著者
宗森 純 五郎丸 秀樹 長澤 庸二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.1350-1358, 1995-06-15
被引用文献数
20

本論文では、3台もしくは4台の計算機上で発想支援グノレープウェア郡元を用いて分散協調型KJ法を同]室内と分散した環境(同一階の異なる部屋および異なる階)で行い、意見の数、所要時間、文章の文字数、雑談の数などをパラメータとし、分散した環境が発想支援グループウェアの実施に及ぽす影響を検討した。分散協調型KJ法は複数の計算機上で意見をだし、似ている意見をまとめ、そこから結論を得る発想法の一つである。郡元はテキストベースの雑談機能(チャット)で参加者間のコミュニケーションをとることに特徴がある。実験の結果、異なる階にまたがって分散携調型KJ法を実施すると雑談の数のみが他の場合と比較して増加し、分散した環境(同一階および異なる階)では同一室内と比較すると相手に返事を求める雑談の割合が増加することがわかった。しかし、同一室内でも分敵した環境でも意見の数や文章の文字数、所要時剛こ大差はなかったため、空間的に分散した環境でもテキストベースでコミュニケーションが十分とれることがわかった。
著者
宗森 純 木村 鷹 伊藤 淳子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.176-188, 2017-01-15

温度知覚インタフェース「サーモアクター」を持ち表情アイコンを使用する感情伝達システム「Ther:com」を提案する.本システムは対戦ゲーム場面における利用者間の感情表現を豊かに伝えることをめざし,通信相手に対して「温度刺激」と「表情アイコン」を伝達することができる.また,参加者が同時に表情アイコンを送信したときに発生する共鳴に特徴がある.Ther:comの評価を検証するため温度刺激がある場合とない場合で比較実験を実施した.実験にはパズルゲームの一種の「ぷよぷよ」を使用して感情や存在感の伝達,ゲームの臨場感や面白さに関して検討を行った.実験の結果,温度刺激を付加したことにより以下のことが分かった.(1)温度刺激のある嬉しさの強い感情を示すアイコンが有意差が出るほど多く伝達された.(2)「相手の存在を身近に感じた」「表情アイコンは感情共有に役立った」「共鳴機能は感情共有に役立った」の評価が有意差が出るほど向上した.(3)面白さに関する「盛り上がり」と「またやってみたい」の評価が有意差が出るほど向上した.
著者
石田 繁巳 三村 晃平 劉 嵩 田頭 茂明 福田 晃
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.89-98, 2017-01-15

ITS(Intelligent Transportation Systems:高度道路交通システム)において,道路を走行する車両をカウントすることは重要なタスクの1つである.車両の通過をリアルタイムに検出するために車両カウントシステムの導入が進められているが,導入・運用コストが高いことから導入は一部の道路に限られている.本論文では,歩道上に設置したマイクロフォンを用いた低コスト車両カウントシステムを示す.本システムでは2台のマイクロフォンを歩道に設置し,車両が発する音を各マイクロフォンが受信した時刻の差を示す「サウンドマップ」を描くことで通過車両をカウントする.環境ノイズなどの影響により実環境ではサウンドマップに多くのノイズが含まれるため,本論文ではシンプルな画像処理手法を開発し,ノイズの影響を軽減したうえで自動カウントアルゴリズムを適用する.片側1車線の道路で提案システムの実証評価を行い,F値0.92という高い精度で通過車両の台数をカウントできることを確認した.
著者
橋本 礼児 服部 数幸 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.2193-2201, 1993-10-15
被引用文献数
5

本諭文は距離画像を多数の視方向から観測できる条件のもとで適当な視方向を能動的に選択して多面体を認識するアルゴリズムについて述ぺている。モデルは3次元的な面関係グラフによって記述される。距離画像は観測視方向が変化しても対象物の絶対的な位置や大きさを計測できることから、入力対象を同様に面関係グラフとして記述し、モデルのグラフとの間で部分グラフマッチングを図って認識を行っている。その結果、認識対象モデルが一意に決定できない場合は候補モデル間で特徴の差を呈する方向を検索し、そこに視点を移動して再び認識を試みている。論文では多面体認識のためのモデルの記述方法およびマッチング手法について述べ、さらに視方向選択のための姿勢変換法と視方向決定アルゴリズムについて述べている。これbの方法は計算機シミュレーションによる実験によって動作が確認された。
著者
鈴木 雅大 佐藤 晴彦 小山 聡 栗原 正仁 松尾 豊
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.1499-1513, 2016-05-15

ゼロショット学習は,1度も学習したことのないカテゴリの画像を,補助情報を頼りに分類する手法である.ゼロショット学習を実現する様々な手法の中でも,補助情報に属性を用いた属性ベースゼロショット学習が最もよく知られている.しかし既存研究では,各属性の画像特徴量への現れやすさを考慮していなかった.本稿ではこのような度合いを属性ごとの観測確率と呼び,観測確率を含めた新たなモデルを提案した.そして提案したモデルの妥当性の検証および既存研究との比較実験によって,提案手法が既存手法と比較して有効性の高いモデルであることを示す.
著者
奥村 仁 八木 康史 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.2263-2276, 1995-10-15
参考文献数
17
被引用文献数
5

人は道路などを歩く時、環境中のすべてのものに詳細な注意を払うのではなく、環境に対する自已位置推定や障害物の発見など歩行のために必要な情報を環境全体から大まかに把握する(大局視と呼ぶ)。一方、興昧ある物体(作業対象、障害物、道しるべ、近づいてくる物体等)に対しては、人は興味部分を注視し、その部分についての詳細な情報を収集する(局所視と呼ぶ)。人と同様に自律移動ロボットにおいても、目的地までの安全な誘導および目的地での作業など作業内容により、必要とされる観測情報の性質は異なる。本報告では、ロボットにとって必要とされる大局視と局所視との機能を持つ複合視覚センサMISS(Mu1tip1e Image Sensing System)を提案し、試作したプロトタイプの構成について報告する。さらに注視対象の発見からその物体の3次元情報獲得までの一連の処理を両視覚機能の情報を統合することで行う一方法について報告する。大局視では周囲360度を一度に観察できる全方位視覚センサを用い、得られる全方位画像とあらかじめ与えられた周囲環境のモデルとの照合を行い、注視すべき物体(作業対象、障害物等)を発見する。一方、局所視ではその物体を注視しながらいくつかの位置から観測し、注視物体の3次元形状を認識する。
著者
塚本 義明 生天目 章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.2664-2675, 1994-12-15
被引用文献数
1

ニューラルネットワークの規模の問題を解決するための方法として分散学習が考えられる、これは、大規模な問題がすでにいくつかの小さな問題に分割されており、その小さな問題について学習した結果を統合して大規模な問題を解決する試みである。また、この際に全体を掌握する管理者的存在はないものとする。本論文では、多層ネットワークの学習アルゴリズムである瞬時学習法および記憶に基づく学習を統合した構造化学習法に基づく分散学習法を提案する。大規模な問題が、すでにいくつかの小さな問題に分割されており、それらを並列処理するには並列処理された結果を統合するためのメカニズムが必要である。分散アルゴリズムが加法法性を有すれば、分散処理された情報を統合するためのメカニズムを容易に実現できる。本論文で提案する分散学習法は、一つの学習問題がいくつかに分割された状態で、それぞれ分割された学習問題に構造化学習法を並列的に適用し、それぞれの学習結果を統合することにより全体の問題を学習させる方法である。並列処理により獲得した分散ネットワークモジュールの線形結合として全体の問題のニューラルネットワークが求まることを示す。オブジェクト指向プログラミングにより分散学習シミュレーションツールを開発し、その適用例について示す。
著者
松田 秀雄 田村 直之 小畑 正貴 金田 悠紀夫 前川 禎男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.296-303, 1985-03-15

試作マルチマイクロプロセッサシステム上への並列Prolog 処理系"k-Prolog"の実装とその評価について述べる.まずマルチプロセッサ上でProlog 処理系を実現するための並列実行モデルを与えそのモデルをもとにパイプライニング並列とOR 並列という二つの並列処理方式の記述を行う.パイプライニング並列とは後戻り処理のときに必要となる別解を他のプロセッサがあらかじめ求めておくもので解の求められる順番が逐次実行の場合と同じになるという特徴をもっている.OR並列とはゴール節中の述語からの入力節の呼出しを並列に行うものでデータベース検索等の問題に有効な方式だと考えられる.処理系の実装は筆者の所属する研究室で試作されたブロードキャストメモリ結合形並列計算機上に行った.これは16ビットマイクロプロセッサ8086をCPU にしており 共通バスにより結合されている.いくつかの例題プログラムを両並列処理方式で実行した結果 バイプライニング並列ではプロセッサ台数が小さいときに良好なデータが得られており実行プロセス数の急激な増大もなく安定している.OR 並列では全プロセッサ台数を通じて台数に比例した値に近い実行速度の向上が見られるが 実行プロセス数が急激に増大する場合があり大容量のメモリが必要となるという結論が得られている.
著者
川上 敬 皆川 雅章 嘉数 侑昇
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.761-768, 1992-06-15
被引用文献数
11 4

3次元の空間認識を伴う複雑な組み合わせ問題として知られる3次元箱詰め問題を自動的に解くための新しいアプローチを提案する本論文では 3次元箱詰め戦略が自動的にチューニングされ 最適な箱詰め解が得られるような機構の実現を試みるこの環境適応型の自動チューニング機構を生物の進化システムを模倣したGA (ジニネティックアルゴリズム)の適用により実現するこの機構により 箱詰め性能は徐々に向上し 近最適な戦略が得られる.ここでデーューニシグ対象となる箱詰め戦略は.二つのステップから構成される.?与えられた長方形空間内における配置位置の評極値を評価関数によリ計算し,その値に従い次の配置位置を決定する?決定した配置位置に最も好ましい箱を評価関数により決定するそこで近最適な戦略を得るために2本の評価関数の各重み付け係数の連結により表現されるストリングに対してジニネテイックオペレータを適用する本論文ではジニネティックオペレータとして 再生 乗り換え 突然変異を採用する。また チューニングにより獲得された戦略を蓄積し 再利用するために 新しく3次元箱詰めルールベースを構築可能とするような方法論についても示すそして 本方法論に基づき 3次元箱詰めシミュレータと3次元箱詰めルールベースを作成し 数値実験によりその有用性が確認された
著者
Tsuneo Nakanishi Akira Fukuda
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.829-837, 2001-04-15

Interval arithmetic an arithmetic system on intervals of real numbers is useful for program analysis which deals with range information of variables or expressions such as array reference analysis data dependence analysis and value range analysis.However since loop indices or array subscripts often take contiguous integers with a stride the interval representing densely contiguous real numbers is not accurate representation for program analysis and degrades opportunity of parallelization or code optimization.In this paper {it modulo interval arithmetic/} an arithmetic system on sets of contiguous integers with strides included in real intervals is presented.Modulo interval arithmetic has both arithmetic operations and set operations which are useful for various program analysis.Moreover this paper discusses application of modulo interval arithmetic to program analysis for parallelizing compilers.
著者
中島 秀之 諏訪 正樹 藤井 晴行
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.1508-1514, 2008-04-15

デザインとは,対象とするシステムにおける認識レベルの異なる層の間に縦の因果を作り出す行為であると定義する.因果関係というのは認知的関係であり物理的実体ではない.また,そこには機械論的なメカニズムは存在しない.そのような前提でイノベーションを考えると,生成・評価・方向性の絞り込みという3 つの行為のループが必要ということが分かる.これらのうち,特に方向性の絞り込みがイノベーションの核心部分である.これらの定式化を行い,進化論的方法論のみが有効であることを主張する.
著者
浦野 幸 于沛超 遠藤 靖典 星野 准一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.357-366, 2013-01-15

地域特有の災害リスクの対処法を楽しんで学習できるゲームシステムを提案する.本システムはスマートフォンに搭載されているGPSと加速度センサを利用して,実際に地域を歩きながらゲーム要素のある様々な災害イベントを体験する.震災を想定したゲームアプリケーションを作成して実証実験を行った結果,災害リスク認知支援に関する有用性が確認できると共に,訓練に対する継続性の維持でも高い評価が得られた.We propose a new disaster experience game system which could instruct about general knowledge and regionally specific disaster risk in a joyful way. The system does not give advice in a unilateral way; instead it helps the user, with an accurate awareness of the real world and then shows the risk information e.g., prevention plans and evacuation maps. Additionally, introducing game elements, the user plays with some level of interaction. Using this system, we created a game application for an earthquake. An assessment experiment of the game was clearly beneficial to not only understand Risk Perception but support it; it also has the motivation of a muster drill.
著者
磯田 達也 井上 創造 花沢 明俊 野原 康伸 白水 麻子 杉山 康彦 平田 真理 町田 京子 中島 直樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.2197-2209, 2016-10-15

本研究では,看護師の業務分析のため,33日間にわたり看護師の業務行動データを収集する実験を行い,業務中の看護師の行動の激しさおよび,業務時間に影響を与える要因について分析を行った.データ収集実験では,38人の看護師を被験者に設定して,装着型の小型センサ端末を装着した状態で業務を行ってもらい,加速度データおよび看護師間の対面情報,看護師業務情報を収集した.また,赤外線を用いた情報通信機器によって看護師の位置情報も同時に収集した.本稿では,看護師業務中の行動の激しさを目的変数,看護師業務ごとの回数,対面回数,場所ごとの訪問回数などを説明変数に設定して,決定木(回帰木)を用いた要因分析を行った.その結果,他の看護師との対面回数が多く,病室に何度も訪れている看護師や,リハビリ介助業務や行動介助業務などの患者の介助に関わる業務を行う看護師ほど,行動の激しさが大きくなるという結果を得た.また,業務時間が業務効率に直結していると考え,各業務時間の長さに影響を及ぼす要因について回帰分析によって調べた.その後,単回帰分析により有意水準5%で有意となった説明変数の業務だけを抽出し,その業務に対して決定木を用いた要因分析を行った.単回帰分析の結果,14の業務において有意な結果が得られた.また,決定木による要因分析の結果,ほとんどの業務において他の看護師との対面人数が業務時間に影響を与えていることが分かった.また,食事介助業務中に特定の場所に訪れる看護師ほど業務時間が長くなるという結果を得た.
著者
江里口 善生 木谷強
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.44-54, 1997-01-15
被引用文献数
9

テキストから興味ある情報を抜き出す情報抽出の手法として 文字列の並びを認識するパターンマッチング処理が注目されている.パターンマッチング処理は構文解析に比べ一般的に処理時間が短く 全文の解析を必ずしも必要としない情報抽出に適している.これまでにARPAによる情報抽出コンテストMUCなどで パターンマッチング処理を利用した情報抽出システムが開発されてきた。しかし パターンマッチングの効率は 大量文書を処理する場合は重要であるにもかかわらず ほとんど検討されていなかった.本論文では スキップ機能を有する富田一般化LRパーザをパターンマッチングエンジンとして使用し 情報抽出のための効率的なパターンマッチング手法を検討する.まず パーザヘの入力単位を形態素と文節で比較し 企業の業務提携に関する新聞記事を使用した実験から 処理精度と速度ともに文節単位の入力が優れていることを示す.次に マッチングする対象とならない語をパーザヘ入力する前に取り除く不要語フィルタリング処理を提案する.実験により 文節単位の入力で不要語フィルタリングを使用する場合 形態素単位の入力で不要語フィルタリングを使用しない場合に比べ 処理速度が約23倍も向上することを示す.提案する手法により 冨田一般化LRパーザを用いた情報抽出のための効率的なパターンマッチング処理が実現できることを明らかにする.Pattern matching, which recognizes character sequences in a text, has been used for extracting information of user's interest. Pattern matching is suitable for information extraction, since it is generally fast by its nature and the extraction does not necessarily require full text analysis. Several information extraction systems such as ARPA-sponsored MUC systems were based on pattern matching. Efficiency in pattern matching for information extraction, however, has not been well investigated in spite of the importance in processing a large amount of text. This paper studies efficient pattern matching using Tomita's generalized LR parser known as one of the fastest practical parsers. Two different input formats to the parser, a morpheme (primitive word) format and bunsetsu format comprising a content word and following function words, are compared. Prom our experiments using newspaper articles of corporate joint ventures, the bunsetsu format is proved to be superior to the morpheme format in both processing speed and extraction accuracy. Furthermore, filtering out unnecessary words prior to pattern matching improves the parser's speed about twenty-three times faster compared to parsing the morpheme input without word filtering. Our proposed method applied to Tomita's generalized LR parser for information extraction raises pattern matching efficiency greatly.
著者
成澤 修一 峯松 信明 広瀬 啓吉 藤崎 博也
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.2155-2168, 2002-07-15

藤崎らによる音声の基本周波数パターン($F_0$ パターン)生成過程のモデルは,少数のパラメータから実測の $F_0$ パターンにきわめて近いパターンを生成しうることが知られており,音声合成に広く用いられている.一方,実測の $F_0$ パターンからモデルのパラメータを抽出することは解析的には解けない逆問題であり,初期値を与え逐次近似を行う必要がある.この場合,高精度のパラメータを迅速に抽出するには適切な初期値の設定が不可欠であるが,従来はこれを人手によって行っていたため,大量の音声資料の自動的処理は困難であった.本論文では,実測の $F_0$ パターンからパラメータの初期値を自動的に決定し,さらにそれに基づいて高精度のパラメータ抽出を自動的に行う手法を提案する.この手法は,実測された $F_0$ パターンをいたるところで連続かつ微分可能な曲線によって近似するための処理,得られた曲線からアクセント指令とフレーズ指令のパラメータの初期値を決定するための処理,さらにそれらの初期値をもとに逐次近似によりパラメータの最適値を求める処理,の3段階の処理からなる.共通日本語の男性・女性話者各1名の朗読音声を対象とした実験の結果,男性の朗読音声について,以前に提案された手法では,パラメータ抽出の性能として,指令の再現率78%,精度67%であるのに対し,提案手法によればそれぞれ82%,80%であった.また,女性の朗読音声については,従来手法では再現率60%,精度51%であるのに対し,提案手法ではそれぞれ83%,72%であった.この結果から,本手法の有効性が実証された.
著者
池添 剛 梶川 嘉延 野村 康雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.3201-3212, 2001-12-15

本論文では,感性語により音楽を検索するシステムを提案する.提案システムでは,データベース中の曲をマッピングするための検索空間をSD法ならびに因子分析により生成する.また,データベースに新たな曲を登録する際には,GAとニューラルネットワークにより構成された自動インデクシングシステムにより検索空間へのマッピングを行う.検索の際には,8つの感性語対の度合い(1?7)をニューラルネットワークに入力することにより,ニューラルネットワークはそれらの入力に対応する感性空間中の座標を出力するので,検索システムはその出力座標値からユークリッド距離の最も近い曲から順番に検索候補としてユーザに提示を行う.提案システムに対して主観評価実験を行ったところ,検索システムに関しては95%の被験者が満足しており,自動インデクシングシステムに関しては59%の被験者が満足するという良好な結果が得られた.
著者
田辺 瑠偉 鈴木 将吾 イン ミン パパ 吉岡 克成 松本 勉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.2021-2033, 2016-09-15

マルウェアには,攻撃対象ホスト上のネットワークサービスの脆弱性を突いてその権限を奪取するリモートエクスプロイト攻撃や脆弱なパスワードが設定されている機器へ不正侵入を行うことで感染を拡大するものが存在し,インターネット上の重大な脅威となっている.こうしたマルウェアに感染したホストは,その脆弱性を修正しない限り感染中もさらなるリモート侵入を受ける可能性がある.一部のマルウェアは自らが侵入する際に悪用した脆弱性を感染後に修正することで他のマルウェアによる侵入を防ぐことが知られているが,マルウェア感染ホストへのリモート再侵入の可能性についてはこれまで詳しく検証されていない.そこで本稿では,実マルウェア検体を用いた動的解析実験によりマルウェア感染ホストへのリモート再侵入の可否を検証し,マルウェアに感染したホストへのリモート再侵入により感染の拡大を阻止する手法を提案する.検証実験では,ハニーポットを用いて収集したリモートエクスプロイト攻撃を行う294検体のうち,181検体においてリモート再侵入が成功した.同様に,ハニーポットを用いて収集した組み込みシステムを狙うマルウェア18検体のうち7検体においてリモート再侵入が成功した.リモート再侵入が成功したマルウェア感染ホストについては,侵入に用いたサービスや感染拡大を行っているプロセスの停止,通信の制限を行うことができた.提案手法を用いることで,保護対象ネットワーク内で発生した感染拡大活動を観測し,マルウェア感染ホストへのリモート再侵入により感染が拡大するのを阻止する,マルウェアへの早期対応を目指す.
著者
Yuya Takeuchi Takuro Yoshida Ryotaro Kobayashi Masahiko Kato Hiroyuki Kishimoto
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, 2016-09-15

The Domain Name System (DNS), whose major function is to manage associations between domain names and IP addresses, plays a major role in managing the Internet. Thus, a DNS impairment would significantly impact society. A major cause of DNS impairment is Distributed Denial of Service (DDoS) attack on authoritative DNS servers. Our study focuses on the recently emerging DDoS attack known as the DNS Water Torture Attack. This attack causes open resolvers, which are improperly configured cache DNS servers that accept requests from both LAN and WAN, to send many queries to resolve domains managed by target servers. Domain names for resolving sent in this attack include varying random subdomains. Cache servers certainly will not have cached data for these queries, and so a huge volume of queries converges to the target authoritative servers via cache servers. In this paper, we propose a detection method for this attack using the Naive Bayes Classifier. Experimental results show that our method is capable of detecting this attack with a 95.59% detection rate. Moreover, the results of performance simulation show that our method is fast enough to process more than 2.3Gbps of traffic on the fly.------------------------------This is a preprint of an article intended for publication Journal ofInformation Processing(JIP). This preprint should not be cited. Thisarticle should be cited as: Journal of Information Processing Vol.24(2016) No.5 (online)DOI http://dx.doi.org/10.2197/ipsjjip.24.793------------------------------