著者
曾我 有紀子 中島 久美 川田 亜矢子 市川 哲彦 佐藤 浩史 藤代 一成
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第48回, no.データ処理, pp.363-364, 1994-03-07

我々の身近に観測される逃げ水現象は、蜃気楼の一種で、温度勾配の激しい空気によって光が屈折し起こる現象である。従来のレイトレーシングは真空が前提であるが、M.Bergerらは、空気の層を、屈折率の違う何枚もの薄いガラスの層を重ね、ゆらぎやノイズを付加することで疑似的に表現し、蜃気楼らしい景観を創成することに成功している。しかし、彼らの方法では空気中の屈折率を固定しているので、より現実的な蜃気楼や陽炎を表現するためには、人為的な視覚効果を加えなければならない。そこで本研究では、空間をボクセルに分割し、空間各点での光の挙動を集積できるボリュームレイトレーシングを用い、与えるボリュームデータを時間依存させることによって、物理的原理に合致した逃げ水の表現と陽炎の生成を同時に試みる。本稿は以下のように構成されている。次節でまず逃げ水現象の物理的原理を述べた後、3節ではボリュームレイトレーシングを用いる理由、4節では具体的な画像生成の手続きを示す。最後に、結果の画像を考察し、今後の展望を述べて本稿を閉じることにする。
著者
鳥山 朋二 小倉 武
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.35-36, 1992-09-28

ユーザーから設計者に要求を伝えるために設計仕様(設計要項)が作成される。設計仕様を受けとった設計者は内容を理解し、要求された条件を満たすシステムを作成しようとする。ユーザから受けとった設計仕様の内容を理解する段階で、設計者は何らかの形でユーザが要求しているシステムのモデル化を行う。このモデル化によりユーザ要求に内在する矛盾点やあいまいな点、不完全な点の指摘や、構成方法に関する提案等を行なうことが可能となり、これらをユーザに問い合わせ、その内容を設計仕様に反映することを繰り返して設計仕様は改版され、最終仕様へと完成度を高めてゆく。しかし、ここで作成するモデルはユーザの要求を設計者の立場から理解したものとなるため、ユーザーの要求がすべて反映されているという保証はない。従って、このモデルがユーザの要求する機能を満たしているか否かは、ユーザと設計が何らかの方法で確認する必要がある。この確認を十分に行なわないままシステムを作成し、作成後にユーザ要求との不一致が検出されたのでは手戻りが非常に大きくなるため、これらの問題はできるだけ設計の初期段階で解決するべきである。本稿では上記問題を解決するための手段として静的な検証を重視したユーザ要求のモデル化手法について検討し、既設計のLSIに適用した結果について述べる。
著者
青柳 圭祐 清藤 麻子 菅原 浩二 大林 雄次 五味 智 伊藤 佳夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第47回, no.ハードウェア, pp.5-6, 1993-09-27

rj406[1]は限られたチップ面積で可能な限り大きな処理能力を実現することを目指して設計された32ビットRISCマイクロプロセッサである。本稿ではrj406の命令セット、割り込み機能、コプロセッサ命令について述べ、シミュレーションの結果をもとに評価する。
著者
宮腰 隆 松田 秀雄 増野 武裕 畠山 豊正 山淵 龍夫 中嶋 芳雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第51回, no.ハードウェア, pp.65-66, 1995-09-20

NANDゲートのみによる論理回路の設計は構造の一様性から集積回路化に適し,重要である.(文献[1])では,一線入力多段NANDゲート回路の一設計法(以下MA法と略)を述べているが,そこでは,関数を積和項表現で与え様々な操作を行っている.今回は,積和項表現の代わりにBDD(二分決定グラフ),あるいは,SBDD(共有二分決定グラフ)を用いて効率化できるところは効率化し,多出力関数も扱えるように,拡張している.
著者
前川 篤志 伊藤 毅志 古郡 延治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.218-219, 1997-09-24

近年, 計算機の高速化, 記憶容量の大型化に伴い, 言語現象を経験的, 統計的に捉えようとする傾向にある。特に, 単語の意味的曖昧性の解消においては, 大規模コーパスから抽出した相互情報量, 機械可読の辞書やシソーラスをもとに, その文脈に沿った単語の意味を同定するという手法が主流となっている。しかし, 次々と新出単語や新出概念が現われる今日において, 既存の辞書やシソーラスに載っていない単語や概念が文脈中に現れることは, しばしば起こり得ることである。本研究では, 既存の辞書やシソーラスを使うことなく, コーパスのみから得られる情報をもとに, 文脈に沿った単語の意味を獲得する手法を提案する。例として動詞「開く」を用いて実験を行い, 得られた結果に考察を加えた。
著者
河合 敦夫 村林 篤 椎野 努
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, 1997-09-24

画像処理ソフトウェアの蓄積や, ハードウェアの低価格化, 高速化により, 各種画像処理応用システムが作られている。我々は, 現在, 菓子パンの種別(クロワッサン, メロンパン, ...)を認識する画像処理系を試作している。
著者
秋葉 智弘 松本 尚 平木 敬
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.47-48, 1993-09-27

共有メモリー型並列計算機における、並列アプリケーションの最適化を支援するために、様々なハードウェアー機構が提案されている。特に、本論文で取り上げるハードウェアー機構は、Elastic barrier(同期待ちによるアイドルタイムを減少させるために、同期に幅を持たせたり、必要のないバリアーを削減したりできる拡張されたバリアー)とスヌープキャッシュにおけるプロトコルの、データオブジェクト毎の切替えである。本論文では、SPLASHと呼ばれる並列アプリケーション群を用いたシミュレーションにより、これらの機能がどのような性能改善をもたらすかを評価する。SPLASHは、普通のC言語とPARMACSと呼ばれるマクロによって、明示的に並列性を記述した、実際に使用されているアプリケーション群である。SPLASHのこの性質により、より現実に即した性能評価を行なうことが出来ると期待できる。
著者
田中 吉廣 実近 憲昭
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.712-713, 1990-03-14

Common ESP(CESP)は、AI言語研究所で研究開発している実用的AIプログラミング言語である。この言語は、論理型とオブジェクト指向型を融合しており、汎用ワークステーション等で稼働する。1988年度は、言語の基本部分を枠組みとしたエミュレータ方式の暫定版CESPを作成した。1989年度は、この暫定版の機能拡張と操作性改善を行ない、マシン語生成方式の基本仕様版CESPを完成させようとしている。本稿では、この基本仕様版CESPの言語仕様と処理系の概要について述べる。
著者
矢尾 浩 金井 達徳 岐津 俊樹 前田 誠司 矢作 満
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.205-206, 1996-03-06

ビデオサーバでは、ストリームの連続性の保証だけではなく、一定数のストリームを供給するために必要となるディスク数とバッファメモリ量といったコスト面や、新ストリームの再生要求に対する応答時間等の操作性も性能評価の重要な指標となる。我々は数百~数千のクライアントに対し同時に映像ストリームを供給可能なマルチメディアサーバ「スマートストリーマ(以下SS)」を開発している。SSは、単純なVODサービスだけではなく、多数の映像データを切替えながらアクセスするオンラインショッピングや映像検索などのサービスでの利用を想定しているため、特に応答時間の短縮が重要課題である。本稿ではSSの制御ソフトウェアについて報告する。
著者
中村 祐一 若林 一敏 藤田 友之 吉川 浩 前田 直孝
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.163-164, 1993-03-01

論理合成システムVarchsynにおいては、テクノロジ独立な回路規模の最小化に論理多段化を用いている。論理多段化は回路の論理的に共通な部分を抽出して回路規模を減少させていく最小化手法である。Varchsynの論理多段化は、対称関数の考慮、論理式の否定を考慮したプール代数的多段化を短い処理時間で実行することができる。本稿では、この論理多段化手法、及びベンチマークデータを用いたVarchsyn上での評価結果について述べる。
著者
菅原 一秀
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.137-138, 1996-09-04
被引用文献数
1

視覚障害者が簡単に操作でき、日常的な印刷情報にアクセスすることのできる文字認識システムの開発を行なっている。出力は合成音声によるので、文書の内容に素早くアクセスするには文書の論理構造に基づいた構造化が必要となる。また、表題や、ページ番号などは本文と独立にヘッダ、フッタなどに記載されているのでこれらの主に物理的配置に基づいた構造の抽出及びそれへのアクセスが問題となる。本稿では再帰的X-Yカットを用いた文字列の物理的配置の解析手法によるヘッダ、フッタなどの物理的情報の抽出、及び行の端点の並びからのパラグラフ、見出しなどの論理構造の抽出について報告する。
著者
菅原 一秀
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1531-1532, 1986-10-01

テンプレートを用いる音声認識ではその良否が直接認識結果に反映される。テンプレートの最も簡単な作成法は、ある一つの発声をもってテンプレートとする方法である。しかしこの方法は一つの発声のみに頼るので偏りが避けられないし、発声の変動が大きくなったり、テンプレートを適応化させようとした時にはうまくいかない。これらの問題点を解決するためにテンプレートを複数個使う方式(マルチ・テンプレート法)があるが、与えられた学習用発声全部をそのままテンプレートとして持つのでは記憶域及び計算量が大きくなってしまい、得策ではない。そこで、与えられたテンプレートから一つあるいは少数のテンプレートを作りだす方法が要求される。本稿ではその方法の一つとして、「重み付きDPマッチング」を利用した新しいテンプレート作成法(AWDP法:Average by Weighted DP)を示す。
著者
菅原 一秀
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.284-285, 1998-10-05
被引用文献数
1
著者
三浦 真 疋田 輝雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.83-84, 1992-02-24

並行プログラムにおいては,複数のプロセス(タスク)が,共有変数を通して,あるいはメッセージの交換によって,互いの間の通信と同期を行なう.さらに,各プロセスには優先度(prior-ity)が付与されているとする.(プロセスの優先度は現実的なシステムにおいて重要で,実時間処理の周期的なプログラムにおいては,短い周期のプロセスに高い優先度を与えるという方式を用いることが多い.)この状況のもとで,優先度の高いプロセスが低いプロセスに待たされるという優先度逆転(priority inversion)の現象が起ることが知られている.一例は,優先度の高いプロセスAが,低いプロセスCからのメッセージを待って停止(suspend)し,Cの優先度が低いため,Aが中間の優先度のプロセスBに追い越されてしまう状況である.これに対処するための方策がいくつか提案されている.ここでは,優先度逆転がどのような状況において起こるかを解析する.さらに,新しい対策法を提案する.(なお,優先度を整数で表わすものとし,値の大きいほど優先度が高いとする.)一般に,メッセージ交換方式のうちでも,いくつか種類がある.第一に,同期(synchronous)と非同期(asynchronous)の区別があり,受付けプロセスのキューには,同期方式の場合は呼出しプロセスが,非同期方式の場合はメッセージがはいる.さらに細かい区別として,キューが,あるかないか,その長さが1か限定長か不定長かがある.現在のAda(1983年規格)は同期方式で,キューは不定長である.優先度逆転の起る状況はこれらの通信・同期の方式によって異なる.ここでは単一プロセッサ・システムの下で考える.なお,プロセスの優先度と,プロセスのスケジューリングという二つの概念は,互いに独立したものである.ここではスケジューリングはもっとも単純なもので,その時点で実行可能な,待ち状熊(blocked)のプロセスの中の,最も優先度の高いものから一つ選んで実行するというものとする.プロセスの優先度に関する議論は並行処理一般に関わり,言語からは独立である.しかしこの話はこれまで主として,現在進行中のAdaの言語改定にからんで議論されている.我々は種々のインプリメントや実験をCおよびAdaの上で行なっている.現在のAdaでは,プロセスの優先度は,静的にプラグマによって与える.Ada 9xでは,スケジューリングの方針をユーザが選択できるエうにすること,優先度を実行時に変えられるようにすることなどが検討されている.
著者
大籔 良祐 川合 誠 野口 拓
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第71回, no.ネットワーク, pp.95-96, 2009-03-10
著者
沢田 三智也 浜 隆二 小宮 雅幸 小川 司
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1235-1236, 1989-10-16

CTRON仕様は,TRONプロジェクトの一環として情報通信ネットワークの各ノードへの適用を幅広く目指レ基本OSと拡張OSから構成される階層化されたオペレーティングシステムのインタフェース仕様を共通化,標準化したものである。基本OSの核の部分であるCTRONカーネルインタフェース仕様書も,既に第二版が出版公開され,小規模システムへの適用を狙いとして[μC]サブセットが新たに追加された。本論文では、[μC]サブセット仕様のRG68KSBCリアルタイムカーネル(以下,「RG68KSBCカーネル」と呼ぶ)のインプリメント手法について述べる。