著者
縣 俊彦 清水 英佑 芳賀 佐知子 桜井 美代子 林 和夫 橋田 ちせ 坂場 秀行 大井田 基
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.433-440, 1995-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
13

都内, 近県の2医科大学生1,470名, 4看護専門学校生692名に対し喫煙に関するアンケート調査を実施し, 次の結果を得た.1) 喫煙率は医学生全学年35.4%, 看学生12.5%, 医学生1~3年28.7%と差があり, 医学生高学年の喫煙率は高く, その要因は不安やストレスと推測した.2) 医学生は喫煙の有害性の知識が禁煙に結びつかないが, 看学生は, 知識を得ることにより禁煙を行った者が多い.3) ブリンクマン指数の重回帰分析の結果, 医学生の場合は, 年齢, 性, 母の喫煙が重要な要因となり, 禁煙運動の推進には, ストレスからの解放, 喫煙率の高い男子学生重点の指導, 母の禁煙が重要であると示唆された. 看学生の場合は決定係数も小さく取り上げられる要因も少なかった.
著者
今井 必生 白井 丙午郎 白田 剛 浜出 洋平 石田 雄大 堀内 正夫 村上 博昭 石渡 義之
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.281-286, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
4
被引用文献数
1

1) 卒後募集の趣旨を実践しようとする意志は高かったが,現状の学士編入制度の価値への評価,貢献意志は高くなかった.現在の編入学者の自己評価の低さや実践の欠如を反映していると考える.2)募集や試験は,大学が医学教育や医療をどうしたいのかを明確にすることを求める意見が根底にあるものが多かった.3) 自身が将来価値を生み出すと評価した学士編入者は5,6割で,必要とする時間は1年から10年とする者が多かった.具体的な実績を今後さらに厳しく問われることになるだろう.
著者
望木 郁代 桑畑 綾香 白石 泰三 堀 浩樹
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.355-363, 2015-09-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
18
被引用文献数
1

目的 : 医学教育における有効な倫理教育を検討するために, 医学部医学科学生の生命倫理観・死生観を評価した.方法 : 医学科第1, 2, 4, 6学年学生, 他学部第1学年学生を対象として質問紙調査を実施した.結果 : 医学科学生と他学部学生との比較では, 入学間もない時点で, 生命倫理「安楽死」「ヒトクローン」, 死生観「死への恐怖・不安」「人生における目的意識」「死への関心」への態度に差が認められた. 医学科学生では, 生命倫理「着床前・出生前診断」「遺伝子診断」「生殖補助医療」, 死生観「人生における目的意識」への態度に学年間で差が認められた.結語 : 医学科学生の生命倫理観・死生観は, 大学入学時すでに他学部と差があり, 学年ともに変化している. 医学科学生の特性をふまえての有効な倫理教育プログラムの構築が, 今後望まれる.
著者
仁田 善雄 前川 眞一 柳本 武美 前田 忠彦 吉田 素文 奈良 信雄 石田 達樹 福島 統 齋藤 宣彦 福田 康一郎 高久 史麿 麻生 武志
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.3-9, 2005-02-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
6
被引用文献数
2

共用試験CBTにおける項目反応理論の有用性を評価するために, 2002年の2-7月に実施した医学系第1回トライアルのデータを解析した. このトライアルはモデル・コア・カリキュラムの大項目分類 (6分野) をすべてカバーできるようにデザインされており, 含まれている試験問題数は2, 791題であった.各分野において, 3-40題の問題がランダムに抽出され, コンピューターシステムを用いて5, 693名 (4年生-6年生: 解析対象者5, 676名) の学生に実施された. 各学生には100題出題された. 項目反応パターンについては3母数ロジスティックモデル (項目識別力, 項目困難度, 当て推量) により分析した. 以下の知見が得られた. 1) 項目困難度と正答率には強い負の相関がみられた (r=-0.969--0.982). 2) 項目識別度と点双列相関係数には中程度の相関がみられた (r=0.304-0.511). 3) 推定された能力値と得点とには強い正の相関が見られた (r=0.810-0.945). 4) 平均能力値は学年が上がるにつれて増加した. 5) モデル・コア・カリキュラムの6分野間の能力値の相関係数は0.6未満であった. 1人ひとりが異なる問題を受験する共用試験の場合, 項目反応理論を使用することが望ましいと考える. 第1回トライアルは, 項目反応理論を使用することを想定してデザインされていなかった. 第2回トライアルでは, これらの比較を行うために適切にデザインされたシステムを用いた. 現在, この結果について詳細に解析を行っているところである.
著者
中島 昭 長田 明子 石原 慎 大槻 眞嗣 橋本 修二 小野 雄一郎 野村 隆英 松井 俊和
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.397-406, 2008

藤田保健衛生大学医学部入試では, 全入学者の約30%を推薦入試により選抜している.推薦入試入学者の入学後の成績が適正であるかどうかを検証するために, 入学直後に実施した基礎学力を測定するプレースメントテストの成績と, 入学後の1, 2年次の欠席状況と成績との関連性を比較検討した.<BR>1) 平成14年から17年までの入学生398名を, 推薦入試入学者 (126名), および, 一般入試の成績の上位1/2入学者 (137名) と下位1/2入学者 (135名) の3群に分類して解析した.<BR>2) 入学時のプレースメントテストの成績 (基礎学力) は, 一般上位>一般下位>推薦の順であったが, 入学後の成績は1, 2年次共に, 一般上位>推薦>一般下位となった.<BR>3) 推薦入試入学者の1, 2年次欠席コマ数は, 一般入試上位・下位入学者よりも少ない傾向にあった.<BR>4) 2年次の成績は1年次の成績とよく相関し, また, 2年次の欠席コマ数は1年次の欠席コマ数とも強く相関した.<BR>5) 入学時の基礎学力だけでなく, 1年次での勉強の取り組み方が, その後の成績に影響する重要な要因であることが示唆された.
著者
菊川 誠 西城 卓也
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.243-252, 2013-08-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
28
被引用文献数
1

●代表的な学習方略について事例を添えて概説する.●講義は,大人数を対象にする場合,多くの情報を系統だって提供できる利点がある.●問題基盤型学習とは,能動的小グループ学習による現象の提示(シナリオ)を学習のきっかけとする学習方略である.●早期臨床体験実習は,医学部入学後,比較的早期に現場を体験させる実習である.●医療安全の観点からシミュレーション教育の重要性が増してきている.●参加型臨床実習と卒後臨床実習は,認知的徒弟制と正統的周辺参加論を理論的背景にしている.●継続的専門能力開発を考える上で,省察的実践家という概念が有用である.
著者
小林 志津子 関本 美穂 小山 弘 山本 和利 後藤 英司 福島 統 井野 晶夫 浅井 篤 小泉 俊三 福井 次矢 新保 卓郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.29-35, 2007-02-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
23
被引用文献数
3

1) 日本の医学生が臨床実習中に受ける不当な待遇 (medical student abuse) に関する報告はこれまでされていなかった.2) 日本の医学生を対象にしたわれわれの調査では, 回答者の68.5%が, 何らかのmedical student abuseを臨床実習中に受けたと報告した.3) 臨床実習においては, 指導医の「neglectやdisregard」があると学生の実習意欲を顕著にそぐことが回答者の意見から推測できた.4) 医学教育の関係者はmedical student abuseに注意を払い, 防止策を講じる必要がある.
著者
原田 規章 中本 稔
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.167-171, 1997-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5

医学部入学者318名を対象に, 入試における面接評価点と留年・退学, 医師国家試験 (以下, 国試) 合否との関連を検討した.一般入試では面接評価の低い者に留年の発生率が高いことが明らかに認められ, とくに面接評価点が11点以下では12点以上の学生に比べて学生あたりの平均留年年数が3倍以上であった. これは現役入学生に限定しても同様であった. 推薦入試では面接評価と留年・退学, 国試合否との関係は明確でなかった. これには選抜効果を考慮する必要がある. また, 留年経験者は国試不合格率が明らかに高いことが認められた. 今後, 面接方法の改善をはかるとともに一般入試においても面接評価をより積極的に取り上げる必要があると考える.
著者
川上 ちひろ 西城 卓也 藤崎 和彦 鈴木 康之
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.365-371, 2015-09-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
38
被引用文献数
1

背景 : 問題をもつ学習者の問題は体系的に示されてない. 教育者が, その問題を適切に理解するため, 問題をもつ学習者を表現する英語用語と定義を集約し, その問題を因子ごとに分類する.方法 : 系統的文献検索結果 : 用語にはdisability, learning disorders, at-risk, difficult, problem, struggle, underperform, unprofessional unsafe, gifted, outstandingが同定された. 問題因子は, 学習者の特性, 認知, 態度, 技術に大別された.考察 : この分類は教育者が問題を的確に理解する一助となる.
著者
山崎 由花 堀口 逸子 丸井 英二
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.411-416, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
23
被引用文献数
1

1) 卒後5年以下の卒業生は仕事と私生活の両方の充実を望み,仕事を継続するためにライフスタイルに合った専門科の選択を挙げた.この価値観は先行研究でも指摘されている様に,この世代の若者に特有の価値観と考えられた.2) 卒後31年以上の卒業生は,女子医学生が稀少な時代に医学部に入学し,女性医師が今後も存在するためにも「私達が頑張らなければ」という思いで仕事を継続したが,子育てや仕事のことで後悔する者もいた.3)女性医師が直面する性差別,出産,育児に関する問題は両世代で共通して存在した.
著者
宮本 学 西村 保一郎 鏡山 博行
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.199-204, 2005-06-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
8

大学をストレートに卒業すること, 医師国家試験に1回目の受験で合格することの2つを医学教育課程が順調であったことの判断の指標として, 大阪医科大学に平成3年から平成9年までに入学した715名について, 性別, 入学までの期間 (現役・高校卒業後1年以上経た者) に分けて, 医学教育課程の順調さを比較した. 医学教育課程が順調であった者の比率 (あるいは1回目で国家試験に合格した者の比率) は現役の方が高校卒業後1年以上経た者よりも高かった. さらに性別で見ると女性では現役・高校卒業後1年以上経た者の差がなかったが, 男性では現役の方が高校卒業後1年以上経た者よりも高い比率を示した. 次に, 入試の理科における生物学の選択群・非選択群の両群の間に医学教育課程の順調さに差があるかどうかを解析したが, 差はほとんど見られなかった. 生物学を入試科目として選択していなくても, 医学教育課程に支障はないという結論となった. ただし, 女性の現役に限定すると, 生物選択群の方が非選択群よりも医学教育課程がより順調であった.
著者
田邊 政裕
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-8, 2015

<p> 医療安全を契機に医学教育の質保証が強く求められるようになり, 教育のアウトカムが重視されるようになった. 教育のアウトカムとして全ての医師が修得すべき能力 (ジェネラル・コンピテンシー) とそこに至るマイルストーンズを設定することで医学教育から臨床研修へのシームレスな医師育成が可能になる. アウトカム基盤型教育ではコンピテンシーの達成が教育の柱であり, その達成を証明する評価が重要である. コンピテンシーの評価は, 筆記試験に加えてパフォーマンス・テスト, 観察評価, ポートフォリオなどにより多面的に行われる必要がある. 現状の医師国家試験ではこのような多面的な評価は実現できていない. 卒前から卒後へのシームレスな教育継続を担保するには, ジェネラル・コンピテンシー, マイルストーンズの設定に加えて, 医学部, 医科大学が臨床実習, 卒業判定において卒業時マイルストーンを適切に評価し, 学位を授与することが求められる.</p>
著者
川根 博司 松島 敏春
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.379-383, 1998

1996年度および1997年度に, 当大学の第5学年医学生における喫煙状況と学業成績の関係を調査した.喫煙状況の調査方法としては, 呼吸器内科に臨床実習のため回ってきた際に, 各班ごとに1人ひとりの喫煙習慣について聞き取りを行った.学業成績は第5学年までストレートに進級してきたか, 1回でも留年したことがあるかで評価した.1996年度, 1997年度の男子学生の喫煙率は, ストレート組でそれぞれ48.9%, 39.1%であるのに対して, 留年組では80.6%, 65.4%と有意に高かった.女子学生においても, 1996年度, 1997年度の喫煙率はストレート組がそれぞれ8.7%, 9.1%なのに, 留年組は25.0%, 37.5%と高率を示した.喫煙状況が学業成績に関係することが示唆される.わが国において, 医学生に対するアンチスモーキング教育をもっと積極的に進めていく必要がある.
著者
岩田 健太郎 北村 聖 金澤 健司 丹生 健一 苅田 典生
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.358-363, 2013-10-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
7

背景 : 指導医講習会は「能動的,主体的」であるべきだが,神戸大学病院でのそれは受動的なものであった.方法 : 参加者がより能動的,主体的になるよう,内容をより現場にあい,自由なものに変更をしてきた.この変更内容をまとめ,変更前後(平成20年度と24年度)の受講者のアンケート結果を比較した.結果 : 講習会の内容はより自由な内容となり,KJ法などは用いられなくなった.参加者の評価をスコア化すると,以前に比べて概ね評価は高まったが,研修時間に関しては有意差がなかった.考察 : 指導医講習会の質的改善が試みられ,受講者の満足度は改善した.今後も質的改善を重ねていき,その質の評価も行うべきだと考える.
著者
岡田 隆夫 新井 康允 池田 黎太郎 各務 正 小川 秀興
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.177-181, 1999-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4
被引用文献数
2

順天堂大学医学部では1年生に対する一般教養教育カリキュラムの改革を行い, 実施後半年を経た段階で学生・教員に対するアンケート調査を行いその結果を検討した. 改革の骨子は必修科目の削減と選択科目の大幅増加であり, これにより学生の個性を重視, 自主的な科目選択による勉学意欲の向上を目指した. 新カリキュラムでは各講義に対する学生の満足度が上昇したのみならず, 授業内容は以前と同様であった科目に対する満足度も上昇し, 授業の活性化が明らかとなった.