著者
羽矢 洋 西村 昭彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.595, pp.127-140, 1998
被引用文献数
7

鉄道の基礎構造物設計基準では, 平成9年度に限界状態設計法が導入された. この中では, 地震力としてマグニチュード8, 震央距離40km程度の海洋型地震を想定しており, これにより設計震度は従来と比べ大きくなった. しかし, 平成7年1月に発生した兵庫県南部地震 (マグニチュード7.2の都市直下型巨大地震) の持つ地震力は, その値を大きく上回るものであり, 従って, このような大地震力を考慮した基礎の設計法の確立が急がれている. 本論文では, このような大地震力を念頭に, 基礎構造物のうち, 浅い剛体基礎として分類される「直接基礎」の設計法の確立を目的に行ってきた実験的研究および解析的研究の成果をまとめ,「大地震力を考慮した直接基礎の設計法」について提案を行った.
著者
横山 秀史 永田 茂 山崎 文雄 片山 恒雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.450, pp.181-187, 1992-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
20

緊急時の人間行動を定量化するための指標として, 動線のフラクタル次元を用いることを提案し, 迷路を用いた被験者実験の結果と, 過去の火災事例に適用して有用性を検討した. その結果, フラクタル次元が, 脱出時間, 歩行距離, 行動範囲などで評価できない人間行動の複雑さの度合を定量的に表していることがわかった.
著者
小野 一良
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1957, no.47, pp.52-59, 1957-08-31 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14

This paper deals with estimations and experiments on the lateral forces imposed on the turnout curve by 2-10-4 type locomotive. These estimations and experiments show that(a) the pony truck (when the locomotive is running forwards) or the bogie truck (when running backwards) takes the extreme position of its side play, (b) the flange of the leading wheel is in contact with the outer rail of the turnout curve and the great lateral force acts on the rail head, (c) when running forwards, the wheel load of the pony truck on the inner rail is reduced by the lateral force, and the wheel is in risk of derailment when it runs against guard rail of the turnout, (d) when running backwards, the leading wheel of the bogie truck is in risk of derailment by rolling over the outer rail of the turnout curve, (e) the flange of the driving wheel near the centre of friction is in contact with the inner rail and the great lateral force is imposed on the rail.
著者
喜多 秀行 谷本 圭志 福山 敬
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.737, pp.147-157, 2003-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2

個人間での意思決定に基づく個人の選択行動を分析する道具としてゲーム理論がある. ゲームを用いてある現象の再現を試みる場合には, 利得を正確に与える必要がある. しかし, ゲームの分析者は利得を観測しえないため, これをどのように推定するかが問題となる. 一方で, ゲームの結果は分析者によって観測可能である. そこで本研究では, 同一の利得関数をもつプレイヤーによって行われる2人ゲームを複数回観測した結果を用いて利得の構造を逆解析する方法を提案する. その際, 離散選択モデルをベースとし, 最尤推定法を用いることで利得を推定しうることを示す.
著者
杉本 博之 鹿 汳麗 山本 洋敬
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.471, pp.67-76, 1993
被引用文献数
20 19

ダーウィンの自然淘汰説を基本概念とする単純遺伝的アルゴリズム (単純GA) は, 繁殖・淘汰, 交叉, 及び突然変異を基本オペレータとし, 離散的最適化問題あるいは組合せ最適化問題の有力な手法として, 現在種々の工業分野で注目されている. この単純GAを離散的構造最適設計問題に応用したところ, 安定的に良好な設計が得られなかった. そこで新しく, 生長オペレータを導入して, GAの信頼性の向上を図った. 既製形鋼を用いる平面骨組構造物の最適設計等の計算例は, 生長の有効性を示した.
著者
岸 清
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.522, pp.45-49, 1995-09-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
森 康男 西村 尚己 佐藤 久嘉 田中 聖人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.524, pp.23-35, 1995
被引用文献数
3

最近, 高速道路の景観設計が盛んに行われているが, それらの成果が高速道路の一般利用者や沿道に住む人々にどう評価されているかは十分に調査されていない. 本論文では, 外部景観を構成する代表的な構造物を景観評価対象として取り上げ, それらに対する計量心理学的調査を行い, 沿道の人々の評価傾向を分析し, 技術者のそれと比較し, 一般の人々の求めている景観設計の方向を考察する.
著者
下田 義文 鈴木 真次 石川 信隆 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.480, pp.97-106, 1993
被引用文献数
2

本研究は, コンクリート製砂防ダムの耐土石流衝撃設計に資するため, まず個別要素法による衝撃応答計算モデルを作成し, 次にこのモデルを用いて土石流に含まれる巨礫の衝撃に対する砂防ダム袖部の衝撃応答解析を行った. この結果, 個別要素法による衝撃応答計算モデルが, 砂防ダム袖部の小型模型実験における衝撃応答, サンドバッグの緩衝効果および実砂防ダムの土石流による被害形態をよくシミュレートできることを確かめた.
著者
佐藤 丈晴 荒川 雅生 中山 弘隆 鉄賀 博己 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.707, pp.153-163, 2002

降雨によるがけ崩れ発生予測としてがけ崩れ発生限界雨量線 (CL) の設定手法が提案されている. しかしながら, 従来のがけ崩れ発生限界雨量線はほとんどが線形で示されており複雑な自然現象を再現しているとは言い難い. またその的中精度が低い問題がある. そこで本研究では, 従来のがけ崩れ発生限界雨量線の問題を解決するために, 包絡分析法 (DEA) を応用して警戒避難基準雨量の設定を試みた. 本手法では降雨データの分布のみから, 最適な警戒避難基準雨量の設定ができる. そして, がけ崩れの予測に関する検討を行い従来のがけ崩れ発生限界雨量線と比較して精度の向上を確認した. さらに警戒基準雨量, 避難基準雨量の設定を試み, 従来手法との比較を行いその有用性を検証した.
著者
川島 一彦 星隈 順一 長屋 和宏 Macrae Gregory A.
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.501, pp.183-192, 1994
被引用文献数
5

構造物が大規模地震を受けて非線形域の応答を生じた場合には, 構造物には残留変位が生じる. したがって, 構造物に許すじん性率をあまり大きくすると, 地震後に構造物には大きな残留変位が生じ, 復旧不能となる. 本研究は, バイリニア型復元力特性を有する各種の固有周期, じん性率を有する1自由度系に生じる残留変位から残留変位応答スペクトルを提案し, この特性を検討するとともに, 提案値に基づいて鉄筋コンクリート橋脚に予想される残留変位を検討したものである.
著者
日下部 伸 森尾 敏 兵動 正幸 村田 秀一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.541, pp.223-232, 1996

本研究では先ず, 既存の基準化された比較的簡単な二つの試験法 (ふるい分析と最小密度試験) を組合わせた簡便な方法で砂粒子表面形状を定量的に評価する方法を提案した. 次いで, 粒子表面のぎざの程度が異なる典型的な3種類の砂を対象に, 単調載荷とひずみ振幅漸増方式の繰返し非排水ねじり単純せん断実験を実施し, 変相線と破壊線の相違を調べた. その結果, 砂粒子表面形状の相違は, 変相線の差異として現れ, これが液状化に対するねばりに関係すること, 及び提案した正規化最大間隙比による定量化法は, ぎざの程度により異なる繰返し載荷時の変相線の応力比や変相時に動員される摩擦角を評価する指標として有用であることが明らかになった.
著者
紀平 寛 田辺 康児 楠 隆 竹澤 博 安波 博道 田中 睦人 松岡 和巳 原田 佳幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.780, pp.780_71-780_86, 2005 (Released:2006-04-07)
参考文献数
42
被引用文献数
14 13

耐候性鋼の超長期にわたる腐食減耗予測法について研究を行った. さび安定化概念にもとづく思想を体系的に展開し, 腐食速度パラメータを推定するアルゴリズムや数式モデルの立案, 地域気象情報のデータベース化, 簡易な飛来塩分量および硫黄酸化物量の推定法などを策定した. 複雑な計算過程を容易に操作できるよう, 内桁条件における腐食減耗予測シミュレーションソフトウェアも開発した. 前記の思想展開により, 設計にて考慮すべき予測腐食減耗量を見極めるための工学的指標群を初めて具体的かつ体系的に整理・提案し, 長期耐久性の実現に関わる数多な構成技術要素保障項目の関連性を明確にした. 今後の進化へ向けて検討すべき点を明らかにしつつ, 現在までの進捗内容を詳細に報告する.
著者
岩本 政巳 藤野 陽三
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.598, pp.311-322, 1998-07-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
19
被引用文献数
3

調和振動下の非定常空気力を用いた従来のフラッター解析では, 空気力の前提と固有値解の振動状態が一致しないという問題点があった. 本研究では, 平板翼空気力の作用する2次元橋桁を対象に, 一般振動下の非定常空気力を用いたフラッター解析を行うとともに, 空気力および運動方程式の定式化の違いがフラッター解析結果に及ぼす影響を調べた. その結果, 一般振動仮定の定式化より求めた非定常空気力係数およびフラッター解析結果は高減衰領域において調和振動を仮定した結果と異なること, 非定常空気力の有限次数近似モデルはフラッター解析においては一般減衰振動下の空気力として機能すること, が明らかとなった.
著者
光永 臣秀 平石 哲也 宇都宮 好博 三浦 房紀 中川 浩二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.775, pp.69-80, 2004-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
10
被引用文献数
3

1999年の台風18号は山口県の周防灘沿岸に甚大な高潮被害を及ぼした. 山口県ではこれを契機に護岸高の設計基準の見直しを行なった. この中で, 過去に山口県に大きな被害を及ぼした台風を対象に, 進行コース, 気圧深度, 潮位偏差の観測結果から統計的評価および沿岸部の地形や土地利用などの地域特性を含めた検討を行い, 山口県の高潮防災の基準となるモデル台風としてT9918号を選定した. そして, これを基に周防灘における新たな防護基準を定めた. この結果, 設計潮位については最大90cmの嵩上げが必要との結論を得た. 本論文は, 筆者らが行ったこの検討の内容についてまとめたものである.
著者
田中 五郎 西脇 威夫 島田 静雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1958, no.59, pp.d1-d16, 1958-12-25 (Released:2010-08-24)
参考文献数
3

吊橋用に製造されたスパイラル・ロープの引張り試験を行い, 伸び, トルクおよび両端を回転自由にした場合のより戻り角度を測定して, それの弾性的性質を実験的に調べた。更にスパイラル・ロープの弾性的変形に対して理論式を導き, 実験値と計算値を比較検討し, プリテンション加工の一指針を与えた。
著者
小林 一輔 宇野 祐一 森 弥広
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.564, pp.243-251, 1997-05-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

酸性雨がコンクリート構造物に及ぼす影響を評価する場合には, コンクリートの特性を考慮した方法によって行う必要があることを指摘した. 次に, 著者らが考案した方法によって実験を行い, 酸性雨によるコンクリートの劣化機構についての知見を得た. 酸性雨の影響を受けたコンクリート構造物から採取したコアの分析を通じて上記の知見を立証した.
著者
渡邊 偕年
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.385, pp.126-133, 1987-09-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

Slab track has been introduced as a standard track on rigid roadbed for Sanyo SHINKANSEN between Okayama and Hakata which came into operation in 1975 and its effect on maintenance saving has been recognized. However, in application of it to Tohoku and Joetsu SHINKANSEN lines, new problems arose such as, introduction of new analysis method for designing, development of track slab and cement-asphalt mortar for cold climate use which are required to hvae an increased durability, abatement of noise and vibration in train running. In this paper is described new developments to solve those problems.
著者
遠藤 毅 中村 正明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.652, pp.185-194, 2000-06-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
10

我が国産業・経済の中心である東京都区部地域について, 深部地盤の地質層序・地質構造・地層の土質特性等の調査研究を進めるなかで, シルト層の圧密降伏応力, 一軸圧縮強度等の力学的特性の分布が地域別に分類されることを明らかした. 本文は, このシルト層の圧密降伏応力, 一軸圧縮強度等の力学的特性の地域的分布についてさらに検討を加えるとともに, 過圧密比 (OCR) を用い, 過去において現地盤の上位に発達していたと推測される地層の最大層厚を算出し, その層厚および深部地盤構造と土質特性との関係について広域的な検討を行い, シルト層の力学的特性の地域的な差異をもたらした原因を検討したものである.