著者
秦 健作 辰巳 正明 大倉 幸三 大西 悦郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.507, pp.279-289, 1995-01-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
1

明石海峡大橋の主塔は海面からの高さが約300mにも達し, 風によって生じる振動の対策が設計上の重要な課題の1つであった. 主塔の空力特性を確認するため実施した風洞試験の結果から, 塔柱断面には耐風性を考慮して高さ方向に隅切幅の変化するテーパー隅切断面を採用するとともに, 架設系のみならず完成系においても設計風速以下の風で生じる渦励振に対して機械的な減衰を付加する制振対策を施した. 本稿では, 主塔架設時から吊橋完成時に至る主塔の制振対策について, その検討内容と対策の概要について述べる.
著者
小林 潔司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.449, pp.27-36, 1992-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
74
被引用文献数
1
著者
大庭 哲治 柄谷 友香 中川 大 青山 吉隆
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.227-238, 2006-07-20
参考文献数
48
被引用文献数
6

本研究は,京都市都心部の京町家集積による近隣外部効果やその影響範囲の把握を目的に,通常回帰モデルと地理的加重回帰モデルを併用して,ヘドニック法により定量的に計測した.また,得られた計測結果については,GISを利用して空間的な広がりや分布の特徴を把握した.その結果,京町家集積による近隣外部効果の存在が土地の資産価値を高める傾向にあり,近隣外部効果の特に高い町丁目は,東西や南北にはしる通りに沿って連担,あるいは面を形成しているという空間的特徴を明らかにした.また,近隣外部効果の影響範囲は,京町家が隣接する町丁目やその町丁目にさらに隣接する町丁目程度であるのに対し,中高層建築物は学区レベルに相当し,京町家よりも影響範囲が広域であることを明らかにした.
著者
広瀬 宗一 藤原 辰彦 牛嶋 龍一郎 高橋 宏直
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2001, no.672, pp.13-22, 2001

関西国際空港2期工事は, 平成11年7月に現地着工した. 2期空港島は1期空港島よりもさらに沖合での建設であり水深は深く予測沈下量も大きいため, 1期工事の約1.4も倍の埋立土量を要する. しかしながら, 全体工程の中においてこの2期工事は, 1期工事とほぼ同じ期間での施工が計画されている. この限られた期間内に工事を安全かつ円滑に実施するためには, 適切な施工展開計画の作成が非常に重要となる. したがって, 大規模な海上工事である2期工事の, 施工計画策定に際して効率的かつ多角的な検討を可能とするシミュレーションシステムを開発した. そのシステムの概要および実際の現場に適用して得られた効果等について報告する.
著者
井尻 裕二 深田 淳 坂本 和彦 内田 雅大 石黒 勝彦 梅木 博之 大西 有三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2001, no.694, pp.179-194, 2001
被引用文献数
4

岩盤中の割れ目をモデル化する際に, 原位置で観察したスケールとモデル化するスケールが大きく異なる場合には, 割れ目特性のスケール依存性に注意する必要がある. わが国のトンネルやダムで観察された割れ目データを収集して, 割れ目トレース長のスケール効果について検討した結果, 割れ目トレース長の頻度分布は場所や岩種に関係なく負のべき乗分布にしたがうことが示された. また, 花崗岩を対象として割れ目ネットワークモデルの水理特性について検討した結果, 割れ目ネットワークモデルの水理特性は割れ目の大きさを表すべき乗分布のべき乗数に依存し, べき乗数が小さいほどモデル内に大きな割れ目が多くなりモデルの透水性は高くモデル内の地下水移行時間は短くなることが示された.
著者
赤羽 弘和 桑原 雅夫 佐藤 拓也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2000, no.660, pp.79-87, 2000
被引用文献数
6

本研究においては, 休日の都市間高速道路を対象とした利用予約制を適用し, 交通需要の発生を時間的に平準化することにより, 交通渋滞を軽減・解消する可能性を探った. サービスエリアにおけるSP調査に基づき, 予約条件, 利用者属性, およびトリップ属性を説明要因とする予約制選択モデルを構成した. このモデルと実際の交通渋滞の観測データとを組み合わせ, 数値シミュレーションにより予約制の効果を検証した. さらに, 予約動向に基づいて交通需要の発生状況を予測し, それを予約条件の設定や予約の受付・処理に反映させるフィードバックループを構築し, 交通需要の予測誤差が予約制の効果に及ぼす影響を数値シミュレーションにより検証した.
著者
原田 隆典 田中 剛 田村 好文
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.507, pp.209-217, 1995-01-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
32
被引用文献数
1 3

確率過程理論に基づく強震動のシミュレーションモデルでは, 強震動の振動数特性や非定常性はパワースペクトル密度関数やその時間的変化を表わす関数によってモデル化される. 本研究では, 地震の物理に基づく理論的方法によってこれらの関数をモデル化する. 小地震による地震動モデルでは地震の物理に基づく理論的方法と経験的方法を併用してモデル化している. 大地震による強震動モデルでは地震断層を含む地盤における波動場の定式化に基づき, 地震断層の破壊伝播や観測点との幾何学的関係が考慮される. 計算例により, 強震記録が希薄な地域での強震動の予測に本研究のモデルを適用する方法を説明するとともに, 本研究のモデルの特徴を示す.
著者
井伊 博行 平田 健正 松尾 宏 田瀬 則雄 西川 雅高
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.594, pp.57-63, 1998-05-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

茶畑からの湧水には肥料からの硝酸イオン, 硫酸イオンなどの酸性物質と共にアルミニウムイオン, リンなどが多量に含まれている. 湧水が池に入ると, 光合成, 脱窒, 硫酸還元によって, 中和され, 場合によっては, アルカリ性にもなる. 池内での短期間のpHの大きな変化には, 窒素, リンによる池の富栄養化に伴って起こる光合成が大きく貢献していた. 年間通じての硝酸イオンの池内での消失には, 脱窒が関与していたと考えられる. 池の水が中和されることで, 湧水に含まれていたアルミニウムイオンは水酸化物として沈殿し, 硫酸還元によって硫酸イオンも池から除去されたと考えられる. リンは生物 (有機物) として池内に貯蔵された. 池内で, 有害なアルミニウムイオンや硝酸イオンの濃度が下がるため, 池の存在は重要と考えられる.
著者
西川 肇 藤井 壽生 工藤 勝輝 露木 延夫 近藤 勉 田原 達人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.706, pp.77-85, 2002-05-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

河川流域における森林が緑のダムとして大きく評価されるようになってきている. 森林の保水機能を軸とした沿水・利水の対策が求めはじめられた今日, 河川流域を単位とした森林の生育状況からその保水機能を定量的に評価することが河川管理上で重要なキーポイントとなる. 本研究は, 東京都民の水瓶である多摩川小河内ダム上流域を対象に, ランドサットデータで判読した森林の生育状況と林地土壌の理学的性質との相関性を定量的に分析し, 流域の持つ森林機能について解析した.
著者
中川 大 波床 正敏 加藤 義彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.482, pp.47-56, 1994-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
18
被引用文献数
6 3

本研究は, 交通網整備によってもたらされる都市間の交流可能性の変遷を計測する方法について論じるとともに, 実際にわが国の都市間を対象としてその計測を行ったものである. 計測にあたっては,「滞在可能時間」とこれを用いたアクセシビリティを指標として採用し, 明治以降の5時点において全国の都道府県庁所在都市を対象に交流可能性を求めた. また, その結果を分析することによって, 高度な交通機関の整備の途上期において交流可能性の地域間格差が広がる期間があることなどわが国の交通整備による交流可能性の変遷の特徴を明らかにしている.
著者
星谷 勝 山本 欣弥
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.654, pp.355-366, 2000-07-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13
被引用文献数
2 5

ライフラインネットワークやトラス構造物といった現実の工学システムは, 多くの要素から構成されており,構成要素の部分的な被害がシステム全体の破壊に直結するとは限らない. 本研究では, このようなシステムの有する保有耐力, いわゆる冗長性を, Shannon の情報エントロピーを用いて物理的に定義し, 冗長性指数 (redundancy index) を提案している. 次に, 古くから扱われている並列システムを例題として, 信頼性 (reliability) と冗長性 (redundancy) の持つ意味について詳しく検討している. さらに, 簡単なネットワークモデルを用いてシステムの形状, リンクの破壊確率とシステムの信頼性および冗長性について検討を行った. 本研究で示した冗長性指数は, De, Kammchandani and Comell によって定義された冗長性指数と比べて, 優れた特長を有していることがわかった.
著者
川崎 雅史 堀 秀行 佐佐木 綱
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1993, no.458, pp.121-127, 1993

本研究は, 日本の伝統的な空間に現れる陰影の意匠性を把握するための一つの方法として, 谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」に表現された陰影とその演出のしくみを景観論的に整理したものである. はじめに, 景観論的な視点を設定するために陰影の基本構成と基本類型の定義を行い,「陰翳礼讃」に表現された陰影の典型を抽出した. さらに, 抽出された陰影の構成要素ごとに美的な演出方法についての考察を行った.
著者
北村 隆一 山本 俊行 神尾 亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1999, no.625, pp.171-180, 1999
被引用文献数
1

本研究では世帯の交通エネルギー消費量, 通勤交通機関, 自動車保有台数, 通勤距離を内生変数とする構造方程式モデルを1990年京阪神パーソン・トリップ調査結果を用いて推定し, 世帯の交通エネルギー消費性向に考察を加えると同時に, このモデルを土地利用政策のエネルギー消費削減効果の分析に適用している. モデルの推定結果は, より高密度で職住近接型の土地利用を推進することにより世帯の交通エネルギー消費を削減することが可能であることを示唆している. しかしながら, 既に高密度・混在型の土地利用が展開し自動車利用率が比較的低い京阪神都市圏で世帯交通エネルギー消費の大幅な削減を図るとすれば, 都市圏外延部に居住し長距離通勤を行う世帯を対象とする土地利用政策が必要となることを本研究の結果は示唆している.
著者
林 良嗣 冨田 安夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.395, pp.85-94, 1988-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
34
被引用文献数
3 8

This study is an attempt to develop a forecasting method of population attributes by zone in a metropolitan area. Random utility models are used to formulate each event of household related to individual's life cycle and residential relocations. As the forecasting method, a micro-simulation technique, which can chase individuals' behaviours and can provide flexible aggregation, is employed. The validity test and policy tests proved the advantages of the model, compared with existing models.
著者
宮本 和明 安藤 淳 清水 英範
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.365, pp.79-88, 1986-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13
被引用文献数
2 6

A model to forecast total demand for housing by its type is built for a metropolitan area. The model is built based on disaggregate behavioral analyses using nested logit models. The nested logit models describe locational behaviors of households, that is, choice between remaining at the present house and moving to a new house, and choice of housing type. They have enough variables to explain these locational behaviors, and the parameters are estimated with good fitness. This study also discusses the way to estimate the numbers of different types of households, which is indispensable in forecasting total demand of housing in the area. It is proved that the forecasting model based on the above mentioned approach can estimate housing demand for the period from 1975 to 1980 in Tokyo metropolitan area with good fitness.
著者
戸部 暢 加藤 哲治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.547, pp.75-86, 1996

本研究は, 厚い凍土壁を地下水が貫流している場合の凍結閉塞現象を論じたもので, 平板状の開口部内の凍土の成長を表わす計算式を新しく導出した. また, この場合の凍土壁の閉塞条件を明示し, 凍結閉塞しない場合には, 通常, 2個の平衡凍土面が存在することを示した. 実施工への応用として, 本研究の理論を適用したものを例示した.
著者
金子 傑 深沢 泰晴 杉山 俊幸 向山 辰夫 岩城 達思
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.528, pp.179-189, 1995-12-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
10

空域制限のある軟弱地盤地域での経済的な吊形式橋梁の模索という観点から, 中央スパン500m規模までは斜張橋および吊橋の主桁断面には応力上の余裕があることに着目し, 主塔高さが低く, 側径間に大きなアンカーブロックを必要としない, 吊橋と同程度の主塔高の自定式斜張橋および自定式吊橋の構造特性を把握することにより, 中央スパン500m規模の自定式吊形式橋梁としての両形式の適用可能性について検討を加えた. その結果, 両形式とも経済的で充分な安全性を有していること, 耐風性, 耐震性の面でも問題のないこと等が明らかとなった.