著者
磯崎 育男
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.259-265, 2011-03

本論は,わが国における,政治教育を中心とする社会科教育の実態を概観するとともに,欧米の政治教育を瞥見し,わが国の問題点を捉えたうえで,今後の政治教育の方向性を示すものとしての政策中心学習を構想し,その意義等について考察している。
著者
磯崎 育男
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.259-265, 2011-03

本論は,わが国における,政治教育を中心とする社会科教育の実態を概観するとともに,欧米の政治教育を瞥見し,わが国の問題点を捉えたうえで,今後の政治教育の方向性を示すものとしての政策中心学習を構想し,その意義等について考察している。
著者
上村 三郎 濱田 浩美
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.389-403, 2005-02-28

カンボジアとベトナムは世界でも有数の地雷汚染国であり,地雷や不発弾の処理が国家の最重要課題となっている。また,両国政府は地雷除去専門機関を設置し,地雷や不発弾の分布に関する調査や,探知活動,除去および処理活動を実施しているが,地雷や不発弾の絶対的な数量が多いことから長期にわたる活動が必要となっている。本調査は,当初独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がカンボジアとベトナムにおける地雷をはじめとする地中埋設物の探査と除去方法および除去手順等に関する現地調査を実施し,両国に適した地雷探知機と地雷除去機を開発するために必要な基礎的資料の提供を目的として実施されたものである。しかしながらその後,調査で収集してきた資料を再検討した結果,日本ではあまり知られる事の無い事実が判明した。本論文においては,各種資料を再検討した上で,カンボジアとベトナムの地雷除去に関する現状と課題の報告を目的としたものである。
著者
林 英子
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.451-457, 2012-03

青色顔料であり混合原子価錯体であるプルシアンブルーの色の変化を用いて,酸化還元反応において以下のことを体験・認識できる実験ワークシートを作成した。 試験管内での反応と,乾電池を使った直接の電子授受としての反応の両方を観察することができる。 酸化と還元は同時に起こる反応であることが確認できる。 「酸化剤・還元剤」,「電気分解」,「電池」を統一的に電子の授受として実感できる。 鉄イオンの価数が酸化数に相当することから,酸化数の増減で酸化還元を説明できる。作成したワークシートを用いて,高校生,中学生への実践を行った。
著者
林 英子
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.451-457, 2012-03

青色顔料であり混合原子価錯体であるプルシアンブルーの色の変化を用いて,酸化還元反応において以下のことを体験・認識できる実験ワークシートを作成した。 試験管内での反応と,乾電池を使った直接の電子授受としての反応の両方を観察することができる。 酸化と還元は同時に起こる反応であることが確認できる。 「酸化剤・還元剤」,「電気分解」,「電池」を統一的に電子の授受として実感できる。 鉄イオンの価数が酸化数に相当することから,酸化数の増減で酸化還元を説明できる。作成したワークシートを用いて,高校生,中学生への実践を行った。
著者
佐瀬 一生
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.167-176, 2012-03

大学の教員養成課程においては,2013年度から「教職実践演習」が実施される。その開始に当たっては,よりよい教育内容を用意し,学生に提供することができるようにする必要がある。そのためには,課程認定の申請をした段階の,いわゆる「当初計画」というべき内容から,申請・認定以降,いかに開始までの期間における試行的実践を重ね,よりよいものにつくり上げていくかが大切になる。本研究では,本学における「教職実践演習」の試行的実践といえる2つの特別講座を分析することにより,本学の特性を生かしたよりよい「教職実践演習」の在り方を検討し,実践化につなげることを目的とするものである。本稿ではその一として,これまで本学で行ってきた2つの特別講座を整理分析し,次年度以降の取組に向けた改善の視点や方向性を探った。
著者
岩谷 良恵 高橋 在也 長嶋 明子 高橋 在也 タカハシ ザイヤ Takahashi Zaiya 長嶋 明子 ナガシマ アキコ Nagashima Akiko 高瀬 佳世 タカセ カヨ Takase Kayo 佐藤 和夫 サトウ カズオ Sato Kazuo
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.283-296, 2009-03

本稿は,主として男性育児休業取得者に対して行なった聞き取り調査を報告するものである。本研究は,科学研究費基盤研究「男女共同参画社会における男性の「社会化」と暴力性に関する研究」の一環として行われているもので,その関心は,男性が家事や育児に従事することが,男性の暴力性の問題と関連があるかどうかを探ることにある。この研究にあたっては,先行する研究の成果がある。ひとつは,地方の農業高校の調査で,その調査からは,子どもたちが生きていくために不可欠な技術や知識を獲得することで,確実にこの世界で生きられるという確信を得ており,必ずしも受験ランクが高いわけではない地方の実業高校における男女生徒間の関係が,じつに非暴力的で,ジェンダー平等的な要素があるのに気が付かされたことが挙げられる。もうひとつは,海外での暴力研究の成果である。今日の暴力研究の中には,構造的暴力の視点と並んで,現代の競争原理社会における無力感の醸成や自尊心の破壊といった問題を結びつけて考察する視点があり,仕事中心の生活構造を抜け出ることなしには,男性の暴力問題の抜本的解決が難しいこと,暴力を生み出す人々の多くの根底に無力感があることが示唆されている。以上の先行研究の成果を踏まえた上で,男性にとっての育児休業の経験を聞き取り,考察したものが,本研究である。これまでの男性の育児休業に関する研究は,主として,少子化対策や企業の生産性,あるいは,性別役割分業への批判として論じられてきたことと考えられる。それに対して,本研究は,男性自身が育児休業を経験することの意味について,男性の暴力性との関連で探This article primarily reports on the results of interviews of men who are taking or have taken paternal leave. This research is a part of the Scientific research (B) by Grant -in- Aid of JSPS entitled "research into the socialization of men and male violence in a gender equal society." The focus of this research is on the relationship between the involvement of men in housework and childcare, and male violence. There exist results from previous studies related to this subject. For example, an investigation of provincial agricultural high schools found that students there gained confidence through the acquisition of life skills and knowledge. And even at a provincial technical school that did not necessarily produce high test results, relationships between male and female high school students were found to be nonviolent, with a high level of gender equality. Another example is a study into violence abroad. Today, in addition to the view of structural violence there is a view influenced by the idea of a loss of self respect and a feeling of powerlessness stemming from a present competetive society. Those who believe this view suggest that without leaving the work-centered life structure itself, it is difficult to find a solution to the problem of male violence, and that it is this feeling of powerlessness that lies at the root of violence for many men. We have conducted our interviews under the influence of the results of the above mentioned research. We have considered the fact that until now, research relating to male paternal leave was primarily concerned with the problem of declining birth rates, with the question of business productivity, or with the criticism of gender roles. We believe that it should be possible to do research into the question of the meaning of paternal leave for men themselves related to the problem of male violence.
著者
新谷 周平 アラヤ シュウヘイ Araya Shuhei
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.143-150, 2011-03

実証研究の成果が,社会への移行の困難やそこに見られる格差等の社会問題の改善に結びついているようには思われない。研究が正しいデータを提供すれば,政治・行政がそれを採用して実効性のある政策を立てるという想定自体が,この社会の根底的な課題を覆い隠しているのではないか。それは,グローバルな生産性の増大と「社会的なるもの」の不在であり,それらは,経済,政治,教育,研究など諸システムのこれまでの自己創出では解決できない位置にある。研究が一方的に社会に影響を与えることはできないが,人々の間に信頼のコミュニケーションを生み出し「社会的なるもの」を構築していかない限り,この社会の問題は解決しない。それゆえ,研究は,研究内部の自己創出だけでなく,諸システムの自己創出とその連関を観察した上で,「社会的なるもの」の構築に結びつくコミュニケーションを生み出していかなければならない。
著者
大塚 類
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.267-273, 2011-03

本稿の目的は,児童養護施設の学習ボランティアのインタビュー記録を手がかりとしながら,学習や人間関係に困難さを抱えている子どもたちの成長にとっての,学習ボランティアの意義と役割について考察することである。第一節では,インタビュー記録に即して,学習ボランティアと子どもたちとの関わりの推移を概観する。第二節では,ヴァルデンフェルスの対話論を手がかりとして,学習に対する子どもたちの姿勢や意欲が,どのようにして変化したのかを考察する。この考察から,学習ボランティアと子どもたちが,対話的な共同性を一緒に生きていること,そして,こうした共同作用のなかで,子どもたちが,ボランティアの働きかけを能動的に引き受け,自分の振る舞いとして実現していることが明らかとなる。本稿は,ただ勉強を教えることを超えた,学習ボランティアの意義や役割について,新たな視座を示すことになった。This study focuses on the meaning and the role of the learning support volunteer for children with special educational needs, based on an interview of a volunteer in a children's home. The first section describes how the relationships between two children and the volunteer developed, through interview documents. In the second section, the transformation of children's attitude and motivation toward the learning, and the condition underlying these changes, are analyzed with the help of Waldenfels's dialogue theory. It is elucidated that (1) children and the volunteer work-together (Zusammenwirken) in a dialogical community and that (2) children themselves undertake and thus realize the volunteer's approach actively in such working together. This implicates a new aspect on the significance of the learning support volunteer beyond teaching certain knowledge and skills, exam study, or mental support.
著者
山本 純ノ介 ヤマモト ジュンノスケ Yamamoto Junnosuke
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.397-412, 2010-03

現在日本の音楽創作状況は良くも悪くも多様化しすぎている。音楽特性の絶対性を追求した作品は極端に少なくなり,標題やコンセプト中心作品がほとんどである。後者は世界的に現代音楽の流れもあり,否定するものではないがいずれもその音楽作品としての質の追求が疎かになっていないだろうか。珍しさを追求するあまりに音そのものを「紡ぐ」作業が軽視されていないだろうか。興味本位のコンセプト音楽からはあらたな創作や表現の発見はあるかもしないが,過去の歴史的作品を陵駕する価値を伴った作品が生まれる土壌はない。今後さらに質の高い「音楽」とはかけ離れた方向へ流されてしまう懸念が拭えない。音楽家の基本は歌う事であり,その延長線上に和声や対位法,作曲技法(十二音技法も含めて)等が展開され,同時にピアノなどの楽器の演奏技法の開発や楽器そのものの発達に繋がりながら,合奏へと発展し管弦楽法や電子音楽といった分野が興隆,発展してきた。今一度音楽の根本である音楽を見つめる姿勢,作り手の姿勢も含めた「作曲,歌う,聴く」つまり創作,演奏,鑑賞の根本に戻った作品の創作を実践したいと考え声楽のアンサンブルであり,ルネッサンス,バロック,古典,ロマン,近現代いずれの時代にも一貫して作曲されている a cappella の作品創作に着目し,その実践作品についての考察と分析を論じる。
著者
岩田 美保 大芦 治 鎌原 雅彦 大芦 治 オオアシ オサム Oashi Osamu 鎌原 雅彦 カンバラ マサヒコ Kambara Masahiko 中澤 潤 ナカザワ ジュン Nakazawa Jun 蘭 千壽 アララギ チトシ Araragi Chitoshi 三浦 香苗 ミウラ カナエ Miura Kanae
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.103-107, 2009-03

本研究は現職教員を対象として,勤務校で直面している教育心理学等の専門的な支援が必要と思われる問題及びスクール・カウンセラーの配置状況や意見・要望について調査を行った。児童・生徒の適応上の問題としては,「不登校等問題行動への対応」「特別支援の必要な児童・生徒への対応」「親・家庭環境への対応」,教員自身の問題ではストレスやメンタルヘルスに関わることが最も多かった。こうした問題点は教育心理学等の一般的知識に関わることよりも,個別のケースに関して直面している問題であることが圧倒的に多いと考えられ,今後学校心理学はこうした問題に具体的に対応できるようなケース分析を中心とした独自の体系を構築していく必要があることが示唆された。また,スクール・カウンセラー等によるニーズに即した支援体制には未だ多くの課題が残されていることが示唆され,今後もさまざまな角度から議論・検討される必要があると考えられた。
著者
渡部 成哉 久住 庄一郎 揚原 祥子 久住 庄一郎 クスミ ショウイチロウ Kusumi Shoichiro 揚原 祥子 アゲハラ サチコ Agehara Sachiko
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.151-160, 2009-03

教員養成大学音楽科の4年間では,何を,どう学ばせ,その結果どのような技術を持った学生を中学校の教員として送り出せばよいのか,本研究はそういう問いに発している。個別の研究や個々の実践例を除いて,そういう問いを正面から発した例を,浅学にして私(渡部)は知らない。知識に加え,即物的な意味での技術(したがって,ここで言う「技術」は,「効率的に授業を進める技術」というような意味でのそれでないことは断るまでもないだろう)を必要とする科目の教員養成では,合目的的な指導が何よりも重要であろうと思われる。目的はいかなるものであり,その目的に合致した指導はどうあるべきか,声楽および器楽のそうした指導について,シューベルト(Franz Peter Schubert 1797~1828)の作品を例に取り,論じる。
著者
佐藤 宗子 サトウ モトコ Sato Motoko
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.406-398, 2009-03

一九五〇年代から六〇年代にかけて、「少年少女」を冠した叢書が数多く刊行されている状況を概観し、そこに第二次大戦後の日本の文化・社会状況における、「少年少女」が「読書」することへの期待が内在しうることを確認した。とくに創元社刊行の「世界少年少女文学全集」をとりあげ、各巻の付録紙面や関連する版元の雑誌の特集号、第二部の内容見本など、全集本体よりむしろその周囲に注目する中から、「少年少女」が、戦後の状況の中で新たに区切られた「小学校高学年から中学生」の時期として明確に認識されていたこと、「家庭」と「学校」の二つの享受の場が両立して認識されていたこと、発信者側を含めた三者が子ども読者を囲い「読書」への期待を向けていたこと、発信者側が「教養」の「形成」を念頭においていたこと、子ども読者側もそれと連動した「読書」観を抱いていたこと、当時の読書指導との関連があることなどが明らかとなった。
著者
波多野 誼余夫 稲垣 佳世子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.91-104, 2005-02-28

本論文において,人間の心が発達するのは,文化,すなわち何世代にもわたって蓄積され,共同体により共有された人工物を取り入れることによってである,と我々は提案する。我々のアプローチは認知的である。というのは,人間における知識と技能の獲得は,種々の内的ないし認知的制約のもとで行われると想定しているからである。我々のアプローチは社会文化的でもある。というのは,獲得された制約は,たいてい社会文化的な起源を持っており,人間は知識や技能を相互作用的な社会文化的制約のもとで獲得する,というのが我々の主張だからである。本論文では,非特権的な領域で生じる発達(すなわち熟達化)と特権的領域ないし思考の中核領域における概念的発達と変化の両方を論じ,文化がこれらの発達の基本的構成要素であることを論証しようと試みている。このように文化を強調することは,発達論者に対して,いくつかの研究課題と研究デザインを示唆する。
著者
中澤 潤 杉本 直子 中道 圭人
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.159-165, 2006-02-28

イメージ画を用いて,大学生の発達,成長,成熟の素朴概念についての検討を行った。大学生は,発達・成長・成熟の各々に,人の青年・成人期までの単純増加の質的変化を最も多く描いた。特に,発達と成長は同じように描かれた。発達と成長に比べ,学生は成熟を変化のプロセスというより,特定の段階に到達した状態として認識していた。
著者
石川 正寛 西垣 知佳子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.285-291, 2005-02-28

本研究は,千葉大学附属中学校と千葉大学教育学部が行った連携研究の報告である。本連携研究グループではこれまでに英語の「リスニング指導」に関して継続的に効果をあげ結果を公表してきた。本研究は従来の研究を発展させ,培ったリスニング力をスピーキング力ヘと橋渡しするための指導を試みた結果である。今回の指導実践の効果はプリテスト・ポストテストに加え,1)校内で開催したスキット・コンテスト,2)全国から応募の集まるNHK「新・英語スキット大会-基礎部門」への参加という形で評価した。その結果,1)については公開研究会で行った発表会で参観者から「生徒たちの英語のうまさに驚いた」という感想を多くいただいた。2)については,応募総数361チームの中から原稿とテープ審査で上位8位に残り,NHK放送センターで開催された決勝大会では,優勝を果たし,最優秀賞をいただいた。優勝大会の模様は3回にわたり全国放送された。
著者
長板 光男 野村 正彦
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.25-30, 2006-02-28
被引用文献数
1

現代社会で青少年の置かれた状況は,物質的に豊かになった反面,ストレスと戦いながら生きていくことが求められる。また一方では,夜型社会の到来で生活が不規則になりがちである。本研究において,大学生を被験者として睡眠と疲労感に関する実態調査を行なったところ,朝の疲労感や意欲のなさを訴える姿が浮かび上がってきた。筆者らはこの実態をふまえ,内分泌ホルモンである唾液中コルチゾール,メラトニンの生理的指標からELISA法でサーカディアンリズム障害の分析方法の確立をめざした。サンプル数は少なかったが,本研究で開発したプロトコールで十分分析できることが確認された。さらに生理的指標のみならず心理的指標との組み合わせでリズム障害を判別する方法を提起した。いずれにしても身体のリズム性に留意し,朝の疲労感のない生活がストレスへの対処上も重要であると思われる。
著者
千坂 武志 布施 守
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.180-188, 1969-07
被引用文献数
1

栃木県葛生町付近に石炭系(?)〜二畳系の地層が発達しているが,これらは下部は栃木層群,上部は安蘇(あそ)層群に分けられている。安蘇層群の下部には石灰岩の発達した地層があって,鍋山層とよはれている。鍋山層はさらに下部から上部に向って,山菅石灰岩部層,羽鶴苦灰岩部層,唐沢石灰岩部層に分けられる。山菅石灰岩部層は日本のParafusulina帯の化石産地の標式地域として有名なところである。筆者らは葛生町付近の山菅,和田両部落付近の山菅石灰岩部層の地質および古生物について研究した。本部層の略々中央部には不純石灰岩の薄い層があり,そのすぐ下にMinojapanellaの多産する地層がある(この地層を中部層とした)。中部層より下部にあるものを下部層とし,上部にあたるものを上部層とした。Parafusulina kuzuensis n. sp.は殻が特に大きく,円筒形でaxial fillingは軸に沿うて細長く発達し,septaの発達は内部でよく,外方にいくにつれて少なくなっている。Parafusulina wordensis Dunbar and Skinner (Word formation, Glass Mountains, Texas, U. S. A.)に比較するとchomataが小さくapeatureがよく発達していない。Parafusulina nakamigawai Morikawa and Horiguchi(葛生町,アド山層産)に比較するとseptaの褶曲が弱いParafusulina iisakai Igo(岐阜県舟伏山産)に比較するとaxial Fillingが発達している。それで新種として記載した。この大型鐘紡虫は上部層に多く下部層には少ない。上部産のものは一般に大型化したものが多い。Parafusulina進化した型として非常に興味がある。進化の系統樹については将来さらに研究する。
著者
松田 伯彦
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.17-27, 1968-06-30

本研究は,学業不振および学業促進者のクレペリン精神作業検査の総合判定にもとづいて因子分析をおこない,比較検討することを目的とする。中学2年生における国語の学業不振,学業促進群および統制群にクレペリン精神作業検査を実施し,そして,判定,作業量(休憩前・後),誤謬率(前・後),初頭努力率(前・後),終末努力率(前・後),最大差(前・後),動揺率(前・後)および休憩効果率および知能(偏差値),学力(偏差値),テスト不安得点および一般不安偏差値を加え,因子分析をおこなった。結果は次のとおりであった。1)学業促進群の知能は他の2群より低く,そして,学力は他の2群より高かった。2)学業不振群の判定,作業量(後)および休憩効果は他の群より低かった。学業不振群の動揺率(前・後)は他の2群より大きく,そして,学業促進群の動揺率は統制群より小さかった。3)各群の第1因子および第2因子に基づく因子布置より,知能,学力および動揺率が異っていた。すなわち,知能と学力において学業促進群のそれが他の2群と異っていた。また,動揺率において学業促進および学業不振群のそれは統制群のそれと異っていた。付記,本研究を実施するにあたり,野崎修君のご協力を得た。記して感謝の意を表します。