著者
前川 宏一 福浦 尚之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.634, pp.209-225, 1999-11-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

本研究は, 著者らが提案し, 既にRC要素レベルでの検証を経た多方向ひび割れを有する鉄筋コンクリート構成モデルの, 部材レベルでの検証を行なったものである. 静載荷耐震壁実験との比較解析, 5層耐震壁の動的載荷実験と国際 blind ベンチマーク解析, 実構造物の縮小模型実験との比較解析, さらに, 構造物レベルで3方向以上の多方向ひび割れ状態が生じるケースについての試解析を行い, 本RCモデルが構造物の高非線形領域での挙動を求めるに必要な実用性を有していることを示した. あわせて, 使用したRCモデルの適用領域と, これが組み込まれた非線形応答解析の実用範囲を示し, なおもって技術的に不十分な点を明らかにすることで, 今後の課題を示した.
著者
臼木 恒雄 寺野 隆雄 中村 秀治 栗原 千鶴子
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.416, pp.295-302, 1990-04-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12

Characteristic equations, such as stability equation and frequency equation in structural mechanics, are often reduced to transcendental equations, and the practically usable solver of the equations is anticipated.Although the DKA (Durand-Kerner-Aberth)-scheme is already established as a solution method of high order algebraic equations and appraised high in the field of numerical analyses, the scheme has been considered not to be applicable to transcendental equations. However, further improving a solver which one of the authors discussed and expanded the DKA-scheme earlier, the authors succeeded to obtain good solutions of transcendental equations in specified domain with sufficient accuracy.In this paper, the authors wish to describe the algorithm and the numerical examples of the proposed transcendental equation solver.
著者
江口 忠臣 室 達朗 THAI TRAN DANG
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, no.735, pp.93-103, 2003
被引用文献数
1

本研究の目的は建設車両の車両制御, 走行性能向上に資するため, 地盤上における建設車両用タイヤの弾性挙動特性および純粋転動特性を明らかにするものである. 従来, 簡易的にタイヤの等価縦弾性係数が接触地盤の等価縦弾性孫数より大きい時, タイヤは剛性車輪であると見なされてきた. 供試地盤上において載荷, 純粋転動試験を行い, 3種類の低内圧における特性について調査した. その結果, タイヤ沈下すなわち地盤表層破壊は載荷重よりもタイヤ設定空気圧に依存し, タイヤの等価縦弾性係数が接触地盤の等価縦弾性係数より大きい場合においてもタイヤが弾性挙動を示すことが明らかになった. タイヤ沈下はフローテーション性に大きく影響することから, 空気圧制御により走行性能を改善できる可能性を示した.
著者
江口 忠臣 室 達朗 TRAN Dang Thai
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, no.749, pp.111-121, 2003
被引用文献数
5

本研究の目的は建設車両の高精度車両制御に資するため, 地盤上における建設車両用タイヤの制動特性および駆動特性を明らかにするものである. タイヤと地盤の接触作用は非線形力学の最も困難な問題のひとつであり, 半実験的方法によって性能予測が可能となる. そこで, 供試地盤上において載荷, 制駆動試験を行い, 3種類のタイヤ空気圧設定における特性について調査した. 純粋転動時と同様にタイヤ空気圧設定による地盤表層破壊抑制効果が明らかになり, スリップ率の変化に伴う制駆動特性の詳細が判明した. また, 離散化タイヤモデルによるタイヤ変形形状を基にしたシミュレーション方法を提案し, それに基づく数値解析の結果と実験値との比較を行うことによって走行性能予測の精度について検討した.
著者
水野 直樹 松島 学 溝渕 優
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.504, pp.33-42, 1994

近年, 我国の舗装設計の在り方は, 周辺環境に調和するために快適性などを考慮する設計上の配慮が要求されている. 本論文は, こうした社会的な要請に鑑み, 設計者に対して全面支援するシステムの開発を目指したものである. 本システムは, (1) 舗装材料のデータベースの構築, (2) 景観パース図の作成, (3) 景観評価機能を備えたシステムである. なお, 景観評価にはファジィ理論を用いて総合評価を行うものである.
著者
徳岡 研三 福井 義弘 山口 義信
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1998, no.604, pp.59-72, 1998

レールの継ぎ目部に設定されている遊間は, レール温度上昇時に発生する軌道座屈, 及びレール温度下降時に発生する継ぎ目板ボルトの曲がり・折損を防止するために設けられている. 従って, その管理は列車運転の安全を確保する上で極めて重要である. 本研究においては, 従来の遊間管理手法を改善し, これを実務に適用した成果について述べるとともに, 改善された手法から算出される危険度について, コンピュータ・シミュレーションから得られた結果と対比させ, その有効性について論証した. その結果, 改善された手法による危険度は, 危険度が大きい, 即ち軌道座屈の安全性の観点では危険領域にある部分で, 十分な信頼性のあることが定量的に確認できた. このことは, 改善された手法の導入以来, 軌道座屈による鉄道事故がほとんど発生していないことを理論的に証明するものである.
著者
トラン ダンタイ 室 達朗 河原 荘一郎 平川 学
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2000, no.651, pp.169-180, 2000
被引用文献数
2

本研究は, 履帯式車両の履帯形状比が, フレッシュコンクリートなどの軟弱地盤上での旋回走行に与える影響について調べることを目的としている. 本報は, 実験と解析結果より, 軟弱地盤上での履帯式車両の旋回特性として, 沈下量, 有効牽引力, 旋回半径, 旋回モーメントおよび車両傾斜角に履帯形状比が及ぼす影響について示している. その結果, 履帯幅が狭く履帯長が長くなる程旋回モーメントが大きく旋回半径が大きくなることが判明した.
著者
安田 登 白木 渡 松島 学 堤 知明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.496, pp.41-49, 1994-08-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
22
被引用文献数
1 3

近年, 日本各地でコンクリート構造物の早期劣化現象が指摘されはじめ, 維持管理業務の重要性が再認識されるところとなっている. コンクリート構造物の健全度評価を行い, 補修の要否を判断する場合, ひびわれ幅やひびわれパターンなどの劣化状況, 構造物の重要度を踏まえた耐用期間ならびに補修の難易度を総合的に判断する必要がある. 本研究は, 曖昧性を含む多くの評価項目を処理する必要のあるコンクリート構造物の健全度の判断に対して, ニューラルネットワークを適用し, 各要因の感度解析を行った.
著者
塩月 善晴 大原 資生 山本 哲朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1987, no.381, pp.83-90, 1987

Ochi (1973) proposed the heavy rain classes according to their damages by use of the maximum 3 hour and 1 hour rainfall amounts in the rainfall. This means that the parameters of maximum rainfall intensity curve (<i>R<sub>T</sub></i> curve) can determine the class in which the present rain is. In this paper the parameters <i>a</i>, <i>b</i> of Talbot type <i>R<sub>T</sub></i> curve determined by the six 10min rainfall data within an hour are used to make diagnosis how the present rain ranks in the rain classes and if it will be a heavy rain. Analytical results in two heavy rain cases (Nagasaki, 1982 and Yamaguchi, 1985) show the heavy rain can be detected several ten minutes before its real beginning.
著者
田原 保二 国広 哲男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1955, no.29, pp.66-73, 1955

本文は部材の変形にともなうPC鋼線の付加的な影響を考慮に入れた場合のプレストレストコンクリート門構ラーメンの計算を示したものであり, さらにこれらの計算値を本邦最初のプレストレストコンクリートラーメン橋である御祓橋における測定値と比較し, この計算法の妥当性を指摘したものである。
著者
田原 保二 猪股 俊司 南 俊次 宇野田 修
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1959, no.60, pp.b1-b44, 1959

わが国のプレストレスト コンクリート橋梁は1954年以降急速に発展し, 1955年に至り支間40mの上松川橋の出現を見るに至つたが, 更に1956年末に至り大阪府金剛大橋においてわが国最初のプレストレスト コンクリート箱桁の施工に成功した。本論文は大阪府土木部によつて企画し実施されたこの箱桁の設計, 施工並びにこれに伴つて行われた一連の試験および実験に関するものである。本橋は径間30.40m, 桁高1.10mでその比は1:27.6であり, 径間に比し桁高を特に小さく制限される場合の一解法として特に価値あるものと考えられる。
著者
多谷 虎男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1961, no.76, pp.31-40, 1961-09-25 (Released:2009-12-18)
参考文献数
1

従来, 緩和曲線の形状についての理論では, 車両運動をその重心運動で置き換え, かつこの質点が軌道中心線上を軌道面に密着しつつ走行することを暗に仮定していた。しかし実際には車両重心は平面的にはボギー中心を結んだ弦の中点の画く軌道上を運動し, かつ立面的にはカントの存在のために, さらに軌道中心線よりもかなり曲線内側に偏った曲線上を走行する。従って軌道中心線と車両重心の運動軌跡とは異なるものとして取扱うべきであり, 緩和曲線の形状の探究は車両重心の運動が円滑となるような軌道中心線の形状を求めることでなければならぬ。しかしながら他方, 一般に曲線半径Rはきわめて大きく, 仮に車両重心がわれわれの想定した軌道中心線より10~20cm程度偏った曲線上を走行しても, その曲率半径と元の曲率半径Rとの相違は, Rに比してきわめて小さいように考えられ, 従ってこのために生ずる遠心力の変動はほとんど問題とするに足りないのではないかという疑問が生じる。しかし十分に考察検討すれば決してそうではない。本稿では上述のような主旨にもとついて, まず重心軌跡緩和曲線 (重心の運動軌跡を円滑ならしめる軌道中心の緩和曲線) の一般式を誘導し, これをカントが直線てい減の場合, 半波長正弦曲線てい減の場合, 一波長正弦曲線てい減の場合, などに適用してこれらの諸種の場合に対応する重心軌跡緩和曲線形を求め, さらに変化平均速度の場合におけるカント直線てい減方式および円滑てい減方式の重心軌跡緩和曲線形を求めた。次にさらに進んでカント連続てい減の場合の重心軌跡緩和曲線を, 直線てい減, 円滑てい減の両方式についてかつ定速度および変速度の両方の場合について, 上述の単一重心軌跡緩和曲線の拡張組合わせとしてとして誘導した。なおまたこれらの緩和曲線に対するカントのつけ方として従来のわが国の慣行に対して合理的改革案を提案した。
著者
井上 純哉 堀井 秀之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.654, pp.63-75, 2000-07-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
30

本研究は不可逆過程の熱力学を出発点として, 変形の局所化現象, 特に構造物規模で発生する局所化現象において変形が局所化して行く過程を解析する手法を提案するものである. 解析はまず, 簡単な一次元の亀裂モデルからスタートし, 解析手法の概要の説明を行い, 更には現実的なコンクリート梁の亀裂進展問題に発展する. このコンクリート梁の解析により, 構造物の破壊現象においては本解析手法のような分岐現象を物理的に解析しうる解析手法の必要性が示された.
著者
小野 一良
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1956, no.33, pp.23-30, 1956 (Released:2010-11-29)
参考文献数
7

種々の構造物に関してその基準振動の形を求める方法は従来多く発表されているが, この振動振幅は外力の性質ならびに初期条件によつて異り, かつその計算が煩雑なるためあまり求められていない。本文においては Lagrange の運動方程式をいくらか変形して一つの公式を導いたが, この公式を使えば構造物が衝撃を受けたときに, この構造物に発生する各種の運動についてその運動速度または振動振幅を容易に決定でぎる。この公式に重畳の原理を適用することによつて種種の型式の外力が作用する場合にも拡張することができる。
著者
広瀬 宗一 山口 晶敬
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.421, pp.233-242, 1990-09-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
5
被引用文献数
3

To root out Minamata disease, caused by the sewage accumulated in fish and shell fish, a large-scale sediment disposal work was conducted with a special care to prevent a new pollution. The basic approach to sediment disposal was to construct a highly watertight revetment for reclaiming the inner area of the Bay and then to confine sediment, dredged from the remaining contaminated area. Before sediment disposal, boundary nets were installed to enclose the work area to prevent the mixing of contaminated and non-contaminated fish. Dredging work was successfully done by using four cutterless suction dredgers, newly developed in advance for minimizing muddiness due to dredging work. Sediment, discharged into the reclamation area, keeping it under water, was covered with a sandproof membrane, particular volcanic ash earth with light weight, and mountain soil, successively.
著者
松本 樹典 道 勇治 平野 忠夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.511, pp.35-45, 1995
被引用文献数
3 1

石川県能登半島に広く分布する珪藻泥岩地盤において鋼管杭の試験工事を実施した. 試験工事では, 鋼管杭の支持力機構の解明を目的として, 打込み試験, 再打撃試験, 押込み試験, 引抜き試験, 杭径と同一径を持つ大型の平板を用いた平板載荷試験などを実施した. 本試験工事の特色は, 杭試験時の地盤の応答 (間隙水圧, 管内土の挙動) を測定したこと, また地盤調査および土質試験を杭打設前と静的載荷試験終了後に実施したことである. 本論文ではこれらの試験結果を述べるとともに, 測定結果に基づいて支持力の経時変化現象や管内土の形成メカニズムについて考察する. さらに, 載荷試験結果と各種指針による支持力推定結果を比較・検討することにより, 地盤調査や土質試験が杭の台理的な設計のために重要であることを述べる.
著者
北川 信 古家 和彦 中村 俊一 鈴村 恵太
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.672, pp.145-154, 2001-03-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14
被引用文献数
3 5

明石海峡大橋ケーブルの防食方法として, ケーブル内部に乾燥空気を送り込み, 内部水を強制的に排除させる送気乾燥システムを世界で初めて適用した. 本システムの導入に際し, 乾燥空気を送気した小型ケーブル試験体の腐食試験結果を, 送気しなかった試験体と比較することにより, 送気乾燥システムの防食効果を確認した. さらに, ケーブル試験体から除湿された水分を計測することにより, 内部水が除湿されるプロセスを定量的に把握し, 除湿メカニズムを明確にした. また, 湿度および付着塩分が亜鉛メッキ鋼線の腐食におよぼす影響を室内実験により調査し, 送気システムによる亜鉛メッキ鋼線の耐久寿命を推定した. その結果, ケーブル内を相対湿度60%以内に保てば, きわめて長期の耐久性が得られることを見い出した.
著者
有尾 一郎 池田 清宏 鳥居 邦夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.513, pp.169-178, 1995-04-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13

近年構造物の対称性の利用法としてブロック対角化法が提案されている. 本研究はこの手法を減衰を持つ対称構造物の動的問題に適用するものである. 系の幾何学的特性に基づく座標変換を用いて, 剛性行列, 減衰行列, 質量行列, 制御系の行列等を同時にブロック対角化することにより, 運動方程式を複数の独立な式に分解する. 従来の方法と異なり, 対称構造物であれば任意の減衰行列に対して適用できる点がこの手法の大きな長所である. 数値解析例として各種の軸対称構造物を取り上げ本手法の数値解析効率と収束安定性の高さを示す.
著者
杉山 隆文 清水 俊吾 RITTHICHAUY Worapatt 辻 幸和
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, no.767, pp.227-238, 2004
被引用文献数
2

電気泳動法を用いて, イオン移動に影響を及ぼすモルタルの空隙構造を定量的に把握することを試みた. 定量化にあたって空隙率と屈曲度から構成される空隙構造係数を定義し, 定常状態におけるイオンの電気泳動より求めた実効拡散係数を用いて, この係数を計算した. 空隙構造係数は, 100nm~2μmの範囲の細孔量と概ね整合し, 置換率が30%のフライアッシュモルタルでは, 空隙率が大きいにもかかわらず屈曲度が増加するために, 空隙構造係数は小さくなることを明らかにした. そして, 空隙構造係数が小さい場合, 駆動力が濃度勾配である拡散では移動できない空隙が存在する可能性を示唆した. また, トレーサーイオンとして塩化物イオンの他に, カリウムイオンも同一の空隙構造係数を与えることを示した.