著者
石川 和信 首藤 太一 小松 弘幸 諸井 陽子 阿部 恵子 吉田 素文 藤崎 和彦 羽野 卓三 廣橋 一裕
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.259-271, 2015-06-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
5

シミュレーション教育への理解と普及をはかり, 医学生の臨床能力の客観的評価システムを全国の医学部教員が連携して確立することを目的として, 第46回日本医学教育学会大会の開催翌日に, 医学生イベントとして, シムリンピック2014を開催した. 全国公募した12チーム36名の医学部5, 6年生が参加し, シミュレータや模擬患者を活用した6つのステーション課題に挑戦した. 各課題の構成, 難易度, 妥当性を臨床研修医の協力で検証し, 実行委員会でブラッシュアップした. 企画の構想, 実行委員会組織, 開催準備, 当日の概要, 参加者アンケート結果に考察を加えて報告する.
著者
高村 昭輝 伴 信太郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.255-258, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
5

1) オーストラリアではここ数年で多くの医学部が医学生に対して全学年を通して地域医療と地域社会そのものを認知・意識できるカリキュラムを採用している.2) フリンダース大学では医学生に対してオーストラリアで初めて,遠隔地での長期間にわたる地域小病院・診療所での総合診療実習に着目してプログラムを作成,実践し,大きな成果を上げている.3) 地域立脚型医学教育には様々な形態が考えられるが,どのような地域医療教育が日本の文化,歴史,医療制度に適合し,将来的な地域医療の充実につながるのか考察する必要がある.
著者
服部 良信 水野 美穂子 野々垣 浩二 小鹿 幸生 西尾 昌之 藤中 憲二 小西 靖彦 村岡 亮
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.298-299, 2014

優れた臨床研修指導医の養成が必要で,指導医は臨床研修指導医講習会(講習会)の受講が必須である.平成25年6月の臨床研修運営委員会(委員会)で開催提案し,7月の委員会で否定された.理事長・病院長の指示で,9月の委員会で指導医のレベルの向上等を目的とした大同病院のスタッフ単独での開催を決定した.タスクホースは,チーフと院外講師を除き院内から選出し,予行会を3回,総合リハーサルを1回施行した.他の事務の協力を得て,平成26年2月に大同病院の第1回講習会を実施した. 単独開催により,臨床研修に対する意識改革ができ,受講者・タスク・事務方のレベルアップおよび良い人間関係の構築ができ,一体感が得られた.
著者
根路銘 安仁 大脇 哲洋 桑原 和代 新村 英士 嶽崎 俊郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.461-465, 2013-12-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
7
被引用文献数
2

医学部入学定員は平成19年より急速に増加しており多くを地域枠学生が占めている.過去の調査で「医師不足地域での従事」において,専門医取得は大きな要素であった.鹿児島県の地域枠は全国よりも3年間早く開始され来年度から後期研修が開始される.彼らが専門医も取得可能なキャリア計画を提示することは喫緊の課題であり現在の制度情報を元に検討した結果,専門医の取得が困難であった.本問題は鹿児島県だけの問題でなく,数年後全国の医学部の卒業生の約2割が地域枠学生であることを考えると全国的な問題であり,彼らが専門医取得困難である現状は改善しなければならない.そのためには,各方面からの取り組みが必要である.
著者
常住 亜衣子 石川 ひろの 木内 貴弘
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.335-344, 2013

目的 : 医療面接における医師・患者間コミュニケーションスキル評価尺度の概要と問題点を明らかにする.<br>方法 : 先行研究,2009年以降の文献レビューより欧米で広く使用される尺度を収集した.尺度の評価項目をthe Kalamazoo Consensus Statement(KCS)を参考に分類した.<br>結果 : 対象とした10尺度の全項目の83%がKCSの示す領域いずれかに分類された.<br>考察 : 医師・患者間コミュニケーションに必須のスキルについて一定の合意形成が示唆されたが,実証的根拠を示す研究がさらに必要である.理論的根拠に基づき構成され,使用する場面に適した信頼性の高い評価ツールの選択・開発が求められる.
著者
錦織 宏 西城 卓也 田川 まさみ
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.79-86, 2014-04-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
15

カリキュラム/プログラム評価とは,「学生や研修医を対象にした事後アンケート」に留まるものではなく,一定の目的をもって,計画された教育活動を多角的に評価する営みである. 以下の問いについて考えながら,評価を計画する. ・ なぜ評価を行うのか? ・ 誰に向けての評価なのか? ・ 何を評価するのか? ・ どのように評価するのか? ・ 誰が評価するのか? ・ 誰から情報を得るのか? ・ いつ評価するのか? ・ 評価結果をどのように用いるのか? カリキュラム/プログラム評価の目的は教育活動の改革にある.
著者
渡部 健二 和佐 勝史 濱崎 俊光 樂木 宏実 土岐 祐一郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.63-68, 2014-04-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
5

背景 : 大阪大学で新しく導入した臨床実習総括試験の特性を明らかにするため,当試験の成績を他の試験と比較検討した.方法 : 比較対象は,基礎医学,臨床医学,共用試験CBT,共用試験OSCE,クリニカル・クラークシップとした.結果 : 当試験との相関を示すPearson相関係数は全般的に低値を示した(基礎医学 0.32,臨床医学 0.36,共用試験CBT 0.44,共用試験OSCE 0.39,クリニカル・クラークシップ 0.24).主成分分析の結果,当試験,共用試験OSCE,クリニカル・クラークシップは1つの組を形成し,基礎医学,臨床医学,共用試験CBTは別の組を形成した.結語 : 当試験は既存の試験とは異なる観点の試験であり,技能,態度,コミュニケーション,臨床推論などが包括的に求められる臨床的課題解決能力の指標となる可能性が示唆された.
著者
植村 研一
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.380-383, 1986-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10
著者
有村 保次 西田 俊彦 南 麻弥 横山 葉子 三品 浩基 山崎 新 石崎 達郎 川上 浩司 中山 健夫 今中 雄一 川村 孝 福原 俊一
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.259-265, 2010

我が国の臨床研究の推進には,臨床と研究手法に精通した臨床研究医(clinical investigator)の養成が必要である.我が国初の臨床研究の系統的な教育を行う臨床研究者養成(MCR)コースが京都大学に開設された.今回,本コースの卒業生が臨床研究を実施する上で直面している問題点を調査し,今後の改善策を検討した.<br>1) MCRコース3期生までの全履修者28名を対象に,履修後の臨床研究実施に関する現状や将来像等について自己記入式質問紙調査を行った.<br>2) 回答者24名中(回収率86%),臨床研究を行う上で,「時間がない」,あるいは,「研究協力者がいない」といった問題を挙げる者は,それぞれ40%程度いた.<br>3) 「臨床研究を進めるために職場や周囲への働きかけ」を行った者は20名(83%)いたが,職場において臨床研究の支援が得られたのは1名のみであった.<br>4) このような状況下,自らの10年後の将来像として「病院で臨床研究を行う臨床医」と回答した者が半数以上いた(54%).また,「臨床研究を行う医師のキャリアパスを想像できる」と回答した者は42%であった.<br>5) MCRコースは改善の余地があるものの人材育成の具体的なモデルを呈示した.臨床研究のさらなる発展のため,医療現場における支援体制や人的・物的インフラ整備の必要性が示唆された.
著者
坂崎 貴彦 久保田 正和 押田 芳治
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.321-324, 2007-10-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
6

1) 保健師・看護師と, 助産師・看護師のそれぞれの統合カリキュラムは, 1997年4月に同時に制定された. 2006年4月現在, 前者は10校開設されているが, 後者は1校も開設されていない.2) 助産師・看護師統合カリキュラムについては, 地域看護の単位数が少なく, 病気や高齢を伴うことが少ない助産師教育を統合させること自体に無理があったのではないだろうか.3) 助産師・看護師統合カリキュラムは, 実用性の検証が不十分なままに制定されたと考えることも可能であるが, 助産師不足が叫ばれている昨今, 制度を活用する学校が現れることを望みたい.
著者
鈴木 荘一 松村 幸司 永井 友二郎 藍澤 茂雄 青木 照明 橋本 信也
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.253-257, 1996

昭和61年3月, 阿部正和東京慈恵会医科大学学長 (当時) と実地医家のための会・永井友二郎 (会創設者) とが相談し, 同大4年または5年生に, エレクティブに春と夏の年2回家庭医実習の教育プログラムをスタートさせた. 学生に実地医家の医療を訪問見学させ, 将来の進路選択の中に, 家庭医機能の重要性を学ぶ機会を与えることが目的であった. 第1~20回までの実習学生は延121人 (1回平均6人) で, 最高11人, 最低3人であった。また, 本事業に参加した指導医は計37人で, 1人あたりの参加回数は1~18回 (平均3.3回) であった. 本実習は指導医にとっても, 教えることは学ぶことであり, 学生とともに有用性が高かった.

1 0 0 0 OA 序 文

著者
錦織 宏 道信 良子
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.273-273, 2013-10-25 (Released:2015-07-06)
著者
小田原 悦子
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.286-291, 2013-10-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
15

作業療法は1917年に設立され,作業を使って障害,病気の人が社会に復帰するように援助する専門職としてアメリカで教育が始まった.作業療法の設立者が専門職を人間の健康は日常の作業によって形成されるという包括的な見方に基礎づけたことを反映し,学生教育は幅広いものであった.その始まりから,臨床家の教育に影響する健康の概念に関する2度の大きな転機があった.1.リハビリテーション医療との密接な連携によって保護されたが,伝統的な医学モデルに影響を受け,医療診断に基づいた臨床を発展させた.2.健康のより広い概念,参加モデルへ再度移行した.作業療法研究者,教育者の視点から,第2の転機における文化人類学の貢献を述べる.
著者
内田 満夫 津田 洋子 塚原 照臣 多田 剛 櫻井 晃洋 福嶋 義光 野見山 哲生
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.181-187, 2012-06-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
20

信州大学医学部3年生を対象に,衛生学公衆衛生学の講義の際にプレテストとポストテストを実施した.本研究は,どちらのテスト結果が期末試験結果と強く関連するか検証することを目的とした.1)2010年の前期に,医学部3年生112名を対象としてプレテストとポストテストをそれぞれ合計7回行い,また前期末に期末試験を実施した.2)プレテスト,ポストテスト,プレ–ポストテストの差分,期末試験の得点の関連を調べた.またプレテストの結果別に学生を4分位に分け,群間のポストテストと期末試験の得点を比較した.3)プレテスト得点は,ポストテスト,期末試験の得点と有意に関連した.また4分位において,第4群(プレ高得点群)は第1群(プレ低得点群)より,ポストテストと期末試験得点が有意に高かった.4)ポストテスト得点は期末試験の得点と有意に相関しなかった.5)以上より,プレテスト得点はポストテスト得点より期末試験結果を予測するための指標として有用であると考えられた.
著者
菰田 孝行 阿部 幸恵 大滝 純司
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.259-263, 2009 (Released:2010-09-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1

1) インターネット検索エンジンGoogleを用いて,「GIO」と「SBO」,「一般目標」と「行動目標」を,それぞれ検索語として入力し「and検索」を行った.2) 「GIO」と「SBO」を検索語として用いた場合に得られた上位100位までのサイトのほとんどが,日本の医学教育に関わるサイトであった.3) 「一般目標」と「行動目標」を検索語として用いた場合に得られた上位100位までのサイトのほとんどが,医学教育に関わるサイトであった.
著者
辻 琢己 吉田 侑矢 河野 武幸
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.121-131, 2013-06-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
13
被引用文献数
3

背景 : 薬剤師養成を目的とした6年制薬学部の多くでフィジカルアセスメント実習が行われている.方法 : 薬剤師の職能創成や学びのモチベーションの向上に対する本実習の有用性を明らかとするため,実習前後で生じた学生の意識変化をアンケート形式で調査し,自由記述内容をテキストマイニングで解析した.結果 : フィジカルアセスメントに関する技能を持たない学生に本実習を実施した結果,本実習で修得した知識や技能が薬剤師に必要であると考える学生が有意に増加し,学びのモチベーションも向上した.考察 : 本実習は,積極的に薬物治療に貢献することの重要性を認識させるだけでなく,学びのモチベーションの向上にも繋がると考えられた.
著者
大桑 良彰
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.181-193, 2000-06-25
被引用文献数
2

本学では平成2年度から, 5つの選抜区分によるユニークな入学試験を行って来た. この入試成績と学内成績との関連を調べ追跡調査を行った. 解析に際しては, 先入観にとらわれたり恣意的な調査にならないよう, 全ての組み合わせを網羅して解析するよう心がけた. 入試成績と学内成績の相関, 選抜区分別の学内成績, 留年者や退学者などについて考察した. 入学後の結果に対し, 全体的に最も信頼できる指標は平成2年を除く小論文と思われる. 平成2~9年のうち前半では, 理系と指定調書の成績が良く後期が悪いようである. 後半では, 小論文の成績が良く, 後期と指定調書が悪いように思われる. また, 最近の理系もあまり信頼できる指標でないと思われる. 文系は医学部に適応してストレートに進級する者の学内成績は高いが, 適応できず留年を繰り返したり退学になる者の割合が多いようである. なお面接は, 平成9年以外はおおむね有効のようである.