絶え間ない心肺蘇生を行えたこと,心拍再開後に直ちにPCPSを開始できたこと,などが後遺症なく救命できた要因と考えられた。
著者
穂満 高志 辻 義弘 吉岡 正訓 藤堂 敦 人見 泰正 浅川 徹也 水野(松本) 由子
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.24-28, 2014-01-01 (Released:2014-01-22)
参考文献数
6

【目的】ネブライザの取り付け位置の工夫が,フロートリガー時の回路内定常流によるエアロゾル損失を抑え,ネブライザ運搬効率を上げると仮説を立て,新たな超音波ネブライザの取り付け位置を提案するために生体外モデルでの検討を行った。【方法】挿管チューブの先端と呼気側回路にそれぞれフィルタを接続し,ネブライザをYピース手前に取り付けた従来法と,Yピースと挿管チューブの間に取り付けた提案法の2種類の模擬回路を作成した。薬液ユニットに10%食塩水10 mlを入れ30分間噴霧させた。噴霧前,噴霧30分後のフィルタの質量を測定し到達率と損失率を求めた。【結果】提案法のエアロゾル到達率は,従来法と比較して有意に高値を示した。また従来法のエアロゾル損失率は,提案法と比較し有意に高値を示した。【結語】提案法は,新たなネブライザ取り付け位置の有用性を示した。
著者
戸田 美希 本山 泰士 内山 福美 江木 盛時 溝渕 知司
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.280-283, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
11

欧州旅行中にギランバレー症候群を発症し人工呼吸管理を要する患者が,本邦での治療を希望し,ICUに入室した。入室時,デクスメデトミジン1.9 μg/kg/hr,ミダゾラム0.9 mg/kg/hr,プロポフォール1.3 mg/kg/hr,レミフェンタニル0.27 μg/kg/min,プレガバリン300 mg/day,クエチアピン300 mg/day,トラゾドン150 mg/dayが投与されていた。これらの薬剤の中止,減量に伴い,激しい体動,頻呼吸などの症状を呈し,当科が集中治療管理を依頼された。デクスメデトミジン,プロポフォール,ミダゾラムの静脈投与でも良好な鎮静が得られなかったため,ケタミン50 mg単回投与の後に,ケタミン0.53 mg/kg/hrで持続投与を開始したところ,良好な鎮静状態が得られた。離脱症候群を疑い,ケタミン持続投与下にフェンタニルの投与を開始,ミダゾラムの持続投与を再開,デクスメデトミジンの持続投与を増量し,各薬剤を漸減中止した。入院15日目に一般病棟へ転棟,入院47日目にリハビリテーション目的に転院となった。