著者
宮沢 和之 金田 勇 飯塚 直美 梁木 利男 植村 雅明
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.301-308, 2003
被引用文献数
1

毛髪にハリコシを付与する方法として毛髪自体の育成を助ける生物学的アプローチと, 外部からある基剤を塗布して補強する物理的アプローチが考えられる。前者は軟毛の悩みを根本的に解決できる可能性があるが, 効果が得られるまでに長期間を要する, 効果に個人差がある, などの課題がある。一方, 後者は即効性はあるものの通常洗髪などにより効果が失われるなど, 持続性に乏しいため毎日の適用が必要となる。そこで即効性に優れ, しかもその効果が長期的に持続するハリコシ向上トリートメントの開発を目的として検討を行った。本基剤に求められる基本的条件として, 1. 優れた耐水性, 2. 1本1本の毛髪を独立してコートできること, の2点が挙げられる。そこで耐水性の付与を目的としてアルコキシシランの縮合反応によるネットワーク形成を利用し, 極性をコントロールすることで毛髪への付着性を向上させ, 1本ずつの毛髪を均一な皮膜でコーティング可能な基剤とした。さらに毛髪上に形成される皮膜の強度, 平滑性を検討し, 優れたハリコシ付与効果と良好な使用性を併せ持つへアトリートメントとすることに成功した。
著者
村越 紀之
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.87-94, 2015-06-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
14

健常な毛髪の表面は,18-MEAで構成された脂質層が存在するため撥水性が高く,ツヤがあって滑らかな風合いをもたらす。しかし,物理的なダメージや化学的なダメージを受けると脂質層が剥がれ親水性のタンパク質の層が露出するため,ツヤがなくなり,毛髪が絡まりやすく,パサつきなどを感じるようになる。また,毛髪の構造がダメージを受けると,毛髪内在の成分が漏出しやすくなり,毛髪が細径化してハリコシが低下するようになる。つまり,毛髪のダメージは表面の疎水性が親水性へと変化することで生じると考えられる。そこで,毛髪の親水化がどのような場合に生じるのかを,イオン性の蛍光試薬を処理してタンパク質の露出部位や浸透のしやすさで確認したので,その結果を紹介する。
著者
渡辺 啓 松尾 玲 井上 裕基 安達 謙太郎 野田 章
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.287-294, 2012-12-20 (Released:2014-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

メーク落としに求められる重要な特徴は,「メーク落とし効果」と洗い流し後の「さっぱり感」である。しかしながら,これら2つのを要素を満たすメーク落とし製品は市場には存在しなかった。これは,従来技術ではこれらの要素はトレードオフの関係にあったためである。われわれは,この課題を解決するために,「メーキャップとのなじませ」と「洗い流し」の間に存在する「水を加える」という行動に着目し,界面活性剤の溶存状態変化を,相平衡図上で界面化学的に検討した。その結果,「メーキャップとのなじませ」時には洗浄力の高い逆ミセル油溶液であり,水を加えると,両連続構造を経由して,「洗い流し」が容易なミセル水溶液に相転移する特異な系を見出した。このような系を実現するためには,①HLB (親水性-親油性バランス) を釣り合わせ,界面活性剤低濃度領域に存在するO/W領域を縮小すること,②極性の油を添加し,相平衡図の中央付近に出現することの多い高粘性の液晶相を消去すること,が重要であることが明らかになった。逆ミセル油溶液をクレンジングオイルとして用いると,「メーク落とし効果」は非常に良好で従来のクレンジングオイルと同程度であり,「さっぱりさ」は皮膚上への油の残留がきわめて少ないためクレンジングローションと同程度であるという特徴を有していた。この高性能クレンジングオイルは,クレンジングオイルによるメーク落としプロセスを界面化学的に詳細に検討することで,トレードオフの関係にあった要素を両立させたものである。
著者
酒井 裕二 鈴木 将史 小原 康弘
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.95-103, 2006
被引用文献数
1

エマルション化粧品は, 肌に水分を与える保湿効果と, 肌の水分を逃がさない閉塞効果の二つの基本的機能を有する。これらの効果は, エマルションの親水領域と親油領域の比に影響される。そのため, 両効果は拮抗した関係となり, 同時に高めることは困難であった。そこでわれわれは, ポリグリセリン系界面活性剤, セチルアルコール, ポリグリセロール (13) ポリオキシブチレン (14) ステアリルエーテルおよびD相乳化法を用いることにより, エマルション膜の親油領域に水を多く分散させ, その親水領域を強固にすることで, ポリオキシエチレン系界面活性剤を用いたものより保水効果と閉塞効果が優れたエマルションを開発した。またポリオキシエチレン系界面活性剤を用いたエマルションは, 塗布されるとエマルション粒子が消失するのに対して, 本エマルション膜は, 粒子の残存がレーザー顕微鏡により確認された。さらに1ヵ月間の連用により, 角層細胞のはがれやすさ, 角層細胞の並び方も改善されることが明らかとなった。
著者
岡本 亨
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.187-193, 2016

角層の乾燥は肌荒れを引き起こす。角層保湿はスキンケア化粧品にとって重要な機能である。角層保湿においては,角層に水を保持することと,皮膚からの水の揮散を防ぐことが重要である。スキンケア基剤の物理化学的な性質はこれらと密接に関係しており,適切な基剤設計を行うことで保湿作用を高めることができる。保湿剤は角層保湿において重要な役割をもっている。保湿剤は角層に貯留されることで保湿機能が高まることから,角層への浸透性を高めるためには,保湿剤の角層への分配を高める成分を水相に配合する手法が有効である。また,αゲル基剤は少量の適用でも優れた角層保湿効果を示す優れた基剤である。炭化水素油分のような疎水的な成分で肌を閉塞すると,皮膚からの水分蒸散が妨げられて肌表面に水分を保持することができる。閉塞効果は分子量の高い油分で高まるが,基剤を肌上に均一に展開することが重要である。さらに,保湿剤の浸透と水分のオクルージョン効果を両立した基剤としてαゲル基剤の超微細エマルションについて紹介する。これらのコンベンショナルな手法に加えて,角層細胞間脂質の修復に関する新たな知見について議論する。
著者
岡野 由利
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.91-97, 2016

スキンケア化粧品の基本的な機能は皮膚の保湿である。皮膚の乾燥が肌荒れだけではなく,皮膚の老化の一因となっていることは,われわれは経験的に知っている。角層には水分を保つ機構が存在するが,その詳細が解明され始めたのは,20世紀の半ばになってからであった。市場の化粧品のコンセプトはこの皮膚科学の発展を商品に応用したものが多い。そのため,過去においては,天然保湿因子(NMF)と皮脂を模して,水分と保湿剤,油脂を含有する製剤がスキンケア商品として用いられてきた。皮膚科学の発展に伴い,セラミド,NMFを配合した製品,顆粒層に存在するタイトジャンクションに注目した素材を配合した製品,角層細胞の成熟に注目した製品が開発され,上市されてきた。さらに,過去には死んで剥がれ落ちると考えられていた角層が,スキンケア行為によって濡れてゆっくりと乾くことにより,バリア機能が向上し,皮膚の状態が健全に保たれることも報告された。本稿では,保湿にかかわる皮膚科学の進歩と関連したスキンケアコンセプトの変化について歴史的な変化も含めて述べる。
著者
金高 節子 宮田 勝保 中村 良治
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.5-12, 1990-08-25 (Released:2010-08-06)
参考文献数
11
被引用文献数
1

This work was concerned with the characterization of nonkeratinous and keratinous proteins of human hair eluted by permanent wave lotion I (PWL-I). Polyacrylamide gel electrophoresis, infrared spectroscopy and amino acid analysis method were applied.From these examinations, the following results were obtained. (1) Nothing was eluted from human hair by hot water (60°C, 3hr treatment), whereas some extracts were obtained using alkaline solution, surfactant solution, or PWL-I (permanent wave lotion I). (2) The mass of the proteins extracted by PWL-1 accounted for about 1% of the total mass of the hair and tended to increase with an increase in pH. (3) It was confirmed that the molecular weights ranged from 5, 000 to 65, 000 by SDS PAGE. (4) The amino acid composition of the PWL-1 extracts was similar to that of colagenous proteins which was unexpected. The composition was diffrent from that of intercuticular material, δ, eluted by formic acid. Therefore, we suspected that the PWL-1 extract was eluted from the δ layer among the cortical cells.In addition, it was clarified that a part of keratinous protein was extracted from hair which was damaged by repeated treatments of PWL or breached by hydrogen peroxide and ammonia water. It is thought to be eluted from the matrix in the cortical cell which is composed of amorphous keratin of high sulfer content.These results will help clarify the mechanism of the elution of intercellar material of humann hair and the mechanism of hair damage by external treatments.
著者
澤根 美加 大田 正弘 山西 治代 本山 晃 高倉 伸幸 加治屋 健太朗
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.188-196, 2012-09-20 (Released:2014-09-20)
参考文献数
9

皮膚には血管・リンパ管からなる微小循環系がはりめぐらされており,皮膚は全身の臓器と同様に,血管から栄養や酸素を供給され,リンパ管から過剰な水分や老廃物を排出されることで恒常性を維持している。皮膚の恒常性維持に微小循環系は重要と考えられるが,皮膚老化への関わりとその分子メカニズムについては未知な部分が多かった。本研究では,加齢による皮膚老化が循環系機能の低下によって引き起こされ,さらにその循環系機能を血管安定化にかかわる受容体Tie2 (endotheliumspecific receptor tyrosine kinase 2) が制御することを明らかにした。まず,ヒト皮膚組織を用いて循環系変化を解析したところ,加齢で血管およびリンパ管の構造が不安定化し,機能が低下していた。さらに,そのメカニズムはTie2の活性化の低下に起因していた。Tie2は血管と同様,リンパ管機能や成熟化にも寄与しており,Tie2の活性化が血管・リンパ管の安定化に重要であった。そこで,Tie2を活性化する薬剤を網羅的に探索した結果,ケイヒエキスを同定した。
著者
五十嵐 敏夫 広瀬 統 八代 洋一 中田 悟
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.222-226, 2016-09-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
6

目袋は目もとに陰影を生じ,その人に老けた印象を与えることから,美容的に好ましくない。目もとは照明条件の影響を受けやすく,写真や画像を用いた二次元的な手法では高精度な評価が難しい。そこで,目もとの印象に影響を及ぼす形状特徴を解明することを目的とし,三次元形状データにおける曲面の局所的な形状を表す三次元曲率を用い,目もと印象との関連性を検討したところ,目袋と瞼頬溝において強い関連性を認めた。したがって,三次元曲率は観察方向に不変であることから,目袋と瞼頬溝の三次元曲率を用いた評価法は客観性が高く,高精度に目もと印象を定量化することが可能であることが明らかとなった。
著者
安藤 秀哉 橋本 晃 政本 幸三 市橋 正光 三嶋 豊
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.415-423, 1993-12-16 (Released:2010-08-06)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

Linoleic acid has an inhibitory effect on melanogenesis in B16 mouse melanoma cells. Linoleic acid did not affect the expression level of tyrosinase mRNA and the pattern of tyrosinase glycosylation. The production of premelanosomes and the transfer of tyrosinase into them were also not affected by linoleic acid. The decrease of tyrosinase activity in golgi apparatus and the inhibition of melanin polymer formation within premelanosomes were found in linoleic acid-treated B16 cells.Using cultured normal human melanocytes, it was shown that linoleic acid inhibited melanogenesis as well as using B16 cells.We also report here the evidence that linoleic acid can diminish UVB-induced pigmentation. Linoleic acid was topically applied daily for one month after UVB-induced pigmentation was fully developed on the back of brownish guinea pigs, and resulted to marked depigmentation.
著者
曽我 元 森田 康治 新井 賢二
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.97-103, 2014
被引用文献数
1

日常的に行われる美容行動の一つである地肌マッサージに関して,血行促進を効率的に実現できる方法を考案することにした。そこで,種々のマッサージ基本手技が皮膚血流に与える作用を個別に評価した。その結果,頭皮においては,圧迫法が最も血流上昇作用が高いという特徴を見出した。ほかの基本手技も組み合わせて,約3分間のセルフマッサージ方法を創案した。この方法により地肌をマッサージすると,即時的な血行促進作用が認められ,平均で約120%まで上昇し,20分程度持続することを確認した。また,地肌が動きやすくなり,1週間の連用を行うと動きやすさのスコアに上昇傾向が認められた。この方法は,地肌マッサージの生理学的意義を明らかにする目的で,頭皮の物性や血流量に与える影響と,それに加えて,毛髪の成長に関わる作用を評価するために有用である。
著者
桑山 三恵子 和地 陽二 瀬戸 進 柳 光男
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.167-179, 1986-12-25 (Released:2010-08-06)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

The microbial flora of the facial skin was examined through the year for 41 healthy female subject. In order to study the relationship between microbial flora and skin surface conditions, physiological parameters (skin surface lipid, skin surface morphology and Transepidermal Water Loss) were also determined. The facial skin types were classified by skin surface lipid and skin surface morphology.The predominant microorganisms on the skin were Propionibacterium acnes as anaerobic bacteria and Staphylococcus S2, aerobic diphtheroids, micrococci as aerobic, and incidence of micrococci was increased in winter. Aerobic bacteria were clossly related to TWL and skin surface morphology and it was shown that micrococci were detected more frequently on the dry and flaky skin. In the relationship between microbial flora and skin type, it was shown that P. acnes was predominantly detected on every type skin. On the other hand Staphylococcus S2 was predominantly isolated on the “normal skin”. micrococci were found on the “dry-type, oily skin” and both Staphylococcus S2 and aerobic diphtheroids were on the “oily skin”, respectively. Furthermore, it was revealed that staphylococci and the supernatants of the culture fluid inhibit the growth of micrococci.From these results, it was suggested that dry and flaky skin or “dry-type, oily skin” would be improved by inhibition of growth of micrococci with staphylococci.
著者
宮本 敬子 李 金華 橋本 悟 正木 仁
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.41-45, 2012-03-20 (Released:2014-03-20)
参考文献数
6

近年,抗菌作用を有する成分に対する市場ニーズは高く,その開発が望まれている。本研究では,4種類の構造の異なるジメチロールアルカン酸アルキルエステルを合成し,その抗菌力について検討を行った。さらに,これら化合物の水溶液中における表面張力測定を行い,界面活性と抗菌作用とを比較した。その結果,ジメチロールプロピオン酸ヘキシルエステルに高い抗菌作用が認められた。また表面張力測定結果から,抗菌作用の高い成分は水溶液において界面への吸着傾向が高く,界面におけるパッキングが密であることが示唆された。抗菌力試験結果から算出した,抗菌パラメーターと界面活性パラメーターとの間に高い正の相関性が認められ,界面活性パラメーターが抗菌成分のスクリーニングパラメーターになり得る可能性が示唆された。
著者
田中 賢介
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.245-253, 1997-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
16

シャンプーは基剤となるアニオン界面活性剤がグラム陰性菌に対する抗菌活性が弱いため, 微生物汚染を受けやすい製剤であり, 市販品の微生物汚染調査でもPseudomonasなどのグラム陰性菌が検出される例がある。リンスは基剤となるカチオン界面活性剤の抗菌活性が比較的強いため, 発育できる菌はより限定される。またボディソープは脂肪酸塩の抗菌性により一般に防腐性が高い。これらの製品は入浴時に使用するものであり, 使用環境からの二次汚染に留意する必要がある。製剤の防腐設計を行うためには, 製剤自身の持つ自己防腐性を考慮した上で, 必要に応じて最適な防腐剤を用いる。この際, それぞれの防腐剤の特性を充分把握し, 有効に配合する事が重要である。さらに, 製品の製造時における微生物汚染防止には生産面での衛生管理が不可欠である。原料対策, 製造衛生管理, 適切な製造設備設計など, 微生物汚染防止を前提とした考え方で対応する事により, 効果的な品質管理が可能になる。
著者
松岡 桓準 平 徳久 中村 清香 勝山 雄志 吉岡 正人
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.200-207, 2014-09-20 (Released:2016-09-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

アスコルビン酸は生体にとって不可欠な成分であり,化粧品分野においても抗酸化作用をはじめとする様々な生理機能を求めて多くの製剤に配合されている。しかし,アスコルビン酸は非常に不安定な物質で,しばしば着色・着臭をはじめ乳化系の破壊や製剤の粘度低下の原因となる。今回われわれは,アスコルビン酸とグリセリンを結合させた2種類のグリセリル化アスコルビン酸を開発した。これらはB16細胞を用いたメラニン生成抑制試験において高いメラニン生成抑制効果を示した。また,in vivoの連用試験ではグリセリン由来の保湿効果を示し,肌表面の紋理を整え,乾燥による目尻の小じわを目立たなくした。さらに,水溶液や粘性製剤において高い安定性を示すことも確認された。これらの結果よりグリセリル化アスコルビン酸は既存の誘導体と同様の生理活性を有するだけでなく,化粧品市場に求められる付加的機能を併せ持った保湿型アスコルビン酸誘導体であることが確認された。
著者
新井 道子 森田 康治 矢作 和行 内藤 幸雄
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.125-132, 1995-09-10 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

The formation of split ends is one of the most important problems especially for women to present a good appearance. For the primary split ends care, the mechanical recovery of damaged hair fibers is of special importance since hair does not self-recover. In this work, the effects of cosmetic treatments on the generation of split ends have been investigated by auto-brushing machine as an accelerative method which is closer to the actual hair care process. These results strongly suggested that the important factor of the split ends formation was due to the structural changes of amorphous matrix proteins of hair fibers. We found that a diethylene glycol monoethylether (Ethyl Carbitol; EC) treatment was the most effective of all treatments we tested in inhibiting the split ends generation of permed hair, and EC treated permed hair behaved almost identically with untreated normal hair as far as the percentage of split ends generation was concerned.
著者
曽我 元 森田 康治 新井 賢二
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.97-103, 2014-06-20 (Released:2016-06-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

日常的に行われる美容行動の一つである地肌マッサージに関して,血行促進を効率的に実現できる方法を考案することにした。そこで,種々のマッサージ基本手技が皮膚血流に与える作用を個別に評価した。その結果,頭皮においては,圧迫法が最も血流上昇作用が高いという特徴を見出した。ほかの基本手技も組み合わせて,約3分間のセルフマッサージ方法を創案した。この方法により地肌をマッサージすると,即時的な血行促進作用が認められ,平均で約120%まで上昇し,20分程度持続することを確認した。また,地肌が動きやすくなり,1週間の連用を行うと動きやすさのスコアに上昇傾向が認められた。この方法は,地肌マッサージの生理学的意義を明らかにする目的で,頭皮の物性や血流量に与える影響と,それに加えて,毛髪の成長に関わる作用を評価するために有用である。
著者
互 恵子 高田 定樹
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.128-134, 2013-06-20 (Released:2015-08-25)
参考文献数
13

対人コミュニケーションの非言語行動は言語行動とともに,心理的意味を生じさせる。特に外見的特徴は第一印象の形成に影響する。店頭の対面場面を設定し,視線計測より,販売員の外見による顧客の印象形成を視覚的注意の応答から検討した。実験参加者は日本人や中国,北米,ドイツ等の出身者とした。販売員モデルの姿・形の外見を整えた場合と整えない場合のどちらも,顧客を想定した観察者の視線の停留の時間と回数は顔部分で最も大きく,印象評価より目線や表情が重要であった。外見を整えない場合はモデルの身体部分への注視が増加し,印象評価より姿勢や手の位置との関連が高かった。対面相手の顔は文脈の影響を受けないが,身体は文脈の影響を受け,非言語情報となることが示唆された。美容コンサルテーションの販売員と顧客の関係性では,文脈に合わせ,外見を整えることで,顧客の視線が商品に誘導されることが示され,販売につながることが予想された。
著者
林 照次 松木 智美 松江 浩二 新井 清一 福田 吉宏 米谷 融
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.355-373, 1993-12-16 (Released:2010-08-06)
参考文献数
19
被引用文献数
6 6

We measured changes in facial wrinkles and skin texture by aging, sunlight exposure and applicaion of cosmetics.With a replica photographing system and image analysis, we measured wrinkles for parameters of depth and the ratio of wrinkled area (RWA: showing amount of wrinkles). As for skin texture, we measured depth and distance of furrows, ratio of furrow depth (RFD: showing amount of skin texture) and anisotropy.As a result of measuring changes in wrinkles due to aging, it was found that the process of wrinkle formation was classified roughly into 2 stages. In the initial stage of wrinkles, RWA incseased greatly in the 30s, due to many fine wrinkles 0.15mm or less in depth. Then, the second stage showed the acceleration in the increase of wrinkle depth which seemed to be caused by a vicious circle in solar elastosis. It was also observed that, compared to the office workers, the outdoor workers showed higher values of RWA in the initial stage and of wrinkle depth in the second stage.The result of measuring changes of textures revealed that the amount of furrows decreased with aging and morphology after 60s differed from that of natural furrows and resembled to the morphology observed in the initial stage of wrinkles. As for the influence of sunlight exposure, the furrows in the outdoor workers of 30s and 40s became more indistinct in comparison to those of the office workers.Then, as a result of examining changes in wrinkles by the continuous application of moisturizing lotion and eye cream, relatively small wrinkles below 0.15mm depth decreased in both cases probably due to increase in hydration in the stratum corneum. We thought this effect reduced the degree of vicious circle in solor elastosis and delayed the appearances of deep wrinkles. From these results, it was thought that skin care around the age of 30s, when small wrinkles started to increase, was extremely important to control wrinkle appeararances.
著者
晴佐 久満 鍋嶋 詢三 石垣 薫 橋本 典子 豊田 由賀理
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.100-104, 1985
被引用文献数
7

Mutagenicities of the toothpaste ingredients, which were on the market, were investigated on salmonella typhimurium TA98 and TA100 by the Ames test.<br>The test samples used were four humectants, five binders, three foaming agents, two sweettening agents, four flavouring agents, four preservating agents, four abrasive agents, and ten medicinal ingredients, which were the materials for a toothpaste.<br>As a result of experiments, no mutagenic activity was shown with all samples studied.