著者
清水 善久 小金丸 健一 末冨 岩雄 山崎 文雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.689, pp.289-300, 2001-10-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
16

1999年9月21日に台湾中部で発生した集集地震の際に, 台北市で新SIセンサーによる高密度観測記録が得られた. 最大地点でのSI値は30cm/sに近く, 最大と最小で約3倍という観測地盤条件による違いが見られた. そのメカニズムを明らかにするために, 常時微動の単点観測およびアレー観測を実施した. そして, 地下構造と関連した地域性があり台北市は6つの地域に分類でき, 周期1秒付近での増幅が大きい地域で大きなSI値が観測されることを明らかにした. また, 地盤の卓越周期や平均S波速度とSI値増幅度の間に良い相関が見られることを示した.
著者
目黒 公郎 芳賀 保則 山崎 文雄 片山 恒雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.556, pp.197-207, 1997-01-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
21
被引用文献数
9 4

本報では, 避難行動の新しい解析手法として, バーチャルリアリティ (VR) を応用した解析システムを開発し, これを用いた避難行動解析を行った. すなわち, 同じ構造を持つ実際の迷路とVR迷路を用いた避難行動実験を行い, 両者の結果を比較・検討することにより, VRによる疑似避難体験が実際の避難行動において訓練効果として現われること, VRを用いて避難時の行動特性を再現し得ることを確認した.避難訓練のマンネリ化による参加者の減少と意識の低下, 危険性のある訓練の実施が難しいことなどを考えると, 防災教育や避難訓練等へのVRの利用価値は高い. さらに, 実際に建設する前の計画や設計段階で, 対象となる施設や構造物の安全性を評価できるなどの点で, VR避難解析システムは大きな可能性を持つ.
著者
越 正毅 桑原 雅夫 赤羽 弘和
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.458, pp.65-71, 1993-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
19 9

1980年代の初頭から, わが国の高速道路のいくつかのトンネルや縦断勾配の変化するサグなどが交通容量上のボトルネックになることが知られてきた. 本稿は, これらの地点において観測された交通現象を報告するとともに, ボトルネックとなる理由と渋滞のメカニズムに関する仮説を述べたものである. これらの地点の容量は, 渋滞が発生する前においても通常の単路容量と比べるとかなり低いが, 一旦渋滞が発生すると一段と容量が低下し, 渋滞長が長くなるに従い, ますます低下してしまう. 本稿では, この現象のメカニズムを追従挙動に基づいて分析し, ドライバーが渋滞列の中を走行する時間と周囲の明るさ等が追従挙動と関連していることを示唆している.
著者
江尻 良 奥村 誠 小林 潔司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.688, pp.75-87, 2001-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
92
被引用文献数
10 4

本研究は, 1980年代後半以降に蓄積された社会資本の生産性や経済成長効果に関する計測結果を総括することを目的とする. その際, マクロ生産関数, 費用・利潤関数, VARアプローチによる社会資本の生産性の推計結果, 新古典派経済成長論に基づく成長率収束性, 内生的経済成長論に基づく成長率発散性に関する研究事例に着目する. さらに, 規模の経済性に関する取り扱いに焦点を置きながら, これまでの研究成果の問題点と今後の研究課題についてとりまとめることとする.
著者
梶谷 義雄 多々納 裕一 岡田 憲夫 松田 曜子
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.772, pp.143-151, 2004-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1

災害後の復興過程は様々な空間スケールにおける複雑な事象の影響を受けており, このことが復興政策を決定する上で困難な点となっている. そこで, 本研究では様々な空間スケールにおける影響因子を分析するため, 空間回帰モデルと時系列モデルを融合した時空間統計モデルによるアプローチに着目した. この際, 社会・経済データが同一の時空間スケールで整備されていないことに配慮し, 時空間統計モデル適用のための方法を整理した. ケーススタディとして阪神大震災後の神戸市長田区における人口復興過程を取り上げ, 地域の環境要因などの局所変数とより広域的な経済状況などの広域変数の影響について分析を行った. その結果, 広域・局所的空間スケール双方における復興政策の重要性が定量的に明らかとなった.
著者
渡辺 千賀恵
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.413, pp.97-106, 1990
被引用文献数
1 1

In this paper the causes of decrease in the number of bus passengers are analyzed using the data of public bus enterprises in Japan. Although the spread of private-car owners looks like one of the most important factors, it is nothing but a primary one. The passengers' behavior has been influenced more directly by the fare rises. The passengers decrease consists of the short-term one and the long-term one which have their own mechanism. The latter has begun at a &ldquo;turning point&rdquo; when the fare level overtook the consumer's price level. After that point there is a correlation between the rate of fare rise (<i>X</i>) and the rate of decrease (<i>Y</i>) as shown by <i>Y</i>=1-exp[-0.47<i>X</i>].
著者
山崎 文雄 大保 直人 黒田 修一 片山 恒雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.519, pp.211-222, 1995-07-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
25

EPSを裏込めに用いたコンクリート擁壁と近接する重力式コンクリート擁壁において, 地震観測が行われている. 本文では, この地震観測システムを紹介するとともに, 得られた記録について整理し解析を行った. 記録から, EPS部は低振動数で盛土部とほぼ同様の震動性状を示し, アンカーには張力がほとんど作用していないことが明らかになった. また, 擁壁-EPS-盛土から成る系をFEMでモデル化し, 地震応答解析を行った. これらの観測および解析結果に基づいて, EPS擁壁の滑動および転倒に対する安定性を検討した. その結果, 現行の擁壁の安定計算法をEPS擁壁に適用すると, 安全率が極端に小さくなるという矛盾が指摘された.
著者
山中 英生 青山 吉隆 多田 恭章 永峰 崇二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.524, pp.37-48, 1995-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
20

本研究は, 郊外幹線街路沿道の独立広告物のうち, 特に田園地域に掲出される野立広告物に対する規制に関して, 受認限度の視点から規制水準を分析することを目的としている. 具体的には, 各県の条例における規制方法を概観する一方で, 徳島市周辺の独立広告物掲出実態を把握して現状の規制方法の問題点を把握している. また, CGアニメーションを用いた実験によって, 視野内の広告物総量規制という観点から, 野立広告物の掲出量に対する心理的受認限度の分析を行い, その結果, 広告面積と広告物高さや設置間隔等, 屋外広告物条例における形態規制からみた受認限度のレベルを明らかにしている.
著者
能町 純雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1959, no.60, pp.20-29, 1959

平板のタワミ関数に対する有限な二重フーリエ変換を, 基本微分方程式についての Green 公式から誘導しその逆変換を求めて, カンテレバー矩形板, すなわち一辺が固定され他の三辺とこの辺によつて作られる二隅点がすべて自由である矩形板の曲げを解いたものである。数値計算例は対称な変形のみについて行なつたが, 板のポアソン比は0.3とした。
著者
中川 啓 恒松 高洋
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.720, pp.89-97, 2002-11-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

ファイトレメディエーションは植物の生理代謝作用を利用する環境修復技術である. 本研究では, 博多据りカブ Brassica Rapa のファイトレメディエーションへの適用可能性を調べるため, 2つの栽培実験を行った. それは, 1) 銅とカドミウムの重金属複合汚染に対して, 汚染レベルや土壌タイプでの重金属の抽出濃度や抽出量の違いを調べる実験と, 2) 植物栽培中における重金属の時空間移動特性を調べるための実験である. これらの実験結果から, カブは銅とカドミウムを集積・茎葉部へ貯留する能力を持つ可能性があること, 栽培期間中, これらの重金属に対して耐性を示すこと, カブがカドミウムの可溶性フラクションを吸収していることが明らかとなった.
著者
鈴木 宏典 中辻 隆
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.695, pp.137-148, 2002-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

高速道路上の起終点 (OD) 旅行時間を推定する新手法を提案した. 各道路区間の交通状態を感知器からのフィードバック作用により推定し, 区間旅行時間の時空間的な合計によってOD旅行時間を推定した. 筆者らは現在までニューロカルマンフィルタ (NKF) を用い, 交通状態を推定せずにOD旅行時間を直接推定する手法を提案してきた. 今回既存のNKFによる手法と新提案手法を用いてOD旅行時間を推定した結果, 新提案手法が精度の高い推定を行うことを確認した. さらに提案手法を実際の高速道路単路部へ適用した結果, 密に感知器を設置することにより混雑状態を含めた広範な交通状態の推定が可能となる見通しを得た. これらの数値計算結果から, OD旅行時間推定に対する提案手法の実用化へ向けての課題を整理した.
著者
湯沢 昭 須田 熈 西川 向一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.458, pp.73-80, 1993
被引用文献数
1

本研究は, 消費者の都心部商業地区における買物・娯楽行動に焦点をあて, 商業地区の選択問題と回遊行動に関する分析を中心に行うものであり, 大きく2つの内容から構成されている. 1つは, 認識の不確実性を考慮した意思決定モデルの作成であり, 2つ目は非定常確率モデルによる回遊行動の分析である. これは商業地区の整備が, 当地区への直接の来街頻度の増加と回遊による増分を同時に評価する上で不可欠なものである. 本研究で提案した商業地区評価手法を, 観測データを用いて検証したところ, その有効性が確認された.
著者
榊原 弘之 倉本 和正 菊池 英明 中山 弘隆 鉄賀 博己 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.658, pp.221-229, 2000

本論文では, がけ崩れに寄与する重要要因の抽出を目的として, ラフ集合を用いたデータマイニングを山口県のがけ崩れ発生・非発生データに対して実施する. まず, 地形要因データにおける重要要因を抽出し, 比較的少数の要因によって, 大部分のがけ崩れ発生・非発生を矛盾なく説明できることを示す. さらに, 地形要因と降雨要因を組み合わせたデータへも同様の手法を適用し, 降雨時に警戒対象とすべきがけの選別手法を示した. 本論文により, ラフ集合によるデータマイニングを土砂災害の発生・非発生データの分析に用いることができることが明らかとなった.
著者
森 麟 杉本 隆男 田代 郁夫 田中 禎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.454, pp.113-122, 1992

矢板壁の引き抜きに伴う地表面沈下の発生機構を確かめ, 最大沈下量と沈下範囲の推定法を提案する目的で, 軟らかい粘性土地盤を想定した模型実験を行った. 矢板壁の長さ, 厚さ, 設置位置, 枚数を変えて引き抜き試験を行い, ゼロ伸びひずみ曲線によるすべり面の検討から, 空隙の閉塞機構を検討した. そして, 問題の多い沖積粘性土地盤での小規模掘削の場合, 地表面の最大沈下量と沈下範囲は, 空隙の閉塞率, 初期空隙厚さ, 安定数から推定できることを示した.
著者
石井 孝男 金子 鉄男 讃岐 康博 杉本 正信
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.427, pp.123-131, 1991-03-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
5
被引用文献数
1

The Four-lanes widening construction in WAKATO bridge is to change RC slab for steel deck with assuring the regular traffic to run. Some problem about it were studied before this work technically or constitutively. We should reported here of an observation result and management of deformation caused by the variation of load system. In the meantime, the variation of vibration characteristics, the affection to stability of active and wind-standing with the construction are also dealt with. The result was that it is a best method for deformation management to use a water-level connecting pipe that made the measurement data in accordance with the calculation almost. Therefore, the method and procedure of construction this time may be thought adoptable. On the other hand, the vibration characteristics has no any difference with widening. Stability of the widened bridge with wind-standing equipment is better than it was.
著者
紺野 克昭
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.577, pp.89-105, 1997-10-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

本研究は, 多層水平地盤構造における基本モードレイリー波の位相速度の分散曲線をS波速度と層厚のみのパラメータで近似する方法を提案するものである. 更に, この方法を利用し, 分散曲線から直接, 地下構造を推定する方法を提案している. 最後に, 本推定方法で得られたS波速度構造を逆解析の際の初期モデルとして利用することを試みている.
著者
軽部 大蔵 加藤 正司 浜田 耕一 本田 道識
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.535, pp.83-92, 1996-03-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15
被引用文献数
22 19

不飽和細粒土の力学的挙動を水分特性曲線を拠り所として考察した. すなわち, 間隙水を吸着水, メニスカス水, バルク水から成るとし, これらの量と力学的作用を求める方法を提案した. 提案法によっていくつかの理論値を算定して, 実測力学挙動と比較した. 本論文は不飽和細粒土の三軸圧縮特性を論じる三部作の第1論文であり, 順次, 圧密挙動, 軸圧縮挙動を詳論する予定である. 研究の対象とした試験は飽和供試体を三軸試験機に設置して, 先ずサクションを与えて不飽和化し, 次に等方圧密し, 最後に排水軸圧縮するものである. 供試体はサクション過程を種々に設定して, 同一のサクションを持ちながら, 相異なる飽和度を示すようにした.
著者
川口 昌宏 鈴木 英実 嶋津 外志彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.374, pp.603-610, 1986-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
4

It is said that the concrete filled steel column, so called the composite column, possesses good strength and ideal ductility. However, its behavior under load is not clear enough at present. We made experiments to compare the effect of shear connectors with that of projections on steel plate for the simplest column under the axial load. During the axial loading, the authors gave impact on the specimens and measured induced elastic wave. Spectrum analysis of the elastic wave gave the information about composite action between concrete and steel. By these experiments the following were observed. The column with shear connectors had the highest rigidity, the one with projections the second and the one of flat steel the lowest. The strength was almost the same to the column with shear connectors and the one with projections. As for the ductility, the steel with projections was better than the one with shear connectors.
著者
山本 俊行 YAMAMOTO Toshiyuki 北村 隆一 KITAMURA Ryuichi 熊田 善亮 KUMADA Yoshiaki
出版者
土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.667, no.50, pp.33-40, 2001-01

業務トリップは、通勤トリップと異なり広い時間帯で発生することや、複数の目的地を持つトリップチェインを形成する傾向が強い等の特徴を持つ。本研究では、トリップチェイン前後の業務活動も含めたトリップチェイン全体の費用最小化行動を仮定した、業務トリイプの経路・出発時刻選択モデルを構築した。出発時刻選択については最適な出発時刻で総費用が極小値をとるとの条件を用い、連続時間軸上での時刻選択行動をモデル化した。路側配布によるアンケート調査で得られた実際のトリップチェインデータ、および時間帯別所要時間データに基づき未知パラメータを推定した。さらに、出発時刻や経路、立ち回り順序の変更や所要時間の変化に伴なう費用の変化を産出し、モデルの挙動を確認した。Unlike commute trips, business trips are generated throughout business hours, and several destinations tend to be visited in a trip chain. In this study, a route and departure time choice model for a business trip chain is developed based on the hypothesis that the trip chain is made so as to minimize the total cost, including costs associated with other business activities before and after the trip chain, as well as costs associated with travel time, toll fees, and the probability of being late. The empirical analysis is carried out using a data set obtained from a survey of business trip drivers. The properties of the estimated model are examined on a sample case